第6学年 理科学習指導案

第6学年
理科学習指導案
指導者
教諭
吉
場
1
単元名
2
単元の目標
○
田
所
浩
之
学習室
太陽と月の形
太陽と月に興味をもち,太陽と月の表面の様子を調べるとともに,月の形の見え方は,太陽と
月の位置関係によって変わることを推論することができる。
 太陽と月に興味をもち,太陽と月の表面を調べようとする。
<関心・意欲・態度>
 月の見えかたは,太陽と月の位置関係によって変わることを推論することができる。
<思考・判断>
 継続的に月の形と位置を観察し,太陽との位置関係が分かるように記録することができる。
<技能・表現>
 月の輝いている側には太陽があり,月の形の見えかたは,太陽と月の位置関係によって変わる
ことを理解することができる。
3
<知識・理解>
指導にあたって
(1)単元について
本内容は「地球」についての基本的な見方や概念を柱とした内容の中で,「地球の周辺」に
位置付くものであり,第4学年の「B(4)月と星」の学習からつながるものである。従来の
学習指導要領では,4年で「月と星」の学習をした後,天体に関する学習は中学3年まで行わ
ず,天動説的な考え方から地動説の学習に入るギャップが指摘されていた。本単元は,その間
を埋めて「地球=自分」という意識をもちながらも,月と太陽と地球の位置関係という宇宙空
間概念の育成を目指して新設された単元である。(「B(5)月と太陽」)
(2)児童の実態
(男子8名,女子10名,計18名)
理科ではどの子どもも実験や観察を好んでいる。男子は理科の学習が好きで,興味・関心を
もっている。一方,女子は,はじめから理科に苦手意識をもっており,どちらかというと理科
の学習に対しては消極的である。しかし,6年生の理科における科学的な見方・考え方で育て
たい,多面的に追求する能力は女子の方が高い。
本単元に関する実態調査を行った。4年生で学習した月の動き方(月は東から昇り,南の空
を通って西に沈むこと)は15名が理解していた。正答を得られなかった子どもは,西から月
が昇ると答えていた。満月の観察で,ある時刻の満月の位置を予想する問題では,16名の子
どもが正答できた。残りの2名は,方位は合っているが,高度が違っていた。また,月は日に
よって形が変わることはおおむね理解できていた。
朝に南東の空に見える月の形を選んで描かせてみた。太陽がある側が輝き,その理由まで答
えられた子どもが4名いた。他は,太陽と反対側が輝いていると回答した子どもが多く,月は
太陽の光を反射して光っていることを意識している子どもは少ないと考えられる。反対側が光
っていると答えた児童の理由をいくつか挙げる。「月は形によって昇る時間や沈む時間が違っ
ていてこの位置はこの形だったような気がしたから」「月は形が変わるから夜に丸くなって,
朝になると太陽が昇ってくると,それに合わせてだんだん形がへっていく。」このように月に
ついてある程度の知識はあるものの,その知識は断片的であり,月は反射によって光っている
ことをほとんど理解できていないことが伺える。
(3)指導の着眼
本単元では,天体について興味・関心をもって追究する活動を通して,月の位置や形と太陽
の位置の関係を推論する能力を育てるとともに,それらについての理解を図り,月や太陽に感
動する心や人間の力を越えたものに対する畏敬の念をもって観察しようとする態度を育て,月
の形の見え方や表面の様子についての見方や考え方をもつことができるようにする。
今回の改訂では,第6学年においては,推論をもとに体験を重視しながら追求する過程で実
感を伴った理解ができるようになることが大切なポイントとされている。そのために観察をベ
ースとしながらも,モデルを使った実験を通して自分の推論を検証する活動を充実させていく
必要がある。
実際の指導に当たっては,月の形や位置と太陽の位置の関係を推論し,モデルや図によって
表現する活動を通して,天体における月と太陽の位置関係についてとらえることができるよう
にする。また,児童の天体に対する興味・関心を高めるために,パレットおおさきのプラネタ
リウムを活用し,パレットおおさきと連携をとりながら,進めていく。
月は太陽の光を反射して光っていることを理解している子どもが少ないことから,単元を通
して「太陽は自ら光り,月はその太陽の光を反射させて光っている」ことに気付かせるために,
月が輝いている側に太陽があることを意識付けさせていく。
指導計画
(7時間扱い
本時3/7)
時
4
次
標
学
第
1
月の形を確かめ
一
る。
習
内
容
価
の
観
点
関意
思
技
知
態
判
表
理
先行経験の中から知りうる限りの月の形
