住宅 マーケティング講座 築年数と 顧客ニーズ変化への対応

「住
まい
の空
気ま
わり
」
住宅
マーケティング講座
築年数と
顧客ニーズ変化への対応
その1
∼OB顧客の「今の姿」を明らかにしよう∼
団塊ジュニアがいろいろなマーケットで注目され、住宅業界においても、新築需要において、大きなマーケット
になっています。しかし、この団塊ジュニアを対象とした需要も2010年まで。その後日本の人口は減り続け、
市場は確実に縮小へと向かいます。
そこで重要なのがこれまで自社で建てていただいたお客様です。“このOB客とどのような関係づくりをしてい
顧客のロイヤリティは築年数とともに低下する
新築していただいたお客様へのアフターサービスということで、2∼3年間は3ヶ月目、6ヶ月目、1年点検という
ことで廻られる会社は大手ハウスメーカーだけでなく当たり前になってきています。しかし、3年以降くらいになる
と、そのサービスが無くなるケースが殆どです。
その後のアフターは、有料ということで、電話等連絡があり次第対応するケースが普通です。その時の対応によっ
て、お客様のあなたの会社に対するロイヤリティ(私は帰属意識と呼んでいます)が変化します。お客様のロイヤ
リティと住宅に対するニーズの関係は築年数によって、図-1のような関係になります。
つまり、新築した当初は、ロイヤリティは高く、ニーズが低いのは当たり前です。しかし、この二つの関係は築
年数が長くなることによって、どんどん図-1のようなカーブを描いていくということです。あなたの会社に築年
数が長くてもロイヤリティの高いAのゾーンのOB客はどれだけいるでしょう? 図-1
ロ
イ
ヤ
リ
テ
ィ
B
ロイヤリティのカーブ
ニーズのカーブ
D
C
図-2
■ 築年数と顧客ロイヤリティ
この層が多いのは
当たり前
A
著者プロフィール
1949年
株式会社 ロスコ・アールディ研究所
代表取締役
佐藤 善秀
三重県伊勢市生まれ 同志社大学文学部心理学専攻卒業
1974年 (株)日本マーケティング研究所入社
1994年 日本マーケティング研究所グループ退社
1994年3月 (株)ロスコ・アールディ研究所設立、代表取締役に就任、現在に至る
2000年 ホームシネマ&オーディオ(株) 取締役に就任
2002年 NPO法人日本住宅管理協会理事長に就任 大阪府「住まいの評価・管理アドバイザー制度」
会員
2005年 NPO法人環境共棲住宅「地球の会」理事(事務局長)に就任
「今の姿」を把握する方法
ますます重要になるOB顧客
■ 築年数と顧客ロイヤリティ
●
ロ
イ
ヤ
リ
テ
ィ
この層が
どれだけありますか?
B
A
ロイヤリティのカーブ
ニーズのカーブ
D
築年数
C
以下、具体的にOB客の「今の姿」についての調査方法について考えてみましょう。
訪問時のアンケート調査
郵送アンケート調査
OB顧客の「今の姿」を把握する方法は、先のような訪
問を定期的に行うのが一番いいでしょう。
しかし、その時に是非お願いしたいのは、会社のだれが
行ってもこ れ だ け き ち ん と 確 認 し て く る と い う 「 ア ン
ケート」を作成しておくことです。
より一般的なのが郵送によるアンケート調査です。
3∼5年に一回全OB顧客に対する郵送アンケートを行い
ます。この場合あまり毎年する必要はありません。
いわゆる国政調査とか消費実態調査などに合わせて実施
することによって、一般データとの相互検討もできます。
アンケートを訪問時にその場で記入していただいて回収
するのが難しい場合は、切手を貼った郵送用封筒を渡し
て、いつまでに投函するかをお願いしてくるのが良いで
しょう。
この方がゆっくり家族で考えて書いていただけるし、目の
この調査実施に当っては、協力のお礼、粗品をアンケー
トと一緒に同封することをお勧めします。
その方が確実に回収率が高くなります。又、回収率がど
れくらいあ る か と い う こ と が 、 そ の 会 社 の O B 客 の ロ イ
ヤリティの高さが把握できることにもなります。 アンケートの内容
アンケートの内容は、大きく分けて3
つです。
アンケートの作成にあたっては、特に
最初の調査の時にはマーケティング調
査の専門家に相談してください。
その方がきっと、役に立つ良い結果が
得られると思います。
1 現在の住宅についての状況把握
・ 不具合の箇所、内容が中心 ・ これまでの自社の対応状況も確認
・ どのようにしようと考えているかも確認
2 現在の自社からご案内している内容、実施している企画についての評価
・ イベント、見学会、教室、情報誌 etc
3 家族の現在の状況
・ 新築後の変化、今後の変化の予定
築年数
最初からこの層が多い会社は
危険です
この層が多くなって
いませんか?
OB顧客の「今の姿」の結果と共有
化
あなたのOB客の「今の姿」を知りましょう
今あなたの会社ではOB客はどのように管理されていますか?
パソコンで管理されているケースが非常に増えていますが、どのようにそのデータを利用していますか?
年賀状、暑中見舞い、見学会・セミナーの案内、情報誌の送付用として使っているという会社が殆どです。
では、お客様のその後の様子はどうですか?お客様とのツーウェイコミュニケーションはどうですか?
毎年1∼2回全OB客を訪問し、現在の住まいをチェックしたり、いろいろ家族のことなどをお話しているところ
もあります。
調査結果がどのようなものになっているかは興味のある
ことです。場合によっては、とても信じられないような
結果のこともあります。
集計・分析においても、専門家に相談した方がいい
と思います。必ず集計・分析し結果報告書としてま
とめておいてください。そして、このOB客の「今
の姿」を社員、協力業者の方も含めてみんなで把
握・共有することが大切です。
3∼5年に1回時系列で調査していくと、その変化が
わかります。調査結果に基づいて何が変わってきたの
か、みんなで確認できます。
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住まいの空気まわり Vol.47
調査の結果、先の築年数と
ロイヤリティの関係がどのように
なっていたか、確認してください。
A,B,C,DそれぞれにOB顧客はどのように分
布していたでしょうか。(図-2参照)
特に、AとCのウェイトはどのようになっていました
でしょうか。
もしも、AよりCの方が多いというような結果が
出たらあなたの会社は大変です。早急に根本的に
変革に取り組まないと、お客様から見放されるこ
とになります。
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