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女性の健康 – バランスのとれた食生活で健やかな暮らしを
体重に関わる問題
健康的な体重を維持しましょう — 太りすぎ、痩せすぎにならないために
注) 以下に示す情報を利用する際は、全般的な健康状態、体重管理、栄養面のニーズについて、医師やヘ
ルスケアプロバイダーと話し合うことをお勧めします。普段の生活で薬物療法を必要とするような健康状態
にある方、または大幅な減量を必要とするような方は、減量プログラムを始める前に医師またはヘルスケア
プロバイダーにご相談ください。
アメリカ人のためのダイエット・ガイドライン(2000年度)に示された遵守10項目の最
初に掲げられている留意点は、「健康的な体重を目指すこと」です。健康的な体重の維
持は、総合的な健康維持に重要な役割を果たしているのです。
国立衛生研究所の全国心臓肺臓血液学会(NHLBI NIH)によれば、体重が増えすぎたり
肥満体になると、高血圧、高コレステロール血症、2型糖尿病、冠動脈疾患、胆嚢疾
患、骨関節症、呼吸障害などの慢性疾患や、ある種のガンが引き起される可能性があり
ます。体重過多および肥満にまつわる危険性については様々な情報を耳にしますが―ア
メリカ人の成人は半数以上が体重過多または肥満であり、10代以下の子供の肥満も増加
傾向にあります―体重が少ない場合も同様に危険です。極端に体重が少ないと、骨粗鬆
症の発症率が上昇し、感染症に対する免疫力が低下する恐れがあります。いずれにして
も、極端な体重は健康的に望ましいとは言えません。
体重とウェスト —
自分のBMIを計算しウェストを測りましょう
身長に対する体重の比を示す体格指数(BMI)は、身長、体格、性別ごとの「理想」体
重を示した表に取って代わりました。BMIは計算で簡単に求められますが(体重(kg)
÷身長(m)2)、BMI表で自分の身長体重に相当する値を調べれば、さらに簡単に知る
ことができます(専用ウェブページと対話式アプリケーション上で(Click し、次いで
www.nhlbi.nih.gov のBMIカルキュレーターを使用してください。)
BMIは通常、体重が「健康的」であるか「不健康」かを判定するのに使われ、体重その
ものを参照するよりも、体脂肪や、先に述べた健康状態の危険度を適切に見積もること
ができます。健康な成人のBMIは19∼25です。BMIが25∼30の場合は体重過多、30を超
えると肥満と定義されます。健康上のリスクは、体重過多や肥満のレベルが上がるにつ
れて増加します。また、BMIが25を超えたとしても、筋肉の割合が多く体脂肪率が極め
て低い場合は健康とみなされます。また、健康とされる範囲をわずかに下回る程度な
ら、急激な減量や潜在的な疾患によるものでないかぎり健康であるとみなせます。
ウェストの測定値も健康の目安とされ、35インチ(女性は40インチ)を超えると健康上
のリスクが増加するとされています。体脂肪分布―体の中央部に脂肪が多い「リンゴ
型」―は、一部の慢性疾患の発症率上昇と関連しています。見た目の体型や体重計、メ
ジャーによる測定値が、いずれも明らかな肥満傾向を示しているなら、運動量を増やし
て摂取カロリーを減らす時期に来ていると言えるでしょう。
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誇大広告とは縁を切りましょう
肥満の原因は様々であり、極めて複雑です。とはいえ、体重の変化に関して言えば、そ
のしくみは単純です(簡単という表現は使いません。後述の「体重維持の実際」に書か
れた内容を参照してください)。体重が変化した場合は、必ずエネルギー収支のバラン
スが崩れているはずです。増加分を解消したいなら、食事で摂取する量(カロリー)を
上回るエネルギーを、運動で消費しなければなりません。
私たちは、減量の手段として、脂肪摂取量を減らす一時的なダイエットに頼りがちです
が、一見魅力的でない方法―健康的でバランスのとれた食習慣と運動の組み合わせ―
が、長期にわたる減量と体重維持に最も威力を発揮します。よく体を動かす人は、体重
の多少を問わず、通常運動嫌いの人に比べて健康状態が良好です。運動をすれば、減量
を目的とする場合は、筋肉より先に蓄積した脂肪が消費され、体重を増やしたい場合
は、余分な脂肪をつけずに筋肉が増強されます。
体重は、何年もかけて少しずつ増えるものです。脂肪1ポンドには、3500キロカロリー
のエネルギーが蓄えられています。1日に100キロカロリー余分に摂取し、運動量に変化
がなければ、1年では10ポンド増える計算になります。少なくとも日に30分は、ダンス
やウォーキング、庭仕事やハイキングなど、適度に体を動かしましょう。その間は休ま
ないように!友達や家族を誘うのもよいでしょう。それを実践していくうちに、子供た
