講義ノートVer.3 PDF

天文学 2011 講義ノート
1.
序論(4.13)
天文学(Astronomy)
天文学とは何か:天体(星)と宇宙の科学
(天体の運動ならびにその本性を研究する学問)
現代の天文学とはどのようなものか。その体系、方法、成果
これを主に観測面から解説する。(必要に応じて理論にも触れる)
天文学はおよそ 4,000 年の歴史を持つ学問である。
天文学の歴史概略
(1)古代
四大文明の時代、特にメソポタミアで継続的観測記録
古代ギリシャ:宇宙論の始まり;思弁的(タレス、ピュタゴラス、プラトン、・・・)
オリエント(ヘレニズム)の時代:数理的天文学;地球中心説(天動説)の決定版
(アリスタルコス、ヒッパルコス、プトレマイオス)
(2)中世
中世アラビア:ギリシャ・ヘレニズムの継承と発展(アル・バッターニーほか)
ヨーロッパ:アラビアから逆輸入(ポイルバッハ、レギオモンタヌス)
(3)近代(16世紀~19世紀半ば)
太陽中心説(いわゆる地動説)
(コペルニクス、ケプラー、ガリレオ)
万有引力と天体力学(ニュートン)
望遠鏡の発明と使用;太陽系の外の世界(ガリレオ、ホイヘンス、ハーシェル)
(4)現代
天体物理学;分光学から始まる(フラウンホファー)
大望遠鏡の時代;銀河系の外の世界
高度な技術に支えられた天文学(多波長の電磁波)、大気外(人工衛星)による観測
物理学の理論(近代物理学、特に量子論と相対論)に基づく本性の解明
参考書について
国立天文台編
理科年表(2011 年度版)
内海・田辺・吉岡「現代天文学要説」(1987)
畑中武夫著「宇宙と星」(1963)
尾崎洋二「星はなぜ輝くのか」
、「宇宙科学入門」
英語の本は多数のすぐれたテキストがある。たとえば
Kartunen 他
著 Fundamental Astronomy、
Zeilik 他
Introductory Astronomy and Astrophysics、その他
著
2.
光・電磁波と望遠鏡(4.20)
(1) 光と電磁波
天体からの情報の担い手:①光を含む電磁波
②粒子(宇宙線);荷電粒子は磁場で道筋を曲げられる。
中性粒子は捕えにくい。ニュートリノ
③重力波:まだ検出されていない。
光の本性:
粒子説(ニュートン)
波動説(ホイヘンス)
:何の波動か
電磁波(マックスウェル)光速 c で伝わる;c=λ・ν
電磁波の分類(理科年表参照);
天文学では光、電波、IR(赤外)
、UV(紫外)、X,γ
光の粒子性;光電効果→検出器
(2) 望遠鏡
基本:光学望遠鏡;目的:光を集める(もともとは拡大のため)結像
原理:ケプラー式屈折(凸レンズ 2 つ);焦点の実像を虫眼鏡で拡大する。
倍率
m =f / f ’ (対物鏡の焦点距離÷接眼鏡の焦点距離)
集光力、限界等級; 分解能(角度)…口径 D で決まる。
ρ(ラジアン)=1.22λ/D
(×180×60×60÷πで秒角「″」に出来る)
収差(1 点から出た光線が 1 点に集まらないこと)
いろいろな光学系:屈折系、反射系、反射屈折系
架台:赤道儀と経緯儀(追尾方式の違い)
電波望遠鏡その他
(3) 観測装置と方法
天文観測の種類:天文測定、測光、分光、その他
a.天文測定(Astrometry)星の位置観測、年周視差、固有運動など
装置:主に屈折望遠鏡、transit(子午環)Hipparcos 衛星;検出:肉眼、写真、CCD
b.測光観測:明るさおよび色(その時間変化)
① 眼視:古来の方法、現在も有効。
② 写真:1970 年代まで。線形性、相反則不軌などの問題あり。
③ 光電測光器(PMT):1980 年代までよく使われた。
④ CCD:理想的、ただし短波長ほど感度が低下という問題あり。
c.分光観測:スペクトル(波長に分解)
① スリット分光器(分光素子:プリズム or 回折格子)スリット+コリメーター
② 対物プリズム(Schmidt カメラ用)
③ その他の分光器(エシェル、グリズム);赤外線分光器、電波は「分光」
d.その他の観測方法と装置(偏光、干渉計)
3.
