一九七0年以来、我が家の一年間の報告を兼ねたクリスマスと新年の

日本の皆様こんにちわ。
一九七0年以来、我が家の一年間の報告を兼ねたクリスマスと新年の挨拶を三ヶ国語で綴ってきましたが、年に
よって家族が増えたり、減ったりと色々と変化がありました。ところが今年は四世代一つ屋根の下に暮らすという
大家族を記録しました。今回はカラー写真もを添えることにしましょう。
四月十日、二人目の孫、ダニエル・陽壮・ガ-ジオ君が誕生しました。イザベル・優光ちゃんは弟が生まれて大
喜びで、抱きしめたりキスしたり、それこそお人形のようにかわいがっています。「一姫二太郎」というのが昔か
ら育てやすい順序だと言われていることが始めて納得できました。ゆみちゃんは二歳半になり、大変おしゃべりで
いつもはドイツ語ですが、彧子に何かをねだる時は日本語を話します。よう君も元気いっぱいで、今は伝い歩きの
真っ最中です。これからどう変わるか分かりませんが、今のところは二人とも青い目で金髪です。
シュテファンとクラウディアは一軒おいた隣に住んでいますが、今年は大々的な増築工事をすることになり、工
事中は私達の家に居候することになりました。家の一角に小さなアパートがついており、普段は人に貸しているの
ですが、そこに四人で引っ越してきただけでなく、クラウディアの書斎と子供部屋を我が家の三階に陣取ったので、
八月以来大変にぎやかになりました。
それに加えて夏休みには彧子の母と姉がドイツにやってきました。姉の陽子は、今年名市大を定年退職しました
が、その後すぐに金城学院大学の薬学部の教授に迎えられましたので八月末にはまた日本に戻らなければなりませ
んでしたが、母はそのまま三ヶ月滞在することになりました。ですから今年は八十七歳の母から六ヶ月の赤ちゃん
まで、何と四世代一つ屋根の下に住むという大家族を経験しました。
それだけならばいいのですが、大型犬のコニーがその間をはしゃぎまわり、家の中はにぎやかを通り越して大荒
れに荒れました。おとなしい犬種で知られるゴールデン・リトリーバーですが、コニーは例外なのか、まだ子犬だ
からなのか、とにかく活発な犬です。幸い母は二人のひ孫と犬に囲まれて若返り、去年骨折してから体調を崩して
いたのですが、すっかり元気になりました。
家具でも洋服でも古く慣れ親しんだものを手放すことが苦手なフォルカーは、十七年になる我が家のベンツにも
愛着を感じてまだまだ乗るつもりでいたのですが、さすがに雨水がポツポツと漏ってくるようになり、やっと買い
換えることに同意し、今度は孫用のチャイルド・シート二つ、大型犬、それに生け花の花材の運搬に便利な大型車
にしました。運転するに当たって驚いたのは、車のサイズの差ではなく、電気器具のボタンがズラリと並んだ運転
台です。六百ぺージにわたる手引きを片手にまるで飛行機の操縦でもしているような気分です。
フォルカーは「賑やかな家」から逃亡(?)し、今年は三回日本に行きました。客員教授として正式に名古屋に
住民登録しているステータスを生かして合計三ヶ月以上滞在し、北は北海道、南は九州まで講演に出かけたり、ロ
ボット関係の学会に出席したりしながら同僚や友人との交流を深め、秋風を満喫しながら露天風呂につかり、なか
なか上達しない演歌をカラオケで披露したりと日本を楽しんできました。一度は、日本語を習っているドイツ人の
団体旅行に参加して、九州で震度七の地震を体験したり、やくざの親分と知り合ったり、チャンバラ劇の見学、超
満員のお花見や愛知万博など、今までとは一味違った経験をしました。十一月には、彧子の母に付き添って日本に
行き、クリスマスに間に合うように十二月十七日にドイツに帰ってきました。
彧子は、今年は一度も日本に行く機会がありませんでした。孫と犬の世話に追われたほか、ドイツでも様々なイ
ベントで忙しい一年でした。一度はイケバナ・インターナショナルのウイーン支部から招待を受け、「EUと日本
の年」と言う催しものの一環としていけばなのワークショップとデモンストレーションをすることになり、フォル
カーと彧子の母も一緒に出かけました。春にはフジツー・ジーメンスの会社に招かれてヴィルツブルクに出張し、
エンジニアを相手に生け花を教えたり、夏にはミュンヘンの連邦園芸展覧会の会場で行われた生け花展に生徒と一
緒に出展したりしました。そのほか文筆業の方も結構忙しく、ここ数年「古都」という季刊誌に「ドイツからの便
り」を連載しているために、その取材にミュンヘンやボンに出かけたり、また彧子の犬の本を教科書として使って
いる東京ビジネススクールのペット科の学生がドイツに研修旅行に来ましたので、オットーブルンで犬の講演会を
開き、躾のできた二匹の成犬と共に、コニーも「未だ躾のできていない犬」としてデビューさせました。
今年のクリスマスは、シュテファンとクラウディアが新居でお祝いしようと、私達を招待してくれていますが、さ
てクリスマスまでに家が完成するのでしょうか。いざとなれば、オーバーでも重ね着して、寒さをしのぐことにな
るでしょう。
二00五年は世界中で自然災害や人為災害の多い年でもありました。来年こそ、平和な年でありますように願って
います。皆様、楽しいクリスマスそしてよいお年をお迎え下さいませ。皆様からのお便りを楽しみにしております。
二00五年十二月
フォルカ—、 アヤコ、 コニ—
グレ--フェ