ちも自然と運動を習慣の一つとして生涯楽しむようになります。
体重を健康的な数値に戻したら、それを維持することが大切です。短期間で楽に痩せら
れることを謳ったプログラム、本、器具、アドバイスに飛びつくのは避けましょう。そ
の種のダイエットによって短期間に体重が減っても、喜んではいけません。単に水分が
排出されただけで―水1パイントの重さは1ポンドです―普通に飲食すれば元の体重に戻
ってしまいます。
このようなプログラムは、その多くが食品の種類や主食を制限したり、通常とは異なる
組み合わせやタイミングで食品を摂ることを勧めて食事を制限するタイプのもので、最
初は効果を発揮します。このような制限のお陰で体重は減りますが、そのダイエット独
自の方法が功を奏したのではなく、摂取カロリーの減少が原因なのです。米国農務省
が、普及している減量ダイエットを再検討したところ、低カロリーダイエットは、その
内容にかかわらず減量の効果があるという結論に達しました。それでも、流行のダイエ
ットを地道に続ける人は多くありません。体重を長期間維持するための実現性、つまり
おいしく、手軽に食べられ、満足感があり、社交的な場で周りの人間と一緒に楽しみた
いという欲求に応えられるかどうかという点から見れば、明らかに失格なのです。
果物や野菜、穀類(特に全粒粉)、低脂肪乳製品、魚、トリ肉、赤身肉、ナッツ、豆、
卵など、健康的な食品をまんべんなく摂りましょう。果物や野菜は、その多くが低カロ
リー、低脂肪で、食物繊維が豊富です。従ってかさを増やし、満腹感を与える働きがあ
ります。
体重管理の実際
現実的には、体重過多でも減量は可能です。同程度の減量を数回繰り返す人もいます。
ただし目標は単なる減量ではなく、健康的な体重の維持にあります。以下に示すのは、
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全米体重管理レジストリがまとめた減量・維持のポイントです。このレジストリは、減
量した結果の体重を最低1年間維持した数千人を対象とした全国規模データベースで
す。寄せられた情報は自発的な自己報告によるものであり、有用な情報は一般に公開さ
れています。
(「体重管理: 有効な手段: 全米体重管理レジストリによるポイント(Weight
Management: What Works: Lessons from the National Weight Control Registry)」
より。Belinda S. O’Connell, MS, RD, LD, Dietitians’ Edge-November, December 2001
pages 18-19)
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何よりも重要なのは、形式的な減量「プログラム」ではなく、忍耐強く専念するこ
とです。
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食事や運動の習慣を変える必要があります―登録者の大半は、共に改善したと報告
しています。
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効果的に減量し、それを維持するために最も大事なのは、食事自体の構成よりもカ
ロリーレベルです。
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1日の食事内容と行動を書き出せば、集中力を持続し、随時報告することができま
す。食事の記録をつけることで実情をチェックし、「食事健忘症」も予防できま
す。ハイペースの慌ただしい社会では、自分が食べたカロリーを記憶する余裕など
ないでしょう。
効果的に減量するには、それひとつで解決するような魔法の薬はなく、様々な戦略
が不可欠です。毎週体重を測ってカロリーや脂肪摂取量をチェックし、健康に良い
食品を常備し(高脂肪食品は家に置かないこと)、外食を減らし、運動好きな仲間
と過ごす時間を増やすのです。
現在の体重を維持したい人、将来の体重増加を防ぎたい人、減量したい人、増やしたい
人、いずれの場合も、長い時間をかけて食習慣や活動レベルを変えることに専念する覚
悟が必要です。登録栄養士などの「指導者」をつけるのも一案です。地元で登録栄養士
を見つけるには、電話帳の事業者ページで調べ、認定を受けている登録栄養士を探すと
よいでしょう。または、米国食品栄養学会(the American Dietetic Association)のウェ
ブサイトwww.eatright.orgを通じて、資格を有する栄養学の専門家を探すこともできま
す。
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