天球と座標(4.27)
天体の位置の表し方
大体の目安:星座
正確な表現:座標系を用いる
(ア) 天球の概念
天:半径 1 の球面(地球は半径無限小)
球面上の2点を結ぶ最短距離:大円
中心角,球面角(弧の長さ、球面三角形の内角)
球面三角形;球面三角法;正弦定理、余弦定理、正弦余弦定理
(イ) 地平座標
(A, a)
基準:天頂
Z および
地平
方位角 A 真北より時計回り
高度角 a 地平より上向き
天頂距離
z=90°-a
(ウ) 赤道座標
基準:天の北極 P、南極 P’
天の赤道
春分点♈:移動する(歳差)
分点 epoch:2000.0 など
赤経α(h,m,s)、赤緯δ(±
°’ ″
)
24h=360°
時角 t…子午線からどれだけ西か
恒星時τ:春分点の時角
(エ) その他の座標系
黄道座標(λ、β)黄経、黄緯
基準:地球軌道の両極と黄道
原点:春分点
銀河座標
(l , b )
銀経、銀緯
基準:天の川
北極(かみのけ座)12h51.4m、+27°08′.0
原点(いて座)17h45m.6、-28°56′
b=±90°:星少ない
b=0°:星多い
(オ) 星の位置観測
子午線通過の瞬間の高度角を測る:子午環(高性能の屈折望遠鏡)
望遠鏡以前:四分儀(90°の分度器)
4.
時と暦 5.11
(1) 時(時制)
時刻を定めること:天文学の任務であった。
1日の長さ:太陽の南中→次の南中、その平均=24 時間とする
真太陽時(視太陽時+12h;日時計)と平均太陽時(平均太陽の時角+12h)
均時差=真太陽時-平均太陽時;約±15 分
JSTとUT;JST=UT+9h
時計について
日時計、機械時計、水晶発振(Quartz)、原子時計 133Cs の基底状態が発する電波
恒星時:春分点の時角;最も正確な天文時計
1恒星日=23 時間 56 分 04 秒
恒星年:歳差のため 1 太陽年(回帰年)と異なる
(2) 暦
1年は何日か;1 太陽年(1 回帰年)・・・太陽が春分点に回帰する周期
太陽暦と太陰暦
太陰暦・・・多くの地方で用いられた;1ヶ月(朔望月)=29.53 日
太陽暦・・・古代エジプト;ヘリアック
ユリウス暦(BC46年 Julius Caesar)1 年=365.25 日
グレゴリオ暦(1582 年 Gregorius13世)1 年=365.2425 日
太陰太陽暦(旧暦)19 年=235 朔望月(Meton )
二十四節気(にじゅうしせっき)と雑節(ざっせつ)
ユリウス日(JD):BC4713 年 1 月 1 日正午UTからの通算の日数
(小数点以下も含む)
ユリウス日の求め方:理科年表による方法
5.
惑星の運動と万有引力の法則(5.18)
惑星と恒星の区別:惑星は恒星の間を動く。(一見周期的とは言い難い)
(1) 惑星の運動
天球面上の運動(運行)
;対恒星
順行、逆行、留
これをどう説明するか。宇宙(太陽系)モデル;占星術とのつながり。
地球中心説の立場によるモデル:Ptolemaios の周転円説(不自然!)
(2) 太陽中心説と惑星現象
コペルニクス:地球の自転と公転を仮定。
離角
∠SEP のこと(S:太陽、E:地球。P:惑星)
会合周期:同じ離角関係に復帰する周期
惑星現象:内惑星
外惑星
内合→西方最大離角→外合→東方最大離角→内合
衝→東矩→合→西矩→衝
公転周期の求め方
公式:
1 1 1
− =
P E S
(外惑星の場合)
(3) ケプラーの法則
Tycho の観測から帰納。
ケプラーの第1法則:楕円軌道(太陽を焦点の一つとする楕円)
第2法則:面積速度(動径は一定時間に一定面積をなでる。)
第3法則:調和の法則(周期の 2 乗と軌道長半径の3乗の比は一定)
楕円とは:長半径 a 離心率 e
軌道要素(6 個):軌道長半径、離心率、軌道傾斜、昇交点黄経、近日点引数、
平均日々運動
(4)万有引力の法則
惑星(すべての天体)の運動を支配する力の法則
逆2乗則
円錐曲線:無限遠方における運動エネルギーの値の符号
(5)天体力学
2体問題と3体問題
2体問題:1体問題に帰着
3体問題:解析的に解けない;3体問題の解法(摂動論、シミュレーション)
制限3体問題:1体(第 3 体)を質量ゼロとみなす。
6.
