単元学習指導案4年

4年
国語科学習指導案
高槻市立如是小学校
西家和代
1.単元名
本と友達になろう
―「白いぼうし」の読み取りから「本の紹介活動」へ―
2.単元について
(1)本単元と年間指導計画との関係
3年(3月)
学習したことを生かして「モチモチの木」
・物語を読んで感想や課題を持ち、一年間の学習を振り返って自分なりの学習課題や
学習方法を考えて取り組むことで、自ら学び、考える力をつける。
4月
本と出会う、友だちと出会う
「三つのお願い」
・叙述に即して、場面の情景や人物の心情を想
像しながら読み取る。
・お話のおもしろさやよさを紹介す
る。
<学級内他者>
「三つのお願い」1冊
7月
本と友達になろう
「白いぼうし」
・情景描写や人物描写に気をつける読み方を知 ・ シリーズの作品群を中心につなが
り、作品をより楽しんで感想を深める。
りのあるお話を紹介する。
・本の探し方を知り、自分で探した本のおもし
ろさの中心を明確にしてブックトーク活動をす
<3年生>
「白いぼうし」+1冊
る。
10月
場面をくらべて読もう
「一つの花」
・場面の様子や人物の気持ちの移り変わりを叙 ・テーマ(平和や愛)について書か
述をもとに想像しながら読む。
れた本をを紹介する。<6年生>
「一つの花」+1冊
2月
学習したことを生かして
「ごんぎつね」
・登場人物の心情や場面についての描写を叙述 ・自分でテーマを見つけ、テーマを
をもとに想像しながら読む。
つないで 本をを紹介する。
<保護者>
「ごんぎつね」+2冊
-1-
<日常の取り組み>
自主起立発言(話す・聞く)・スピーチ(話す・聞く・書く)
今日の学習(書く)・読み聞かせ(聞く)・ 朝読書(読む)
新聞作り(書く・言語)・おすすめ本カード(読む・書く)
小グループ<ペア対話・グループ対話>(話す・聞く)
(2)(教材について)
「白いぼうし」は、あまんきみこ作「車のいろは空のいろ」シリーズの中の一遍であ
る。中心人物である運転手の松井さんが、白いぼうしをつまみあげることをきっかけに、
不思議な世界に迷い込むという、ファンタジーの要素を多く持ち、においや色に関する表
現も豊かな作品である。細部に気をつけて読むと、気づかなかったおもしろさを見つけ、
文章に書かれた言葉に自らの思いを入れ広げたり膨らませたりしながら新しい意味を作っ
ていくことができる。
また、単元名「本と友達になろう」から考えると、作品紹介が楽しく積極的なものにな
り、シリーズ作品のおもしろさに気づき読書生活が広がるように学習を積み重ねていくこ
とができる教材である。
(3)指導にあたって
●(単元展開の工夫)
本単元は、二つの教材、三つの学習活動から成っている。まず、全体で同じ物語を読む。
続いて、自分で探して読む。そして最後は、シリーズの作品群を中心につながりのあるお
話を紹介する。三段階の作業が結び付けられた単元である。
単元前半では、「白いぼうし」を情景描写や人物描写に気をつけて読み取り、作品をより
楽しんで感想を深めることをねらう。
単元後半では、一人一人の子どもが自分で選んだ関連図書に関する「おすすめ本カード」
作りに取り組むことで、習得したそれぞれの技能の活用を図るとともに、自ら本を求め、
読書の幅を広げていき、3年生に「あまんきみこ作品」を「ブックトーク」という形で本
の紹介活動をすることまでねらう。
●(子どもたちの様子)
4月8日:詩「かがやき」を読み、自分の気持ちを言葉で伝えていくことを大切にして
いくことを話し合った。次に、「つづけてみよう」で1年間日常的に行う学習を伝えた。国
語の教科書の目次を見て、『4年生で身に付けたい力』楽しみな学習3つと選んだ理由・身
に付けたい力を自分の言葉でふり返りをした。
4月9日:『3年生で身についた力』どのような学習方法で身につけたかを自分の言葉で
書いていった。「話す・聞く」工夫・「書く」工夫・「読む」工夫などを出し合って、「物語
文を読む工夫」を見つけ出し、最初の教材「三つのお願い」の学習に生かしていった。学
習後、自分たちでさらに付け足して、新しい「物語文を読む工夫」を生み出していった。
その後、同じような形で、
「説明文を読む工夫」も見つけ出し学習に生かしていっている。
-2-
また、単元が終わるごとに、
『<教材名>の学習でどんな言葉の力を身につけましたか。』
「これから身につけたい力はどんな力ですか?」について、自分の言葉で振り返り、友だ
ちからコメントをもらい、「着けたい言葉の力」を常に意識して学習に取り組むようにして
いる。
また、日常的な取り組みとして、自主起立発言(話す・聞く)では、友だちの話を聞い
てそれにつなげる内容で発言していくことをめざして取り組んでいる。スピーチ(話す・
聞く・書く)では、朝の会、終わりの会で5W1Hを意識して、原稿を見ないで行うよう
