TAC キャリア構築入門講座 ガイダンスレジュメ

TAC キャリア構築入門講座 ガイダンスレジュメ
TAC キャリア構築入門講座講師
Dylan Scudder(スカダー ディラン)
1.はじめに
皆さん、こんにちは。今日は、いつくかお話することがありますが、まずは簡単な自己紹介を
させてください。
私は、2004年から日本に住んでいますが、出身はアメリカのオクラホマ州です。日本に来る前
は、ドイツやフランスなどヨーロッパで12年間生活していました。
おそらく、皆さんと同じく、私はいつも外国に対して好奇心があり、まだ高校生の時にドイツ
へ行くことを決めました。
私は新しい環境に順応し、とくに新しい言葉と文化を学ぶことがとても好きでしたので、ドイ
ツでの1年間の高校生活の後、ビジネス・スクールに入り、そして4年間ロジスティクスの会社
で働きました。ですから、ドイツには5年間滞在したことになります。
それから、もっと勉強したいと思い、紛争解決学の修士号取得のプログラムを取りました。私
が選んだのはオーストリアとスペインの2つの大学によって提供されていたプログラムでしたの
で、それぞれの国で講義を受けました。このプログラムでは、様々な国の教授から触発を受け、
オーストリアとスペインでの生活を学び、世界から集った他の学生たちの国についても学ぶこと
ができ、とても素晴らしい機会となりました。
修士号を取得した後、スイスのジュネーヴへ行き、国連の研修機関でインターンシップを始め
ました。後にそこでインハウスコンサルタントとして従事する依頼を受けました。26歳の時でし
た。
私の主な仕事は、国連スタッフが海外、主に発展途上国に赴任する前の準備を行うコースを組
み立てることでした。私は国連スタッフに何を学びたいかインタビューを行い、様々な専門家を
ジュネーヴに招き、トレーニングコースを実施しました。主に紛争解決に関することでした。こ
のようにして私は、トレーニングの方法を学び、やがて自分自身がトレーニングを実施するよう
になりました。
その2年後、ユニセフに配属となり、企業パートナーのCSRリサーチを行ないました。ご存知の
通り、ユニセフは政府や個人から財政支援を受けていますが、企業からも受けています。ユニセ
フは、子どもの福祉に貢献する機関として知られていますので、どういう企業がパートナーにな
っているかに注意する必要があります。私の仕事は、これらの企業にユニセフのパートナーにな
ってもらうかどうかを決めるために、企業のバックグラウンドに関するレポートを提供すること
でした。ジュネーヴには5年間滞在しました。
2004年までに、私はヨーロッパに12年間滞在していましたので、プロフェッショナルとして成
長し、新たな何かに挑戦したいと思いました。そして、東京のMBAスクールで講義を行う依頼を引
き受けたのです。
2008年には、トレーニングとリサーチを行う株式会社を立ち上げました。私の主な仕事の中に
は、山梨日立の社長と共に地雷除去ビジネスのリサーチのためにコロンビアに行くことがありま
した。
それとは別に、もう1つ私にとってとても重要な経験があります。それは2011年の東日本大震
災の時に、日本のユニリーバで働いたことです。私は東北の被災者のために社会貢献活動をまと
めるチームのメンバーの1人でした。
2014年から2015年は、外務省から委託されてTACが実施した「国際機関向け人材育成研修プ
ログラム」で、国連や国際機関で働くことを目指す専門家を養成する仕事をしました。このプロ
グラムが大成功に終わったので、国際キャリア開発のための本講座を受け持つことを決めました。
2.本講座の説明
本講座では、私個人の経験とプロフェッショナルとしての経験を使って、これまでに学んだ重
要な事象を皆さんと共有していきたいと思います。
そのために、グローバル・ビジネスについて学べるような本を2冊書きました。この2冊には
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企業間提携について書かれているほか、国連、世界銀行、行政、NGO、その他のステークホルダー
といった公共機関についての記述もあります。2冊ともグローバル・ビジネスや国際機関、日常
の仕事に必要な英語表現を学べるように、簡単な英語が使われています。
それでは、今から本講座の大まかな流れをご説明していきたいと思います。
本講座は、
○将来、国際機関で働きたいと考えている大学生、大学院生、社会人。
○企業(とくに外資系企業や国際的な企業)で働く上での問題解決スキルを身につけたい
方。
○留学を考えており、語学を使った仕事がしたい方。
を対象としております。
本講座は1回3時間で講義を行っていきます。
本講座の主な目的は、公共機関と民間企業の両方に使えるスキルを習得するための手助けをす
ることです。みなさんの中には、まだどちらの方向に進むか迷っているという方も多くいらっし
ゃるかもしれませんが、それは当然当たり前のことです。ただ、どちらの道を選ぶにせよ、共通
して必要な基本スキルがいくつかありますので、それらを本講座の中に盛り込んでいきたいと思
っています。
また、みなさんが今後の進路の方向性を決定する上での手助けをするということも本講座の目
