ホクロのがん(悪性黒色腫)にご用心 ∼ 皮膚がんは早く見つけてきれいに

ホクロのがん(悪性黒色腫)にご用心!
∼ 皮膚がんは早く見つけてきれいに治そう ∼
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中京病院皮膚科
臼田俊和
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“がん”(悪性腫瘍)は、早期発見・早期治療が最も大切である。早期
発見して適切な治療を行えば、完治することができる。胃がん、肺が
ん、大腸がん、子宮がんなどに代表される体内病変(内臓がん)の場合
には、画像検査(X線、CT、MRIなど)、超音波検査、血液検査(腫瘍
マーカーなど)といった精査を行うことによって発見することが可能に
なるが、時間と費用を要することも多い。
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皮膚に生じる異常な変化は眼で見ることができるので、経験のある皮
膚科専門医が診察すれば、皮膚がんの疑いが強いかどうか診断できる場
合も多く、早期発見が最も容易ながんと言える。 近年では、ダーモス
コピー(特殊な拡大鏡)検査を行うことによって、鑑別の精度はさらに
高くなってきている。皮膚がんの診断は、臨床所見、ダーモスコピー、
血液検査、画像検査、皮膚生検結果を総合して行われるが、最終的な確
定診断には「病理組織検査」が不可欠である。
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皮膚がんには数多くの種類があり、代表的なものは基底細胞癌、皮膚
平上皮癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病、血管肉腫、隆起性皮膚
線維肉腫などがある。これらのうち最も悪性度が高く不適切な治療によ
って転移、再発しやすいのは悪性黒色腫(ホクロのがん)である。悪性
黒色腫は悪性黒子型、表在拡大型、末端黒子型、結節型などに分けられ
予後に若干の違いはあるが、早期発見、早期治療(手術)が重要である
ことに変わりはない。
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シミ、ホクロ、イボ、デキモノ、タコなどと思っているものが、「最
近急に大きくなってきた」、「ジクジクしたり出血するようになっ
た」、「痒みや痛みを感じるようになった」、「色に濃淡のムラができ
た」、「周囲に色がにじみ出てきた」といったような際には皮膚がんの
疑いがあるので、皮膚科専門医を受診・相談することが何よりも大切で
ある。また、自家療法を漫然と続けたり、自分で削ったり強くこすった
り、安易にレーザー治療を受けたりすることは、病気を進行させてしま
いかねないので、決して行ってはならない。