日本初の低用量アスピリンとPPIの配合剤

《平成調剤薬局
最新 DI ピックアップ》
平成調剤薬局本部 DI 室‐Vol.3
室‐Vol.35
Vol.35‐
2014.4.21
【 日本初の低用量アスピリンと PPI の配合剤 】
タケルダ配合錠:アスピリン・ランソプラゾール配合製剤
2014 年 3 月 24 日、アスピリン・ランソプラゾール配合製剤(商品名タケルダ
タケルダ配合錠)の製造販売が承認さ
タケルダ
れた。適応は「次の疾患または術後における血栓・塞栓形成の抑制:
(1)狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭
心症)
、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞)、
(2)冠動脈バイパス術(CABG)あるいは
経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後」であり、用法・用量は「成人、1 日 1 回 1 錠経口投与」となっている。
本薬は、1 錠中にシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)阻害薬のアスピリン 100mg と、プロトンポンプ阻害薬
(PPI)のランソプラゾール(商品名タケプロン)15mg とを配合した製剤である。製剤としては、アスピリン
を含む腸溶性の内核錠を、ランソプラゾールを含む腸溶性細粒の外層が包み込んだ構造になっており、割った
り、砕いたりしないように気をつけなければならない。
現在、虚血性の心・脳血管系疾患での血栓・塞栓形成抑制には、アスピリンなどの抗血小板薬投与が一般に
行われており、国内外のガイドラインでも推奨されている。アスピリンは、1899 年に抗炎症薬として臨床使用
され、50 年前には抗血小板作用も確認された薬剤である。現在、抗血小板薬の中でアスピリンは、費用対効果
が最も良い薬剤とされ、日本でも高い頻度で使用されている。アスピリンの抗血小板作用は、血小板の COX-1
の選択的なアセチル化により COX-1 作用を阻害することで効果が発揮される。また、その抗血小板作用は、低
用量(81~330mg/日)で効果を示すが、高用量では血小板凝集の抑制作用が失われることが知られている。
ただしアスピリンは、優れた抗血小板作用を有する一方で、胃・十二指腸潰瘍の副作用を惹起する欠点も指摘
されている。そのため、通常のアスピリン使用時には、PPI などの消化性潰瘍治療薬の併用が行われるが、低用
量アスピリン療法時に併用できる PPI としては、
「薬剤投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発予防」に適
応を有するランソプラゾールもしくはエソメプラゾール(商品名ネキシウム)のみとなっている。
今回、承認されたタケルダは、低用量アスピリンとランソプラゾールの合剤であり、1 剤にすることで副作用
(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)の低減、患者の服薬負担の軽減に貢献することが期待されている。
薬剤使用に際しては、臨床試験(低用量アスピリン使用患者で胃潰瘍・十二指腸潰瘍の既往のある患者を対
象)で 15.9%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められているので注意したい。主な副作用は、便秘(3.9%)、
下痢(2.5%)であり、重大なものとしては、ショック、アナフィラキシー、汎血球減少、無顆粒球症、再生不
良性貧血、溶血性貧血、顆粒球減少、血小板減少、貧血、重篤な肝機能障害などが、アスピリンあるいはラン
ソプラゾールで報告されている。
なおタケルダの使用は、
「低用量アスピリンの投与が必要で、胃潰瘍薬又は十二指腸潰瘍の既往歴がある患者」
に限定されていることにも留意しておかなければならない。
(日経 DI オンライン: 2014/4/11 より引用)