シラバスにみる社会学知の変遷 ――分野別開講状況

那須壽編『知の構造変動に関する理論的・実証的研究』
2007-2009年度科学研究費補助金(基盤B)研究成果報告書、11-32
※校正前原稿です。
シラバスにみる社会学知の変遷
――分野別開講状況と科目名の動向――
木村
1
正人
課題と方法
本稿は、シラバス(講義要綱)資料に掲載されている開講科目名を手がかりに、日本の
主要大学における社会学関連科目の開講状況を通時的に概観し、分野ごとの傾向を特定す
ることを目的としている。今回調査対象としたのは、入手することのできた全国 25 大学
(国公立 11、私立 14)の社会学系学部・学科のシラバスに掲載されている専門科目 70,437
科目の情報である(表 1)。
表1
大学名
北海道大学
データベース内訳
学部学科(旧称等)
入力科目数
行動科学科社会行動学専攻科目(文学部哲学科社会学
946
専攻)
東北大学
人文社会学科社会文化学科社会学専修(文学科および
969
哲学科社会学専修)
筑波大学(東京教育大学)
社会・国際学群 社会学類(文学部社会学科)
1,377
千葉大学
文学部行動科学科
430
東京大学
文学部第四類社会学専修
1,035
一橋大学
社会学部
729
首都大学東京(東京都立大学) 人文学部社会学科(都市教養学部社会学コース)
757
名古屋大学
文学部環境・行動学コース社会学専攻
465
京都大学
文学部行動・環境文化学系社会学専修(哲学科社会学
688
専攻、文化行動学科社会学専攻)
大阪大学
人間科学部人間科学科(文学部哲学科)
2,470
九州大学
文学部社会学専攻・地域福祉社会学専攻・比較社会分
682
析専攻
慶應義塾大学
文学部人間関係学科社会学専攻
2,414
上智大学
文学部社会学科(総合人間科学部社会学科)
1,557
成蹊大学
文学部現代社会学科(文化学科)
1,503
中央大学
文学部人文社会学科
1,434
東洋大学
社会学部
4,211
日本大学
文理学部社会学科
2,738
法政大学
社会学部
18,975
明治学院大学
社会学部社会学科
2,663
立教大学
社会学部
3,340
早稲田大学
第一文学部社会学専修
1,229
関西大学
社会学部
4,400
同志社大学
社会学科社会学専攻
2,976
関西学院大学
社会学部
8,040
立命館大学
産業社会学部
4,409
総計
70,437
一般教養科目として開講されている社会学関連科目は、今回の分析からは除外した。こ
れらの大学は、いずれも長期にわたって社会学系の学部学科を有し、社会学を専門とする
教員が複数名在籍する大学であることに留意する必要がある。
分析は主として紙媒体のシラバスに含まれる情報をデータベース化したうえで行った。
データベースは、大学・学部・学科名、年度、系列種別、科目名、副題、単位数、担当教
員氏名、学期、配当年次、講義内容、授業計画、教科書、参考文献、評価方法、備考、関
連 URL 等、シラバス資料が含む諸項目を科目ごとに整理し、年度順に並べたものである。
資料を入手できなかった一部年度を除き、1965 年度から 2006 年度までの科目情報を入力
してあるが、ここでの必要に応じて、単位数以下の項目の入力を省いた箇所もある1。
ここでは、大量のデータを腑分けして社会学知の大まかな動向をたどっていくための手
立てとして、シラバスに記載されている科目名および副題に着目し、そこに含まれるキー
ワードに基づいて、開講科目を別表の通り分類した(表 2-1、2-2)。下位分類を含めると
53 のカテゴリーに分かれているが、網羅的な分類ではない。副題がなく分野を特定しにく
い科目や理論・概論系の科目などを中心に、いずれの分類にも含まれていない科目が
19,626 件ある。他方で、「メディア」分野と「経営」分野に同時に属する「新聞経営論」
のように、複数の分類に同時に属する科目があり、分類後の科目ののべ数は 69,588 件と
なっている。
分類名称はあくまでも、特定のキーワードを科目名ないし副題に含む科目集合につけら
れた便宜的なラベルとして理解する必要がある。キーワードは科目名および副題に実際に
含まれる語句を分類しながら作成したものであり、その選定と整理には恣意性があるが、
キーワードを含む科目はすべて抽出しているので、その点で一貫性を保持している。もち
ろん科目名からのみでは実際の講義内容を正確に特定することはできないし、各大学によ
って科目名の設定の仕方は異なる。また科目分類が実際に社会学のなかで受容されている
主題領域を反映するようキーワードの設定には最善を尽くしたが、関連性の低い科目が例
外的にではあるが混入している場合があり、それらは大学ごとに科目名と諸科目の継承関
係を追跡しながら分析を行うことで対処した。制約はあるものの、こうした方法は大量の
雑多な科目群を概観するための第一歩としては有用であり、とりわけ課題索出的な観点か
らはそれなりの意義が見出せると考える。
1
欠本のある大学(年度)は以下の通り。一橋大(2003~2005)、京都大(1989)、九州
大(2005~2006)
、首都大(1966、1968)
、千葉大(1965~1984、2006)
、東京大(1969)、
名古屋(1975)
、関西大(1965~1967)
、上智大(1965)
、早稲田大(2006)
、東洋大(1965、
2006)、日本大(2006)、明治学院大(1969)、立教大(1971、2006)、立命館大(1965
~1980、1983~1988、2006)。
法
政治
宗教
民族
人類
文化
国際
11
12
13
14
15
16
9
10
5
6
7
8
4.1 農村・村落
4.2 都市
4.3 地域社会学
経済
5.1 経済社会学
5.2 階層
5.3 消費
5.4 人口
産業
組織
労働
8.1 労働問題
8.2 労使関係論
8.3 雇用・職業論
経営
調査
統計・数理
地域
2
3
4
No. 分野
1
学史
宗教、キリスト、巡礼、仏教、イスラム教、カルト、呪術、神話、信仰、教団、基督教、伝説
民族、人種、エスニック、エスニシティ、ナショナリズム
人類、民俗、社会誌、自然誌
文化、カルチャー、カルチュア、カルチュラル、文明、流行
国際(国際法除く)、関係史、グローバル、グローバリゼーション、世界社会、普及学、International、異
文化、その他下位分類16.2、16.3のキーワードすべて
法社会、law、Law、法と制度、民法、憲法、商法、行政法、刑事法、司法、比較法、裁判、法学、法と道徳、私法、判決、家族法、判例、
財産法、法律、と法、法制、法解釈、法典、訴訟、律法、法と社会、債権法、会社法、手形法、(法)、法と社会、社会法、法による正
義、自然法理論
政治、運動、生活協同組合、生活クラブ生協、NPO、政策、自治、世論、国家、反ユダヤ主義、階級、エリート、minority、官僚、投票行
動、ファシズム、ホロコースト、支配の正当化、行政、Democracy、Social Movements、人権、公共事業、ユダヤ人問題、リーダーシッ
プ、社会主義、イデオロギー、民主主義、市民権、プライバシー、社会体制、選挙、フランス革命、ポリス社会、平等、ポリティックス、
公共圏、Citizen、ポストコロニアル、テクノクラシー、社会計画、住民、コミューン、万博、財政、NPO、ボランティア活動、社会工
学、国民所得、比較体制、第三世界、南北問題、公正、Policy、市民参加、参加、ガバナンス、フィランソロピィ、ボランティア、ガヴァ
ナンス、アソシエーション、公共、P.R.、PR、PR、パブリックリレーション、パブリック・リレーション、表現の自由論、市民社会、統
治、ガヴァナンス、公共システム、政党、新党、デモクラシー、日欧交渉史
マーケティング、広告、PR、P.R.、PR、パブリックリレーション、パブリック・リレーション、労使、労務、人事管理、サービス、財務
管理、会計、簿記、流通、経営、会計、監査、マーケティング、マーケテイング、ブランディング、雇用、労資、ファイナンス、マネージ
メント、マネジメント、人的資源、ビジネス、賃金、企業、アカウンティング、起業、F&B事業論
経済社会学、経済と社会
階層、階級、成層と移動、社会成層、中間層、社会移動
消費
人口
産業、農業、商業、工業、農民、インダストリー、Industrial、Industry
