神保町三井ビルディング - Johnson Controls

Case study
神保町三井ビルディング
東京都千代田区
21世紀の都市空間を創造するコンセプトは
人と環境を両軸に据えた快適さの追求
大手町、皇居に隣接する神田神保町は、江戸時代には旗本屋敷が立ち並ぶ武士の街として、明治以
降は教育関連の建造物が数多く建てられ、次第に出版社や書店が集積する「文化と知識」の街として
発展を続け、今日の姿を形成しています。その一角、日本最大の古書店街を有する靖国通りの南側、
白山通りと千代田通りに挟まれた約2.5haの区域に、東京大型都市再生プロジェクトにより誕生した
のが「ジェイシティ東京」です。プロジェクトの正式名称は「神保町一丁目南部地区第一種市街地再
開発事業」で発端は昭和61年頃に逆上り、平成元年に準備組合が結成されてから本格的にスタート
しました。16に細分された街区に120名を超える地権者、バブル経済の崩壊という関門も、「一緒
に街づくりを」の方針を貫いて一人ひとりと話し合いを重ね、全員の納得と合意を得て建設に着手。
実に18年にもおよぶ歳月と街づくりに賭けた多くの方々の夢と情熱がすみずみに色濃く反映された
新しい街の誕生です。
エントランスのエレベーターホール
従前の16街区は3街区
ジョンソンコントロールズ主催の勉強会に
に整備され、公開空地を含
も何度か参加させていただき、オープン化
め歩道と車道の大幅な拡張
やライフサイクルコストについて学んだ結
による再編を実現。千代田
果、空調、給排水設備の台数制御および中
通りに面する東棟の神保町
央監視システムの施工からメンテナンスま
三井ビルディング、白山通
でジョンソンコントロールズにお願いする
りに面する西棟の東京パー
ことになりました。さらに今回は運用面に
クタワーと北棟の神保町
重きを置き、不夜城的な使われ方をする
101ビルの3棟で構成され
オフィスビルにおいて管理要員の少なくな
た「ジェイシティ東京」は、
る夜間の管理について特に検討を重ね、24
周囲の街並みと調和を保ち
時間体制でインターネットを介して遠隔監
つつ、豊かな植栽を配した
視サービスをしてくれるジョンソンコント
憩いのスペースを取り入れ
ロールズのリモートオペレーションセンター
21世紀型の新しい都市空間を創造していま
(ROC)の活用を決断しました。これはお客
す。なかでも88,647m2という3棟中最大
様に24時間安心して使っていただけるオフィ
の延床面積を有する神保町三井ビルディン
スビルとして必要な投資と考えています」と
グは地上23階、地下3階、塔屋3階のオフィ
語る望月所長。
スビルです。熱源システムに排熱再利用の
コージェネレーションシステムと深夜電力
当社のROCサービスは、インターネット
利用の氷蓄熱システムを採用。その他、光
の持つ広域性と双方向性を最大限に活用し、
センサーによるオフィス占有部の調光シス
お客様を中心としたビジネスパートナーに
テム、遮熱高断熱複層ガラス、雨水や雑排
よる「e-コラボレーション」を実現します。
水の再利用など、省エネと環境保全をきめ
神保町三井ビルディングの中央監視装置は
細かに配慮したうえで、働く人へ24時間稼
当社のROCと常時接続されているので、ビ
働の快適なオフィスアメニティを実現して
ル運営管理における日々のさまざまな質問
います。人と環境を両軸に据えて快適さを
や課題へのバックアップはもちろん、遠隔
追求する姿勢は、
「働く人にとって一番の場
操作によるデータの収集と保全、解析など
所であること」という三井不動産が掲げる
により、ビル設備装置およびシステム全体
「ワーカーズファースト」理念の実践であり、
の現状把握から改善の提案まで可能です。
それを実現するためのお手伝いをジョンソ
「2003年3月の竣工時点でテナント契約は
ンコントロールズが担当させていただいて
100%成立していましたが、実際に100%
います。
稼働したのが2004年の1月からなのでデー
タの集計、分析、結果についてはこれから
24時間安心して
快適に働けるBAシステム
ということでしょうね。どこまで管理でき
るか、そしてどう活用できるか、どんなメ
リットに結びつくのかは今後の楽しみです。
「さまざまなシステムの採用により省エ
たとえば省エネについても部分的に捉える
ネやコスト削減を実現するエネルギー管理
のではなく全体的に捉え、理論ではなく実
も重要ですが、私たちにとってより大切な
のはお客様に日々快適に、常に気持ちよく
過ごしていただける環境づくりです。社会
的、環境的に配慮しなければならない点は
当然押さえますが、お客様にご迷惑をおか
けするような合理化や効率化の推進、一方
的な押しつけはあってはならないと考えて
います」と三井不動産株式会社ビルディン
グ本部オフィスマネジメント部・神保町オ
フィス所長の望月裕夫氏。
「近年のビル設備
において空調のコントロールは快適環境づ
くりに非常に重要であり、1,500台ほど設
置しているVAV制御を含め自動制御への期
