「インターネット広告」の - NIKKEIBP Blog

この資料は、流通科学大学の 2005 年度学生懸賞論文
に応募した論文「インターネット広告」のファイルです。
(この論文が、佳作に入選しました!)
この論文は、『日経ビジネス』の以下の記事をきっかけに
して行なった研究活動の成果です。
「特集 もう CM では売れない テレビ万能のウソ」
(2004 年 11 月 8 日号)
(担当教員・清水信年)
1
2005年度学生懸賞論文
題名
インターネット広告
論文要旨
インターネット広告が、従来の広告媒体を追い抜く勢いで急成長
している。われわれはそこに着目し、現在のインターネット広告の
状況を整理し、今後の展開の為にどう動いていくべきかということ
について論じた。
シ メイ イシ ノ
アキノブ
エンドウ
ジュンイチ
ス グリ
タダシ
氏名
石 野
遠藤
須栗
晃 伸
潤 一
理
2
インターネット広告
石野
遠藤
須栗
晃伸
潤一
理
目次
1
2
3
4
5
6
7
8
研究背景
・・・・・P.3
新形態
・・・・・P.3
現在の状況
・・・・・P.4
インターネット広告の長所・・・・・P.6
インターネット広告の短所・・・・・P.8
展開する新機軸
・・・・・P.9
まとめ
・・・・・P.10
参考資料
・・・・・P.11
1.研究背景
われわれがなぜインターネット広告を調べようと思ったのかというと、「日経ビジネス
2004.11.8号
もうCMでは売れない~テレビ万能のウソ~」を読んだことがき
っかけとなり、記事内容の広告媒体のありかたに興味を持ったからである。その中で私た
ちが最も興味を惹かれたもの、テレビ広告とは違った広告媒体であるインターネット広告
の可能性というものについて話し合った。われわれはみなテレビ広告を始めとするプロモ
ーションに興味があったことからグループを組んだので乗り気でテーマを決め、活動を始
めた。最初はテレビ広告との宣伝費状況や、媒体別広告費などのデータ比較から始まり、
基礎知識の勉強・新たな方向性を探るべく調べていくうちにさまざまな事がわかった。
まず、一言で「インターネット広告」と表現するわけだが、われわれが最初にインター
ネット広告として話していたものは最も一般的なインターネット広告である「バナー広告」
のことだけであった。バナー広告は大半の物が細長い帯状の画像でできており、クリック
すれば、広告主のサイトや詳しい説明がのったwebページにジャンプする。といった携
帯電話などでよく見られるものがこれにあたる。多くの人がインターネット広告といえば
この事を想像するほど浸透している。われわれもそのような考え方をしていたのだ。
3
2.新形態
2.1スポンサードサーチ
しかし、調べていくうちに検索エンジンで検索したキーワードに対して露出される広告、
「キーワード広告」が情報のニーズとタイミングを的確にとらえたターゲティングができ、
そのため高い効果が期待できるものであるのではないかと考え、そこから、さらに多くの
広告の種類を調べようと思ったわけである。そして、われわれが想像していたよりも種類
は多く、本やインターネットを用い調べていくうちに次のようなことがわかったのである。
消費者は自分の興味のあるものしか見たくないという人が大勢存在し、インターネット
広告が世の中に出はじめたのに比べて明らかに自分の気にしないものにはクリックしなく
なってしまうようになってきているのだ。そこに登場したのがスポンサードサ-チである。
スポンサードサ-チとは検索結果の一番上に表示されるスポンサー枠にある広告である。
数あるサイトの中で始まりの検索結果にあがるということは、クリックをする事で料金の
入る仕組の中では大きな魅力である。代表な物の例としてオーバーチュア社の広告があげ
られる。カテゴリー系の検索ポータルとして日本国内で Yahoo!が第一位にあげられ、二位
に MSN 三位に goo となっているが、これら 3 つの検索エンジンに広告を出せるのはオーバ
ーチュアだけなのだ。同時に infoseek や Lycos といった検索ポータルにも広告を出せるの
で、オーバーチュアは露出度という点から非常に強力な広告宣伝媒体だと言えるだろう。
スポンサードサーチは、サイトへの扉という点ではバナー広告などと同じものである。
しかし広告なのに広告のように見えないあたかも検索結果のようなので消費者のクリック
を誘うのだ。そのうえ、キーワード広告よりも上に表示されている。広告であることを明
確に表示したバナー広告やポップアップ広告をユーザーの誰もクリックしなくなってしま
ったのは、そのクリックという行為に必要性を感じず、そのリンク先を見てみようと思わ
