実技試験・資産設定提案業務>の解答と解説を見る

平成28年9月
3級FP技能検定/実技試験<資産設計提案業務>
解答と解説
<正解>
問1
問2
問3
問4
問5
問6
問7
問8
問9
問 10
2
2
3
1
1
2
3
3
2
1
問 11
問 12
問 13
問 14
問 15
問 16
問 17
問 18
問 19
問 20
1
3
3
2
1
3
2
1
3
1
<合格基準>100 点満点で 60 点以上(各 5 点)
【第1問】
問1 正解 2
1.適切。顧客の任意後見人となる契約は、司法書士などの資格を有していなくても、締
結できる。
2.不適切。税理士資格を有していないFPが、顧客の確定申告書など税務書類を作成す
ることは、有償無償にかかわらず、税理士法に抵触する。
3.適切。生命保険募集人資格を有していないFPは、保険の募集を行うことはできない
が、顧客から相談を受け、将来の必要保障額の試算および加入している保険の見直し
アドバイスを行うことは問題ない。
問2 正解 2
1.適切。(ア)に入る将来の金額は、「現在の金額×(1+変動率)経過年数」で求めること
ができる。設問では、現在(2016 年)の給与収入が 608(万円)で変動率は 1%であ
るので、3 年後の 2019 年の給与収入は「608×(1+0.01)3≒626」
(万円未満四捨五
入)となる。
なお、この場合の累乗計算は、608×1.01×1.01×1.01 で簡単に計算できるが、指数が
大きくなった場合、
電卓で次のように操作すると簡便に計算できる
(CASIO 製の場合)
。
1.01n →1 ・ 0 1 × × = = = ・・・・
× を 2 回押し、= を(n-1)回押す(3 乗であれば 2 回)
。
2.不適切。年間収支は収入合計-支出合計で計算できる。2017 年の年間収支は 141(万
円)で、支出合計は 549(万円)なので、
(イ)に入る収入合計は、549(万円)+141
(万円)=690(万円)となる。あるいは、608×1.01+76=690(万円未満四捨五入)
で算出される。
3.適切。(ウ)に入る当年の金融資産残高は、「前年の金融資産残高×(1+運用利率)
±当年の年間収支」で求めることができる。2017 年の金融資産残高は 629(万円)
、運
1
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用利率は 1%、2018 年の年間収支は 78(万円)なので、2018 年の金融資産残高は「629
×(1+0.01)+78≒713」(万円未満四捨五入)となる。
問3 正解 3
1.適切。空欄(ア)に入る用語は、「日銀短観」である。
2.適切。空欄(イ)に入る用語は、「機械受注統計調査」である。
3.不適切。空欄(ウ)に入る用語は、
「景気動向指数」である。
問4 正解 1
1.が正しい。
(ア)分配金の予想利回り(%)とは、REIT価格に対する1口当たり分配金(年間予
想)の割合である。
分配金の予想利回り(%)=1口当たり分配金(年間予想)÷REIT価格×100
=16,300 円÷609,000 円×100
=2.676…≒2.68%(小数点以下第3位四捨五入)
(イ)1口当たり純資産(注)に対してREIT価格の倍率が高い方が割高、倍率が低い
方が割安と考えられる。
QX不動産投資法人=REIT価格÷1口当たり純資産
=583,000 円÷441,400 円=1.320…(倍)
QY不動産投資法人=REIT価格÷1口当たり純資産
=609,000 円÷432,800 円=1.407…(倍)
したがって、割安と考えられるのは、QX不動産投資法人である。
(注)保有する不動産などの総資産から負債を引いたものを純資産額といい、それを投資
口の発行口数で割ったものが一口当り純資産。
問5 正解 1
1.が正しい。
(ア)資料の上段左から 2 番目の枠の【株式】蘭に「単位 100 株」とあることから、この
企業の 1 単元の株式数は 100 株である。この企業の株を 2015 年 1 月に 1 単元(100
株)購入し、2015 年 11 月まで所有した場合、この期間に受け取った配当金額(税引
前)は、下段【配当】欄より「15.3」に 125 円、
「15.9」に 100 円とあることから計
225 円となるので、225 円×100 株=22,500 円である。
(イ)2015 年 3 月期における 1 株当たりの利益は、
【業績】欄の「1 株益(円)」の「15.3」