待はさらに多大です。そこで計画段階から
様々なレイアウトに対応できるよう工夫された
オフィス空間の天井裏には、数多くのVAVユニット
が設置されている。
際に証明されることを望んでいます。そし
て100%の効果が得られていないなら、改
善し、満足のいく結果を実現するための努
力を展開する。こうした前向きの姿勢がジョ
ンソンコントロールズと一致した点も心強
いですね。ビルは生きもの、システムは生
きもの、より最適に活用するための改善を
重ねることによって血がかようという考え
方にはとても共感できます」と望月所長。
それぞれが専門分野で信頼
されるプロを目指す
METASYS®の設置された中央監視室
「ここを俯瞰して見れば約90m×45m×
置することなく、インターネット経由で最
100mのスペースになります。この狭い空
新のビルエネルギーマネジメントシステム
間の中でプロになる。施設・警備・清掃な
機能と、それを生かすためのノウハウや知
ど、このビルのメンテナンスに関わるすべ
識を必要なとき必要なだけ利用できるサー
ての人間がプロを目指す。お客様にほめら
ビスの提供、さらにビル群管理への発展な
れる仕事をする。この“プロの振る舞い”を
どのご提案を通して、当社ならではのソリュー
私たちのキーワードにしています」と望月
ションを展開していきたいと考えています。
所長が力説します。
「たとえばセンター要員
「確かにビル群管理は必要ですが、合理化や
ならばMETASYS○R ビル管理システムの画
効率化だけに重点を置くのではなく、それ
面から得られるデータ、日報月報から得ら
ぞれのビルの特性を把握することによって
れるデータなども頭のなかに刻み込んでお
比較検討が可能になる、いろいろなモノサ
く努力を続けています。これにより各自の
シの存在を知ることで相互の改善が容易に
中に自然にモノサシができ、日々の変化や
可能になるなどのメリットに結びつけられ
季節の変化への対応はもちろん、他のビル
ると非常に興味深いですね」との期待を寄
との比較が可能になります。人と人とが気
せていただきました。
持ちよくおつきあいするための基本は挨拶
にありますので、それを定着させたうえで
最後に三井不動産が掲げる
各自がそれぞれ専門分野で自分のモノサシ
「ワーカーズファースト」理念と空
を持ち、プロの仕事をすればお客様からの
調の密接な関係をベースにした未
信頼は自然に得られる」と。「ワーカーズ
来図としてすてきなお話をうかが
ファースト」を理念に終わらせることなく
いました。
「快適な環境づくりに空
「働く人にとって一番の場所であること」の
調が重要なことは揺るぎのない事
実現に結びつける三井不動産の秘密の一端
実です。しかし空調は、照明が暗
がここにあります。
いとか壁が汚れているといったよ
うに目で見て確認することができ
テナントであるお客様毎のエネルギー関連
ません。つまり五感で感じるもの
の消費量やその他の必要数値はMETASYS○R
なので年齢や性別、その日の天候
ビル管理システムからデータを収集し、独
や体調など、いろいろな要素が絡
自の計算システムにリンクさせています。テ
み合って千差万別の感じ方が生じ
ナント毎の分類ゴミ排出量を含め、自動検
ます。それが空調に対するお客様
針データをそのまま組み入れて600∼700
からの要求の高さや多さに結びつ
の管理件数をこなしていますが、インター
いている理由だと思いますが、す
フェイスの結合は非常にうまく行っており、
べてに満足の得られる答えを出す
初期設定や切替時の変更設定などの折りに
のは難しいと容易にあきらめず、
人為的なミスさえなければ間違いはないと
今後ともこの解決には積極的に取
のこと。
「省力というだけでなく信頼性の向
り組んでいきたいですね。極端な
上という面でも大いに助かっています」と
ことを言えば何度が適温などとい
望月所長。将来的には当社ROCの利用をさ
う数字にとらわれた既成概念を外
らに進展させ、特殊な装置を購入したり設
して、文化的あるいはソフト的な
塔屋冷却塔 地階の熱源機械室
発想を展開させていけば答えが見つかるの
望月所長。より快適な環境づくりを目指す
ではないかと考えているんです。いずれに
未来への飽くなき挑戦と、それを実現する
してもこの分野のプロであるジョンソンコ
ための当社への多大な期待と信頼こそ、よ
ントロールズの協力を大いに仰いで、不可
り先進の画期的なシステムを生み出す原動
能を可能に変える究極の空調、夢の自動制
力であり、そこにプロフェッショナルとし
御を実現していきたいと望んでいます」と
ての真髄を感じました。
「不可能を可能に変える究
極の空調、夢の自動制御
を実現していきたいと望
んでいます」
三井不動産株式会社
ビルディング本部
オフィスマネジメント部
神保町オフィス所長
望月 裕夫氏
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○
2008 Sep/TK1000