組合、組織、企業
労働、雇用、労資、キャリア、労使、賃金、職業(職業指導除く)、仕事、職場、過労死
労働問題
労使
仕事、職場、職業、キャリア
経済、階層、消費、人口、農業史、工業史、金融、成層と移動、成層論、社会的移動論、開発、貨幣、貿易、期待効用、資本、Economic、
社会移動、階級、財政、市場、国民所得、南北問題、中間層、社会成層
村、農業、むら、集落、農民
都市、郊外、人間生態学
地域、リージョン、沖縄、東京
村、都市、地域、都市、農業、リージョン、むら、集落、地方、農民、住民、都南、まちづくり、町づくり、町内会、郊
外、東京、沖縄、人間生態学
623
287
727
3,824
3,378
5,237
1,416
(48)
(215)
(111)
(247)
2,328
1,343
1,522
(173)
(135)
(281)
2,326
(551)
(1,410)
(2,171)
4,047
3,563
2,179
4,182
統計、データ、情報処理、数理、社会工学、数学、計量、計璽社会学、多変量解析
調査、フィールドリサーチ、フィールドワーク、フィールド・ワーク、経験社会学
該当科目数
2,024
キーワード
社会学史、思想史、学説、文献研究、ドイツ社会学、フランス社会学、社会学成立史、社会科学の名著、社会学方法史、社会学の形成と発
展、古典研究、社会学名著研究、20世紀社会学
表2-1 分野・キーワード一覧
表2-2 分野・キーワード一覧
心理
group、集団、コミュニティ、ネットワーク型社会、社会関係、共同体、グループ、流行、ネットワーク社会
集団
大衆、群集、公衆、マスカルチャー、群衆、流行
大衆
コミュニケーション、対人影響、言語社会学、人間関係、相互行動論、社会的影響、人間結合
コミュニケーション
出版、情報法、放送、新聞、広報、ジャーナリズム、メディア、マスコミ、マス・コミ、テレビ、映像、時事解説、ジャ一ナリズム、ルポ
メディア
ルタージュ、パブリックアクセス、パブリックリレーションズ、ニュース、取材、報道、流行、PR、PR、P.R.、パブリック・リレーショ
23
24
25
26
27
28
29
30
31
芸術
総計
青年
家族
生活
教育
21
22
37
医療
性
20
情報
地理
交通
体育
外国語
福祉
18
19
32
33
34
35
36
17.1 社会史
17.2 歴史社会学
17.3 社会変動論
環境
病理
音楽、芸術、美、映画、芸能、演劇、アート、絵画、演出、文芸、詩歌、昔話、ドラマ論
外書、外国語、英語、独語、ドイツ語、フランス語、仏語、中国語、英書、独書、仏書、スペイン語、ロシア語、露語、ハングル、
English、中国籍、ドイツ書、外国文献、専門語学、洋書、英文講読、欧米諸講読、外国諸講読、〔その他講読系科目で、科目名・副題が
地理、地誌、地学、地誌学、風景研究
交通
スポーツ、体育
情報、コンピュータ、ネットワーク、電算機、電子社会、電子計算機、プログラミング、プログラミング
ン
教育、子ども、学校、学び、職業指導、生涯学習、こども、人間発達、大学、特別活動論、進路指導、学習、生徒、特別活動、キャリア、
社会化
心理、行動科学、認知、精神測定法、集合、社会行動、グループダイナミクス、精神分析、小集団、発達科学、小集団、精神病、グルー
プ・ダイナミックス、精神科リハビリテーション学、精神分折、人格発達
青年、青少年、子ども、こども
家族、親族、家父長制、イエ・ムラ、世代論、《家》制度、家連合、族制、末子相続
ライフ、風俗、生活
性差、「性」、性役割、性現象、性と年齢、性・年齢、生殖、ジェンダー、フェミニズム、セクシュアリティ、男性、女、家父長、母、
父、セクシャリティ
医学、医療、精神保健、保健社会学、ハンセン病、患者、病、健康、医史、Illness
病、Illness、社会問題、社会の問題、社会の諸問題、犯罪、刑事社会学、少年問題、差別、疎外、アノミー、逸脱、社会解体論、社会の
ひずみ、部落、自殺
福祉、社会事業、社会保障、医療、少子化、高齢化、老年、ケースワーク、ケース・ワーク、衛生、保育、公的扶助、介護、コミュニ
ティ・オーガニゼーション、コミュニティ・ワーク、カウンセリング、成熟社会、グループ・ワーク、精神保健、施設管理論、病院管理
論、健康管理論、共生社会論、少子、高齢、手話、ケア、支援、救貧、老齢、ソーシャルワーク、リハビリテーション、発達保障、障害、
ソーシャルサポート、援助
社会史
歴史社会学
変動
環境、災害、エコロジー、万博、風景研究、リサイクル
歴史
東欧、アジア、アフリカ学、東南アジア、中東、イスラム社会、イスラム世界、国際比較、日本事情、エリアスタディ、比較体制、第三世
界、南北問題、日本の社会、Japan、アメリカ、ソ連、ソビエト、日本人、日本社会、United States、東南アジア、中国人、アフリカ研
究、ポーランド、香港、PhillippineSociety、朝鮮社会、欧米社会、発展途上社会、カナダ社会
歴史、社会史、現代史、近代社会、歴史、社会史、変動、戦後、フランス革命、近代史、ローマ史、記憶、国史、東洋史、西洋史、日本
史、図書館史、自然史、メディア史、産業発達史、商業史、倫理史、医史、アジア史、ジャーナリズム史、経済史、社会心理史、新聞史、
発達史、文化史、技術史、教育史、技術史、生活史、宗教史、政治史、経済史、教育史、工業史、産業史、外交史、農業史、法制史、関係
史、文化史、事業史、コミュニケーション史、制度史、広告史、発達史、新聞史、交流史、運動史、地域史、マスコミ史、世界史
国際社会学、International Sociology
比較社会、比較文化
キーワード
17
No. 分野
16.1 国際社会学
16.2 比較社会
16.3 地域研究
331
69,588
2,431
510
15
291
3,379
925
131
2,413
3,979
2,985
63
1,087
708
1,882
861
280
3,369
(328)
(100)
(195)
1,494
1,195
2,253
(130)
(600)
(1,069)
該当科目数
2
開講状況の概観
まず、全体の開講数の推移を国公立・私立大別に確認してみよう(図 1)。とりわけ私立
大において 90 年代半ば以降の開講数の増加が顕著である。ただし、シラバスに掲載され
ている科目の数は、純粋な設置科目の増減のみならず、同一科目に対して開講されるクラ
スの数やセメスター制の導入などによって大きく影響を受ける2。これらは科目情報の記載
欄の形式によっては判別が難しく、そもそも開講学期や単位数に関する情報が資料に掲載
されていない場合もある。それゆえここでは、開講科目のグロスの件数には拘泥せず、あ
る分類に属する科目が、各大学に当該年度設置されているかどうかに注目していくことに
する。
件数ベースでみると、どの分野においても一様に 90 年代に件数が増加するが、調査
対象大学中、当該分野の科目の設置実績がある大学がどの程度の割合で存在するか(以下、
これを「開講率」とする)を調べると、分類ごとの動向がみやすくなる。そこで、この分
野ごとの開講率の推移を手がかりに、大雑把な分類ではあるが、開講率の増減幅が少ない
「安定型」、長期的にみて開講率が減っていく「減少型」、逆に開講率が増える「増加型」、
また、近年新たに開講されるようになった「新設型」、一時期において減少した後ある時期
から再び開講数が増える「復活型」に区別して、各分野の動向をみていきたい。増減が規
則的ではなく、これらに分類できなかったものもある。その他、「単発型」「散発型」など
の分野もありうるだろうが、今回設定した分類項目は、いずれもそこに属する科目が一定
数見出されたものに限られるので、そうした分野はここでの考察の埒外にある。
3,500
3,000
私立
2,500
国公立
2,000
1,500
1,000
500
図1
2
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0
開講科目(件数)の推移
たとえば、2001~2002 年度の約 400 件の増分と、2005~2006 年度の約 200~300 件の
増分は、それぞれ立命館大と同志社大の科目情報の記載様式が変化したことによる影響が
大きい。
3.