を描く。
2
間
目
評
月の形に対する先行経験(体験や知識)を
次
1
○
1
○
想起する。
月の形が変わる
1
三日月を例にとり,太陽の光がどのように
当たるとその形ができるのかという太陽
原因を調べる。
との関係に意識を向ける。
第
1
地球にいる自分から見て,様々な形の月が
見えるときの太陽と月の位置関係につい
次
原因を考える。
て,太陽と月のモデルを操作しながら,3
者の位置関係を推論する。
第 三 次
1
○
○
体育館でスポットライトを太陽,ボールを
月としたモデル実験を行い,月の形が変
月の形が変わる
る。
1
(本時)
二
月の形が変わる
仕組みを確かめ
○
わることを確かめる。
2
校庭で実際の月を見ながら,モデル実験を
行い,太陽と月の位置関係を再度確認す
る。
2
○
○
1
月の形と位置,および太陽の位置の記録を
もとに,それらの位置と月の形との関係を
月と太陽を見て
みる。
まとめる。
2
パレットおおさきのプラネタリウムで月
2
○
○
○
と太陽の動きのシミュレーションを見て,
太陽と月の形についてまとめる。
3
5
天体望遠鏡で実際の月の表面を観察する。
本時の指導
(1)小単元名
月の形が変わる原因を考えよう
(2)本時のねらい
半球を黒,半球を黄色に塗り分けたボールを月に見立て,モデル実験を通して,月と太
陽の位置関係を確認しながら,月の形について考えることができるようにする。
(3)本時の着眼
月が太陽の光によって形を変えていることは理解しても,地球(自分)と太陽と月の3
者の位置関係で月の形を理解することは難しい。そこで上弦の月と下弦の月を提示し,位
置関係を推論させたうえで,モデル実験へと移っていくようにする。
推論の段階で「太陽がこちらにあるとしたら,この形(上弦の月,下弦の月)はどの場
所で見えるのだろう?」と月の位置と形の関係を追及する方向で学びを進めていきたい。
色麻町で実施した学力テストの結果から,実験結果を図示したり,グラフ化したりする
など,実験の結果を記録・処理する能力や文章で表現する能力を身に付けることが小学校
理科における課題となった。それを改善するためには,分かったことの一つ一つを確実に
整理しながら,仮説や予想,結果や考察,まとめ等を文章で書かせる機会を多く取り入れ
ることが必要である。また,本校では研究教科を国語とし,言語活動を重視して取り組ん
でいるところである。そこで,実験の結果から言えるようになったことをまとめる際には,
子ども自身の言葉でまとめさせるようにする。その際,月の形の絵を描かせ,その隣に自
分(地球)から見て月が太陽のどちら側(右,左,反対)にある時に見える月なのかなど,
自分を中心としたときの太陽と月の位置関係を説明させるようにする。
(4)準備物
教師:半球を黒,半球を黄色に塗り分けた月に見立てたボール5個,太陽に見立てたバス
ケットボール5個,コンピュータ,プロジェクター,スクリーン,ワークシート
児童:ノート,筆記用具
(5)指導過程
段階
学
習
活
動
教 師 の 働 き か け
1下弦の月と,上弦の
 半月だ。
月を知る。
※評価と評価方法
 本時で扱う下弦の月と上弦の月を知らせ
るため,コンピュータシミュレーション
○日中に見ることがで
(ステラリウム)を活用する。
つかむ(8分)
きた,9月12日の
 太陽の位置や学校の周りの様子に着目さ
月と9月26日の月
せるため,学校の周りを背景とした前述
を見てみよう。
のステラリウムを活用する。
2下弦の月や,上弦の
 太陽が東にあるか
 ステラリウムでは方位を自由に動かすこ
月は,午前,午後い
ら,上弦の月は午前
とができることを利用し,月の輝いてい
ずれの時間帯に見る
に見られると思う。
る側に太陽があることをおさえさせる。
ことができるか推論
 太陽が輝いている
そして,下弦の月は,午前中に,上弦の
ほうに太陽がある。
月は午後に見られることをとらえさせ
する。
○ 下弦の月や上弦の
月は午前と午後ど
ちらで見ることが
 ローソンの方が南
だ。
 わからない。
できるだろう。
る。
 ワークシートに午前に見られるか,午後
に見られるかを選択させ,理由も書かせ
るようにする。
3モデル実験をする。
 このボールで月の
 太陽と月の位置を検証するために,モデ
○ 太陽がこちらにあ
形が分かるのかな。
ル実験を行う。その説明は写真の提示に
るとしたら,下弦の
 太陽が当たってい
月や上弦の月はど
るほうが黄色なん
の場所で見えるだ
だね。
ろうか。
調べる(
分)
15
・指導上の留意点
予想される児童の反応
 この位置で上弦の
月(下弦の月)が見
えた。
