新宿二丁目寄生体 - 東海大学工学部建築学科

新宿二丁目寄生体
アートスポットによる LGBT 開放計画
指導教員 吉松秀樹教授 4AEB3105 日南田 顕久
問題意識 -LGBT と新宿二丁目 -
アートスポット - 都市に寄生する建築 -
LGBT(L: レズビアン G: ゲイ B: バイセクシャル T: トランスジェンダー )
新宿二丁目の既存のビルの隙間や空地にアートスポットを
と呼ばれる人々がいる。諸外国ではゲイタウンが LGBT を社
点在させてゆく
会に浸透させる役目を担っている。しかし日本では LGBT に
リティアートをおいてゆくことで、アートが街に溢れる。ま
対する社会的動きが無かったために社会に浸透していない。
たアートスポットは街路空間の延長線上に位置するため、パ
調査・分析 - マイノリティアートと新宿二丁目 -
ブリックな空間となり、新宿二丁目の人々の憩いの場や、生
現在マスメディアは LGBT の存在を偏ったかたちで伝えて
活の場となる。
(Fig.4)(Fig.5)。アーティストたちが自由にマイノ
いる。マイノリティアートは拡大する差別などを社会に訴え
る手段として用いられてきた。アートという中立的な媒体が
LGBT を社会に浸透させる手段として有効であるといえる。
新宿二丁目はゲイバーがひしめく世界有数のゲイタウンで
Fig.4 アートを街に浸透
Fig.5 寄生建築
ある。特徴として、昼は閑散としており、夜は人々が溢れて
核施設 -LGBT アートセンター -
いる。昼と夜で街の様相が異なることが街路空間に顕著に現
核となるアートセンターをつくることで、自己完結してい
れており、それが新宿二丁目の魅力である (Fig.1)。 たアートスポットにつながりが生まれ、新宿二丁目はマイノ
リティアートの街となる (Fig.6)。また、LGBT 支援施設やワー
クショップなどによって、マジョリティや LGBT の人々は
LGBT に対する正しい知識や情報を得ることができる。そし
て、アートセンターは、LGBT をサポートする場となる (Fig.7)。
街路に溢れる人々
Fig.1 昼と夜の様相が異なる新宿二丁目
目的 - アートを通じて LGBT を社会に浸透 本計画では日本のゲイタウンを代表する新宿二丁目におい
アートスポットの配置
てマイノリティアートを用いて LGBT と社会との格差を減
アートセンターの出現
アートスポットとのつながり
Fig.6 更新モデル
らしてゆくことを目的とする。
提案 - 街路空間を取り込む 新宿二丁目の魅力のひとつである街路空間を建築化する
(Fig.2)。今まで
GL 部分のみであった街路空間のつながりは、
アートセンター外観
LGBT 支援施設
ワークショップ
Fig.7 模型写真
建築を付加することによって、縦方向の繋がりと中層部での
結果 - 新宿二丁目の変容 -
平面的な繋がりが生まれる (Fig.3)。
新宿二丁目の街に寄生するようにアートスポットを展開す
ることで、LGBT は社会に対して徐々に開かれてゆく。新宿
二丁目らしさを保ちつつ透明性を持つことで、新宿二丁目が
Fig.2 街路空間を持ち上げる
LGBT を社会に発信する場となる。本計画は、様々な人々が
望む性差の少ない社会へと近づくための一要素であり、時代
の流れと共に全国に派生し、マイノリティアートが社会に対
Fig.3 新宿二丁目寄生イメージ
し浸透すれば、日本が性差の少ない社会になってゆくだろう。
多目的ホール
ギャラリー&ホワイエ
アートスポット
ショップ
ワークショップ
ライブラリー
エキシビション
エキシビション
エキシビション
アートスポット
インフォメーション
インフォメーション
Fig.8 section 1
Shinjuku 2chome parasite body
LGBT people unclosing project by urban parasitic art spots
カフェ
Fig.9 section 2
HINATA Akihisa
2007年度卒業設計梗概集 東海大学工学部建築学科