今月は体内時計ついての特集です

今月は体内時計ついての特集です
起きるのがつら~い寒い朝も、朝日を浴びればすっきり目覚め、やる気も
出てくる、そんな体内時計のメカニズムについての特集です。
生物は動物でも植物でも、体内時計
体内時計と呼ばれる機能を
体内時計
備えています。もともと体内に組み込まれた生きてい
くための時間割のようなもので、睡眠・食事・運動な
どの生活リズムをコントロールしています。体内時計
により体温、血圧、心拍数、ホルモンや消化酵素の分
泌量なども一定の周期(時間・日・週・月・年単位)で
変動しています。例えば、体温の一日の変動は、正常
な人では朝方からゆるやかに上昇し、夕方を ピークに
低下し、午前4時~5時に最低になります。
人の身体には通常の1日24時間周期とは違うリズムが働いています。
ある実験で昼と夜の区別ができない地下室で過ごしている人の寝起きの様子を調べた
ところ、1日の身体のリズムは25時間周期で変わってくることがわかりました。
また、ネズミの1日は約23.5~24.5時間ということもわかっています。地球上に生
きている生物は、人に限らず一部のバクテリアを除き、昆虫、藻、カビ、植物、動物
のすべてがほぼ24時間周期の体内時計を持っています。
体内時計は朝起きて太陽の光を浴びることで25時間のリズムを1時間早めてリセット
して、1日24時間の周期に合わせています。
哺乳類の場合、体内時計
体内時計(親時計)は脳
脳の視床下部の
視床下部
体内時計
「視交叉上核」にあります。視交叉上核というのは、
左右の目の視神経の束が交叉する地点の上部にある一
対の神経核です。直径わずか1ミリの超小型・超高性
脳
梁
視
交
叉
上
核
松
果
体
網
能時計といえます。最近、体内時計
体内時計は内臓
体内時計 内臓や皮膚
内臓 皮膚など
皮膚
体中にもたくさん存在していることがわかってきまし
た。時計遺伝子とよばれる、全身の細胞に存在する遺
膜
脳下垂体
伝子で、これを末梢時計といいます。
朝起きて太陽の光
光を浴びると、脳の親時計は自分のズレを24時間の時計に合わせてリ
セットし、3~8ミリとやはり小さな松果体に信号を送ります。松果体からはメラトニ
ンという時計ホルモンが分泌され、全身の細胞に時間を知らせます。
脳の親時計は、「
「光」により、調節されます(2500ルクス以上でリセット)
親時計
例:晴れた日の屋外 10万ルクス以上、曇った日の屋外 1万ルクス以上
体中にある
「脳の親時計」
体中にある末梢時計
にある末梢時計は、「
末梢時計
親時計」により調節されます
朝を知らせるのはコルチゾール
コルチゾール
夜を知らせるのはメラトニン
メラトニン
「光
光」以外の調節(睡眠、食事) もあります
腹時計は以前より、お腹のすき具合で大体の現在の時刻を予想できることのたとえと
して知られていましたが、2006年、米テキサス大学の柳沢教授らが実際にネズミに
存在することを発見しました。その腹時計は間脳の視床下部背内側核にあり、食事の
周期に合わせ時計遺伝子が働き周期的に食欲をおこす働きをしています。腹時計は親
時計を無視してしまうこともあるそうです。
メラトニンは脳の松果体から分泌される眠気を促すホルモンです。メラトニンの分泌
量は体内時計により24時間周期で変動しています。朝目覚めてからおよそ14時間後
から分泌量が増えてきます。人が最も眠りにつきやすいのは、メラトニンの分泌が自
然に始まる夜9時から2~3時間後までです。午前2時ころにメラトニンの分泌がピー
クに達します。そして、目覚める前に分泌が止まり、体内のメラトニン濃度は太陽の
光を浴びることによって一気に減少し、眠りモードから目覚めモードへときりかわり
ます。メラトニンの分泌は夜が長い冬には長時間になり、夜が短い夏には短時間にな
ります。これにより、睡眠リズムは季節によっても変動します。メラトニンは50歳
以上になると分泌量がピーク時の半分以下に減ってしまいます。このために、「歳を
とると眠りが浅くなる」「朝早く目が覚める」というようなことが起こるようです。
メラトニンはアミノ酸の一種トリプトファンから神経伝達物質セロトニンを経て作ら
れています。昔から、眠れないときに温かい牛乳を飲むと良いと言われていますが、
実はこれはメラトニンの分泌を増やすひとつの方法だったのです。
トリプトファンを多く含む食品の例
乳製品、大豆、バナナ、かつお
小麦胚芽、ゴマ
最近では、日中でもビルやマンションなどの室内にいる時間が長く、太陽の光を浴び
ないことが多く、また夜遅くまで起きていて明るい光を浴びていることで、メラトニ
ンの分泌が少なくなり、体内時計が狂ってきます。その結果、夜なかなか寝付かれず
朝起きるのがつらかったりというような睡眠障害が起きます。また、体温、血圧のリ
ズムも崩れ、時差ぼけ、疲労感、うつ病などが起こってきます。
例えば、実際は午前9時なのに、体内時計はまだ午前5時ごろだとしたら・・・・・体温が
上がらず脳や体が活発に機能しないためボーッとして仕事に集中出来なかったり、疲
労感、頭痛、おなかの調子が悪いなどで、午前中の活動に支障をきたします。
例1 睡眠相後退症候群・・・深刻な現代病ともいわれ、体内時計が大幅に遅れて、明け方
まで眠れず、昼ごろにならないと起きられないものです。
例2 季節性(冬期)うつ病・・・日照時間が短くなる秋から冬に限って現れるうつ状態で眠
気や全身倦怠感がその特徴的な症状といわれます。
例3 その他・・・肥満 糖尿病 高血圧 うつ病 癌
毎朝、規則正
規則正しい
規則正しい時間
しい時間に起きましょう。
時間
起きたらすぐに、朝日
朝日を浴びましょう。休日の寝坊は大敵。休日でも一度は起き
朝日
て朝日を浴び、眠ければその後昼寝をしましょう。
起きたら、朝食
朝食をとりましょう。
朝食
夜の光にも気をつけましょう。寝る前のパソコンやテレビなどの光刺激もなるべ
く避けましょう。また、夜遅い時間には、なるべく食べないようにしましょう。
病気が起こりやすい時間(おおよその目安)
0時:消化性潰瘍、4時:気管支喘息、6時:アレルギー性鼻炎、偏頭痛
7時:関節リウマチ、9時:心筋梗塞、10時:脳梗塞
16時:高血圧症状、22時:皮膚のかゆみ
人間は一日にどのくらい尿を出していると思いますか?
答えは、平均で1.5リットル。しかし、腎臓ではその120倍もの水がろ過されて
います。つまり、180リットル、ドラム缶1本分の量です。
腎臓でろ過された水は、99%再利用されています。水分だけでなく、糖、塩分、
ナトリウム、カルシウム、ビタミン、アミノ酸なども同様です。
5分ごとに約50mlのペースで処理された水分は、体内を一巡りして再び腎臓に
送られてきます。この循環は一日に7~8回繰り返されるのです。
人間の体重の60%が水分。それも薄い塩水です。余分な塩分や水を体から排出し
酸やアルカリ度を調節し、体内にある細胞が快適に過ごせるように綿密にコント
ロールする、それが腎臓なのです。