せにくい点にあるのではないかという意見がでた。実際に自分が必要な情報を探してネッ
トをつかっている時に、その「必要な情報」とは何の関係もなく、しかも宣伝であること
が明らかなバナー広告をクリックするという行為は、ただのムダにしかないと思う人は多
いのではないだろうか。それに比べ、スポンサードサイトの検索結果は、“ユーザーの目的”
と“広告の目的”がうまく一致していると言っていい。ユーザー側は、自然な行動として広告
をクリックするという行為を選択してしまうのだ。このように、消費者のスタイルの変化
にあわせて新しい仕組みや対応策がでてくるのを見て、私たちは感心せざるをえなかった。
2.2電子メール
他に、私達の生活に早くも根付いている電子メール広告についても、自分の欲しい情報
だけが送られてくるようにできる「オプトインメール」と、ランダム方式で送られてくる
「メールマガジン広告」とに分かれているという事を知った。この二つの特徴として前者
は情報を欲しがっている人に送るのでアクセス率が高いということ。後者は不特定多数に
送るので広い幅の属性の消費者にアプローチが可能である。それにより意外なところから
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反応があるかもしれないし、それぞれ長所があるというのが私達の考察である。これらの
ことを考えているうちにインターネット広告に興味をもつようになっていった。
3.現在の状況
次に、インターネットやインターネット広告、その他の広告媒体とその利用状況など、
広告に関係ありそうなさまざまなデータを集めていくことにした。その理由は、今のイン
ターネット広告がどのような状況におかれているのかを明確にするためであり、その中で
われわれが大きく注目したのは「一日で最も多く見ている情報メディアは何か」というこ
とと、「インターネット利用で減ったと思うメディアは何か」ということだ。
下記のグラフは2004年にアクセス
メディア
インターナショナル株式会社(以下、
アクセスメデイア)の行った調査によるものだが、この結果により、一般的にどの家にも
平均一台~二台あるテレビが日本の中の最大の情報メディアである事が明確にわかり、現
在の広告業界の状況ではテレビ広告が俄然優位であることは間違いないだろう。
N=3350
一日で最も多く見ている情報メディア
テレビ(地上波)
インターネット
ケーブルテレビ
新聞
平日
休日
衛星放送
ラジオ
雑誌
携帯・PHS
その他
0
20
40
5
60
80
N=3350
ネット利用で減ったと思うメディア
テ レビ ( 地 上 波 )
新聞
TVゲーム機
固定電話
携 帯 電話 ・ P HS
ビ デ オ・ DV D
CA T V
無回答
0
10
20
30
40
50
しかし、インターネットを使う事で利用率が下がったと思われるのは何かというアクセス
メディアの行った調査に対して一番多かった回答もテレビだった。この2つのことから推
測されるのは、インターネットを利用する人が増えていけばテレビを見る人は徐々に減っ
ていき将来的にはインターネット広告のほうが、テレビ広告に換わり情報メディアの主流
になっていくのではないかというのがわれわれの話し合ったうえでの意見である。今まで
あまり社会の流れというものに気を配っていなかった人でも身近なところにあるインター
ネット広告が社会へ普及してきていることを感じ取っている人も多いだろう。
ここで、電通総研によるインターネット広告全体での広告費を1年単位で調査した結果を
挙げてみる。
(億円)
インターネット広告の推移
1400
1200
1000
800
広告費
600
400
200
0
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 (年)
6
1996年の段階では16億円少々だったのが、翌年の97年には約4倍の60億円にま
でになり、2000年には590億円、2003年には1183億円という7年間で70
倍まで規模が膨らむという成長を遂げていたことがわかった。また、電通のプレスリリー
スから2005年2月17日、電通の「年日本の広告費」を発表したものによるとインタ
ーネット広告費は前年比約153%の1814億円になっている。なんとラジオ広告費を
抜くほどの勢いで成長を続けていた。また、雑誌広告を抜くこともそう遠い話ではないと
考えられる。
4.インターネット広告の長所
4.1 商品カテゴリー
以上のようなインターネット広告の基礎知識とインターネット広告およびその他の広告
の現状を踏まえた上で、インターネット広告の長所はどういう点にあるかということを考
えてみた。