的であります。たとえば、企業で働きたいのか、国連で働きたいのかといった方向性を決めてい
ただくということです。
(1)講義をご受講する前の準備
講義を受講するにあたり、第2回、第3回使用テキスト(英文)である「Crisis in Japan (日
本での災害)」と「Conflict Minerals in DRC(Democratic Republic of Congo(コンゴ民主共和
国))」を事前に必ず読んでおいてください。なお、テキストはお申込み確認次第、郵送いたし
ます。その際、予習内容もお知らせいたします。
英文のテキストを読むことに不安がある方もいらっしゃるかと思いますが、このテキストはと
ても短いもので、英語が母国語ではない方のために簡単な英語で書いてありますので、ご心配な
さらないでください。
それでは、各回の講義についてご説明いたします。
(2)第1回講義
まずは、第1回の講義の宿題と予習からお話ししたいと思います。私の経験から言いますと、
講義を最も価値的にするためには、明確な目標を立てる必要があると思います。目標が後で変わ
るというのは、ごく普通のことですが、私はまずは何かしらの目標を立てるということが大切だ
と思っています。
ですから、みなさんには、将来どのような仕事をしたいのか考えてきていただき、第1回の講
義で私にそれを教えていただきます。もう1つみなさんに第1回の講義の前に考えてきていただ
きたいのは、なぜ本講座を選んだのかということです。みなさんのキャリアの目標を達成するた
めには、戦略を立てることが必要になります。本講座は、知識とスキルによってみなさんの戦略
をサポートする役割をすることになりますが、まずは、みなさんにこの短い期間の間に明確な目
的をもっていただきたいので、本講座を選んだ理由を教えていただければと思います。
次に、講義体系についてお話ししたいと思います。まず各講義のはじめには短いイントロダク
ションがあります。ここでは、みなさんが講義で学ぶコンセプトやスキルをお話しします。第1
回の講義では、グローバル・リーダーシップの例として、ネパールのユニクロと国連難民高等弁
務官事務所(UNHCR)についての話し合いを行います。ここでは3、4人の小グループに分かれて
いただき、それぞれのチームにユニクロとUNHCRのケースに関する課題を30分以内に解決していた
だきます。与えられるこれらの課題のほとんどは、チームで話し合って解決していく方法になり
ます。1つ目の課題を終えたら、2つ目が与えられるという形をとります。2つ目も30分以内に
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解決していただきます。その後、最後の課題に取り掛かっていただきます。チームで取り組んで
いる間は、私がみなさんを一人ずつお呼びして、課題の解決の手助けをすると同時に、みなさん
のキャリアの抱負をお伺いしていきたいと思っています。
最後の課題が終わりましたら、各チームに問題の解決策についての短いプレゼンテーションを
行っていただきます。これによって、他のチームのメンバーからも様々なことを学ぶ機会を持て
るようになっていただきます。
最後に、私から講義で学んだことのまとめをさせていただいて、第2回の講義について説明し
ます。
(3)第2回講義
第2回の講義はテキストとしてBook1の「Crisis in Japan 」を使用します。
「Crisis in Japan 」
は、私自身が東日本大震災の時に日本のユニリーバで働いた経験に基づいて書いた内容になって
おります。当時、私は緊急災害対策チームの一員として、東北の被災者や、ユニリーバの多くの
ステークホルダーをどう支援するかといった問題に取り組むために、ユニリーバの最高経営責任
者や他の幹部と一緒に働いておりました。
このプロジェクトを実行するにあたっては、政府や国連、そしてNGOなどと緊密な連携をとるこ
とが必要とされていました。みなさんは、この本の中で、災害時に企業がこうした団体とどう協
力するかといったことや、ステークホルダーをどう納得させるかといった難しい決断において、
現実的な視点を学ぶことができると思います。
また、企業や公共機関で使える問題解決策のための7つのステップをご紹介いたします。各チ
ームには課題を解く時間を30分間与えます。1つ目の課題は「Crisis in Japan 」のパート1に記
載のある問題です。次に、2つ目の課題に取り組んでいただきます。2つ目の課題は「Crisis in
Japan 」のパート2に記載があります。そして、最後の課題に取り組んでいただきます。最後の
課題は、「Crisis in Japan 」のパート3です。
この間に、私がみなさん1人ずつとお話しをさせていただきます。
最後の課題が終わりましたら、各チームに問題の解決策についての短いプレゼンテーションを
行っていただきます。そして、最後に、私から講義のまとめをして、第3回、第4回の講義につ
いて説明をします。
(4)第3回講義
第3回の講義はテキストとしてBook2の「Conflict Minerals in DRC(Democratic Republic of
Congo)」を使用します。このテキストは、アップルコンピュータとコンゴ共和国のサプライチ
