概要 - 学術研究・産学官連携推進本部

欧米における産学官連携支援に関する調査研究結果概要 (米国編)
調査対象州
調査対象大学
(1) 当該州における産学官連携の状況
背景
(2) 当該国州 政府の産学官連携政策の
概要
(1) 産学連携の歴史
産学官連
携ポリシ
ー
(2) 産学連携ポリシーの内容
(1) 当該大学の産学官連携の組織体制
(組織図を作成)
大学の産
学連携体
制
マサチューセッツ州
インディアナ州
ノースカロライナ州
MIT
Purdue
Virginia Tech
Wake Forest
NCSU
MIT を中心として、一種の「起業」創
出メカニズムが構築されている。この
システムが自律的に回転し絶えず新鮮
な「起業」活動を創出。
ミッドウエストにおいて二番目に企業
環境が良い州。大学発技術の中小企業
へのライセンス活動については、全米
で 8 位にランクされている。
ワシントン DC 近郊部では、国防総省
や NIH からのグラントを受けたハイテ
ク・スタートアップ企業等が多い。バ
ージニア・テック(VT)のある
Blacksburg はバージニア州の中西部
に位置し、首都 DC から遠く、独自の
産学官連携が発達しやすい土壌。
近年ではバイオ産業の中心地区として
も発展してきている。特に WFU の医
学部は産学官連携が盛ん。検査試薬会
社で最大の LabCorp、大手製薬企業の
Novartis、また植物研究会社として最
大の Syngenta などがその研究所を
Piedmont Triad 内に構えている。
MIT を中心とした「起業」創出メカニ
ズムは、連邦政府や州政府の各種施策
の結果、構築されたというよりも、む
しろ自然発生的に時間をかけて形成。
他州にはなく特に目を引くものの一つ
として、特許収入非課税措置がある。
特許収入(ライセンス料等)を法人所
得税の課税対象額の算出から最大
50%まで控除可能。州政府は、州内の
大学の研究者、特許のデータベースの
ネットワーク(INDURE と呼ばれてい
る。)を構築。
バージニア州政府は企業誘致、起業支
援に特に積極的。例えば、バージニア
州法人税は 6%と他州に比較して低
く、しかも過去 30 年間以上も据え置
かれている。
MIT はその創設時(1861 年)から、
その設立の目的に産業界における諸問
題への実学的な対応が設立法に明確に
記されており、今日に言う、「技術移
転」というコンセプトが約 150 年以
上前の設立当初より存在。
1869 年にランド・グラント大学とし
て、Purdue 氏からの寄付などを得て
設立。Land Grant 大学としての公共
的な性格のため特定のプライベート企
業に貢献することが禁じられていたた
め、1930 年に Purdue 大学と企業と
の間をつなぐ存在として、非営利組織
である Purdue Research Foundation
(PRF)が設立された。
アカデミックな活動の成果による技術
を商業化するなど社会へのそのインパ
クトを最大化し還元することは、大学
の重要な使命の一つとして位置付けら
れ、産学連携の重要性は学内に十分認
識されている。
1872 年に Virginia Agricultural and
Mechanical College として、ランド・
グラント大学として設立。現在は学生
数 3 万人を超え、バージニア州で最大
の大学。大学のモットーである That I
May Serve というフレーズからもわか
るように、研究、発見等を通じて社会
に貢献することが古くからの大学自体
の使命。
バージニア州を始め地域の経済発展が
大学の大きな使命として掲げられ同様
に知財の効率的で有効な普及、知財の
産業界での商業化への活用機会の模索
も重要なミッションとされている。
自然発生ではなく、州政府の各種忍耐
強い政策と実行のもと、現在の全米バ
イオクラスター3 位という地位を獲
得。ノースカロライナ・バイオテクノ
ロジー・センター(NCBC)、
Council for Entrepreneurial
Development(CED)、NC
BioNetwork (NCCCS)の存在は大き
い。
技術移転オフィスは、当初、Duke
大学のサテライトオフィスとして設
立。その後、徐々に知的財産の数を増
やして行き、1987 年には独自運営と
なる。
リサーチトライアングルパーク
(RTP)に研究開発を中心とした企業
が約 170 存在し、その半分はスター
トアップ企業。UNC、Duke、NCSU
が地元企業に対して多くのハイテク人
材を供給。「起業」を支援する組織や