にしている。今日の学習(書く)では、毎日の学習2コマ分の内容を「分かったこと・分
からなかっとこと」を理由を付けてまとめて書いている。読み聞かせ(聞く)は、週1回
の保護者、担任、クラスの児童、図書委員会の児童が不定期に行っている。特に、子ども
たち自身の読み聞かせはお互いに興味をもち楽しんでいる。 朝読書(読む)は毎朝10分
程度の時間を取って行っている。新聞作り(書く・言語)は、学習、行事等の振り返りと
して取り入れ始めている。おすすめ本カード(読む・書く)は、週1回の図書の時間に見
つけたおすすめの本をカードに書いて紹介し合い、掲示している。小グループ<ペア対話
・グループ対話>(話す・聞く)は、全ての授業の中で、「相談・アドバイス」という形で
行っている。
3.単元の指導目標
○言葉に着目しながら、場面の様子を想像したり、登場人物の行動や様子を想像して読み、
ファンタジー作品のお話のしかけを考えたりする。
○学んだことを活用し自分のおすすめの本を紹介し合い、図書館を利用して、シリーズに
なっている作品を中心に、読みたい本を探して読むことができる。
○3年生が読みたくなるようなブックトーク原稿を作るために、必要な事柄を選び、紹介
したい部分とその理由をはっきりさせて書くことができる。
国語への関心・意欲・態度
叙述に着目して、物語を楽しみながら読み、いろ
いろな本を読もうとしている。
書く能力
「ブックトーク」原稿を作るために、必要な事柄
を集め、紹介したい部分とその理由をはっきりさ
せて書いている。
読む能力
情景や登場人物の様子を、叙述をもとに想像しな
がら読み、自分の感想を持っている。
本の探し方が分かり、いろいろな読み物から興味
のある本を探して読むことが出来る。
-3-
4.学習指導要領との関連
読む
(3)
書く
目的に応じ,内容の中心をとらえ ( 2)
相手や目的に応じ,調べたこと
目
たり段落相互の関係を考えたりしながら読 などが伝わるように,段落相互の関係な
標
む能力を身に付けさせるとともに,幅広く どに注意して文章を書く能力を身に付け
読書しようとする態度を育てる。
させるとともに,工夫をしながら書こう
とする態度を育てる。
【読むことの言語活動】
(2)エ
紹介したい本を取り上げて説明すること。
【読むことの指導事項】
(1)ウ
場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性
格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して
内
読むこと。
容
(1)オ
文章を読んで考えたことを発表し合い,一人一人
の感じ方について違いのあることに気付くこと。
【書くことの指導事項】
(1)ウ
書こうとすることの中心を明確にし,
目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこ
と。
※カ目的に応じた読書に関する指導事項
読書の範囲を広げるために,学校図書館などの施設の利用方法を学び,図書を紹介するブ
ックトークなどの活動や読書案内,新刊紹介などを積極的に利用する態度を養うことが必
要になる。<「学習指導要領(国語)解説」80頁より)>
※エ紹介したい本を取り上げて説明する言語活動
相手が知らない本や,自分が読んで紹介したいと思う本を取り上げて紹介する言語
活動である。「相手が知らない本や,自分が読んで紹介したいと思う本を取り上げて紹介す
る言語活動である。」<「学習指導要領(国語)解説」81頁より)>
-4-
5.単元学習指導計画と評価計画
「白いぼうし」の読み取りから「本の紹介活動」へ
(全6時間)+
過 配
学習内容
課外時間
関 書 読 学習指導要領の指導事項
程 時
評価方法
および言語活動例との関係
<簡易ブックトークにむけて>
「白いぼうし」を読み、登場 ○ ○ ◎ ・現実と非現実が登場するお 発言・観察
1 するもののつながりを読み取
もしろさをもつファンタジー 行動・観察
・ る。
の特徴に気づきながら、登場 「個人」
2
するもののつながりを考えな「ペア交流」
・通読
がら、物語の内容を大きく読「全体交流」
本 ・登場するもののつながり、
み取ることができる。
時
≪C読むこと指導事項ウ≫
あらすじの確認
ノート
→ひみつ・不思議見つけ
習
得
<簡易ブックトークにむけて>
「白いぼうし」の叙述に着目 ○ ○ ◎ ・「 白いぼうし」に登場する 発言・観察
しながら読み取る。
人物の人柄や心のつながり< ノート
松井さんといなかのおふくろ 「個人」
3 ・登場するもののひみつ見つ
・元気そうな男の子とエプロ「ペア対話」
け (気持ち・行動・人柄)
ンを着けたままのお母さん・「全体交流」
→松井さんはどんな人?