分野別開講状況の分析
3.1
安定型:社会学教育の常連分野
隔年開講を含む「安定型」を代表するのは、
「調査」および「地域」分野である。これら
の分野は、1965 年度から 2006 年度にいたる開講率の平均が 8 割を超えており、いずれの
、、
年度の開講率も 7 割を下ることがない(図 2)。キーワードを科目名ないし副題に含むもの
を抽出する論理和検索を用いた分類であるという方法上の理由から、
「地域」分野にはいわ
ゆる地域社会学には属さない科目(地域自治、住民運動論など)も含まれており、この点
に関して一定の留保が必要ではあるが、「調査」分野に分類された科目群については、40
年間 25 大学を通じての開講率が 90.6%(小数点第 2 位を四捨五入、以下同じ)とたいへ
んに高い。
「地域」分野の開講率もそれに続いて高く、88.3%の開講実績であった。これら
二つの分野が、今回調査対象となっている社会学関連学部・学科の中核科目群を形成して
いるとみてよいだろう。
図2 「安定型」分野の開講率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
調査
図2
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
地域
学史
心理
「安定型」分野の開講率
表3 平均開講率ランキング
分類
調査
地域
政治
学史
文化
家族
心理
都市
現代
国際
統計
コミュニケーション
メディア
病理
産業
経済
教育
平均開講率
90.6%
88.3%
68.7%
68.5%
66.9%
64.9%
62.8%
62.4%
62.0%
60.4%
58.8%
57.8%
57.1%
57.0%
54.8%
53.2%
50.6%
*小数点以下第2位を四捨五入
1965 年度から 2006 年度までの開講率の増減
幅が少ないものを安定型とすれば、この型に分
類できるのは、上記のほか、
「学史」
「心理」
「統
計」
「メディア」
「産業」
「経済」
「人類学」
「外国
語」分野、それに「地域」分野のうちの「都市」
分野などである。
他方、平均開講率の高さという点からすれば
(表 3)、「調査」「地域」分野に続くのは、「政
治」
(68.7%)、
「学史」
(68.5%)、
「文化」
(66.9%)、
「家族」(64.9%)、「心理」(62.8%)、「国際」
(60.4%)、
「統計」
(58.8%)、
「コミュニケーシ
ョン」
(57.8%)、
「病理」
(57.0%)、
「メディア」
(57.1%)、
「産業」
(54.8%)、
「経済」
(53.2%)、
「教育」(50.6%)の諸分野であるが、これらのうち、「政治」「文化」「コミュニケーショ
ン」「病理」「教育」分野については、近年に至るほど開講率が上昇する傾向にあるので、
増加型に属すると考えるのが妥当であろう。
加えて、「安定型」に属する分野は大学によってかなり違いがあり、それらが自覚の有
無にかかわらず、各大学における社会学教育の独自性と「伝統」を形成しているように思
われる。いくつか例を挙げると、慶應義塾大の「都市社会学」「社会心理」、上智大の「教
育社会学」「産業社会学」「宗教社会学」および「小集団論」、首都大の「都市社会学」、成
蹊大の「文化社会学」「地域社会学」および「社会病理学」、中央大の「集団社会学(社会
集団論)」、明治学院大の「農村社会学」「犯罪社会学」「産業社会学」「家族社会学」「教育
社会学」
「社会心理学」
「広報学」、立教大の「地域社会学」および「マス・コミュニケーシ
ョン論」などが、長期にわたって継続的に開講されている。
3.2
減少型:農村社会学と人口論
「減少型」に数えられる分野は少ないが、地域社会学の下
表4 「農村・村落」分野
位分類である「農村・村落」分野、また「経済」分野の下位
の開講率(年代別)
に配した「人口」分野などがこれにあてはまる。
60年代
70年代
80年代
90年代
00年代
前者については、関西学院(村落社会学 1965~2006)、筑
波大学(村落社会学 1979~2005)、法政大学(農業政策、農
村問題、農業論など)のように、最近に至るまで長期にわた
り継続的に農村分野の科目を開講している大学もあるが、全
53.8%
46.5%
39.6%
31.6%
22.9%
体の傾向としては、1960 年代の開講率が 53.8%、70 年代が 46.5%、80 年代が 39.6%、
90 年代が 31.6%、2000 年代が 22.9%と着実に減少傾向にあると言える(表 4 および図 3)。
60%
50%
40%
農村
人口
30%
20%
10%
図3
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0%
「減少型」分野の開講率
慶應義塾大の「農村社会学」(1965~71)、北海道大の「農村社会学」(1967~77)、関
西大の「村落社会学」
(1969~90)、立教大学の「農村社会学」
(1975~93)などは、一定
期間継続的に開講されていた中核科目でありながら、ある時期から開講をやめている。上
智大、首都大(都立大)、早稲田大では 60~70 年代に単発的・散発的に開講されたが、70
年代前半までに開講されなくなっている。このほか、70 年代から継続開講してきた「村落
社会学」の講義を 91 年度をもって終了する一方、1993~2001 年度には農漁村の調査実習
を継続的に開講していた東洋大の例、94 年度にはじめて「都市・農村計画論」
(のちに「農
村環境計画論」)を開講している立命館大の例はあるが、これらはむしろ例外といってよい
3。農村社会学は都市社会学とならび地域分野の双璧をなしてきたが、近年は独立した科目
としては存続しておらず、大学によっては、単独もしくは「都市社会学」等と合併して、
「地域社会学」などの科目に引き継がれているケースもあった。
「人口」分野は「農村・村落」分野に比べれば、開講率の減少傾向はそれほど顕著では
ないが、60~70 年代の開講率が 26.4%であるのに比して、80、90、00 年代はそれぞれ 20.7、
20.8、16.1%となっており、全体としては減少傾向にある。60~70 年代の平均開講率を押
し上げているのは、75 年度の特異な盛り上がり(45.5%)であり、この年度をむしろ例外
とみなすことも可能ではあるが、この年度以降 87 年度まで、また 93 年度から 03 年度ま
での間に二度の減少期があるので、これらに着目して、ここでは「人口」分野を「減少型」
の事例に含めた。
「人口」分野の科目は、全大学を通じた開講率こそ高くはないが、大学によっては、経
済学部などとの連携において継続的な開講が見受けられた伝統的な科目である。関西学院
大の「人口論」(1965~2006)、一橋大の「人口問題」(1965~96)、東洋大「人口問題」
(1967~91)、上智大の「人口論」
(1973~86)、大阪大の「人口論」
(1975~83)、筑波大
の「人口論」
(1975~83)、立教大「人口論」
(1968~75)などの科目がそれにあたる。た
だし、関西学院大を除き、それらはいずれもある時点から開講されなくなっており、その
ことがこの分野全体の開講率の微減につながっている(図 3)。
他方、「人口」分野に関するより近年の傾向として、80 年代後半以降、やや散発的ない