太陽系の天体(5.25)
(1) 概観
太陽と惑星
質量比 1000:1
;角運動量比(角運動量L=mrvsinθ)その逆
地球型惑星(水星、金星、地球、火星)と木星型惑星(木星,土星、天王星、海王星)
太陽系の起源
星雲説
vs
遭遇説
;
角運動量輸送をどう考えるか。
原始太陽系星雲(分子雲)の中から誕生といわれる。
(2) 惑星と衛星各論
① 水星(Mercury)月より少し大きい程度。表面は月に酷似。
最大離角の時(15 度くらい)よく見える。
② 金星(Venus)地球よりわずかに小さい。大気は大量(CO2 CH4)
温室効果が効きすぎて高温
Gaia)大気の層≒10km
③ 地球(Earth,
月(Moon,
Luna)起源?
④ 火星(Mars)模様、極冠、大気わずか、離心率大
衛星(Fobos,
Dimos)
⑤ 木星(Jupiter)最大の質量、密度は小、縞と大赤班、輪もある。
衛星:ガリレオ衛星ほか(最近新しく見つかる)
;Io の火山活動
⑥ 土星(Saturn)輪、空隙、密度1より小、
衛星 Titan
⑦ 天王星(Uranus)
大気あり、衛星の数増大
Herschel の発見,回転軸横倒し、輪
衛星五大(Shakespeare)
⑧ 海王星(Nepturn)天王星の摂動より計算から発見、
衛星2大(Triton、Nereid)
⑨ 準惑星
冥王星(Pluto)Tombaugh 写真より発見、軌道傾斜ならびに離心率大
衛星 Charon;2005 年 6 月に衝
ケレス(Ceres)、Eris、Makemake
(3)小天体
① 小惑星(Asteroid):Bode の法則
群と族;Troja 群、Hilda 群(制限 3 体問題の正三角形解)
② 彗星(Comet):周期彗星
起源:Oort の雲、Kuiper Belt
③ 流星
流星物質(塵)、発光
④ 黄道光と対日照
流星群:母彗星
塵が太陽光を反射
7.
太陽 6.1
太陽:生命の源
;
太陽神崇拝
実体:恒星 G2V、Mv=4.79
構成:内から核(core)、放射領域(radiative
zone)、対流領域(convective
zone)
光球(photoshere)、彩層(chromoshere)、大気
(1) 距離と大きさ
距離を求める:Aristarchos;小惑星 Eros
レーダー・エコー
;1AU=1.496×108km
半径←視半径 30″;R☉=696000km
質量←地球の公転
1M☉=1.99×1030kg
密度 1.4g/cc
(ア) 表面
光球:330km;不透明、周縁減光、光学的に厚い
粒状斑(granulation);黒点 4500K
黒点:磁極(Zeemann 効果)
彩層:500km 温度~40万度、電離
、光学的に薄い、Hα;spicule
コロナ:K コロナ(連続スペクトル)、F コロナ(Fraunhofer 吸収)
13 階電離の鉄←高温(100~200万度)磁場がエネルギーを運ぶ
(イ) 活動
黒点 11 年周期、極小と寒冷(小氷河期)
プロミネンス(Loop, Arc、Hedge)磁力線に荷電粒子が巻きついている。
フレア:磁場に蓄えられたエネルギーの解放
太陽風←コロナから 500km/s
(ウ) 放射
太陽定数 S=1.37KW/㎡
L☉=3.9×1026W
Stefan-Boltzmann の法則
E = σT 4
ここで σ = 5.67 × 10 −8
有効温度 5780K
Wien の変位則
表面温度:約 6000 度
彗星の尾より発見される。
8. 恒星(6.8)
カタログの恒星の諸量:名前、位置、等級、スペクトル型、距離、固有運動、視線速度
(1) 星座と恒星の名前
a. 星座の起源と歩み
メソポタミア起源(獣帯など)、ギリシャ神話(ただしローマ名)に由来
48 星座(アルマゲスト;2C)
1600 年頃南天の星座、境界線の提唱、1930 年 IAU
88 星座と境界線の確定
b. 恒星の固有名と記号
固有名、バイエル符号、フラムスチード番号、カタログごとの番号(BD,HD,SAO,HR)