プログラムも充実し、ベンチャー企業
が成長しやすい環境。
同左
Office of Technology
Commercialization(OTC)及び
Sponsored Program Services(SPS)
が存在。OTC は PRF の一組織であ
り、大学内に設置されている。
VT の産学連携を全体的にとりまとめ
ているのは、Vice President for
Research となっている。
MIT はその研究成果について、社会へ
のオープンな普及、学界における自由
な情報交換を促進していくことが MIT
の使命であるとしている。技術移転
は、「教育」、「研究」の下位に従属
するものとして位置付けられている。
MIT は基本的に Non-Exclusive のライ
センス契約を志向。
Technology Licensing Office (TLO)と
Office of Sponsored Program (OSP)
が存在。Associate Provost for
Research が TLO、OSP を監督し、
TLO、OSP 局長は業務の状況等を直
接 Associate Provost に報告。
(注:一部の日本の学外にある TLO と
異なり、MIT では TLO は学内の組織
となっている。)
Office of Sponsored Program(OSP)
大学内の研究者や学生によって発明さ
れた新しいアイディアを商業化し地域
社会、特にNC州へ還元すること、す
なわち、大学のベンチレベルでの研究
を企業の協力を得て市場まで発展させ
ることを、重要な使命として掲げてい
る。
Office of Technology Asset
Management(OTAM)と Office of
Research and Sponsored Programs
が存在。OTAM は COO に直接レポー
トしている。
NCSU 独自の体制として、OTT、
Sponsored Programs & Regulatory
Compliance Services(SPARCS)が
存在。また、これら以外に、Office of
Extension, Engagement, and
Economic Development (EEED)及び
Technology, Education and
Commercialization Program (TEC)が
ある。
OTAM は基礎研究ではなく、より商業
化に近い技術に集中し、ビジネスの観
点から活動を行う。共同研究契約、
MTA 契約等は Office of Research and
Sponsored Programs が担当。
研究成果の特許化、ライセンス等を行
うのが Office of Technology Transfer
(OTT)、企業等との共同研究を管理す
るのが Sponsored Programs &
Regulatory Compliance Services
(SPARCS)。OTT は特許の取得・管
理、ライセンス交渉を主に行い、
SPARCS は研究者の内部・外部資金
申請のサポートおよび企業等との共同
研究窓口として、契約の締結、各種ル
ールの策定等を担当している。
OTT には 15 人、 SPARCS には 23 人
程度の常勤職員が存在。
と VT Intellectual Properties(VTIP)
産学連携に係る学部毎の縦割り組織は
作られておらず、研究成果のライセン
ス等は TLO が、また、企業等との共
同研究を管理する OSP が、全学組織
として管理・運営されている。
Purdue 大学の研究成果等を一括して
管理しているのが、OTC。連邦政府等
からの補助金獲得のサポート、企業と
の共同研究契約の交渉・締結等を担っ
ているのが、SPS。
各学部の研究者等に共同研究・受託研
TLO には 32 人の常勤職員が存在。
OSP には約 50 人程度のスタッフが存
在。
OTC には局長以下 14 人のスタッフが
存在。SPS には局長以下、約 80 人の
スタッフが配置されている。
VTIP には、現在、約 10 人程度の職人
が存在し、現在、組織拡大の途中との
こと。 OSP には約 50 人程度の人員
究等の申し出があった場合、OSP が
一義的に契約交渉を行う。 VTIP は
VT の発明を全て管理し、IP の取得、
マーケティング、交渉、契約、フォロ
ーアップまで全てを一元的に行ってい
る。
NCSUはランド・グラント大学とし
て、農学、軍事学及び工学を教える高
等教育機関として州政府によって設
