産婦人科研修プログラム

産婦人科研修プログラム
Ⅰ.概要
医師数
正職員 7 名、専攻医 2 名
外来患者数
140 名/日
入院患者数
40 名~50 名/日
年間分娩数
約 750 件
年間手術数
約 650 件
診療
以下の点に重点を置いて日常診療を行っている
①悪性腫瘍:早期発見、最適な集学的治療(手術療法+化学療法+放射線療法)
の立案と実行、治療後再発の早期発見と治療
②周産期:安全な分娩を目指して、合併症妊娠を含めた母体、胎児の管理
③婦人科良性疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍など):
にんよう
月経過多、下腹部痛、月経困難症など婦人科的側面、妊孕性に
関わる側面からの対策と保存的(薬物)並びに外科的治療
④不妊症:一般不妊検査、治療、人工授精、開腹および腹腔鏡手術
⑤女性医学、更年期障害、骨盤弛緩症(子宮脱など)骨粗鬆症:
加齢、閉経に伴う女性疾患への対策と治療
Ⅱ.研修目的
女性と男性の最大にして根本的生物学的相違点は「女性は妊孕能を有する」という点である。
産婦人科という医学はこの一点から始まるといっても過言ではない。この能力を有するがゆえ
に生じる妊娠、それに伴う様々な疾患、妊孕能力が最盛期の状態にある時期、次いで衰え、更
には消えてゆく過程で精神的、あるいは肉体的に生じる女性特有の様々な変化、疾患を理解し、
管理、治療する能力を会得し、更に産科学的、婦人科学的疾患であるか否かの鑑別能力を会得
する。もう一つの産婦人科の一大特徴としては産科領域における胎児の管理がある。一人の女
性を通して二つの健康と命を託されるという使命の重さを認識することも研修の目的とする。
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Ⅲ.指導医リスト
研修指導責任者 : 産婦人科部長
野々垣 多加史
指
導
医 : 医
員
岩見
州一郎
医
員
吉水
美嶺
医
員
寒河江
医
員
高松
士朗
医
員
邨田
裕子
医
員
川田
悦子
悠介
Ⅳ.研修内容
一般勤務並びに希望すれば助当直として当直勤務(産科当直・救急外来)に従事する。
A.一般的診察法【経験すべき診察法・検査・手技】
1.問診
病歴、患者の訴えの適確な把握。所見の正確な記述。
2.内診
デリケートな産婦人科独特の診察法であり、指導医の下、病棟で研修する。骨
盤解剖学を理解しておく必要がある。
3.外診
婦人科外診は他科触診と大きく変わるところはないが、産科外診は特別な修練
を要する。子宮底認識、腹囲測定、(児心音聴取、)胎位・胎向の診断、子宮収
縮の認識などを修練する。
B.補助診断法【経験すべき診察法・検査・手技】
1.膣内容の検査:膣内容の検査(培養を含む)、診断(真菌症、トリコモナス膣炎、
非特異的炎症性変化の有無など)。
2.細胞診:採取法、塗末法、固定法。
3.コルポスコピー、ヒステロスコピー。
4.組織診:子宮膣部、子宮腔よりの検体採取法。
5.子宮卵管造影法。
6.頸管粘液検査、卵管疎通性検査、精液検査。
7.基礎体温測定の指導、判読。
8.妊娠反応:免疫学的妊娠反応のメカニズム、反応の意義、判定について習得。
9.ダグラス窩穿刺:適応、注意点、判定の習得。
10.超音波断層診断法:超音波断層診断法に関する一般的知識を習得した上で、産婦人科
診断法に不可欠の超音波断層診断法、特に「経膣」超音波断層診
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断法による映像読影について習得。産科領域では特に心拍の有無、
子宮内妊娠の判定、胎盤付着部の判定についての基礎的事項は必
須。パルスドプラ法の画像診断。なお、
「経膣」超音波断層診断法
は指導医の下に行う。
11.CT 読影、MRI 読影:受け持ち入院患者の日常診療過程において、或いは放射線科と
の合同カンファレンスにおいて習得。
12.X 線骨盤計測画像の判読。
C.基本的治療行為【経験すべき診察法・検査・手技】