 太陽は月が輝いて
いるほうにあるね。
 満月は太陽から一
よって行う。
 半球が黒,半球が黄色のボールにより,
太陽側が常に黄色が向いているように観
測者の周りを回るよう指示する。
 あくまでも見え方の主体は自分であり,
自分を中心として,月と太陽の位置関係
という宇宙での空間概念を作っていくよ
うにさせる。
 下弦の月や上弦の月の形がよく分かって
番遠くの位置で見
いない子どもには,一緒に観測者となり,
える。
下弦の月や上弦の月が見える位置を確か
 三日月が見えた。
めさせる。
 満月は太陽から一番離れた位置で見える
ことも感じ取らせたい。
◎ 太陽と月と地球の位置関係を意識しな
がらモデル実験をしているか。(観察)
【科学的な,見方・考え方】
4分かったことを自分
 ワークシートに分かった  自分の言葉で表現去るために,下弦の月
の言葉でまとめる。
ことを自分の言葉で書く。
○ モデル実験からど
 上弦の月を正面に見たと
や上弦の月を描かせ,それを手がかかり
にさせる。
んなことがいえる
き,太陽は右側にあるか  「○○だから△△になる」という表現を
だろうか。
ら,右半分が輝いている。
するよう注意させる。
 右側半分が輝いているか  自分の言葉でうまくまとめられない子ど
ら,日が沈む時に南の方に
もに対して,実験を想起させ,月だけで
月が見えると思う。
はなく,太陽も描かせる。それをもとに
考察する(
 太陽を正面に見たとき,下
話をさせて,まとめさせるようにする。
弦の月は自分の右の方に  太陽を正面に見たとき,月はどちら側に
ある。だから下弦の月は午
あるか,または,月を正面に見たとき太
前に見られる。
陽はどちら側にあるか,という視点でま
 どうまとめたらいいのだ
分)
15
とめさせていくようにする。
ろう。
5分かったことを発表
する。
○ 分かったことをみ
んなに紹介しよう。
 友達の意見を聞いて,自分  上弦の月や下弦の月だけではなく,三日
の考えを修正したり,参考
月や満月の見えかたにも触れさせるよう
になったことを付け加え
にしたい。
たりする。
 なるほど。そういう考えも
あるんだ。
 「つかむ」段階の確認をするため,下弦
の月は午前,上弦の月は午後に見られる
ことを確認する。
 満月は太陽と反対側に月が ※ 月の形が変わる原因を推論し,図などを
ある時に見えたよ。
用いながら,自分の言葉でまとめること
(ワークシート)
【技能,表現】
ができたか。
6本時の学習内容をま
とめる。
○ 今夜の月を中心に,
今夜の夜空のこと
広げる(7分)
を遊佐係長から聞
いてみよう。
 遊佐係長の話を聞く。
 今日,星を見てみようか
な。
 第三者からの学習の様子を評価してもら
うために,遊佐係長に,本時の学習につ
いて講評してもらう。
 あの星座を見つけてみた  天体に興味をもつようにさせるために,
いな。
ステラリウムを活用し,本日の午後7時
 今夜の月は上弦の月より
ごろの夜空を投影する。遊佐係長から本
少し膨らんでいるようだ。
日の星空について簡単に解説をしてもら
 早くパレットおおさきの
う。
プラネタリウムに行って  今後の学習に期待を膨らませさせるため
みたいな。
に,また,さらに天体に興味をもたせる
ために,プラネタリウムでさらに詳しく
月の形のことや星について解説すること
を話してもらう。
7次時の予告を聞く。
 次時の学習内容を知る。
 次時は体育館で授業をし,月の形が変わ
る仕組みを確かめることを知らせる。
(6)評価について(方法・視点)
モデル実験を通して,月と太陽の位置関係を確認しながら,月の形について考えることが
できたか。
(観察,ワークシート・モデル実験時の発言やつぶやきを重視し,ワークシートへの記入内
容で評価する)
(7)板書計画
月の形が変わる原因を考えよう
下弦の月や上弦の月は,どの場所で見る
ことができるだろうか。
<分かったことを自分のことばでまとめよう>
(○○だから△△になるという表現を意識しよう。)
下弦の月
上弦の月
午前に見られる
午後に見られる
太陽
太陽
地球
「下弦の月を正面に見ると,月の左側が輝い
ているから太陽は月の左側にある。」
月
観測者(地球)
「月が輝いているほうに太陽があるから,月
の左側半分が見えている。」
月の形が変わる原因を考えよう
6年
名前
<課題>
月の名前
◎モデル実験をして分かったことを自分のことばで
まとめよう。
(図をかいてまとめてもいいですよ。)
どの時間帯に見ることができるだろうか
<予想とその理由>
<予想とその理由>
まとめるときの注意点
「○○だから△△になる」ということばでまとめてみよ
う。