(2) 明るさと等級および色
基本:Hipparchos 等級
明るさと等級;近代の定義等比数列、1等は6等より 100 倍明るい。
Pogson の式
色指数=mpg―mv
m1 − m2 = 2.5 log l 2 / l1
;実視等級と写真等級
;現在:UBV(Johnson システム)他
(3) 恒星のスペクトル
恒星のスペクトル分類;温度の高い順
R-N
Harvard 式分類
/
O-B-A-F-G-K-M
╲S
(ア) 距離と絶対等級
年周視差
パーセク(parsec,pc)という単位:1AU÷tan1″=3.086×10ˆ13km
絶対等級:10pc から見た見掛けの等級;近距離星;m-M=5log(r/10)
(イ) HR 図と恒星の分類
Hertzsprung の図(星団の色・等級図)
Russell の図(近距離星)
恒星の分類:主系列星(矮星)、巨星、超巨星、白色矮星
絶対等級効果と MK 分類Ⅰ~Ⅴ
(ウ) 実視連星と恒星の質量
光学的2重星と連星
実視連星の観測から軌道要素、質量(質量関数)
質量・光度関係
(エ) 恒星の直径と密度
直径の観測:恒星干渉計、掩蔽
密度の違い:きわめて大きい;主系列星、巨星、超巨星、白色矮星(g/cc)
9. 変光星の観測(6.15)
自ら変光する恒星(活動);測光観測が基本的に重要(眼視、写真、PMT、CCD)
(オ) 発見と命名
1572 年
ティコ Tycho の新星(実は超新星)
1596 年
ミラ Mira の発見(Fabricius);周期的変光
固有名(本来の恒星名)あるいは
アルファベット(大文字)+星座名(ラテン語)または 3 文字の略符(Argelander)
R,S,T,…,Z;
AA,AB,
RR,RS,…,RZ;SS,ST,…,SZ;…,ZZ
…,AZ;…;…
QQ, …, QZ,V335、V336、…
以下に分類(変光のメカニズムによる分類)
(カ) 食変光星(食連星ともいう)
発見:アルゴル Algol(Montanali)
光度曲線:正確に周期的;主極小と副極小
光度曲線による分類;EA,EB,EW;RSCVn
視線速度曲線との明確な相関
遠隔連星と近接連星;潮汐力による変形,反射効果
殆どの食変光星が近接連星
近接連星の Roche Lobe による分類(分離型、半分離型※、接触型)※質量移動
(キ) 脈動変光星
①
ケフェウス型 or
Cepheid(δCep 型、RR Lyr 型、W Vir 型、δSct 型
他)
変光幅小、規則的、不安定帯
◎周期-光度関係
②
ミラ(Mira)型
距離の測定に使う
変光幅大、長周期
(ク) 爆発変光星
A.激変星(基本的に高密度星を含む近接連星系)
①
新星:Giant+WD
②
再帰(反復)新星
③
矮新星:MS(Red Dwarf)+WD
④
新星状変光星(Nova-like)絶えず伴星からの物質移動;活動的
B. 超新星
①
I型(Ia,Ib、Ⅰc)連星、Ⅰa 型超新星と宇宙モデル(加速宇宙)
②
Ⅱ型(ⅡP、ⅡL)単独星
C.その他
X線連星:高質量X線連星、低質量X線連星(ブラックホール候補天体)
(ケ) 回転変光星(磁変星、Ap 星、パルサー)
大きな黒点、自転による規則的変光
10. 恒星進化論(6.22)
(コ) 恒星の内部構造(A.
Eddington
1929)
重力平衡の式:内部の至る所で重力と圧力勾配が釣り合う。
dP (r )
GM (r ) ρ (r )
;
=−
dr
r2
参考:
dM (r )
= 4πr 2 ρ (r )
dr
状態方程式(理想気体):圧力勾配の源は T による。(白色矮星など T によらない)
P
ρ
=
kT
mH μ
熱(エネルギー)の流れ L→温度勾配 T(r)
参考:
3 κρ L(r )
dT
; 対流
=−
dr
4ac T 2 4πr 2
放射
dT
1 T dP
= (1 − )
dr
γ P dr
エネルギー源;中心温度 1,000 万度はどのようにして作り出す?(重力?核?)