1.処方箋の発行:薬剤の選択・投与量の決定をなし得る。
2.注射の施行:皮内・皮下・筋肉内・末梢静脈内注射を自ら施行できるよう、指導医の
下に習得。
D.副作用の知識、評価【経験すべき診察法・検査・手技】
妊娠、その他各病態への影響を考慮した薬剤の選択が出来る。
患者、家族への説明が出来る。
E.産科研修【経験すべき症状・病態・疾患-経験が求められる疾患・病態】
妊娠・分娩の生理、実際の経過を実体験を通して理解、習得。入院症例は受け持ち医とし
て指導医の下で診察も行う。
1.正常妊娠:指導医の下、妊婦外来を経験(内診、経膣超音波検査はその特殊性を考慮
し、外来では見学を原則とする)
2.正常分娩:指導医の下、以下を経験
1)妊娠経過の事前の把握、分娩経過の把握と正確な記述
2)母体管理の実際
3)NST、CST など CTG の判読
4)正常経過と異常経過の鑑別
5)娩出後の処置(会陰裂傷の有無の診察、会陰縫合など)
3.異常分娩および産科手術(*については指導医の下に経験)
1)吸引分娩適応の理解と見学
2)会陰裂傷縫合経験*
3)会陰切開術適応の理解と見学、および縫合術経験*
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4)胎盤用手剥離術適応の理解と見学
5)帝王切開適応の理解と手術介助(第 2 助手)、閉腹操作(皮下組織縫合、皮膚縫合*)
経験
6)骨盤位分娩経過、牽出術見学
7)娩出期異常(異常出血、産科ショックを含む)の処置
4.産褥
1)正常産褥の経過
2)乳汁分泌に関する扱い方(正常、異常)
3)発熱、出血などの異常の処置
5.妊娠の異常
1)流産、子宮外妊娠、絨毛性疾患(胞状奇胎)、重症悪阻の診断、治療
2)前置胎盤、常位胎盤早期剥離、弛緩性出血など産科出血時の処置
3)妊娠中毒症の診断、治療、患者指導
4)母体合併症妊娠の扱い方
5)妊娠時の生活指導(栄養指導を含む)
F.婦人科研修【経験すべき症状・病態・疾患-経験が求められる疾患・病態】
入院症例については受け持ち医として指導医の下に診察も行う。
1.STI を含む PID の診断、治療
2.腫瘍
1)病態全般の把握
2)腫瘍であることの診断、良性、悪性の診断、治療計画の立案
3)悪性腫瘍の集学的治療計画の適応決定、立案、治療終了後計画の立案、緩和医療と
末期患への対応
者への対応法の学習
3.不妊、(視床下部-下垂体-卵巣系の)機能不全の診断、治療
G.婦人科手術【経験すべき症状・病態・疾患-経験が求められる疾患・病態】
1.手術適応有無の検討
2.術前一般状態の把握、諸検査結果分析・判定、手術可否の判定
3.術中患者管理(主治医麻酔の場合)
4.術後管理、術後合併症の診断、治療
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5.受け持ち医として下記手術の見学、介助(第 2 助手)をし、婦人科基本手術、悪性腫
瘍手術を理解するとともに、術前後管理を習得する
1)開腹ならびに腹腔鏡下付属器切除
2)腹式、膣式ならびに腹腔鏡下単純子宮全摘術
3)腹式帝王切開術
4)広汎性および準広汎子宮全摘術
5)性器脱手術
6)子宮内容清掃術(見学のみ、場合により子宮腔 sounding 経験)
7)その他婦人科小手術
H.救急外来【経験すべき症状・病態・疾患-頻度の高い症状、緊急を要する症状・病態】
産婦人科救急外来患者は、急性腹症と性器出血が多い。主として当直勤務時に指導医と
ともに上記各症例につき適確な病歴聴取、記述、適切な検査、診療にて緊急性の判断を行
ない、治療方針の立案を行う。
Ⅰ.新生児【経験すべき症状・病態・疾患-経験が求められる疾患・病態】
1.正常経過の把握(正常経過新生児は小児科入院扱いとはならず、産科主治医、受け持
ち医が管理する)
2.適応症候(産瘤、生理的黄疸など)異常との鑑別
3.新生児の異常症状の認識、発見、診断(異常あれば原則小児新生児科入院)
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