し単発的ながらも、家族形態の変動との関わりで人口問題について論じていると思われる
諸科目が、いくつかの大学で開講されはじめている事実を指摘することができる。たとえ
ば京都大で「家族・人口・コミュニティの比較社会学」、東洋大で「人口と結婚・家族の社
会学」、慶應義塾大で「家族の歴史人口学」などが開講され、また北海道大では「人口変動」
や「人口移動」といった語を冠した科目が開講されるなど、
「人口」分野には復調の兆しが
見受けられると言ってもよいかもしれない。関西大(「人口学」06)、上智大(「人口社会
学」06)、東京大(「人口変動の社会学」06)など、かつて同一の大学で開講されていたの
と類似の諸科目が、ただしおそらくは直接の継承関係なしに、新たに開講されはじめてい
るのも特徴的である。
注目したいのは、「人口」分野に分類されるこれらの科目群がそれぞれの時代において
取り扱っている実際の主題とそのアプローチの仕方である。これらの諸科目は、科目のタ
イトルや副題からすれば、同じ分野に分類することができるが、
「講義内容」や「授業計画」
2006 年度の開講率が微増しているのは、この年度のシラバス資料の欠本の影響とみられ
る。
3
の記載欄に目を向けるなら、そこで扱われている主題は時代によっていささか異なってい
ることがわかる。
60~70 年代においては、「人口爆発」「途上国と先進国」「労働力問題」などといった主
題が扱われ、典型的には人口増加が問題としてクローズアップされている。1975 年度には、
飛び抜けてこの分野の開講率が高くなっているが、この年は、世界人口の 40 億人突破が
話題になった年である。当該年度のシラバスにも「世界人口の危機」
「人類の危機」などの
文言が散見され、この時代の「人口問題」の性格が如実に表れている。
他方、80 年代後半以降に多く取上げられているのは、
「晩婚化」
「非婚化」
「少子化」
「高
齢化」等、すなわち主として「人口減少」の問題である。「人口」を主題化する視点も、
60~70 年代にあっては、経済・国際問題としての扱いが多かったのに対し、ここでは、そ
うした視点をまったく欠いているわけではないにせよ、
「人口」問題をより家族・福祉の問
題として扱う方向へと変化している(表 5)。70 年代後半、90 年代後半の二度の減少は、
逆に言えば、こうした人口爆発と人口減少に対する一時期の関心の高まりがひと段落した
ものとみることができるだろう。
表5
年度 大学
1973 立教
講義内容
人口問題は今日、開発途上国のみならず、先進諸国においても重大な
経済社会問題の基本的要因となってきた。以上のことは、人口問題が
また地球的規模で考えられなければならなくなってきたことを意味す
る。人口問題を扱う科学は今日人口学と呼ばれている。しかし、その
学問的体系はなお熟化するに至っていない。人口問題の今日の現実的
課題、その経済的、社会的意義をあきらかにしながら、人口学の意義
と特徴、役割について説明する。特に、経済学、社会学との関連をあ
きらかにし、社会科学に新視点を導入することを基本目的としてい
る。
1975 明治学院 人口問題
人口爆発という言葉で表現される世界人口の危機の問題を中心とし
て、先進国と後進国の人口の事情を説明するとともに、日本国内にお
ける人口問題を過去・現在・将来について考える。
1996 日本
人口社会学 長寿・高齢 この講義では,人口学と社会学にかかわる研究領域を日本社会が21世
化社会と人 紀に直面する最重要課題である高齢化社会,長寿社会に焦点をあて
口問題
て,できるだけ平易な解説を試みたいと考えている。
2001 日本
社会人口論 社会と人口 授業のねらい わが国の晩婚化・非婚化・少子化・高齢化等の人口変
動の実態と将来展望を探り,人口変動が大きな社会変動の一環である
ことを明らかにする。また世界的人口急増が環境・経済成長・社会生
活におよぼす深刻な影響を分析し,対応策を検証する。
3.3
科目名
人口論
「人口」分野科目の講義内容(抜粋)
副題
増加型:家族、病理、国際社会学の動向
「増加型」に類するのは、
「政治」
「文化」
「コミュニケーション」
「病理」
「教育」
「家族」
「国際」「福祉」「医療」「宗教」「階層」「交通」「体育」また「地域」分野中の下位分類で
ある「地域社会学」などの諸分野である(図 4)。ここではこれらのうちの代表的な例とし
て、「家族」「病理」「国際」分野にのみ言及する。
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
図4
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
政治
家族
国際
病理
「増加型」分野の開講率
「家族」分野は、関西学院大、関西大、上智大、同志社大、明治学院大、立教大が 60
年代から一貫して「家族社会学(論)」講義を開講してきたのに対し、70 年代に大阪大、
東洋大、成蹊大が同科目を開設、さらに 80 年代に日本大、千葉大、慶應義塾大4、法政大、
立命館大が、90 年代に一橋大が同様の科目を開設している。新設されたのちは長期にわた
って継続して開講され続けることがほとんどであり、これが開講率増加の要因となってい
る。また、北海道大、早稲田大のように、
「家族社会学」というタイトルの科目はないもの
の、「社会学研究」「行動科学」などといった、同一年度に複数開設される科目のなかで、
ある程度継続的に家族を主題化している例もある。
「病理」分野は、分野全体としては増加型に類するが、さらに下位分野に分類すると、
主題分野や方法論ごとのトレンドがみえてくる。代表的なものとして、
「社会病理学」
(「病
理」という語句を含む諸科目)、
「犯罪社会学」
(同「犯罪」)、
「社会問題論」
(同「社会問題」)、
「逸脱論」(同「逸脱」)を取り上げてみよう(図 5)。
60%
50%
社会病理
犯罪
社会問題
逸脱
40%
30%
20%
10%
図5
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0%
「病理」分野の開講率
「病理」分野を代表する科目群は、調査対象期間中ほぼ一貫して「社会病理学」である
慶應義塾大では 1965~1971、1973 年度にも家族分野のキーワードを含む科目の開講が
あるが、これらは親族法に関する法律学科開設の科目であり、区別が必要である。
4
が、90 年代後半以降は減少傾向にあり、2005 年度の時点で、
「社会問題論」に開講率を抜
かれている。これには病理学的視座から、逸脱の社会学や社会問題の構築主義的アプロー
チ等へと力点を移してきた研究水準でのトレンドがある程度反映されているように思われ
る。ただし、「社会問題(論)」という名の科目が 60 年代から一定程度開講されているこ
とから推察できるように、これらの科目は、構築主義が牽引してきたいわゆる「社会問題
の社会学」とは必ずしも同一視できない。むしろそうしたアプローチが、講義内容の記述
の中で明確に取りざたされようになるのは 2000 年代以降のことである。80 年代まではと
りわけ資本主義や産業化、都市化との関連で社会問題に接近する、すなわち病理学的視座
が「社会問題論」においてもやはり主流である。90 年代に入ってようやくアノミー論やシ
