第9回 山形京二会報告

NEW WAVE
第9回
山形京二会 報告
執行役員 寺
内
宏
11 月 13 日(金)に第 9 回「山形京二会」をホテルメトロ
2)頑張っているのに儲からない事業
ポリタン山形にて開催いたしました。当日は多くのお取引
頑張っているのに儲からない事業として液晶パネル、
先様のご出席をいただきました。特にこの一年間の状況
DRAM メモリ、カーナビ、太陽光発電パネルなどが挙げ
を振り返り「山形京二会」が開催できたことはお取引先様
られます。これらは年々市場占有率が低下しています。
のおかげと感謝申し上げます。
工業所有権は圧倒的に日本の登録数が上回っています。
講師の小川睦夫様は株式会社リコーグループ開発本
しかしグローバル市場での占有率は低下しています。
部前シニアマネージャーを経て現在は MOTT 代表とし
オープン環境の国際分業化が加速すると我が国は例外な
てご活躍されています。豊富な経験と情報を基に近年の
く市場撤退への道を歩むことになります。イノベーション
デジタル化における工業ビジネスについてお話を伺いま
の成果/知財が競争力に寄与できていない現状が見え
した。
ます。我が国の製造業に構造的な問題が内在していると
考えます。
「デジタル化の潮流」
~儲かるビジネスモデルと 儲からないビジネスモデル~
3)日本のエレクトロ産業が勝てないのは?
MOTT 代表 小川睦夫 様
我が国 のエレクトロニクス産 業 の 営 業 利 益 推 移は
1995 年を境に歴史的転換期を迎えました。それ以前は
(株式会社リコー グループ開発本部
前シニアマネージャー)
知財対応の時代でありエレクトロニクス業界は世界の景
1)厳しい事業の現実
気変動や為替により同じ影響を受けていました。しかし
かつて半導体製造(露光)装置はニコン、キャノンの 2
1995 年以降トップ 10 社の営業利益率は低下し他の産業
強により世界市場を席巻していました。'95 年には世界
と同じ歩調で進むことが出来なくなっています。これが知
の 76% のシェアーを占めていました。ところが '98 年に
財マネージメントの時代と考えます。
(IT バブルなどの急
は 67%、2000 年には 58%、昨年 '08 年には 34% と大き
変する景気変動の時代)
く市場を減少させています。逆に海外企業の ASLM が
66% もの市場を確保しています。
4)日本企業はどうするべきか
原因は日本企業特有の垂直統合型ビジネスモデルと水
グローバル市場において得意領域はブラックボックス
平分業型ビジネスモデルの違いによるところが大きいと
化し協業領域と競争領域を事前に見極めることです。国
分析します。垂直統合型ビジネスとは企業グループ内で
際標準化の流れは逆らえないが市場で優位性を持つため
全ての基幹ユニットを開発、設計、販売、サービスを一元
の得意領域をブラックボックス化することで日本企業の
化することで装置への要求性能を向上、開発することで
潜在的競争力を発揮し重要なニーズを満たし提供するこ
した。水平分業型は世界中の各メーカーが効果的に知恵
とが可能ととらえます。常に前向きに閃きを大切にするこ
を出せる仕組み(R&D コラボレーション)を重視し優秀な
とです。
人事や技術を共有することです。デバイスメーカー側の
多様な要求をより的確にまた迅速に把握することは企業
においてもっとも重要な対応です。
小川様、ご講演ありがとうございました。