参考:
dL(r )
= 4πr 2 ε (r )
dr
ε:核エネルギー4H→He+2e++2ν+26.72MeV;重力エネルギーでは不足
(サ) 恒星進化論
①
誕生
星 形 成 領 域 ; 重 力 不 安 定 : 重 力 ポ テ ン シ ャ ル > ( 音 速 ) 2 : Jeans 質 量
重力収縮と放射冷却の繰り返し→原始星→ZAMS
②
主系列の時代
エネルギー源:陽子-陽子連鎖反応によるHe合成
t =
寿命
③
M/L ∝M-2~-3
巨星の時代
He 殻、3α反応、C,N,O,Fe まで合成;
④
外側が膨張:巨星へ(→不安定帯)
終末:;質量により異なる
0.08~0.46M☉
そのまま収縮、白色矮星
0.46~4M☉
質量放出、白色矮星
4~8
炭素爆燃焼反応、超新星爆発
8~10
電子捕獲により重力崩壊、超新星爆発
10 以上
鉄の光分解による重力崩壊、超新星爆発、中性子星
(3)高密度星と近接連星系の進化
1.
白色矮星(WD):電子の縮退圧(温度によらない圧力勾配)
2.
中性子星(NS):中性子の縮退圧
3.
ブラックホール:もはや支える圧力が存在しない→重力崩壊
近接連星系の進化:質量交換、エネルギーの損失により、単独星より速く進化する。
アルゴル・パラドックス:質量の小さいほうが早く進化している(進化論と矛盾)
11. 星雲と星団 6.29
(1) 星雲と星団
広がりのある天体のカタログ:
M(メシエ)
Charles
Messier 彗星と紛らわしい天体のリスト、108 個
NGC(New General Catalog),IC(Index Catalog)Dreyer による。約 7800 個
A. 星雲
②
散光星雲:電離水素領域、反射星雲;オリオン大星雲、M8,M20、Pleiades
星雲
③
暗黒星雲;
オリオン座馬頭星雲
④
惑星状星雲;
M57,M27
⑤
超新星残骸;
かに星雲 M1、網状星雲
⑥
渦巻星雲(銀河)、これは星雲ではない。「13,銀河」で詳述。
B.星団
① 散開星団
すばる(Pleiades 星団)M45、Hyades、ペルセウス座h-χ
② 球状星団
M13、M3、M22
ωCen
その他
③ アソシエーション(星落)
(2)星間物質(ガスと塵)
観測
① 測光:色超過;2 色図
色指数 B-V と色指数 U-B で星をプロットしたもの。
② 偏光:塵で反射した光は偏光している。偏光素子を通すと角度により明るさが
変化する
星間吸収について
m-M=5log(r/10)+A ここで A は減光(extinction、単位は等級)という。
A=(2.5loge)τ;τは光学的厚み
[参考] 光学的厚み(optical thickness)τについて:
αを opacity(不透明度)とする;定義:dL=-αLdr (L は光度)
光学的厚みτを
dτ=αdr
で定義すると、
dL=-Ldτ
12. 銀河系 7.6
(1) 恒星の分布
天の川と銀河座標(l, b);星は天の川(b=0°近傍)に集中、b=90°では少な
い。
計数:N(m) ∝
100.6m(一様分布)からずれる(小さくなる):限界の存在
(2) 恒星の運動
固有運動(大きさμ秒/年;位置角:真北から反時計回りに測る)
空間運動、局所静止基準と太陽運動
銀河回転:天の川に沿う。
高速度星:それに垂直方向に上下運動。
[参考]Oort 定数
(3) 恒星の種族
種族Ⅰ:散開星団の星、銀河面、若い星
種族Ⅱ:球状星団の星、銀河面から外れた星(高速度星)、年老いた星
(4) 銀河系の発見
Thomas Wright 島宇宙
William Herschel 恒星の分布は円盤状
Kapteyn
中心は太陽系;星間吸収を過小評価
(5) 銀河系の構造
球状星団の分布より中心が決まる(Shapley)