カゴ学派のライフヒストリー論などの紹介が「社会問題論」のなかでテーマになっている。
これらの動向をより詳しく特定するには、講義内容を含めたさらなる吟味が必要である
が、概して言えることは、病理分野における社会病理学的アプローチの優勢が、90 年代後
半以降は翳りをみせていること、それと並行するように、社会問題に接近するためのより
多様な視座が、社会学教育の場面でも紹介されるようになっているということ、そうした
方法論の豊饒化が開講率の上昇にも寄与し、この分野全体の発展につながっているようで
あることなどである。
ここで病理分野に含めた犯罪社会学のカテゴリーは、社会の病理にアプローチする方法
というよりは、社会病理のあらわれのひとつである犯罪現象という主題領域に関わるもの
であるから、先に挙げたアプローチの方法に関わる下位分類とは区別してみていく必要が
ある。犯罪や非行といった現象はもちろん、失業などの経済・労働問題、離婚などの家族
問題、その他自殺や貧困問題とともに、社会病理学や社会問題の講義のなかで、しばしば
取り上げられてきた主題のひとつである。実際、犯罪社会学は、
「いわゆる連字符社会学の
なかで、…もっとも古いものの一つ」であり(明治学院大、1973 年度「犯罪社会学」講義
内容より)、上智大、東洋大、明治学院大では 60 年代から「犯罪社会学」講義を長期継続
的に開講している。上智大が 87 年度で開講を止める一方、筑波大が 92 年度から犯罪社会
学講義を継続的に開設しており、犯罪に関する科目群は全体として安定型の部類に入る。
ただし、昨今の社会的な犯罪不安の高まりなどからすれば、犯罪社会学関連の講義は、一
般に予想されるほどには増えていないと言った方がよいのかもしれない。
さて今度は「国際」分野に目を転じてみよう。この分野には、国際、比較文化、異文化
などのほかに、特定国・地域を表す名称をキーワードとして設定したため、雑多な科目群
が 混 交 し て い る 。 日 本 を 含 む 特 定 国 家 ・ 地 域 の 文 化 研 究 等 ( 地 域 研 究 ) は 、「 国 際
trans-/international」科目では本来ないし、比較社会論等にせよ必ずしも国際的な比較を行
っているとは限らない(実際には、国際比較を主眼としている科目がほとんどではあるが)。
とは言え、あえて分類の条件を緩和することでみえてくるものもあった。というのも、こ
の分野においては、新興の国際社会学に先だって、地域研究や比較社会論等がそれぞれ固
有の伝統をもっており、それらを回顧し比較することで、分野全体の発展の経緯をたどる
ことができるからである(図 6)。
60%
50%
国際関係
国際社会学
地域研究
比較社会学
40%
30%
20%
10%
図6
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0%
「国際」分野の開講率
国際社会学は、社会学の中でもごく最近に確立された分野であり、「国際社会学」とい
う語を含む科目が調査対象大学のシラバスに登場するのは、東京大の 1985 年度が最初で
ある。その後、開設順でいうと、筑波大、大阪大、上智大、一橋大、千葉大、同志社大、
京都大、北海道大、東洋大、成蹊大、法政大、名古屋大で「国際社会学」という名称が付
された講義や演習が開かれていることから、この科目は、関東圏から次第に全国に拡がっ
ていったということができる5。
80 年代前半から東京大を中心に開講されている「世界社会論」
(ほかに「世界社会研究」、
「世界社会学」など)も、国際社会学と同じく、グローバリゼーション(世界社会化)等
の国際的な社会現象に焦点をあてた社会学を構想するものであるが、科目名としてみるか
ぎり、さほどの拡がりはみられず、99 年度以降はあまり開講されていない6。
「異文化」というキーワードを含む「異文化コミュニケーション論」「異文化理解論」
などの一群もある。これらは 87 年頃に新設され、以後国際社会学とほぼ同様に、その開
講率は急増しており、「国際社会学」の科目群とともに、80 年代以降の「国際」分野の開
講数を押し上げている。
しかし「国際」という鍵語を含む科目として早くから開設されていたのは、むしろ「国
際関係論」「国際経済論」「国際政治学(論)」などである7。これらは社会学関連学科以外
の学部・学科が開設している科目として提供されているところが多いが、
「国際社会学」の
科目が社会学関連学科の中で独自に新設された場合でも、それが従来の他学部・学科設置
科目に置き換えられることはなく、両者は並行して開設されていることが多いようである。
大阪大では、1995 年度から、おそらくこの時期に行われた講座の新設や学科目再編の影
響で、「国際情報文化学」「国際協力学」「国際文化システム論」「国際理解」など「国際」
1985~1993 年度に、「国際社会学」講義は 5 つの大学で 14 科目開講されているが、そ
れら 14 科目の担当者は、梶田孝道、小倉充夫、駒井洋のいずれかであった。しかし 2000
年以降は担当教員も多様になっている。
6 この他、上智大の国際法社会学(1973~2006)
、慶應義塾大の「普及学」
(1987~2006)
が継続的に開講されているが、これらは特定大学の特色となっているにとどまる。
7 ただし、これらについては社会学関連学部・学科以外の学部・学科による開設科目が多
いことから、必ずしも網羅的にデータベースに入力されているわけではない。
5
を冠した科目名が一挙に増えている。80 年代以降、
「国際化」
「世界社会」
「グローバル化」
などのキーワードが科目タイトル等に目に付くようになるということは、大阪大にとどま
らず、多くの大学に共通してみられる現象である。
「国際」分野のもうひとつの伝統的な系列は、「比較社会学(論)」や「比較文化論」と
いった科目の一群である。早いところでは 60 年代から、多くは 70 年度代に開設され、そ
の後今日に至るまで概して継続的に開講されている(章末付表 1)。
さらに「地域研究(エリアスタディーズ)」は、この分野全体を表すアンブレラターム
が科目名になりにくく、
「現代ソビエト社会論」
「カナダ社会論」
「第三世界論」などの科目
として成立している。これらは、個々の科目としてみれば継続性は低いものの、それらを
まとめた地域研究分野としては継続性が高く、1965~2006 年度の平均開講率は 31.5%で
あった。早い大学では 70 年代後半から関連科目が開設されているが、唯一、日本社会論
の類に限っては 60 年代から継続的に開講している大学があり、他の地域研究とは異質の
感がある。
「比較社会」の分野で開講実績の多い大学と、「地域研究」分野で開講実績の多い大学
とは必ずしも一致しない。たとえば関西大学は、比較社会の分野に関する科目はほとんど
開設していないが、日本文化論に類する科目をかなり長期にわたって継続的に開講してい
る(「日本の社会と文化」1968~97)8。その他、東京大、東北大など比較社会の分野では
あまり開講実績のない大学が、地域研究にわりあい力を入れているようである。また比較
社会に類する科目と地域研究系統の科目をどちらも開講している大学では、後者の開講時
期の方が前者のそれよりも同じか、より遅い傾向がある。日本文化論に限定せず、国内外
