心臓の性能(ポンプ機能)はR波で決まる 心房と心室の波形の違い

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心臓の性能(ポンプ機能)はR波で決まる
収縮
心臓の性能
(ポンプ機能)
には関係ない
心室が収縮する瞬間
R波の幅が同じであれば
心臓の性能(ポンプ機能)
はどれも同じ
ポンプの勢いはここで決まる
・心臓の性能は、ポンプの勢いで決まり、ポンプの勢いはR波の幅で決まる。
・R波の形(幅と勢い)が同じならば、ST~T波の形はポンプの性能には関係しない。
心房と心室の波形の違い
心房筋
壁が薄く、細胞が少ない
心室筋
壁が厚く、細胞が多い
電圧の変化は同じだが
どちらも心室だが
細胞の数が違う
勢いが違う
R
P
T
・心房でも心室でも、細胞で起きる電圧は同じ。
・心房は壁が薄く細胞の数が少ないので、P波は小さくしか見えない。
・心室ははるかに壁が厚く、たくさんの細胞がいっぺんに電気を起こすので、大きなR波
として見える。
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電極位置とQRS波の見え方
赤
-
R
第Ⅱ誘導での見え方
+ 緑
S
・QRS波は、心室で起きる電気(電流)を 2 つの電極ではさんでとらえたもの。
・電流の大きさ(矢印の長さ)を、2つの電極を結ぶ線上に写してみたものが心電図の大
きさになる。
・プラスの電極に向かう電流が上向き(R波)、反対向きが下向き(S波)になる。
心臓が横向きになっている時のQRS波の見え方
赤
-
R
心臓が横位になっていると・・・
+ 緑
S
・心臓の向きが横位になっていると、心室に起きる電気の向きも全体に横向きになる。
・したがって、プラスの電極に向かう成分が小さくなるのでR波の振幅は低く、逆にS
波の振幅は大きくなる。
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緑電極の位置による波形の違い
黄
赤
心臓が横位の場合、
緑の電極位置を高くすると、R波が大きくなる。
Ⅱ
緑
緑
・心臓が横位の場合は、緑電極の位置を少し上にする。
・2 つの電極を結ぶ線が平均電気軸と平行に近くなるので、R波の振幅が大きくなる。
心拍数(HR)表示に誤差があるとき
Ⅰ
赤
Ⅰ
+
-
黄
-
赤
+
-
黄
-
Ⅱ
Ⅱ
緑 +
+ 緑
R波とT波の大きさに差がない
緑
R波が大きくなる
・平均電気軸が横向きの人を第Ⅱ誘導でとっている場合に多く、R波とT波の大きさに差
がないことが原因。太った体型の人でなりやすい。
・誘導の選択ができる機種では、第Ⅰ誘導にする。
・誘導の選択ができない機種では、緑(+)の電極の位置を上げてみる。
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心室期外収縮と心房期外収縮の見分け方
心室期外収縮と心房期外収縮の見分け方
(A)心室期外収縮 (PVC/VPC)
P波がない
(B)心房期外収縮 (PAC/APC)
P波がある
・予定される洞周期よりも早く起きるのが期外収縮。
・心室期外収縮は突然QRS波で始まり、その前に絶対にP波がない。
・心房期外収縮は必ずP波がある。
洞結節以外で起きるのでP波は形が違うことが多い(異
所性P波という)。
心室期外収縮の危険性を判断する3つのポイント
変化する
いつも同じ
短い
長い
その1
直前の心拍との間隔
(連結期)
変化する
いつも同じ
その2
QRS波の形
連発する
単発
頻発する
散発
その3
発生頻度
・心室期外収縮の危険性は、ひとつずつの性質が重要。
・発生タイミングが早いか遅いか、形が同じか違うか、連発するかしないか、に注目。
・ひとつづつの性質が危険なものでなければ、頻度そのものはあまり重要ではない。
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房室ブロックは不規則に起きるものに注意
MobitzⅡ型第2度房室ブロック
P波
前触れや規則性がなく、
突然QRS波以降が脱落する
PR間隔はすべて一定
Wenckebach型第2度房室ブロック
P波
元に戻って繰り返す
PR間隔が次第に延長し、
4~5回目でQRS波以降が脱落する
・時々起きる房室ブロックが第2度。
・Mobitz Ⅱ型は、前触れや規則性がなく突然起きるので注意する。
・規則的に起きる Wenkebach 型は、安定している場合は危険性は高くない。
P波とR波が無関係なら第3度房室ブロック
第3度房室ブロック(完全房室ブロック)
心室調律は遅いので
RR間隔>PP間隔
P
P
P
P
P
P
P
P波は一定間隔であるはず !
心房は洞調律なので
数拍以上続くブロックに注意
P
P
P
P
P
P
P
・第3度房室ブロックでは、心房のP波と心室のR波は無関係に発生する。
・P波は洞調律なので一定間隔が基本。分かりにくい時は、
「この辺にあるはず」と思っ
て探すこと。房室ブロックの決定はP波を見つけることがポイントになる。
・数拍以上に渡ってブロックされP波だけが続く時は要注意。