より 688.0 円である。
問6 正解 2
2
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2.が正しい。建築物の延べ面積(床面積の合計)の最高限度は、地積に容積率を乗じ
て計算する。また、幅員 12m未満の道路に接する敷地では、(イ)「指定容積率」と(ロ)「前面
道路幅員×6/10(住居系用途地域では 4/10)」のいずれか低い方の容積率が適用される。
(ア)容積率の判定(設問の土地は、商業地域)
・指定容積率:500%
・前面道路幅員による容積率の制限: 6(m)×6/10=360%
500%>360%
∴360%
(イ)最大延べ面積
300 ㎡×360%=1,080 ㎡
問7 正解 3
3.が正しい。不動産の譲渡所得は、分離課税で、所得税額は次のように計算される。
売却金額-(取得費(注 1)+譲渡費用)-特別控除額(注 2)=課税譲渡所得金額
課税譲渡所得金額×税率
(注 1)取得費が不明のときや実際の取得費が少額のときは、売却金額の 5%を概算取
得費とすることができる。
(注 2)居住用財産を譲渡した場合、所有期間の長短にかかわらず、
「居住用財産を譲
渡した場合の 3,000 万円の特別控除の特例」を利用することができる。
(注 3)不動産の譲渡所得の場合、譲渡の年の 1 月 1 日現在において、所有期間が 5
年以下なら短期譲渡、5 年超なら長期譲渡となり、居住用財産で 10 年超なら
「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)」
を受けることができる。それぞれの税率は次の通り。
課税譲渡所得金額
所得税
住民税
短期譲渡
-
30%(30.63%)
9%
長期譲渡
-
15%(15.315%)
5%
10 年超所有の居住用財産
6,000 万円以下の部分
10%(10.21%)
4%
の譲渡(軽減税率)
6,000 万円超の部分
15%(15.315%)
5%
(注)カッコ内は、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)を加算した税率
設問の場合、平成 23 年 5 月 5 日に叔父から譲り受けた土地付き中古住宅を平成 28 年 8
月 10 日に譲渡したので、譲渡の年の 1 月 1 日現在においては所有期間が 5 年以下となり短
期譲渡となる。
「居住用財産を譲渡した場合の 3,000 万円の特別控除の特例」を適用するの
で、所得税額(復興特別所得税は考慮しない)は次のようになる。
譲渡価額
取得費+譲渡費用
9,000 万円-
5,300 万円
特別控除額
- 3,000 万円 =
課税譲渡所得金額
700 万円
短期譲渡の所得税率
700 万円×
30%
=210 万円
3
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問8 正解 3
3.が正しい。馬場喜一さんが加入している定期保険特約付終身保険において、馬場さ
んが交通事故で即死した場合に支払われる死亡保険金は、以下の通りである。
保険・特約
(1)終身保険
保証内容
死亡保険金
保険期間は終身で、死亡したとき死亡保険金が支払わ
300 万円
れる。
(2)定期保険特約
保険期間中に死亡したとき、死亡保険金が支払われ
1,000 万円
る。
(3)特定疾病保障
特定疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)にかかり所
定期保険特約
定の状態に該当したときは特定疾病保険金が支払わ
200 万円
れる。特定疾病以外で死亡したとき、死亡保険金が支
払われる。
(4)傷害特約
不慮の事故または特定感染症で死亡したとき、災害死
100 万円
亡保険金が支払われる。不慮の事故で所定の身体障害
状態に該当したとき、障害状態に応じた障害給付金が
支払われる。
合計
1,600 万円
問9 正解 2
1.正しい。地震保険は火災保険契約に付帯して契約するものであり、単独で契約するこ
とはできない。
2.誤り。保険金は、保険の対象に生じた損害が全損・半損・一部損の 3 つの区分のいず
れかに該当した場合にのみ支払われ、一部損の場合は保険金額の 5%が支払われる。
・全損→契約金額の 100%の保険金を支払う
・半損→契約金額の 50%を支払う
・一部損→契約金額の 5%を支払う
なお、2017 年以降、半損が大半損、小半損になり 4 区分へと変更になる。