地域の研究を単一大学で複数同時にカヴァーするには、一定規模以上の教員や授業数が必
要であると考えられ、その意味でも、「地域研究」分野に関しては、「比較社会」分野につ
いてとはまた異なる分析視角が必要であろう。
「国際」分野の下位分類のうち、
「国際社会学」
「異文化」などの分野は、個別にみれば、
以下で言及する「新設型」に分類することができる。しかしながら、これらと関連する科
目群をあわせて鳥瞰することで、
「国際」分野には、社会学に隣接する社会科学の領域に由
来する「国際関係論」の類、歴史学などとも関連の深い「比較文化」研究や地域研究など
がまずあり、そこに「国際社会学」や「異文化」研究等々の新設科目群が社会学部・学科
独自の科目として累積的に加わっていくことで、社会学の分野としての厚みと彩りを増し
ていった様子がよくわかる。シラバスを横断的に読み解くことによって知りうるこうした
経緯は、社会学教育のみならず社会学という学の発展の歴史をあらわすものとみることも
できるだろう。
8
ただしこの科目は、1999 年に単年度、
「文化社会学」
(副題:日本の社会と文化)に引き
継がれており、文化社会学の系譜との関わりにおいてさらに精査していく必要があろう。
3.4
新設型:社会学知の新領域
次に、
「新設型」の分野としては、調査対象の資料をみる限りでは 1960 年代から科目が
新設されるようになった「民族(エスニシティ)」分野、70 年代新設の「生活」分野(生
活構造、ライフスタイル、ライフコース論等)、「情報」分野(情報処理、情報社会論等)、
「環境」分野、それに「経済」分野の下位に配した「消費」分野(消費心理学、消費文化
論等)、80 年代新設の「性」分野(ジェンダー、女性学、性現象論等)などが挙げられる
(図 7)。いずれの分野も、シラバスに新たに登場するようになったのち、その開講率が長
期的にみて増加傾向にあり、その意味では「増加型」に分類することも可能である。
90%
80%
70%
60%
50%
性
環境
40%
30%
生活
民族
20%
10%
図7
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0%
「新設」型分野の開講率
「環境」分野では、法政大と立教大が先陣を切って 76 年度から、それぞれ「環境論」
「環
境計画論」を開講しており、その後、関西学院大が 86 年から「人間・機械・環境系論」を、
90~91 年度からは大阪大、東京大、東洋大、日本大、立命館大、名古屋大、上智大が一斉
に関連科目を開設している。科目数でいうと法政大が圧倒的に多く、この分野の科目全体
の 6 割弱を同大が提供しているが、他の大学においても新設後の継続性が比較的高く、次
に述べる「性」の分野に比べても、
「環境」分野の 90 年代後半以降における開講率は非常
に高い。
「性」分野の萌芽
80%
70%
期を支えたのは国立
60%
大学であった(図 8)。
80 年代に開講され
50%
国立
私立
40%
30%
20%
ていた関連の 11 講
義のうち 8 つは、東
京大、一橋大、東北
10%
大、大阪大で開講さ
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
0%
れている(ほか 3 科
目は上智大、立命館
図8 「性」分野の開講率
(1980~2006年度)
大での開講)。とはい
え、90 年代以降の私立大学における開講率の上昇は著しく、国公立私立をあわせた分野全
体の開講率は、2005 年度には 65.2%に達している。
90 年代前半までは、女性学(論)、女性問題などの科目名が多いが、その後は「ジェン
ダー」という語を含む科目名が増え、2000 年度以降はそれが大勢になる。上智大、成蹊大、
立命館大ではそれぞれ、「性役割論」「女性学」「現代女性論」から、「ジェンダー」ないし
「ジェンダー論」へと科目名を変えながら、
「性」分野の科目が引き継がれており、ここに、
この分野における科目名の変遷の一つの典型をみることができる。そのほか、80 年代後半
には「社会問題特問」という講義がその副題を「女性問題」として開講されていた例があ
ること(一橋大 1986~88)、90 年代以降には、女性のみならず、男女あるいは男性の問題
へと明確に視点を移した科目名(東洋大「社会調査及び実習
コースジェンダーの壁を乗
り越えた男性たち:男性保育士のライフコース」2004~05 など)が散見されることなど、
興味深い事実が読み取れる。
「民族」分野は、「人種」「民族」「エスニシティ」「ナショナリズム」などの語句を科目
名に含む諸科目からなる。66~68 年度に東洋大で「民族社会学」の講義が、72~77 年度
(73 年度除く)には東北大学で「人種関係の社会理論」等、人種問題に関する講義が開講
されているが、それ以外は散発的である。80 年代は、大阪大の「比較文化論」および「人
類学思想史」がほぼ隔年で民族誌をテーマにしているため、エントリがあるが、全体とし
ては低調であり、ナショナリズム論やエスニシティ論などの講義が複数大学で継続的に開
講されるようになるのは、90 年代に入ってからである(章末付表 2)。
「生活」「ライフ」「風俗」という用語のいずれかを含む科目を、ここでは「生活」分野
とした。この分野に該当する科目は必ずしも多くはないが(1965~2006 年度の平均開講
率は 23.1%)、シラバスに新しく登場する時期をはっきり特定でき、しかも今日に至るま
で概して増加傾向にあるという点では「新設型」科目の典型的な例のひとつである。70 年
度の新設以来、一貫してこの分野の中心となっているのは、複数の大学(とりわけ同志社
大と日本大)で長期継続的に開講されている「生活構造論」の類である9。生活構造論とは
「家族社会学、地域社会学、家庭経済学の分野で展開されてきた研究領域」10であり、
「一
生の中で行う日常行動の総体」
「生きる営み」としての「生活に社会学的に着目し、社会構
造を生きた個人の側から把握する理論と方法」11などとして、シラバスの中で紹介されて
いる。
80 年代半ば以降は、この生活構造論に加えて、「生活様式(ライフスタイル)論」、「生
活史」、「生活文化論」「ライフコース論」「ライフサイクル論」「生活空間論」「ライフデザ
イン論」などの新たな科目群が付け加わっていく。「生活史」という術語は、90 年代以降
は「ライフヒストリー」と表記されることが多くなっている。
これらの多様な諸科目を社会学の一「分野」として特定することには議論の余地がある
9「生活」分野はさらに、ここでは除外した余暇論などとの関わりで吟味する余地もある。
10
11
日本大、1998 年度「生活構造論:高齢者の生活構造を探る」講義内容より。
日本大、2001 年度「生活構造論:変化する家族と生活」講義内容より。
かもしれないが、
「生活」分野の 2000 年代における平均開講率は 4 割を超えている。こう
した開講率の増加には、再びシラバスから引用するなら、社会学が「研究テーマを…日常
生活の内側に求めるタイプ」12の学問として自己定義していくようになった 20 世紀後半以
降の研究史における経緯がいささかなりとも反映されているのかもしれない。上記キーワ
ードの多くが日常を生きる人びとの「生活」へとアプローチする実践的方法を示す概念で
あること、そして該当科目に演習や調査・実習科目が多いこと、これらもまた、
