第5回スポーツ講座 - 岡山大学スポーツ教育センター

平成27年度
第5回スポーツ講座
平成27年8月
テーマ「スポーツが心臓に及ぼす影響」
講師:中川
晃志
先生
(岡山大学医歯薬学研究科循環器内科)
報告者:岡山大学MPコース1年生
平松宏隆
内容
心臓の基本的な働きをまとめる。心臓は体中の臓器に血液を送るポンプである。通常、1日に約10
万回拍動し、7000㍑を排出する。心臓は冠動脈から酸素をもらい、電気刺激で動いている。
心臓病には様々な種類があり、プラークなどで血管が詰まり、酸素不足に陥る虚血性心疾患、電気
的異常、すなわち脈拍の乱れから起こる不整脈、弁膜異常で起こる弁膜症などがある。これからの異
常が併発して存在する場合が多い。
心臓とスポーツの関係性をまとめる。心臓がばてた状態を心不全というが、それはずっと寝ていれ
ば治るものではない。スポーツすると、心不全患者の予後を改善させるというデータがある。運動を
することで、心・肺・筋・末梢循環機能が向上し、スポーツにおける競技力の向上のみならず、健康
の推進をはかることができる。
スポーツの種類を細かく分類すると、生理学的には有酸素運動と無酸素運動に分けられ、運動パタ
ーンは等張性運動と等尺性運動に分けられる。等張性運動により、心臓の容積と左心壁厚が増加し、
心臓のポンプ機能を増大させ、心拍出量が増加させる。また、末梢血管抵抗が低下し、血圧があまり
上がらなくなる。等尺性運動による影響は、心拍出量があまり増加せず、末梢血管抵抗が上がるため、
血圧が上昇する。
スポーツ心臓症候群には、激しく動く運動を定期的に行っている人に生じているで、脈拍数の低下
が起こる。このスポーツ心臓と心筋症には重なる部分があり、区別しにくいことがある。心臓震盪は
心臓に外部から強い刺激を受けることで、心臓を流れる電気に異常が起きることである。
スポーツをすると突然死になりやすいかといえば、正常な心臓を持っている人は将来、血管系の疾
患になりやすいという証拠は示されていない。しかし、心臓に異常を持つ人に対しては、スポーツは
潜んでいる病態を顕在化させる誘因となり得る。
感想
スポーツと心臓の関わりについて詳しく知ることができた。静的運動によって末梢血管抵抗があが
り、血圧が上昇し、心筋の肥大につながることを初めて知った。また、一度メディカルチェックを受
けることで突然死のリスクを大幅に減らすことができること、AEDの使用の有無が救命率の向上に大
きく影響することがわかった。さらに偏頭痛の原因が卵円孔開存にあり、それが頭に影響を及ぼすこ
とから体内における心臓の重要性を改めて知った。
中川先生の講義風景