<半損の変更>
・大半損→契約金額の 60%を支払う
・小半損→契約金額の 30%を支払う
3.正しい。地震保険では、建物の免震・耐震性能に応じた保険料割引制度があるが、複
数の割引を重複して適用することはできない。
問 10 正解 1
1.が正しい。自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を
4
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支払った場合には、医療費控除として一定の金額の所得控除を受けることができる。
医療費控除の控除額は、「支払い医療費-保険金などで補填される金額-10 万円(注)」
(控除限度額は 200 万円)で計算される。
(注)総所得金額等が 200 万円未満の場合は、総所得金額等の 5%。
設問の場合は、次のようになる。
支払い医療費
入院給付金
348,000 円 - 50,000 円 -100,000 円 =198,000 円
なお、医療費控除の対象となる医療費には、次のようなものがある。
①医師・歯科医師による診療・治療の対価(なお、健康診断の費用は原則として対象と
ならないが、異常が見つかり治療を受けることになった場合は対象となる)
②治療に必要な医薬品の購入の対価(なお、市販の風邪薬などの購入代金は対象となる
が、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は
対象とならない)
③診療等を受けるための公共交通機関(バス・電車等)による通院費(なお、自家用車
で通院する場合の駐車場代やガソリン代は対象とならない)――など。
問 11 正解 1
1.が正しい。
(ア)不動産の貸付けをする際に受け取った敷金のうち、返還を要する部分の金額は不動
産所得の総収入金額に含まれないが、返還を要しない部分の金額は、返還を要しない
ことが確定した日において不動産所得の総収入金額に「含まれる」
。
(イ)不動産の貸付けを事業的規模以外で行った場合、青色申告制度を利用すれば、青色
申告特別控除として最大「10 万円」の控除を受けることができる。なお、不動産の貸
付けを事業的規模で行い、正規の簿記の原則による記帳などの要件を満たした場合に
は、最高 65 万円の青色申告特別控除となる。
問 12 正解 3
給与所得者であっても、その年分の給与収入の金額が 2,000 万円を超える場合、給与所
得・退職所得以外の所得が 20 万円を超える場合、2 ヵ所以上から給与を受ける場合などは、
年末調整の対象とならないため、所得税の確定申告をしなければならない。
また、住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、給与所得者であっても、最初の年は
確定申告が必要である。しかし、2 年目以降は年末調整が適用を受けることができる。
さらに、所得控除のうち、医療費控除・雑損控除・寄附金控除の適用を受ける場合には、
給与所得者であっても確定申告が必要である。
1.布施隆志:前年以前に住宅を取得し住宅借入金等特別控除の適用を受けており、年末
調整の際に会社に所定の書類を提出しているので、確定申告は不要。
5
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2.宇野大地:給与収入以外の一時所得の金額が 10 万円で、20 万円以下なので、確定申告
は不要。
3.青山幸一:医療費控除の適用を受ける場合には、確定申告を行う必要がある。
問 13 正解 3
3.が正しい。設問のケースの場合、法定相続人は、配偶者と子であり、子は異母兄弟
であるが良介さんの子であるので、法定相続分は、妻の美幸さんが 1/2,子の沙耶さん、
翔太さん、雅美さんがそれぞれ 1/2×1/3=1/6 となる。
問 14 正解 2
2.が正しい。
「贈与税の配偶者控除」は、婚姻期間が「20」年以上の配偶者から、国内の居住用の不
動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受け、所定の要件を満たす場合に、
一定の書類を添付し申告することで贈与税の基礎控除 110 万円とは別枠で、最高「2,000」
万円の控除を受けることができる。
明美さんが、平成 28 年に、相続税評価額 2,500 万円の居住用建物・土地の贈与を受け、
贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合、贈与税の課税価格は、2,500 万円-2,000 万円
(配偶者控除)-110 万円(基礎控除)=「390」万円である。
問 15 正解 1
1.が正しい。
<小規模宅地等の適用上限面積と減額割合>
宅地等の区分
適用上限面積
減額割合
400 ㎡
80%
特定居住用宅地等(注 3)
330 ㎡
80%
貸付事業用宅地等(注 4)
200 ㎡
50%
特定事業用宅地等(注 1)
、
特定同族会社事業用宅地等(注 2)
(注 1)一定の親族が被相続人の事業を引き継ぐ場合など
(注 2)特定同族会社とは、株式または出資の 50%超を有している場合など
(注 3)被相続人の居住用宅地を配偶者が取得した場合など
(注 4)アパート、賃貸マンションなど
問 16 正解 3
3.が正しい。個人バランスシートにおいて、資産合計=負債・純資産合計であるので、
純資産は「資産合計-負債合計」で算出することができる。
<資産合計>(マンション購入後)
6
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・金融資産:400 万円(普通預金)+1,500 万円(定期預金)+350 万円(財形年金貯蓄)
+250 万円(外貨預金)+540 万円(上場株式)=3,040 万円(①)
・生命保険(解約返戻金相当額)
:330 万円(②)
・不動産(自宅マンション)
:2,800 万円(③)
・その他(動産等)
:250 万円(④)
*資産合計=①+②+③+④=6,420 万円
<負債合計>
・350 万円(住宅ローン)
<純資産>
6,420 万円(資産合計)-350 万円(負債合計)=6,070 万円
問 17 正解 2
教育資金や老後資金、住宅ローンの返済などのライフイベントについて資金計画を立て
る際、積立目標額や元利合計額、年金額やローン返済額などを計算することは重要である。
これらの金額を複利計算で行う場合、計算は複雑になるが、各種係数を利用すると簡単
に計算することができる。
各種係数
どんなときに使うか?
終価係数
手持ちの資産を複利運用すると将来いくらになるかを求める場合に使用
現価係数
複利運用して目標額をするためには、今いくらの元金が必要かを求める場
合に使用
減債基金係数
将来の貯蓄目標額を達成するには、毎年いくらずつ積み立てればよいかを
求める場合に使用
資本回収係数
手持ちの資産を複利運用しながら、毎年均等に年金として受け取れる金額
やローン(元利均等返済)の年間返済額を求める場合に使用
年金終価係数
毎年一定額を積み立てると、将来いくらの元利合計になるかを求める場合
に使用
年金現価係数
希望する年金額を受け取るためには、今いくら元金があればよいかを求め
る場合やローン(元利均等返済)の借入可能額を求める場合に使用
退職金を運用しながら、毎年均等に取り崩す場合、その年金額は、資本回収係数を用い
て計算する。
2,000 万円×0.0612(年利 2.0%、期間 20 年の資本回収係数)=1,224,000 円
問 18 正解 1
1.適切。財形年金貯蓄に加入できるのは 55 歳未満の勤労者であり、1 人 1 契約である。
2.不適切。財形年金貯蓄からの年金受け取りは、60 歳以後に 5 年以上 20 年以内にわた
って定期に受け取るものや、保険型では終身年金のものなどがある。
7
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3.不適切。財形年金貯蓄から受け取る年金は、非課税である。
問 19 正解 3
3.が適切。国民年金の第 3 号被保険者は、第 2 号被保険者(厚生年金の加入者)に扶
養される 20 歳以上 60 歳未満の配偶者である。被扶養者に該当する条件は、被保険者によ
り主として生計を維持されていること、および年間収入 130 万円未満で収入が扶養者(被
保険者)の収入の半分未満(同居の場合)である。
祥子さんがパートで働く場合、この要件を満たすので、国民年金の第3号被保険者のま
まである。
問 20 正解 1
1.が正しい。高額療養費制度により払戻しを受けた後の最終的な明さんの負担金額は、
次のようになる。
80,100 円+(1,000,000 円-267,000 円)×1%=87,430 円
8
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