「生活」分
野に分類される科目の大きな特徴となっている。
以上鳥瞰してきた「性」「環境」「民族」「生活」分野は、前節でみた国際社会学と同じ
く、社会学の研究の歴史において比較的新しく登場した分野であるが、新たな学知が一定
のタイムラグを伴いつつも、学知の伝達の場としての大学で独立した科目として開設され、
市民権を獲得していったプロセスがシラバスから浮かび上がってくる。分野そのものの歴
史が浅いことから、科目名称に用いられる「流行り文句」にも移り変わりが目立つが、そ
こに、社会学の新興の諸領域が確立・成熟していく様子の一端を垣間みることができる。
3.5
復活型:歴史、労働社会学
最後に「復活型」であるが、これに該当するのは、
「歴史」
「労働」
「経営」
「大衆」
「芸術」
「地理」の諸分野である(図 9)。ここでは、このうち平均開講率が比較的高い「歴史」と
「労働」の分野に言及する。
70%
60%
50%
歴史
労働
40%
地理
大衆
30%
20%
10%
図9
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0%
「復活型」分野の開講率
「歴史」分野にはキーワードの設定上、「歴史社会学」等と並んで、個別地域・領域の
歴史(「西洋史」
「ジャーナリズム史」
「メディア文化史」
「経済史」など)が含まれており、
歴史学や学史に近い科目も含まれる。そこで、より細かく大学別科目別の動向を追跡して
みると、代表的な科目群としては、
「社会史」
「歴史社会学」
「社会変動論」、そして「歴史」
分野に属しながら同時に「メディア」分野に属する「メディア史」(「ジャーナリズム史」
「新聞史」
「マス・コミュニケーション(マス・コミ)史」等)が挙げられ、これらが複数
12
早稲田大学、1995 年度「社会学基礎演習 A 日常生活の社会学」講義内容より。
大学で継続的に開講されていることがわかる。これらの科目群は主題の性質や分野として
の成立時期も異なり、開講率はそれぞれに特徴的なカーブをたどっている(図 10)。
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
図 10
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
社会史
歴史社会学
メディア史
社会変動論
歴史分野の開講率
「社会史」という用語を科目名ないし副題に含む科目群の開講率は、60 年代から 70 年
代半ばにかけて下降線をたどり、90 年代前半までは増減を繰り返すが、94 年度から上昇
傾向にある。大学別では、関西学院大、日本大のように、本調査が対象としている期間(1965
~2006 年度)、一貫して「社会史」の講義を開講している大学がある一方、60~70 年代で
開設を打ち切っている慶應義塾大、同志社大、法政大もあり、さらには法政大、立命館大、
東洋大、東京大、筑波大が 80 年代以降に新たに、または再び関連科目を開設している。
「社会史」群の開講率が「復活型」の典型であるのに対し、「歴史社会学」群はむしろ
「新設型」に類するカーブを描いている。73~76 年度に筑波大(東京教育大)および九州
大で先駆的に歴史社会学の講義が開講されているが、それが定着するのは 80 年代後半で
あり、その後、開講率は着実に上昇している。
「変動」の語を含む「社会変動論」群には、人口変動や、家族変動など歴史社会学一般
とはやや異質のものが含まれているが、歴史社会学が社会変動論との関わりで問われてき
た領域であることを考慮して、
「社会変動論」も「歴史」分野に含めて考察することにした。
大学の授業科目としての「社会変動論」は、60 年代後半に端を発する「新設型」かつ「増
加型」の分野とみなすことができる。具体的な科目名としては、
「農村地域社会の変動過程」
「企業の国際化と社会変動」
「社会変動と婚姻・家族」
「社会変動と知識人」
「人口変動の社
会学」などを、その例として挙げることができる。これらにもみられるように、たとえば
農村や企業文化、家族といった個別領域との関連で社会の歴史的変動を取り扱う科目が多
彩に開かれているのが、「社会変動論」のみならず、「歴史」分野の科目群全般にみられる
ひとつの特徴である。このことは、
「歴史」分野において、他の大分類に同時に属する科目
の割合が比較的高いことによっても裏付けられる(複数の大分類に属する科目の割合は、
全体で 51.4%、「歴史」分野では 66.5%)。
「メディア史」に類する諸科目が複数大学で長い期間にわたって維持され続けており、
まとまった科目群を形成しているという事実は、歴史分野から歴史社会学などを選り分け
る過程で明らかになった。関西学院大、成蹊大、同志社大、立教大の各大学が 60 年代か
ら一貫して、
「ジャーナリズム史」
「メディア史」
「マス・コミュニケーション(マス・コミ)
史」
「新聞(発達)史」などを開講しており、とりわけ 90 年代後半以降、それら以外の大
学でも類似科目が新設されたため、開講率は増加型のラインを描いている。歴史分野に同
時に分類される科目の多さからみて、
「メディア」分野は、きわだって探究対象の歴史的側
面に関心を寄せてきた分野であるということが言えそうである。
「歴史」分野と並び、
「労働」の分野もまた「復活型」分野の代表とみなすことができる。
70 年代から 80 年代前半、90 年代後半から 2000 年代前半に落ち込みがあるが、80 年代後
半から 90 年代前半、さらに 02 年度以降は 4 割以上の開講率を維持している(図 9)。こ
の分野の伝統的な科目は、「労働社会学」「労働問題」「労使関係論」などであるが、「産業
社会学」や「経営社会学」と同一化している科目もあり(中央大の「産業・労働」、名古屋
大「労働・経営社会学」など)、より詳しい分析のためには隣接分野との比較吟味が必要で
ある。
「労働法」という名称の講義もこの分類に含まれることになるが、この名称での開講
、、
実績があるのは法政大、東洋大、立命館大、立教大、関西大、関西学院大など、学部に社
会学という名称が用いられている大学にほぼ限られており、
「労働法」を除外した場合でも、
「労働」分野全体の開講状況の傾向はさほど変わらない。
さて「労働」分野を、「労働問題」「労使関係論」「雇用・職業論」にさらに下位区分し
て、それぞれの動向をみてみよう(図 11)。
40%
35%
30%
25%
20%
労使関係論
労働問題
15%
雇用・職業論
10%
5%
図 11
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
1967
1965
0%
「労働」分野の開講率
「労働問題」については 90 年代以降、「労使関係論」については 2000 年代以降にそれ
ぞれ開講率が減っているのに対し、
「雇用・職業論」の開講率にかぎっては、90 年代以降、
むしろ倍増している。そして、この時期に新設された科目の副題には、「雇用慣行の動揺」
「企業社会の変容」
「若年無業と非正規雇用」などの表現が見受けられる。ここには、雇用
不安や職場環境の変化、雇用問題に対する学生および教員の関心の高さなどを背景に、高
等教育の現場において職業社会学の再評価が進捗しつつあることを読み取ることができよ
う。
4.