立。NCSUの Office of Technology
Transfer (OTT)では、そのミッション
として、「大学の発明をノースカロラ
イナ州の利益となるよう地域へ還元す
ること」を第一に掲げている。
WFU の使命は地域社会の経済発展を
リードすることであり、 Office of
Technology Asset Management
(OTAM) はそれを支援することであ
る。
がある。なお、VTIP は大学組織では
なく、別法人。
(2) 関連組織間の役割分担
(3) 人員体制等
バージニア州
OTAM には現在 Director を入れて 8 名
のスタッフが常勤している。Office of
Research and Sponsored Programs
には、40~50 名の人員を抱えている
欧米における産学官連携支援に関する調査研究結果概要 (米国編)
(1) 民間企業からの資金を獲得するた
めの戦略
共同研究
等に関す
る取り組
み
(2) 共同研究等から生じる知的財産の
マネージメント
(1) 技術のマーケティング方法・体制
技術移転
に係る取
り組み
(2) 研究成果を実用化するための大学
内での支援システム・大学発ベンチャ
ーの支援
(3) 特許等のライセンス戦略
人材育
成・確保
産学官連携に従事する人材の確保・育
成方策(研究、キャリア・プラン、職
員の評価等)
が存在。
との事。
教授等に外部資金の獲得を強く奨励。
自らの研究活動費は自ら獲得するとい
うスタンスが徹底されており、企業等
とのコラボレーションへの教授等のイ
ンセンティブも一般的な日本の大学教
授等よりも強い Industrial Liaison
Program(ILP)が展開され、企業と
MIT のインターフェース機能を大きく
発揮。
企業との共同研究では原則として MIT
が研究成果を所有。スポンサー企業は
当該特許等を MIT から優先的にライ
センスするオプションを有する。 MIT
における研究プロジェクトに参画する
者、企業からの派遣研究員、MIT の職
員、学生、他大学からの参加者等全て
の者に対し、発明した成果は MIT に
帰属させることを誓約する Invention
and Proprietary Information
Agreement の提出を義務付けるなど研
究成果の管理が徹底されている。
The Office of Industry Research and
Technology Programs (OIRTP)を設置
している。OIRTP は教授陣等と企業
とのパートナーシップ促進のための窓
口として機能。
基本的に Faculty メンバーが自ら開拓
し獲得することが期待されている。
WFU では外部資金獲得は基本的に研
究者が中心となって行っている。特に
研究者が学会発表や論文発表を行った
際、企業よりアプローチを受けること
が多いとの事。
Office of Extension, Engagement, and
Economic Development (EEED)
は大学と企業の相互間の関係を取り持
っている。教員が論文発表あるいは学
会発表をして独自に外部組織に対して
プロモーション活動をすることによ
り、共同研究資金を獲得するケースも
多い。
研究成果の帰属は共同研究契約の個別
の内容による。ただし、スポンサー企
業の従業員のみによって発見された研
究成果は Sponsor Intellectual Property
と整理され、スポンサー企業に帰属
し、Purdue の IP ポリシーには縛られ
ない。当該共同研究による成果
(Purdue 大学本体に帰属する部分の
み)について、他の企業よりも先に、
利用するかしないかを判断する優先権
(First Option)をスポンサー企業に
与えている
企業との共同研究によって発明された
成果等の帰属等は個別の当該共同研究
契約及び米国特許法の一般原則によ
る。研究成果が VT に帰属した場合、
スポンサー企業は最初に独占的なライ
センスを受ける権利を有する。また、
スポンサー企業は非商業目的に限り、
非独占的に、無料で永久に当該権利を
使用できる権利が与えられる。
教員と学生から生まれた研究成果は基
本的に全て大学に帰属する。
しかしながら、教員が大学以外の資金
あるいは施設を用いて発明した場合、
それは個人の発明として扱われる。ま
た、大学以外の組織により支援を受け
て行った研究成果は、相手組織と事前
に交わした契約書に特別な記載がない
場合、その発明は大学に帰属する。
企業との共同研究契約に関しては研究