ェーン問題を取り上げています。みなさんには、様々なステークホルダー・マネージメントや、
利益、児童就労、不安定な環境におけるビジネスの役割などについて学んでいただきます。繰り
返しになりますが、ここでは難しい環境の中でビジネスがどのように公共機関と協力できるのか
という点について学んでいきたいと思います。さらに、ここでは、ステークホルダーの全員を満
足させるリソースがない時に、一番重要となるステークホルダーをどう選ぶかという決断力を磨
いていただくことになります。
講義は第2回と同じ形式で進めていきます。ここでも企業や公共機関で使える問題解決策のた
めの7つのステップをご紹介いたします。各チームには、
「Conflict Minerals in DRC(Democratic
Republic of Congo)」のパート1、2、3の課題を解決していただき、その間に私がみなさん一
人ずつとお話しをさせていただきます。
最後の課題が終わりましたら、各チームに問題の解決策についての短いプレゼンテーションを
行っていただきます。最後に、私から今回の講義及び今までの講義で学んだすべてのことのまと
めをします。
(5)第4回講義
第4回の講義にあたって、まず宿題として有効なカバーレター(英文履歴書に添付する書類の
ことで、志望動機や自己PRなど、職歴以外のアピールポイントはここに記載します)についての
論文を読んでいただき、カバーレターのドラフト(下書き)を書いてきていただきます。なお、
論文は第1回講義時に配布します。
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この論文は、企業や公共機関の仕事に応募するにあたって、カバーレターを書く上でのアドバ
イスを紹介した内容となっています。
みなさんには、この論文で紹介されたステップをきちんと理解しているかを確かめるために、
カバーレターのドラフトを書いてきていただき、講義の話し合いの中で、私がそれに対するフィ
ードバックを行なっていきます。
第4回の講義では、私が有効なカバーレターを書くためのポイントをお話ししてまいります。
次にみなさんには、基礎的なテクニックを習得するための3つの課題に取り組んでいただきます。
各チームにはプレゼンテーションをしていただき、私が講義の間に、学んだことのレビューを
行います。
第4回の講義の目的は、みなさんのプロフェッショナルとして未来に焦点を当てていくという
ことです。
3.本講座受講に際してのアドバイス
さて、私のバックグラウンドと本講座についてご理解いただけましたでしょうか。最後に、本
講座の準備にあたって私の方からいくつかアドバイスをさせていただきたいと思います。
・まず初めに、将来、どのような仕事がしたいのかを考えるということ。
・次に、その仕事をするために、どのようなスキルや知識が必要なのか考えるということ。
・最後に、各講義の準備に十分な時間をかけていただくこと。
※より準備をしていただいたほうが講義では、より多くのことを学ぶことができるかと思い
ます。
本講座は英語で講義を行いますが、使用英語レベルは、TOEIC®TEST400点、英検3級レベルです
ので、ご自身の英語レベルはそれほど心配しないでください。また、私のほかに日本人アシスタ
ントもいますので、分からないことがあればお気軽にご質問してください。
また、本ガイダンスの最後に本講座で使用するレベルの英語を話しますので、どの程度の英語
が使われるのかの参考にしていただきたいと思います。
しかし、長い目でみますと、国際的な仕事をする上では、どうしても英語は必要ですので、本
講座受講後は英語の学習を強く推奨します。
4.お申込方法
お申込みの際は、「キャリア構築入門講座」リーフレットをよくご確認の上、TACホームペ
ージの「公務員(外交官(外務専門職))」サイトの右上にある「e受付」(「インターネット
ですぐ申し込む」のバナー)からお申し込みください。各校舎でのお申込みは受け付けておりま
せん。
5.最後に
講義日程、受講料等詳細は、「キャリア構築入門講座」リーフレットをご覧ください。また、
お申込方法は本ガイダンスレジュメまたは「キャリア構築入門講座」リーフレットでご確認くだ
さい。なお、「キャリア構築入門講座」リーフレットと本ガイダンスレジュメはガイダンス画面
の右にPDFデータで添付されております。
最後に正直なことを言わせていただきます。今の時代においてグローバルな舞台で興味のある
仕事を獲得することは、非常に競争率の高いことです。ですから、プロフェッショナリズムと言
語能力は、大前提にくるものであると思います。それでもどうしても挑戦したいと思った場合は、
どうかみなさん自身の力を疑わないでいただきたいと思います。私はどんなキャリアを選ぶにし
ても、問題解決やステークホルダー・マネージメントといった基本的なスキルは非常に役に立つ
ことだと思っております。また、本講座を英語で学ぶことが、国際的な場面で自然な形でスキル
を使うための手助けになると思っております。
本講座が、みなさんのプロフェッショナルな能力と言語能力を向上させるための励みとなるこ
とを願っております。
以上
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