おかっぱのかわいい女の子と
ちょうちょたち>、情景のお
4 ・出来事の不思議見つけ
もしろさを叙述を基に想像し
→白いぼうしのひみつ
ながら読み、不思議な世界の
出入り口や現実の世界にはあ
5 ・人物の心のつながり見つけ
って、不思議な世界にはない
→本文の表現を使いながら
ものなど、お話のしくみを読
自分の言葉でまとめよう
み取る。
≪C読むこと言語活動ア≫
≪C読むこと指導事項ウ≫
<簡易ブックトーク>
6 「白いぼうし」の学習をふり ○ ○ ◎ ・ファンタジー作品のおもし 発言・観察
返り、物語のおもしろさはど
ろさを紹介するために必要な ワークシー
こにあるのかを自分の言葉で
事柄を理解する。
まとめる。
≪C読むこと指導事項オ≫
→おうちの人にこの物語の
「ひみつ」を伝えよう。
-5-
ト
<ブックトークに向けて>
7 ・シリーズの作品群を中心に
◎ ◎ 自分で読み、また、友だちの 行動・観察
月 つながりのあるお話を読み、
「おすすめの本カード」を読 おすすめの
「おすすめの本」カードを書
む中で、シリーズ作品への興 本カード
き、紹介する。
味を広げ、読みたい本を探し
活
・カードを互いに読み合い、
て読むことができる。
用
読んでみたい本を決める。
≪C読むこと言語活動オ≫
≪C読むこと指導事項カ≫
<ブックトークに向けて>
夏 あまんきみこ作品を読み、ブ
◎ ◎ これまでの学習を生かして紹 行動・観察
休 ックトーク原稿の下書きを書
介する作品を決め、書こうと ブックトー
み く。
することの中心を明確にして ク原稿
理由や事例を挙げて書く。
≪C書くこと指導事項ウ≫
<ブックトーク>
探 9 3年生に向けてブックトーク
◎ ◎ 紹介したい本を取り上げて説 行動・観察
究 月 を行う。
明する。
ブックトー
≪C読むこと言語活動エ≫
ク原稿
7.本時の展開
(1)本時の目標
・ファンタジーの世界に興味をもち、叙述を基に想像を膨らませながら読むこ
とができる。
<C
読むこと指導事項
ウ>
・物語の内容を叙述にそって読み取り、根拠を明らかにしながら登場するもの
のつながりを考えることができる。
<C
読むこと指導事項
オ>
(2)学習の展開
学習活動
指導上の留意点
評価規準の具体
1.学習のめあてをつかむ。 ・作者が仕掛けたひ
評価方法
行動・観察
みつをお話の展開
お話のふしぎ・ひみつ
や言葉を根拠にし
を探ろう
て、見つけていく
ことを伝える。
2.「白いぼうし」を読む。
・書いてあることを基 行動・観察
にして、作品のひみ
つや不思議に気をつ
けて読むことができ
る。
-6-
3.登場するものを見つけ ・叙述を確かめなが ・物語の設定(時・場 行動・観察
出し、あらすじを確認
ら根拠となる言葉
所)や登場人物、物 発言・観察
する。
にサイドラインを
語の展開や順序につ ノート
引き、書き抜かせ
いて考えることがで 「ペア交流」
る。
きる。
「全体交流」
・中心人物とその他
の登場するものの
関係を線でつなが
せる。
個への手だて
「いつ」「どこで」「何があった」お話か、対話しな
がら根拠となる言葉にサイドラインを引かせ、大事
な言葉や文を書き抜かせる。
4.登場するものの関係を ・線でつないだつな ・叙述にそって登場す 発言・観察
考え、自分が好きなつ
がりの意味を考え
るもののつながりを ノート
ながりや気になるつな
させながら、叙述
考え、ひみつや不思 「ペア交流」
がりを見つけ交流する。
を基にして書かせ
議に気づくことがで 「全体交流」
伝え合わせる。
きる。
5.単元名をもとに、ブッ
・
「白いぼうし」があ ・「 登場するもののひ 行動・観察
クトーク活動へつなぐ見
まんきみこ作『車
みつ見つけ 」「出来
通しを持つ。
のいろは空のいろ』
事の不思議見つけ」
シリーズの中の1
「人物の心のつなが
3年生に、
「白いぼうし」
作品であることを
り見つけ」などを意
から見つけた本のおも
伝える。
識して、ファンタジ
しろさやよさをシリー
ー作品のおもしろさ
ズ作品 と一緒に紹介し
を紹介することを意
よう 。
識することができ
る。
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