公取協相談回答速報 No.363

公取協相談回答速報
363
No.
2014. 1.31 発行
〔 相談者からの質問 〕海外メーカーによる医師への飲食提供について
当社は海外メーカーA社の製品を輸入販売している医療機器事業
者です。
当社の取引先医療機関(国内)の医師が、A社の海外の工場見学を
行う際に、A社が当該医師に対して飲食を提供することがあります。
この場合の規約上の考え方・注意点を教えてください。
〔 協議会からの回答 〕
公正競争規約は、日本国内において医療機器の製造や販売に携わる事
業者を対象とし、公正取引協議会に参加している会員事業者が日本の医
機関等に景品類を提供する場合に規制が及びます。
したがって、海外に拠点を置く(我が国において、支社や日本法人で
ある関連会社等を一切置いていない)メーカーA社が、日本の医師に海
外に所在する工場見学の際に飲食を提供することについては、規約で制
限することはできません。
ただし、名目的には海外メーカーであるA社が、貴社の医療機器の取
引先の日本の医師に対して、飲食等の提供を行う場合であっても、貴社
が、当該医師に対する飲食等の提供を依頼し、又はその費用を負担する
など実質的には貴社が関与していると認められる場合には、規約で制限
されるおそれがあります。よって、このように、貴社が、取引先の日本
の医師に海外での飲食等の提供に何らかの関与をする場合には、
「飲食等
の提供に係るルール(飲食ルール)」に従ってください。
以上
医療機器業公正取引協議会
指導・審査委員会発行
*医療機関等への配布禁止
公取協相談回答速報
364
No.
2014. 1.31 発行
〔 相談者からの質問 〕手術見学研修に対する謝礼の支払について
当社の若手社員を対象に、民間病院の心臓外科において症例見学を
行うことを検討していますが、この場合、当該民間病院に対して謝礼
を支払うことは、規約上問題があるでしょうか。
〔 協議会からの回答 〕
「症例見学」の詳細が不明ですが、貴社の社員を対象とし、目的が「社
員への研修」である場合に、民間の医療機関等と社員研修に関する業務
委託契約を締結し、謝礼を支払って「症例見学」を行うことについては、
原則として規約上の問題はありません。
ただし、「症例見学」の謝礼の金額については、謝礼に名を借りた医療
機関等に対する金銭の提供との誤解を招くことのないよう、社会通念上
妥当と考えられる水準とする必要があります。
また、
「症例見学」を名目として、仮に、社員を医療機関等に派遣して
労務提供や医療行為等を行うことがあれば、規約のみならず関連法規等
に抵触するおそれもありますので、ご注意ください。
なお、個人情報保護等の観点から、事業者の社員が「症例見学」をす
ることについては、あらかじめ、患者又は患者の家族の了承を得る必要
があると考えられますので、インフォームドコンセントの実施について
医療機関等にご確認ください。
以上
医療機器業公正取引協議会
指導・審査委員会発行
*医療機関等への配布禁止