結語
1991 年の大学設置基準改正を機に全国の大学で相次いで導入されていったシラバスは、
授業を選択的に履修する今日の学生にとって、いわば当該年度に摂取する学問の献立を選
ぶためのメニューのようなものだろう。かつての学生は薄っぺらな『学生便覧』の類によ
って、当該年度の開講科目とそれらの担当教員を知るのみであった。しかもそこには、授
業概要、ましてや講義計画など書かれていない場合も珍しくなかった。
シラバスについて、ある大学はホームページで次のように説明している。「大学を売り
手、学生が買い手と考えれば、シラバスはまさに大学の商品カタログに当たります」
(北海
道大学学務部教務課)13。カタログは商品の選択と取引が終えられた時点で、売り手と買
い手いずれにとっても大抵は用済みとなる。しかし大学という場がどのような類の学知を
どのような形で学生に対して用意してきたかを示すものとして、この「商品カタログ」の
集積は、貴重な歴史的資料となりうる。
開講科目やカリキュラムの変遷は、単一の大学に限っても、また当該大学の教員でさえ、
世代を超えた長期の傾向を把握しているものは存外に少ないのではないだろうか。本研究
は、複数の大学のシラバス資料を経年的に通覧するというこれまでにない試みをしている
点、またそれによって、教員から学生へ伝達される社会学知の変遷を、大学ごとの特色に
注目するよりは大学横断的にみられるある種の社会現象として捉えようとしている点で独
自性をもっている。
ここでは、講義内容の記述など詳細にはあまり踏み込まず、授業科目名に含まれるキー
ワードに注目して科目群を分類し、分野ごとの科目の開講動向にのみ焦点をあててきた。
冒頭で述べたように、こうした方法には明らかな限界がある。科目名からの抽出である以
上、見出しになりにくい語句は拾えないし、科目名に分野を特定する情報が含まれている
かどうかは大学・年度によってまちまちである(そうしたわかりやすいタイトルがつけら
れているかどうかということ自体が、ここでは調査の対象になっているのであるが)。キー
ワードの取捨選択が難しいという理由から、
「理論」分野の諸科目を分類することもここで
は断念せざるをえなかった。分類しえた科目群についても、限られた紙幅のなかで追跡し
えたのは、開講率に特徴がみられたいくつかの分野にとどまる。キーワードの選定につい
てさらに吟味し、より詳細な分類や、ここで試みたのとは異なる分類を付け加えながら、
仕分けを洗練させていくこともまた可能であろう。
しかしそうした留保をおいてなお、社会学という学知が提供する実に多様な主題領域が、
大学という教育の場でどのように分布し展開されてきたかを、シラバスという資料を通じ
て歴史的に跡付ける手がかりを得られたことは大きい。やや詳しく述べた「人口」「国際」
分野のように、分野によっては必ずしもよく知られてこなかったことが明らかになり、
「農
村・村落」分野の凋落、
「性」分野の定着などのように、あるいは多くの教員が現場で経験
13
http://infomain.academic.hokudai.ac.jp/syllabus/SYLLA_IGI.html
2006 年 7 月参照
的に感じ取っていたことについても、開講実績のデータの上に追認することができた。
ここでは詳しく分析できなかった諸分野についてさらに考察を深めていくことに加え、
「分野」を形成するには至らない多くの理論上のキーワードや、主題分野ではなく開講形
態(一般教養科目と専門科目、演習と講義、必修と選択の別など)を手がかりに、引き続
き社会学教育の歴史的生成の諸相を特定していくこと、さらにはそうした生成の背景や研
究史との相関を探っていくことが今後の課題である。
付表1 「比較社会」分野の動向(大学別開講数)
大学
主要科目名
中央
比較社会学 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
成蹊
比較文化
4 8 16 6 4 6 3 2
比較社会学の理論と諸問題 2 欠
東京
1
上智
比較社会学 欠
1
1 2 2 2 2 2 2
大阪
比較文化論(学)
1 1 1 1 1 1
法政
比較文化論
1 1 1 1 1 1
筑波
比較社会学、比較文化論
1 1 1 1 1
欠
名古屋
比較社会論
1 1
欠
立教
比較社会論
1 1
京都
比較社会論
1 1
東北
1
九州
比較社会分析
1
欠
欠
首都
欠
明治学院 比較社会学
慶應義塾 比較文化論
東洋
比較文化論
立命館
比較文化論 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠 欠
関西学院 比較社会学
日本
比較社会論
一橋
比較文化論
北海道
比較社会学の解説と実際
早稲田
総計(科目数)
1 5 9 18 7 6 7 4 4 4 4 5 6 6 10 10
1 2 2 2 2 3 2 2 3 3 3 5 5 5 9 9
総計(開講大学数)
2
1
2
2
1
1
1
2
2
4
2
1
2
1
2
2
2
1
1
2
欠欠
2
欠
2
2 2
2 2
6 6
2 2 2
2 2 2
10 7 5
2
1
2 3 2
1 2
1
1
2
1
欠欠欠
欠
1 1 1
2 2 2 2 2
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
2 欠
1 1 1 1 2 2 1 1 2欠
4 4 4 2 2 2 2 2 2 2
2 2
1欠
2
2
2 2 2 3 3 2 4 4 4 4 2 2 3 2
4 3 4 4 4 5 10 10 10 11 15 10 10 12
2 2 2 2 2 3 1 1
1
2 2 2 2
1 1 1 1 1 1 1 2 3 2
1 1 1
1
3 3 2 1 2 2 2 2
2
2
5
2
1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 2 1 1
欠欠欠欠欠欠
1
1 1 3 2
1 4 4 4
1 1 1 1
1
2
2
2
2
1
1 1
1 1
2
1
2
2
1
*欠は欠本
11 10 10 12 16 11 14 15 13 16 14 19 19 26 25 28 23 31 26 22 27 25 24 22 20 15
8 7 7 8 9 7 6 8 8 9 8 11 10 10 8 12 7 11 10 7 9 9 11 11 9 6
1
2
1
2
2
1
1
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
主要科目名
知識社会学:民族と
欠
国家の知識社会学
1 1 1
人種関係の社会学
東北
1
1 1 1 1 1 1 1
ナショナリズムの社会学
欠
3
1
東京
比較文化論、民族学
1
1
1 1 1
1 1 1
大阪
人権・エスニシティ論、民族論
欠
1
京都
民族問題と国民国家
3
法政
民族関係の社会学
九州
民族の社会学
欠
上智
関西学院 人種・差別問題論
エスニシティの社会学
欠
立教
エスニシティ論
筑波
民族誌、エスニシティの社会学
日本
社会学:民族誌の理論と技法
北海道
言語・民族問題
一橋
エスニシティの社会学
欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠欠
千葉
慶應義塾 ナショナリズムの社会学、民族音楽
現代アメリカのエスニシティと多文化主義
欠
名古屋
民族誌、民族文化論
成蹊
知識社会学から見るナショナリズム
中央
民族誌特殊講義
欠
欠
首都
総計(科目数)
0 1 1 1 0 0 0 1 0 1 1 1 1 4 2 3 1 0 1 1 1 0 1 1 1 3
総計(開講大学数)
0 1 1 1 0 0 0 1 0 1 1 1 1 2 2 3 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1
大学
東洋
付表2 「民族」分野の動向(大学別開講数)
欠
1
欠
1
2 2
1
2 3 1
欠欠欠
*欠は欠本
1
6 7 9 17 15 13 13 9 12 12 17 23 26 24 36 30
3 4 4 9 6 5 7 7 7 7 7 6 8 8 9 7
1
欠
1 1 1 1 3 1
1
1
欠
2 3
欠欠
2 1 1 2 1 1 1 1
2 2
2 2 1 2 3 1 2 2 1
1 1
1 1 1 1 1 1 1
1
1 2 4 9 12 15 14 22 22
2 1 1 3 2 1 3 4 1 3
3 2 3 3
1 1 3
3 1
3 3 3 6 6 6 4
1
1
2 2 2 2 2
1
1
1 1
2
1 1 1 1
1
1
1
1
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006