ロボット支援手術と前立腺がん

2015 年 11 月 21 日
勉強会メモ
テーマ
前立腺がんに対する低侵襲性ロボット支援手術
泌尿器科 医師 知名 俊之
日時:2015 年 11 月 21 日
≪勉強会メモ≫:
レジュメに従って説明。
○勉強になったこと
1.ロボット手術の現状。
2.ロボット手術の優位性。対腹腔鏡手術、開腹手術
3.前立腺に対するロボット手術の実際。
1.ロボット手術の現状。
・ダ・ヴィンチとは US 企業(Intuitive
Surgical 社)のロボット支援手術システム
のこと。
・大きく分けて①ビジョンカート②ペイシ
ャントカート③コンソールの 3 つの装置か
らなる。
③は操縦席で正副 2 名で操作(手術)する。
・ダ・ヴィンチは人間の手よりもさらに器
用でこれまで人間が困難だった部位も比較
的容易に手術できる。
・歴史:
1999 年 1 月ダ・ヴィンチ発表。
2000 年 US の FDA 承認。
2009 年 11 月に日本で薬事法承認。
2012 年 4 月~
日本で前立腺摘除におけるロボット支援手術に保険適用。
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2015 年 11 月 21 日
勉強会メモ
ただし、腎臓や膀胱の手術に適用可能だが、今のところ自由診療(保険適用外)。
・World-Wide
世界で 3000 台以上導入。第 1 位は US で 2100 台以上、第2位は日本で最近では 190 台以上と推定。
当医院には最新機 2 台ある。
世界では年間 50 万件超、実施されている。
泌尿器科と婦人科での利用が多い。
世界的には婦人科での利用が第一位(2013 年)
・手術実績
2013 年 7 月~2015 年 4 月
261 例
12~14 件/月(1 日 2 件、午前と午後各 1 件)
前立腺がん 231 例
腎がん
膀胱がん
25 例
5例
2.ロボット手術の優位性。対腹腔鏡手術、開腹手術
・比較優位 3 つの手術方法の比較が示された。
特に
①手術時間が短い。約 2 時間。
②神経温存(勃起)が緻密に可能。腹腔鏡手術
よりも緻密。
③技術習得が早い。偉い先生でなくていい。
なお、デメリットを質問、回答は次の通り。
約 2 時間、角度のついた手術台に載ることにな
るので
①重度の緑内障など眼圧がかかるのを避けなけ
ればならない病の方は向かない。
②直腸手術を受けた方など、開腹しないと内部がわからないような方に向かない。
なお、症例実績では
トラブル(例えば、合併症の場合)がない限り開腹手術をやることにはならない。
これまでの実績では直腸に大きな穴が発見された場合があったが
約1%の確率。
3.前立腺に対するロボット手術の実際
・手書きの図(絵)で説明があり、わかりやすかった。
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2015 年 11 月 21 日
勉強会メモ
・下腹部に全部で 6 か所穴(創:キズ)
を開ける。
創の大きさは最大 2.5~3.0cm を 1 か所、
他の 5 か所は 1cm 以下。
最大の穴から前立腺を全摘する。前立腺
は部分摘出ではなく全摘になる。
・ロボット支援手術の得意技は膀胱と尿
道の 360 度縫い合わせ。
・手術所要時間約 2 時間。これに対して
麻酔手術は平均 225 分と長い。
・術後
翌日:歩けて 食事再開
翌々日~3 日目:お腹の管が抜ける
7 日目:創の抜糸(抜鉤)尿の管抜ける。
⇒退院へ 約 2 週間の期間をみていれば十分。
US などは入院費用が高いので翌日退院となるようだが、患者の負担が大。
日本は医療制度が利用できる。
・退院後
安静は不要。過労を避ける。
ウォーキング、ジョギングや軽い運動(ゴルフなど)は OK。
尿漏れは半年から 1 年対策が必要だが、軽快する。
定期検査(PSA)が好ましい。
以上
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