1つは、様々な商品カテゴリーに対応した広告が展開できるという点である。ここでい
くつかの例を紹介してみたいと思う。
まず、車のような高額商品の場合、消費者は理性的に購入するか否かを考える。このよ
うな、商品を購入する際に、消費者は商品に関する必要な情報をできるだけ多く得ようと
するであろう。ここに、車を購入しようと考えている消費者がいるとする。テレビCMの
場合だと15秒。長いCMだと30秒の間に情報を得なければならない。しかし、この短
時間で得られる情報ではその車のメーカーであったり大まかな形や色など、姿かたちであ
ったり商品イメージといった浅い情報しか得ることができないであろう。また、その内容
にしてもその消費者が本当に必要としている情報が得られるとは限らない。特に、車の購
入を考えている慎重な消費者にとってはテレビCMで得た情報はだけでは不十分であろう。
そして、消費者は何かしらの手段でカタログやそれに代わる何かを得て、さらに深い情報
を得ようとするであろう。しかし、インターネット広告の場合、テレビCMで得られる大
まかな情報はもちろん、その消費者が必要としている細かく深い情報を得ることも可能に
なってくる。つまり、テレビCMの範囲とカタログの範囲を兼ね備えているといってよい
であろう。また、パソコンさえあればこの情報を好きなときに、瞬時に、時間的な制限も
なく得ることが可能である。
次に、アパレルや宝飾品のような商品の場合、消費者は情緒的な動機で購入を考えやす
くなると思われる。このようなタイプの商品にもインターネット広告は対応できると考え
られる。なぜならパソコンの画面でも雑誌に劣らない豊かな色彩を表現できるし、テレビ
CMにも劣らない滑らかな動きも表現することが可能だからである。さらに、価格に手が
届くような商品の場合には、そのまま広告を見てすぐに、インターネットを利用して購入
してしまうこともできるため、テレビCMや雑誌広告では不可能な商品を認知するところ
から商品を購入するまで一気に行うことができる。つまり、インターネット広告は、広告
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機能と販売機能を兼ね備えている唯一の広告といえるであろう。
最後に、食品や飲料のような低関与型の商品の場合、インターネット上で、料理のレシ
ピを紹介したり、ゲームや占い等のサービスを行ったりして、消費者に様々なサービスを
提供していく、変わったアプローチもとられている。まず、関与という言葉の意味は、製
品、広告、購買行為といった消費過程のさまざまな局面に、消費者がどの程度関与するの
かということである。これらは、今まで紹介してきた2つの例とは違い、提供する情報が
必ずしも商品自体の情報ではないという点である。例えば、調味料の場合、消費者の環境
や好み、季節などそれぞれのニーズに合わせた複数のレシピを載せることで消費者を引っ
張ってくることも可能である。また、ゲームや占い等遊び心のあるサービスを行うことも
消費者を引っ張ってくるためのものであると考えられる。このように、様々なサービスを
消費者に提供していくことで、消費者がブランドに能動的に向き合えるきっかけを作れる
のである。
このように、インターネット広告は、様々な商品カテゴリーに対応できる広告であると
いえる。
4,2
高度なターゲティング
そして、インターネット広告の2つ目の長所は、高度なターゲティングができる点である。
テレビCMの場合、ターゲティングを意識して広告を流せる範囲といえば、広告を流す地
域と時間帯くらいである。しかし、インターネット広告はより高度なターゲティングが可
能である。例えば、会員制のウェブサイトの場合、その消費者の個人情報を得ることが可
能になる。したがって、その消費者の居住地域や性別、年齢、職業、家族構成、趣味嗜好
から所得までいろいろな情報から、消費者の属性に合わせたターゲティングを行うことが
可能になる。
また、ドメイン別配信技術を使用することにより、高度なターゲティングもできる。こ
れによって、アクセス利用者に対して学生向けの広告配信を行うことも可能になってくる。
そして、IPアドレスから利用者の地域を判別し、その地域別によって消費者を分け、
それに合わせた広告の配信も可能になる。
さらに、ターゲットとなる消費者がインターネットをよく利用する時間帯や購買のタイ
ミングを知ることによって、その時間帯に合わせた時間帯別の広告配信まで可能となって
いる。ターゲットとなる消費者を細かく分類し、それに合わせた広告を流すことはテレビ
CMの場合、現実的に難しいといえる。そのため、広告をターゲットとしてまったく向か
ない人に対して流してしまう、広告の垂れ流しといえるようなことが起こりやすい。しか