成果の取り扱いについて、極めて難航
することが多い。契約書類の雛形はあ
るものの、先方とのやり取りの段階で
相当な改定が必要になる。OTT は弁
護士等の力を借りて、NCSU および発
明者にとって不利とならない様交渉を
行っている。
コールド・コール的なマーケティング
活動は成功率が極めて低く
(1%~5%)、非効率的との認識のた
め、ほとんど実施していない。Case
Manager が当該技術をすべて担当。
マーケティングのコンタクトは発明者
が TLO に提供。
技術毎に Case Manager が選任され、
当該 Case Manager が責任を持って、
特許取得からマーケティング、そして
ライセンスにおける交渉まで、全て担
当する。
Case Manager (CM) がマーケティン
グを担当。産業界から転身した教授等
が比較的多く、発明者が最低でも 10
程度のマーケティング先(コンタク
ト)を提供。
OTAM へ開示されてきた技術はまず、
分野別に担当者(ケース・マネージャ
ー)が割り当てられる。ケース・マネ
ージャーを選任することにより、発明
者との関係が充実し、また技術につい
ての問い合わせが入った際、敏速に対
応することが可能である。
各技術毎にケース・マネージャーを置
き、このケースマネージャーがマーケ
ティング戦略、ライセンス交渉を担当
し、個別に対応。発明者である研究者
らが自らライセンスの話を OTT に持
ち込むことも多い。
スタートアップ企業への支援は極めて
限定されており、MIT としての支援策
は特にない。学生、OB 等によってボ
ランティアで運営されているものが
(例: The MIT 100K Student
Entrepreneurship Contest 等)一部
あるのみ。
一般的に Non-exclusive のライセンス
形態でスタートアップ等の中小企業を
相手先として望んでいる。MIT では実
際に約 20%のライセンスは発明者等
が起業したスピン・アウト企業。
TLO の活動に必要な人材を三種類に
分けると、 Senior Staff、 Junior
Staff、 Administration Staff とのこ
と。教育は主に OJT を通じて行う
が、Junior Staffa が Senior Staff に
「昇進」することは稀。Senior/Junior
スタッフにそれぞれ必要な能力を備え
もつ者をその都度採用。
Trask Venture Fund により、スタート
アップ企業を支援している他、
Purdue Research Parks が、大学の技
術シーズやディスカバリー・センター
からの技術成果等について、商業化を
行う場所として、民間企業等に広く開
放されている。
大学発ベンチャー企業等にライセンス
する際には、ロイヤリティとして
Equity を取得する場合もある。ただ
し、内部規定上、Equity は CCorporation からしか受け取ることが
できず、LLC 等の形態を取るベンチャ
ー企業等からは Equity との引き換え
のライセンスはできない。
Case Manager クラスではアカデミッ
クな経験年数や学位よりも、実際にビ
ジネスに携わり商品開発、マーケティ
ングをした経験、自分で起業した経験
などが極めて重んじられている。 ま
た、職員に AUTM(The Association
of University Technology Managers)
のライセンシング・コースを受講させ
ることもよくあるとのこと。
VT Corporate Research Center
(VTCRC) が、起業前の段階や起業後
の間もない段階で、VT のネットワー
クを活用したビジネスコンサルティン
グ・サービス等を展開している
OTAM の技術移転に係る取り組みの一
つとして重要なのが、インターナル・
マーケティング。これは、研究者に対
して技術移転の存在をアピールすると
いう活動。
OTAM 内には起業に精通な人材が置か
れ、民間コンサルティングと同様な起
業支援を行っている。また、大学のビ
ジネススクール内に、インキュベーシ
ョン施設(Babcock Demon
Incubator)がある
Technology, Education and
Commercialization Program がビジネ
ススクール等に用意されており、学生
等のスタートアップを支援している。
ライセンス先選定の判断の基準とし
て、 Public Benefit がより大きくなる
可能性があるかどうか、ライセンスを