大きさ(30~22Kpc)、成分(disc,
bulge,
halo)
Thin Disk と Thick Disk
回転曲線:外側まで平坦(Kepler の法則に従わない)
、
(6) 暗黒物質
回転曲線が平坦、ということは、物質(重力源)が中心に集中していない。
暗黒物質:Halo に大量の光らない物質(天体?)が存在
マイクロレンズ現象
13. 銀河 7.13
(1) 銀河の発見
渦巻星雲 M31 の距離の測定(1923Hubble)銀河系の直径より大:銀河系外
系外星雲を銀河(galaxy)とよぶ。
銀河のカタログ
M、NGC 以外に UGC,CGCG、Lick カタログ
(2)銀河の形態
S 銀河:渦状(S)と棒渦状(SB)
楕円銀河(E)、レンズ状(S0);大型
および
矮小楕円銀河
Irr 銀河(IrrⅠ、IrrⅡ)活動銀河の一種
(3)距離とハッブルの法則
距離指標:Cepheid、HⅡ領域のサイズ、最も明るい恒星、Ⅰa 型超新星
光度の知られている天体に対し、m-M=5log(r/10)を用いる。
ハッブルの法則
v=Hr ;H=50~100km/s・Mpc
(4)明るさと表面輝度
表面輝度:等級/平方秒;それによる明るさの等高線
Holmberg 半径:
26.5 等/平方秒
(5)回転曲線と質量・光度比
S 銀河の平坦な回転曲線と暗黒物質
E 銀河:力学質量 M と光学質量 L の比(単位
M☉/L☉)≒100
(6)特異な銀河
①
電波銀河
電波源の掃天観測
Cyg
②
A、Cen
A など、2 つ目玉構造、シンクロトロン放射
セイファート銀河
中心部が明るい、(高温、激しい運動);比較的近傍にある活動銀河核
③
クェーサー(準星)
電波源として発見、大きな赤方偏移(宇宙論的遠方)しかも明るい
;エネルギー源?
④
紫外超過銀河
Markarian 銀河、KUG など、星の爆発的誕生?
⑤
活動銀河核
X 線観測、巨大ブラックホールによる重力エネルギーの解放
⑥
相互作用する銀河
銀河のサイズ~銀河の平均間隔
衝突、あるいは接近(ニアミス);その結果、変形、星の爆発的誕生
M81 と M82(後者は変形、ガスの噴出)
14.宇宙論 7.20
宇宙全体の構造と起源についての科学
(1)銀河の分布
天球面上での集団化
① 銀河群
数個~数 10 個;局部銀河群、近傍銀河群
② 銀河団
数百~数千個
最も近い:おとめ座銀河団
;密集した銀河団:かみのけ座銀河団
主な銀河団:理科年表に掲載されている。
銀河団の M/L は大きい値を持つ(暗黒物質の存在)
X線源でもある。
③ 超銀河団と空洞
銀河の 3 次元分布:ハッブルの法則を用いる
超銀河団:ネットワーク構造;グレートウォール(万里の長城)
空洞:銀河の欠落した空間;暗い銀河は多い?
④ 100Mpc を超えるスケールで宇宙は一様(平均密度はどこも一定)か?
(2)宇宙モデル
宇宙の構造を決めるもの:重力(万有引力)
モデル化;均質かそれとも階層的か
空間の形:一様かつ等方的(高度に均質)と仮定する。d=a(t)r
フリードマンの解(膨張解)
:ハッブルの法則をよく説明できる。H=(da/dt)/a(t)
宇宙年齢
t≒2/3H;小さすぎた。
(3)ビッグバン宇宙
宇宙背景放射の発見(1965 年)2.7°K の黒体放射(熱放射)
高温の宇宙初期の名残り(ガモフの予言);ビッグバン
宇宙初期におけるヘリウム合成:ヘリウム問題の解決
素粒子と元素の起源:粒子―反粒子の対消滅(膨張により対生成が切れる)
(4)残された問題
銀河(銀河団)の起源:最初のゆらぎの起源?
ハッブル定数 H と密度パラメーターΩの値?
加速宇宙は本当か?
暗黒物質の本性は?
密度無限大の特異点は回避できるか?
その他(平坦問題、地平線問題など)