大きく変革するハイエンドオーディオ(PDF)

MINISTÈRE DES AFFAIRES ÉTRANGÈRES
9 号 – 2013 年 3 月
大きく変革
きく変革する
変革するハイエンド
するハイエンドオーディオ
ハイエンドオーディオ
ハイエンドオーディオ
ハイエンドオーディオの
オーディオの世界は
世界は、フランス企業
フランス企業の
企業の創造性や
創造性や技術的成功を
技術的成功を示す好例です
好例です。
です。研究開発の
研究開発の努力
が驚異的な
驚異的な進歩をもたらし
進歩をもたらし、
をもたらし、その恩恵
その恩恵を
恩恵を専門家も
専門家も一般愛好家も
一般愛好家も受けています。
けています。
ハイエンドオーディオは「メード・イン・フランス」が極めて高い魅力を維持する部門です。「メー
カーは文化、高級品、人生を楽しむ国というフランスのイメージに恵まれています」とマドテック社の創
業者で、専門誌のコンサルタントを務めるドミニック・マフラン氏は指摘します。同社は御影石製のエン
クロージャーを使ったユニークなスピーカーシステム「アンセント・ブルー」を開発しています。とはい
え、「ヨーロッパ市場はあまり好調ではありません。アメリカ市場もいくぶん持ち直しているようですが、
よくはありません。危機はとりわけ中間層や低所得層に影響を及ぼしているため、販売も 1,000 ユーロ以
下の製品とハイエンド製品の二極化が進んでいます」と声を落とします。
世界の主要な高級オーディオメーカーの中でも高い地位を
占めるフランスは、最先端技術と独創的で洗練されたデザイ
ンを調和させた独特な製品を生み出しています。フランスの
メーカーは製品の大半をアジア諸国やロシアに輸出していま
す。例えば、ジャディス社は「古風な」真空管を使った独創
的な装置を商品化しています。外観の仕上げも見事で、とり
わけ磨き上げられたステンレスと真ちゅうのシャーシが高く
評価されています。新進気鋭のドヴィアレ社は、音楽愛好家
が求めるすべての機能を組み込んだ「オールインワン」のデ
ジタル・アナログ・ハイブリッドアンプを開発して大きな成
功を収めています。1 万 2,000 ユーロの製品の販売台数が初年度だけで 500 台に達したので、同社の経営
陣はこの機器の普及品を開発するために 1,500 万ユーロの資金を集めました。カバスは前でも後ろでもリ
スニングポジションに関係なく同じ音が得られるスピーカーシステムを提供しています。トリノヴはコン
ピューターのキーボード操作で室内音響特性を補正できるスピーカー調整システムを開発しました。エリ
プソンのスピーカーは 1950 年代に初登場して以来、常に球形です。
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レコードへの回帰がひそかに流行する一方で、媒体の非物質化に配慮した幅広い接続性を備えた機器と
ともに「オールデジタル」の傾向が確実となっています。各メーカーがこうしたタイプの製品に力を入れ
ています。「音源からスピーカーまでデジタル信号を処理するエレクトロニクスが出現しています。これ
によって変換の段階が排除されるとともに、複数の機器で構成されていた従来のシステム(CD プレー
ヤー、コンバーター、プリアンプ、パワーアンプ)から大半のケーブルが取り除かれ、音響再生システム
の大幅な簡素化、低価格化、音質向上を可能にしています」とドミニック・マフラン氏は説明します。
フランス音響音楽探求調整研究所(IRCAM)は音の空間化を研究しています。音響コンテンツの制御の
ほか、コンサートホール、歌劇場、講堂、劇場、映
画館、テレビ会議室などの空間における必要に応じ
た音の演出や拡散の研究です。「映画やテレビの
3D への進化を、3D サウンドの再構築によりバック
アップします。我々は波面合成法(WFS)やアンビ
ソニックスのような高密度なスピーカー網に基づく
システムによって、聴取する場所に関係なく音を再
現します」と音響研究担当のオリヴィエ・ヴァリュ
スフェル氏は説明します。
IRCAM の研究者はバイノーラルなアプローチも
IRCAM のホール
研究しています(ますます増えるヘッドフォンによる個別聴取のため)。これは頭部と耳介の音響指紋の
測定と活用に基づいています。「この音響サインは指紋のように人によって違うので、解決策は個別化デ
コーダーにあります。さらに頭の動きを補うとともに、本当にリアルな音が外部にあるように、音それぞ
れに生命感があるように、音が頭の中にあるような印象を受けないようにするシステムも必要です」とオ
リヴィエ・ヴァリュスフェル氏は語ります。
BiLi プロジェクトは 3D 音響の開発と大規模な商品化が目標で、フランスのヘッドフォン個別聴取関連
産業を構築しようとしています。フランス・テレビジョンが音響部門の数多くの官民アクターと連携しな
がら先導するこの野心的なプロジェクトは、ヘッドフォンで聴取可能なすべての機器へのこの 3D 音響技
術の大規模導入につながるに違いありません。3D オーディオ技術、より正確には 3D バイノーラル再生に
よって、間違いなく大きな産業の展望が開かれています。
シルヴィー・トマ
参照ホームページ
フランス音響音楽探求調整研究所:www.ircam.fr
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