し、インターネット広告の場合はターゲットの細かい分類が可能になるため、消費者や消
費者になり得る可能性の高い人を選別しやすい。また、選別したターゲットに対して有効
に広告を流すことができる。つまり、高度なターゲティングによって、消費者と消費者に
なり得る可能性の高い人に的を絞り、その人に対して広告を流すことができるのである。
8
だが、インターネット広告にも短所が存在する。その大きな短所として3つ挙げてみる。
5.インターネット広告の短所
5.1 露出度
1つ目は、テレビに比べて圧倒的に露出度が少ないという点である。インターネット白
書が3350人に行ったアンケートの、「1日で最も多く観ている情報メディアは?」とい
う質問の結果、テレビが1位で2位のインターネットの約3倍となった。この結果から、
テレビを見ている人の方が圧倒的に多い分、そこからCMを観ない時間を差し引いても露
出を考えた場合はインターネット広告よりテレビCMということになる。少なくとも、テ
レビのほうがターゲットに訴えかけられる範囲と回数では圧倒的に多く与えられているこ
とになる。
5.2
コスト費用
2つ目は、インターネット広告はコストが高いという点である。インターネット広告の
場合、広告露出1000回あたりのコストが400円程度とされている。最も安いのがラ
ジオの100円程度で、テレビで200~400円程度となっている。このことから、イ
ンターネット広告はコストの面ではあまり良くないといえる。
5.3
危険性
3つ目は、インターネットにはワンクリック詐欺をはじめとする、インターネット特有
の様々な問題があるという点である。このような問題は、インターネット広告にとって障
害となっていることは間違いないであろう。そのため、今後はインターネット社会に残さ
れている問題解決と更なる発展が、インターネット広告の発展には不可欠であると考えら
れる。
ここで、インターネット広告の特徴をまとめると、
・ 広く浅い情報から、細かく深い情報までを得ることが可能
・ 画像や動画、音声の面で他の媒体には劣ってない
・ 商品自体に限らない情報やサービスを提供でき、能動的にブランドと向き合えるきっか
けを与えられる
・ 利用者の情報を得ることによって、より高度なターゲティングが可能
・ 露出度はテレビと比べまだまだ落ちる
・ コスト面では良い媒体とはいえない
・ インターネット特有の問題の存在
となる。
テレビを筆頭にわれわれの社会には複数の広告メディアが存在し、それら各メディアを
利用した広告には長所も短所もある。しかし、インターネット広告は、テレビCMや雑誌
9
のように映像で流したり、誌面に載せたりするだけでなく、工夫次第で色々なアプローチ
のできる、可能性にあふれた広告といえるであろう。
6.展開する新機軸
6.1
携帯電話の有効利用
次の可能性として、インターネット広告と携帯電話についても検討してみた。携帯電話
は、電話をしたり、メールをしたりといった他人とのコミュニケーションを図るために自
宅であろうが、学校であろうが、職場であろうが、街中であろうが携帯の電波の届く場所
であれば、歩いている時でさえも使われる媒体である。そして、現代社会に生きる人たち
にとって欠かすことのできない存在であると言える。そんな持ち主と共に常に移動できる
身近な存在である携帯電話にインターネット広告をのせることができれば、これほど効率
の良いものはないのではないかと考えた。そして、これをうまく利用する方法をわれわれ
なりに模索してみた。新聞の間に挟んで配布するスーパーのチラシの代わりにケータイの
広告宣伝を行うなど様々な案がわれわれの間で出てきたのだが、これに関連し、参考資料
の中に良い実例が掲載されていたので紹介したいと思う。
6.2
石川県
堅町商店街の例
石川県金沢市にある堅町商店街では、「若者の気持ちをつかみ続けるために、もっと新し
いことを」ということから携帯の専用サイトを開設し、そこにはセール情報、イベント情
報、ショップ情報、ランチ情報、クーポン情報など商店街で使える、楽しめる情報を掲載
していた。このサイトの開設による利点は、ダイレクトメールと比べて、コストも手間も
かからない点にある。消費者の利点で最も突出している点は、クーポン情報であると思う。
普通のクーポンを利用しようとするとダイレクトメールであれば、必要事項等を記入し、
場合によっては切り取らなくてはならない。同じインターネット広告でもパソコンだとク
ーポンのあるサイトからわざわざ印刷して店頭に持って行かなければならない。記入した
り、切り取ったり、印刷したりすることはどちらかといえば、それほど面倒なことではな
いように思うが、ただそこまでしてクーポンを利用しようとする人は多くはないのではな
