チラシ裏 - sonorium

クロード・ドビュッシー[1862-1918]は、それまで誰も開き切ることのできなかった扉を開き、音楽の新
天地を開拓した。当初はロマン主義的な先達の影を背後に宿しながらも、ついには調性に依らない独自の響
きから成る音世界を築き上げた。しかしそこには、フランソワ・クープランに代表されるフランスバロック
のクラヴサン(チェンバロ)楽派の感触が否定できない。
これまで古楽奏法や音楽修辞学を追求し、その観点から J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集」第1巻、第
2巻全曲を、クラヴィコードとチェンバロで演奏と解析を続けてきた横山博が、その眼でドビュッシーをと
らえ直す。
横山博は実に活き活きとバッハやクープランを演奏した。確固たる解釈に基づく微細なアーティキュレー
ション、修辞学(レトリック)を応用することで音に明確な意味を与えることが、その躍動的な表現の根幹
にあると思われる。古楽の視点からとらえ直すドビュッシー。新たなドビュッシーの世界が拓かれるだろう
か?この度は、ドビュッシーの出世作である管弦楽曲《牧神の午後への前奏曲》のモーリス・ラヴェルによ
るピアノ連弾用編曲版を、フォルテピアノ奏者でもある羽賀美歩をゲストに迎えて演奏する。2人の作曲家
の書法が混ざり合うこの作品を、鋭敏な感性を持つ2人のピアニストがどのように料理するのか、聞き逃す
手はない。
中新井紀子(音楽学)
《夢想》(1890)
1.
《2つのアラベスク》(1890)
《前奏曲集第1集》(1910)
《子供の領分》(1908)
…デルフィの舞姫 …ヴェール(帆)
グラドゥス・アド・パルナッスム博士
…野を渡る風 …夕べの大気に漂う音と香り
象の子守歌 人形のセレナード
…アナカプリの丘 …雪の上の足跡
雪は踊っている 小さな羊飼い
…西風の見たもの …亜麻色の髪の乙女
ゴリウォーグのケークウォーク
…とだえたセレナード
《牧神の午後への前奏曲》(1892)(ラヴェル編曲連弾版 1910)
…パックの踊り …ミンストレル
2.
…沈める寺
3.
4.
表面.クロード・ドビュッシーの肖像:アンリ・デトゥーシュ 1908 年頃
1.クロード・ドビュッシーの肖像:ピエール・ルイス 1894 年 5 月
2.牧神(ヴァーツラフ・ニジンスキー)と大ニンフ(リディア・ネリドヴァ)1914 年
3.大ニンフのスカーフの上に横たわる牧神(バレエの最終場面 1914 年) 4.子供の領分 初版表紙絵
[全席自由]前売¥3,000 当日¥3,500 (両公演とも)
[お問い合わせ・チケットご予約]西方音楽館 0282-92-2815
[プレイガイド]栃木県総合文化センター 028-643-1013
宇都宮市文化会館 028-634-6244
横山博 / Hiroshi Yokoyama
1981 年宇都宮市生まれ。日本大学芸術学部音楽
学科、ピアノコースを首席で卒業。同大学院芸
術学研究科修士課程を修了ならびに湯川制賞を
受賞。2003 年(財)日本ピアノ教育連盟のオーデ
ィション本選にて入賞。2012 年スマラノ・オル
ガンアカデミー(イタリア)修了。2011 年には
モーツァルト・ピアノソナタ全18曲のリサイ
タルを開催し、モダンピアノとフォルテピアノ
を用いて演奏する。2012 年ボローニャのサ
ン・ペトローニオ大聖堂では2つの歴史的大オ
ルガンによってジョバンニ・ガブリエリ、ペッ
レグリーニの作品を演奏する。2014 年にはチェ
ンバロとクラヴィコードを用いた J.S.バッハの
《フランス組曲》全6曲、
《インヴェンションと
シンフォニア》全 30 曲のリサイタルを行った。
また、2015 年から 2016 年にかけてバッハの平
均律クラヴィーア曲集第1巻(全 24 曲)、第2
巻(全 24 曲)のレクチャーコンサートをチェ
ンバロとクラヴィコードを用いて開催。これま
でにモダンピアノを堀江真理子、ジャン・ポー
ル・セヴィアの各氏に、チェンバロを沼尾美和
子、桒形亜樹子、ジョン・バットの各氏に師事。
パイプオルガンをエドアルド・ベロッティ、ジ
ョン・バットの各氏に師事。オルガン、チェン
バロ、クラヴィコードの歴史的奏法を、ジャッ
ク・ファン・オールトメルセン、リウヴェ・タ
ミンガ、フランチェスコ・チェラ、ウンベルト・
フォルニ、ウィリアム・ポーター、ジョエル・
スピーストラの各氏から指導を受ける。
栃木市栃木文化会館 0282-23-5678
西方音楽館
322-0601 栃木県栃木市西方町金崎 342-1
TEL 0282-92-2815
E-mail:[email protected] 公式ホームページ http://wmusic.jp/
◆東武日光線・東武金崎駅徒歩 5 分
◆北関東自動車道・都賀インターから車で 5 分駐車場有り
使用楽器:ニューヨーク・スタインウェイ B 1978 年製
■ 関連企画 横山博ピアノ・リサイタル
2017 年 1 月7日(土)15:00 開場 15:30 開演 18:00 終演
会場:西方音楽館[全席自由]前売¥3,000 当日¥3,500
・ジョン・ケージ[1912-1992]
《ソナタとインターリュード》(プリペアド・ピアノ)[1948](約 60 分)
・モートン・フェルドマン[1926-1987]
バニータ・マーカスのために[1985](約 75 分)
sonorium
168-0063 東京都杉並区和泉3-53-16
TEL 03-6768-3000 FAX 03-6768-3083
京王井の頭線 永福町駅下車(北口) 徒歩7分
東京メトロ丸の内分岐線 方南町駅下車 徒歩10分
*方南町からはバスのご利用が便利です。
サミットストア前「方南町」バス停から永福町車庫行きで2つ目のバス停「大宮八幡
入口」下車、徒歩2分となります。バスはほぼ5分間隔であります。
駐車場のご用意がございませんので、
お車でのご来場はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。
使用楽器:ハンブルグ・スタインウェイ・フルコンサート D274 2007 年製
羽賀美歩 / Miho Haga
愛知県名古屋市出身。東京藝術大学音楽学部器
楽科ピアノ専攻卒業。同大学院音楽研究科修士
課程古楽科フォルテピアノ専攻修了。2011年、
クレムスエッグ城国際フォルテピアノコンクー
ル第2位。2013年、ブルージュ国際古楽コンク
ールフォルテピアノ部門第3位。伴奏ピアニスト
としては第21回奏楽堂日本歌曲コンクールにお
いて優秀共演者賞を受賞する。現在は古楽器フ
ォルテピアノ奏者としての活動のほか、器楽や
声楽の伴奏ピアニストとしても多数の演奏家と
共演している。2015年6月には小倉貴久子氏と
の連弾による浜松市楽器博物館コレクションシ
リーズCD 「美しいアップライトピアノ∼
連弾の悦び∼」が発売。