おはようございます。 人には忘れられない場面、言葉というものがあると

おはようございます。
人には忘れられない場面、言葉というものがあると思います。あなた方も 13 年間、14
年間、15 年間の中であることでしょう。
今日の朝会で、私もこれまでの中でいくつかある忘れられない場面、忘れられない言葉か
ら一つお話をしようと思います。
それは、5年前のことで、市内の中学校で教頭先生として勤務していた時のことであり
ます。いくつかある教頭の仕事の一つに環境放射線量を測定するという仕事がありますが、
夏休みのある日、私は、グラウンドで環境放射線量を測定していました。そこを陸上部の
中距離の集団、男女合わせて 10 数名がトラックを走っていました。
私は、何週目からか「がんばれ」
「ファイト」と声をかけました。陸上部が近づいてくる足
音や苦しそうな息づかいが聞こえるわけですから、思わず言わずにはいられませんでした。
そして、その「がんばれ」
「ファイト」という言葉に偽りはありませんでした。そんなこと
を何週かしているところで、陸上部のその集団から、声があがりました。
それは、
「苦しいですが、みなさん、がんばりましょう」という言葉でした。あとで、顧問
の先生に聞きましたら、その声は、中距離のリーダーだったということでした。
私は、その「苦しいですが、みなさん、がんばりましょう」という声を聞いた時、あな
た方の表現でいえば、
「ガーン」としました。
「ガーン」となった理由はいくつかあります。まず、丁寧な言葉遣いに驚きました。そ
して、次に浮かんだのは、
「そういっているあなた自身も苦しいでしょう」「そんな声かけ
をする余裕はないでしょう」と思いました。そして、苦しくない、辛くない私が言ってい
る「がんばれ」が私自身、軽く、恥ずかしいものになりました。
一緒に走っているから、一緒に苦しいから、その人から出る言葉は、重いですね。
そのあと、私は「がんばれ」とは言えなくなりました。
そして、何週か走っているその背中を見ながら、大変うらやましく思いました。辛さを共
有する仲間が居るということ。そして、大人になった時に今日のこの日の苦しさやリーダ
ーの声かけが、良い思い出となるということ。そんなことを考えましたら、本当にうらや
ましかったです。
3 年生は、今まさに、お正月を返上し、夜遅くまで頑張っているわけです。陸上部でいえ
ば、何週も走り続け、とっても苦しい、辛い状態でしょう。でも、それは今、みんなが持
っている辛さであります。一人ではありません。
そして、あなた方の中には、進路が決まり、少し気持ちが楽になった人もいると聞いてい
ます。ぜひその人たちは、まだまだ頑張っている、みんなを応援してほしいです。クラス
の、学年のみんなが終えるまで、みんなで応援していきましょう。
その辛さ、苦しさをわかちあっている人たちだからこそ、よくわかる、そして、
「がんばれ」
と言えるのだと思います。これまでの 3 年間で培ってきた仲間と共に、励ましあって、ほ
しいと思います。それが、これまでやってきた「仲間」であるわけです。
1 年生・2 年生も、3 年生ほど高い山、壁ではないかもしれませんが。それは、大きさで
はなく、高さではなく、今が、おもしろくないとか、辛いとか、苦しいという人がいるで
しょう。でも、そう思うのはあなた一人ではありません。これまで一緒に一年間、二年間
やってきた仲間がいるわけですから、励ましあってやっていってください。
応援しています。
終わります。