いだろうか。しかし、携帯電話によるクーポンなら切り取ったり、印刷したりする手間が
なく、ただそのクーポンを携帯電話に保存しておけば、後は店頭に出向いた時に携帯電話
に保存したクーポン情報を店員に見せるだけである。
6.3携帯電話媒体の問題
携帯電話を媒体としたインターネット広告にも良い面ばかりでなく、以下のような問題
がある。まず携帯電話では、一度で見られる画面の大きさに問題がある。今までインター
ネット広告は、そのほとんどをインターネットのできるパソコンによって、閲覧される事
を前提に展開されている。パソコンではある程度の画面の広さを確保することができるの
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で、消費者の目にふれる可能性は高かったのだが、携帯電話の限られた画面ではそれが叶
わない可能性がでてくる。さらにその限られた画面で消費者に言いたいことをいかに掲載
するかという広告を作る側の技術的な問題もある。画面が限られるということは文字だけ
の広告にしたとしてもパソコンと比較するとほとんど書くことができない。視覚だけでな
く、聴覚に訴えるという手もあるが、携帯電話の機能にあるマナー設定などによって必ず
しも音が出るとはかぎらず、また電車の中や街中で大きな音を出すと周辺にいる人にも迷
惑をかけることになるので、インターネット広告を配信する側にもそれを受け取る側にも
少し考えるべきところがある。さらに各携帯会社の壁をいかに超えるかという問題もある。
現在、どの携帯会社からも見られる統一されたサイトがない訳ではないが、このようなサ
イトはまだ少数であり、各携帯会社の規格にあったサイトをそれぞれに作らなければなら
ない。こういった問題を解決しなければ携帯電話を媒体としたインターネット広告のさら
なる発展は難しいと思われる。
7.まとめ
結果として、1つ目に言える事は「インターネット広告は購買行動につながりやすい」
ということだ。何か欲しいものがあるという時にその商品の広告が消費者に届けば、これ
ほど購買行動につなげられるものはないだろう。またテレビ広告のように得た情報を急い
でメモしたり、ダイレクトメールを鞄に入れ忘れたりする手間から開放されるという利点
もある。2つ目に「インターネット広告が地域や人などターゲットを絞って配信すること
で効果が出やすくなる」というもの。ただ無差別に配るチラシと違い、ターゲットを絞っ
た宣伝を行えば、無駄なコストをかけることがなくなる上、財政的に広告にお金をかける
ことができない企業あるいは商店街でも広告宣伝に手を出すことができる。例えば忘年会
や新年会などの飲み会の決まったシーズンに、飲食店での情報を求めている消費者(この
場合、幹事の方)の目にふれさせることができれば、効率の良い宣伝になると思われる。
3つ目にわれわれの考えではインターネット広告は世界の人に発信できるということと検
索条件が合えば人の目に留まること、手軽に修正・補完できることが大きな魅力になって
いるのではないかと考えている。他にもブロードバンドやデジタル家電が牽引して増加に
転じたのではないだろうかという意見が出たのも興味深いし、インターネットの普及率が
あがったことによってインターネット上で動画をつかった宣伝をする「ネットCM」の積
極的な取り組みや、バナー広告からのキャンペーンなどによるプレゼント抽選の応募など、
インターネット特有の強みを生かす動きが活発化してきだしたのも市場の拡大が大きな要
因に違いない。これからも広い範囲に使われていく状況と、その使われ方のさらなる深化
によって消費者接点として必要不可欠なメディアに定着することは間違いない。
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参考資料
・特集
もうCMでは売れない
テレビ万能のウソ、日本BP社
日経ビジネス 2004/11/08 号、p.28-38
・アクセス
メディア
インターナショナル㈱(2004)
『インターネット白書2004』、
東京、株式会社インプレス
ネットビジネスカンパニー
・D2コミュニケーションズ
iモード・マーケティング&広告
~モバイル広告を軽視する企業はもう生き残れない~
東洋経済新報社、2001、p.48-49、p.64-65、p.88-93
・富士通総研
http://www.fri.fujitsu.com/jp/modules/home/
・インターネット広告のひみつ
http://www.netadreport.com/
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