コクと浸透性を両立した新たなクリーム製剤を開発

PO21R037
2009 年 7 月 8 日
コクと浸透性を両立した新たなクリーム製剤を開発
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:岩
﨑泰夫)は、クリームの使用感としてこれまで両立が難しいとされていた、「コク(濃密さ)・密閉
性」と「浸透性」の 2 つの特徴を合わせ持った製剤の開発に成功いたしました。
一般的にコクや密閉性のあるクリームは浸透性が低く、一方で浸透性の高いクリームはコク
に欠けてしまい、2 つの使用感の両立は難しいとされていました。乳液やクリームなどの化粧品
は、水性の成分と油性の成分を、乳化剤で乳化してつくられます。クリームの場合、その使用
感はエマルションの状態(水・油の一方が粒になり、他方に分散した状態)によって異なります。
(各エマルションの詳細については、次頁参照) 油が粒となり、水中に分散している「O/W(水
中油)エマルション」では、固形の脂を使用できるためコクはありますが、浸透性を出しにくくな
ります。一方水が粒となり、油中に分散している「W/O(油中水)エマルション」では、浸透性は
ありますが、固形の脂を使用できないためコクを出しにくくなります。さらに、W/O エマルション
を水中に分散させた多層エマルション、「W/O/W エマルション」もありますが、これらの使用感
を両立できるまでには至っていませんでした。
こうした課題を解決するべく、今回ポーラ化成が新たに開発したエマルションは、W/O エマ
ルションを水中ではなく O/W エマルションに分散させた「(W/O+O)/W エマルション」です。こ
の新型多層エマルションは、O/W エマルションの持つコク・密閉性と W/O エマルションの持つ
浸透性の 2 つの特長を合わせもっています。W/O/W エマルションから成る当社従来クリームと
比較して、密閉効果が約 80%、浸透効果が約 10%高くなり(グラフ 1・2 参照)、「コク・密閉性」
と「浸透性」の両立に成功しました。 また、実際に肌に塗布した際には水分量、柔軟性、キメ
などにおいて肌状態が良化しました。(次頁参照)
この研究技術は、この秋行われる日本化学会コロイド及び界面化学討論会、日本感性工学
会大会で発表する予定です。また、㈱ポーラの 2009 年秋の新製品に応用される予定です。
従来エマルション
W/O/W
従来エマルション
W/O/W
新型多層エマルション
(W/O+O)/W
新型多層エマルション
(W/O+O)/W
0
1
2
密閉性
グラフ 1 各エマルションの密閉性(1 が密閉効果なし)
8
8.5
9
9.5
浸透率(%)
グラフ 2 各エマルションの浸透性
【リリースに関するお問い合わせ】
㈱ポーラ・オルビスホールディングス グループ広報室
Tel 03-3494-7123/Fax 03-3494-7640
ポーラ・オルビスグループは、「世界中の人々に笑顔と感動をお届けしたい」を理念に、化粧品会社7社をはじめとする 27社で構成される企業グループです。
参考資料
従来の各エマルションの特長
O/W(水中油)エマルション
油が粒となり、水中に分散している
油
固形の脂を使用できるため、
水
コクはあるが、浸透性を出しにくい。
水
W/O(油中水)エマルション
水が粒となり、油中に分散している
浸透性はあるが、
油
固形の脂を使用できないため、コクを出しにくい。
油
水
W/O/W エマルション
W/O エマルションを水に分散させている。
安定化のために硬い感触になってしまう。
新型多層エマルションの特長
(W/O+O)/W エマルション
【高密閉】
水と油の 2 つの膜が
水
形成されるため、
高い密閉感がある
肌に塗布
【高浸透】
油
ふんだんに配合された
有効成分が肌内部に浸透
※肌に塗布した際の
図はイメージです。
新型多層エマルションの技術を応用したクリームを使用した際の、肌の変化率
キメ
今回の技術を応用したクリームを
夜、肌に塗布した際の、翌朝の
肌状態の変化を測定。
柔軟性
その結果、肌のキメ・柔軟性・
水分量において良好に変化した。
水分量
0
2
4
肌の変化率(%)
6
8