受ける企業の商品やサービスの開発能
力が高いか、ロイヤリティ収入が大き
くなるかの 3 点が用いられている。
相手企業がいくら高い契約金を提示し
てきても、研究者がその契約内容を気
に入らなければ、契約は成立しない。
NCSU が取り扱うライセンス契約の多
くは、教員または研究者が話しを
OTT に持ち込むケース。その殆どは
共同研究から始まっている。契約の
際、相手企業の資金力、技術力等も検
討する。
適切な経験・知識を有する人材を雇用
し、OJT によってトレーニングしてい
る。VTIP では不足する人材の確保の
ために、VT 本体から 4 名程職員を受
け入れている。これらの 4 人は全て
Case Manager としての任についてお
り、VTIP で主要な役割を果たしてい
る。
Director となる人間は必ず十分なライ
センシング、またスタートアップ支援
の経験があることが非常に重要であ
る。優秀な人材の確保が OTAM のパ
フォーマンスに直結するとの認識の
下、人材確保に注力
Licensing Associate が Ph.D.保有者で
あり全員が大学の研究者出身。多くは
他大学の OTT でインターンを経て、
NCSU の OTT に就職。
インターンの多くはロースクールの学
生で、研修終了後弁護士事務所に就職
する事が多い。
欧米における産学官連携支援に関する調査研究結果概要 (米国編)
(1) 特許の取得・管理体制
(2) 特許の取得・活用戦略
発明の権
利化に係
る支援
(3) 特許出願費、管理費の財源
(4) ロイヤリティ収入等の配分方法
成功事
例・失敗
事例
(1) 産学官連携の代表的な成功事例
(2) 産学官連携の代表的な失敗事例
大学間・
地方自治
体の連携
他の大学等・地元自治体との連携の状
況
特許の取得・管理は全て TLO によっ
て行われている。なお、TLO は特許
取得に係る業務を全て外部の民間弁護
士事務所にアウト・ソーシングしてい
る。
Purdue 大学外の組織である Purdue
Research Foundation に設置されてい
る OTC によって行われている(年間
発明開示件数 249 件)。また、特許
申請については外部にアウト・ソーシ
ングされている。
特許の取得は全て特許事務所にアウ
ト・ソーシングされている。
特許申請は外部に委託している。
Knowledge Sharing System を一部活
用
特許申請は外部に委託。特許の管理に
は、Knowledge Sharing System を活
用
MIT では基本的には技術成果の商業化
を図る場合や企業との共同研究契約で
求められている場合にのみ、特許の取
得を試みている。国際的な特許につい
ては、さらに徹底しており、ライセン
ス先が確保されている場合のみ(見込
みのある場合のみ)特許を取得。原則
として、 8 年以上ライセンス先が見つ
からないものについては権利を放棄。
申請件数を既にライセンス先の目途が
立っているような「有望」案件に絞り
込んでいる。案件は特許申請件数の
20%-40%を占めている。6 人全員の
CM が合議し、その結果を踏まえ最終
的に OTC 局長が特許申請をするか、
しないかを判断。
OTAM では仮出願(Provisional
Patent)の申請前に必ず十分な市場調
査等を行い、商業化の可能性があるか
どうかを精査する。そして、可能性が
あると判断された技術について仮出願
を行う。
MIT TLO では、過去 20 年間におい
て、人件費、管理費、特許出願経費・
管理費、弁護士事務所費用(2009 会
計年度の特許関連費用は 1,600 万ド
ル)等は全てライセンシング料収入
(2009 会計年度のライセンシング収
入は 6,630 万ドル)から賄われてい
る。このため、MIT からの予算措置を
一切受けていない。
共同研究実施企業がライセンスを前提
に申請費用を負担する場合を除き、全
て Purdue Research Foundation
(PRF)がその費用を負担している。
年間特許申請関連費用は$3-4Million に
上っており、OTC の大きな支出項目
となっている。特許申請費用総額(新
規申請に係るものに限る)から、当該
年に生み出された新規のロイヤリティ
収入を差し引いた額をモニタリング
し、この差(単純な赤字幅)が
$1.5Million 以下となることを目指して
いる。
ロイヤリティ収入から特許申請関連費
用、TVF への返済(援助を受けている
場合)
残額の 1/3 を発明者へ配分、1/3 を発
明者の属する学部等へ配分、1/3 を
