アトピー性皮膚炎で使う薬 - 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪

No.6
第6号 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター薬局 2011 年 4 月 25 日発行
アトピー性皮膚炎で使う薬
ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は、強さに応じて5段階に分かれています。
塗る場所や、症状の程度に応じて使い分けます。
自分が使っている薬の名前と強さを知っておきましょう。
強い Ⅰ群 ストロンゲスト
Ⅱ群 ベリーストロング
Ⅲ群 ストロング
Ⅳ群 マイルド
Ⅴ群 ウイーク
デルモベート、ジフラール、ダイアコート
フルメタ、アンテベート、トプシム、リンデロン DP
マイザー、ビスダーム、ネリゾナ、テクスメン、パンデル
エクラー、メサデルム、ボアラ、ザルックス、ベトネベート
リンデロン V、プロパデルム、フルコート
リドメックス、レダコート、アルメタ、キンダベート
ロコイド
プレドニゾロン
弱い
首や顔に比べて、身体は皮膚が厚いので、薬が吸収されにくく(効きにくく)なっています。
基本的に身体には、顔に使うより強い外用薬を選びます。
当センターで混合しているステロイド含有軟膏製剤
AH-1 軟膏
アンテベート軟膏:ヒルドイドソフト軟膏=1:1
VW-1 軟膏
リンデロン V 軟膏:白色ワセリン=1:1
VW-2 軟膏
リンデロン V 軟膏:白色ワセリン=1:2
VW-4 軟膏
リンデロン V 軟膏:白色ワセリン=1:4
BA-1 軟膏
ボアラ軟膏:アズノール軟膏=1:1
BA-2 軟膏
ボアラ軟膏:アズノール軟膏=1:2
BA-4 軟膏
ボアラ軟膏:アズノール軟膏=1:4
NK-1 軟膏
ネリゾナ軟膏:ケラチナミン軟膏=1:1
ALZ 軟膏
アルメタ軟膏:亜鉛華軟膏=1:1
*当センターでは、白色ワセリンはプロペトを使用
*数字が小さい程、ステロイド外用薬の割合が多い
ステロイド外用薬の副作用
ステロイド外用薬の副作用としては、皮膚が薄くなることがあります
が、これはステロイド外用薬の使用をやめると 1 ヶ月程で元に戻ります。
また、ステロイド外用薬を長期間にわたって使い続けると毛細血管がも
ろくなって拡張し、お酒を飲んだような赤ら顔(酒さ様皮膚炎:しゅさ
ようひふえん)となってぶつぶつになってしまうことがありますが、通
常のアトピー治療でここまでなってしまうことはまれです。他にはおで
き、にきびができやすくなりますが、これも治療に従いステロイド外用
薬の減量(ランクダウン)、皮膚状態の改善により軽快します。必要で
あればにきびの薬など使用することもあります。
肌が黒ずむのはステロイドの副作用ではありません(アトピーの炎症の
痕です)。他には多毛などがあります。
プロトピック軟膏
免疫抑制剤として臓器移植後などで使われている薬を軟膏にしたものです。強さとしては、ス
テロイド外用薬のⅢ~Ⅳ群に相当します。症状の強い場所に使うと、灼熱感やひりひり感がある
ので、ステロイド外用薬である程度皮膚の状態を良くしてから切り替えます。首から上など皮膚
の薄い部分に使うことが多いです。
ステロイド外用薬で起こる副作用がほとんどない、というのがこの薬の最大の長所です。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬(のみ薬)
アトピーは、掻くことで症状がひどくなります。抗アレルギー薬は、アト
ピーの原因そのものを消し去る効果はありませんが、痒みを抑えます。眠気
の少ない抗アレルギー薬として、アレグラ、クラリチン、ザイザルがありま
す。生活スタイルや使用目的に合わせて、医師に使いやすいものを選んでも
らいましょう。
ステロイド外用薬と抗アレルギー薬は、アトピー薬物治療の 2 本柱です。
漢方薬
漢方薬だけで、症状が強く出ているアトピーを良くすることはあまり期待できません。症状が
強いときは、通常の治療(ステロイド外用薬+抗アレルギー薬)で症状を速やかに鎮静化させるこ
とが大切です。
スキンケア
症状が落ち着いている時は、スキンケアをして皮膚の状態をよくしておき
ましょう。皮膚がよい状態だと、増悪しにくくなります。
病院ではワセリンやアズノール、ヒルドイドソフトなどを処方して出すこと
ができます。使用感や季節に応じて自分が使いやすいものを選びましょう。
最近は市販のもので、使用感のよいものがたくさん出ているので、肌に合う
ものを好みで選んで使ってみてもよいですよ。