Purdue Research Foundation の Trask
Fund へ配分
発明開示を受けた後、マーケット調査
等を実施し、結果が良好なものについ
てのみ、まず、自ら仮出願を行ってい
る。その後、9 か月以内に更に詳細な
調査を続け、ライセンシーの確保でき
たもの、確保できそうなもの、At
Risk ではあるもののビジネス・ポテ
ンシャルの高いと思われるもの、につ
いて実際に特許事務所を用いて特許出
願を行っている。
VTIP は特許申請費用を 25%削減する
ことを目標に掲げている。 VT 本体か
ら年間数億円規模の支援が行われてい
る。
開示された技術について積極的に特許
取得を検討。特許を申請するかどうか
は、Intellectual Property Committee
による月一回のミーティングで決定。
特許のライセンス先が見つからない技
術についても、市場価値が高いと期待
される技術、尚且つ発明者の意欲があ
る場合、スタートアップを提案し、そ
れに必要な特許申請と起業に必要なネ
ットワーク・人材・知恵を提供。
特許出願経費および管理費について、
大学からの予算措置を一切受けていな
い。ロイヤリティ収入(2008 会計年
度のロイヤリティ収入は 360 万ド
ル)にて賄っている。
間接経費分 15%を差し引いた後、そ
の 50%を発明者へ配分。発明者の属
する学部等へ 10%を配分。そして、
40%を VT がプール。
グロス・ロイヤリティ収入の 35%
を、発明者、10%を学部、55%を大
学で配分
グロス・ロイヤリティ収入の 40%を
発明者へ、5%を学部・研究所へ、5%
を大学本体、そして残りの 50%を特
許費用としてプール
ロイヤリティ収入の約半分は農業関係
技術、獣医学関係技術となっている。
The V.A.C.® 傷口にプラスティック
素材でできたバンドエイドを貼り、陰
圧をかけて傷の修復を促進させるとい
う技術である。現在一億人以上の米国
人が当商品を利用している
Agro Gresh, Inc.の野菜や果物の熟成
を遅らせる技術は、欧州を含め 26 カ
国で利用されているとされている。
Wake Forest 大学と従前より医工連携
を展開しており、医療技術分野等での
研究が進められている。
Piedmont Triad 地区は、86 のバイオ
サイエンス関連企業と、179 のそれを
サポートする企業が集積するバイオテ
ククラスターとなっている。この二大
学間の融合大学院として、ナノサイエ
ンスとナノエンジニアリングを専門と
した学科が設立され、地域へ新しい産
業分野の発展を提供する形となってい
る。
その歴史からも各大学と地方自治体と
の連携が大変活発である。例えば、
NCSU とノースカロライナ大学チャペ
ルヒル校(UNC at Chapel Hill)間で
は、The Joint Department of
Biomedical Engineering (BME) という
学部・学科が設立されている他、商務
省の職員が大学内にポジションを置
き、大学と地元企業の連携を図ってい
る
ま ず 、 ロ イ ヤ リ テ ィ 収 入 の 15% を
TLO へ配分(「改定ロイヤリティ収
入」Adjusted Royalty Income(ARI)
と呼んでいる)
ARI の 1/3 を発明者へ配分、1/3 を当
該発明を行った学部、研究所、センタ
ー等へ配分。ARI の最終的な残額(⑤
と同額)を MIT 本体へ配分し、MIT
全体でプール。
成功事例は数多くあり、そして失敗事
例は成功事例よりもはるかに多くあ
る。
細 胞 外 基 質 ( Extracellular Matrix :
ECM)に関連する技術。
ライセンス収入額は、約 10 年前の
2000 年から徐々に伸びており、2009
年には約$100Mにまで達した。その
為、OTAM は WFU にとっていわば、
「利益センター」として存在。特許出
願費および管理の財源はすべて、大学
から OTAM に配分される運営費にて
賄われている。
Purdue のリサーチ・パークへの取り
組みに係るいわゆる「失敗」
他大学と特許を共同出願し、特許を取
得した場合など、非公式ベースで密に
連絡を取り合うケースがある。例え
ば、ある企業が Purdue の特許をライ
センスしたいと申し出てきた場合に、
具体的なライセンス・フィーに係る交
渉を始める前に、特許を共同出願した
大学(同じ特許を保有している大学)
にコンタクトし、情報交換を行うこと
が多いとのことであった。
欧米における産学官連携支援に関する調査研究結果概要 (米国編)