昨年に続き、2009年もErbituxがASCOより選定

当資料は、独Merckより11月16日(現地時間)に配信されたニュースリリースを
翻訳・編集したものです
2009年12月16日
メルクセローノ株式会社
報道関係各位
昨年に続き、2009年もErbituxがASCOより選定
Erbitux、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)患者へのファーストライン治療で
生存期間を30年ぶりに有意に延長
2009年のがん治療における大きな進歩として認められる
 Lancet Oncology 誌にて、Erbitux 放射線併用療法で局所進行SCCHN患者の5年生存率が約50%で
あったという長期生存データが発表される
【独ダルムシュタット】米国臨床腫瘍学会(ASCO: The American Society of Clinical Oncology)は、昨年に続いて、
2009 年におけるがん治療分野の「大きな進歩:Major Clinical Cancer Advances」の 1 つに Erbitux®(一般名:セツ
キシマブ:遺伝子組み換え)を選定しました。本年の選定は、Erbitux が再発・転移性頭頸部扁平上皮がん
(SCCHN: Squamous Cell Cancer of the Head and Neck)患者のファースライン治療において、30 年ぶりに生存期
間を有意に延長させたことが認められたことによります 1。
ASCO で発表された臨床における進歩 1
Journal of Clinical Oncology 誌に「2009 年、がん治療分野の臨床における進歩:がん治療・予防・スクリーニング
に関する重要な研究上の進歩(Clinical Cancer Advances 2009: Major Research Advances in Cancer Treatment,
Prevention and Screening)」と題する報告が発表されました。この報告では、過去 1 年間を通じてがんの治療分野
で際立った重要性を示す臨床試験を ASCO が独自に評価しています。
本年の選定は、SCCHN のファーストライン治療で Erbitux を用いた主要臨床試験 EXTREMEa が評価されたこと
によります。本試験は、過去 30 年間にわたり、再発・転移性 SCCHN 患者の生存期間を延長させるレジメンとして
認識された初の無作為化試験でした。ASCO の報告では、「過去 30 年間にわたり、複数の無作為化試験におい
て SCCHN に関する各種化学療法レジメンの比較が行われてきたが、化学療法により全生存期間を延長させるこ
とができるという確証は得られなかった。その意味で、今回の EXTREME 試験における結果は特筆すべきでもの
であり、臨床現場に大きな変革をもたらすものとなるだろう」と、述べられています。
Erbitux が ASCO の「進歩:Advances」リストに掲載されるのは、昨年に次いで 2 度目となります 3。昨年は、非小細
胞肺がん(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)のファーストライン治療での生存期間の延長が認められたこと、
また新たに転移性大腸がんと診断された患者において、Erbitux の効果を予測するバイオマーカーとして KRAS
遺伝子の役割が認められたことという 2 つの要因から選定されました 2。
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Merck Serono の癌領域部門エグゼクティブ・バイスプレジデントであるヴォルフガング・ヴァインは、「Erbitux が 2
年連続で、しかも大腸がん、肺がん、そして今回は頭頸部がんと 3 つの異なる癌腫で、『臨床における大きな進
歩』 として ASCO に認められたことを光栄に思う。今回の ASCO による選定は、再発・転移性 SCCHN のファース
トライン治療において Erbitux が標準治療として位置づけられることを物語っている」と、述べています。
EXTREME 試験では、Erbitux を化学療法に併用投与した SCCHN 患者で、化学療法単独群との比較において
下記の改善が認められました 3。

試験期間中、化学療法と比べて全生存期間(OS: Overall Survival)中央値が約 3 ヶ月延長し(10.1 ヶ月
vs. 7.4 ヶ月、p=0.04)、死亡リスクは 20%低下 (ハザード比[HR] 0.80)

無増悪生存期間が化学療法単独群に比べ有意に延長 (5.6 ヶ月 vs. 3.3 ヶ月、p<0.001)

Erbitux 併用群における奏効率は化学療法単独群の約 2 倍 (36% vs. 20%、p<0.001)

欧州臨床腫瘍学会(ESMO: European Society of Medical Oncology)ガイドラインワーキンググループは、
今年初め、EXTREME 試験の結果に基づき、推奨グレード「A」、エビデンスレベル「I」の唯一の治療薬と
して Erbitux を推奨4
局所進行 SCCHN における長期生存成績
また、局所進行(LA: Locally Advanced)SCCHN において、Erbitux の有効性を実証した無作為第Ⅲ相比較試験
Bonner 試験では 5 年生存データが得られ、その結果は Lancet Oncology 誌に発表されました。Erbitux は 2006
年、欧州で初めて LA SCCHN に対する認可を取得しましたが、Bonner 試験はその際の根拠となった試験です。
今回新たに行われた長期解析では、LA SCCHN において Erbitux と放射線併用療法により下記の結果が得られ、
本療法の有用性をより強固に裏付けるものとなりました5。

Erbitux と放射線併用療法群の 5 年生存率は約 50%であったのに対して、放射線療法単独群での生存
率は約 33% (45.6% vs. 36.4%、p=0.018)

放射線療法と Erbitux の併用により、延命効果が認められた (OS 49.0 ヶ月 vs. 29.3 ヶ月、HR=0.725、
p=0.018)

グレード 2 以上の皮疹の発現と延命効果との間に関連性が認められ、死亡リスクが 51%低下
頭頸部がん
頭頸部がんは、舌、口腔、唾液腺、咽頭、喉頭、副鼻腔等の頭頸部に発生するがんです。欧州では、毎年新た
に約143,000人が頭頸部がんを発症し、68,000人以上が死亡していると推定されています 6 。頭頸部がんの約
90%は扁平上皮がん7であり、ほぼすべてに腫瘍増殖に不可欠な上皮細胞増殖因子受容体が発現します 8。頭
頸部がん患者のうち、再発・転移性SCCHNが約40%を占めています9。頭頸部がん全体の75%以上が喫煙およ
び飲酒の2つの主要リスク因子に起因します10。
a
EXTREME:
ErbituX in 1st-line Treatment of REcurrent or MEtastatic head and neck cancer
以上
参考資料
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Vermorken JB, et al. N Engl J Med 2008;359:1116-27.
Licitra L, & Felip E. Ann Oncol 2009;20(Suppl 4):iv121–iv122.
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Lefebvre J-L. Ann Oncol 2005;16(Suppl 6):vi7-vi12.
10
. Hashibe M, et al. J Natl Inst 2007;99:777-89.
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結腸直 腸がん、頭頸部がんおよび非小細 胞肺がんにお けるアービタックスの詳細情報につい ては、
www.globalcancernews.com をご覧ください。
®
Erbitux について
Erbituxは、EGFR を標的とするIgG1モノクローナル抗体です。Erbituxの作用機序は、EGFR に対して特異的に結合し、作用すると
いう点で従来の標準的な化学療法とは明確に異なります。この結合によって受容体の活性とそれ以降のシグナル伝達が抑制され、
正常組織への腫瘍細胞の浸潤と新しい部位への拡大が抑えられます。また、化学療法や放射線療法によって引き起こされた損傷
を修復する腫瘍細胞の活性を抑制し、腫瘍内での血管新生を抑制するとも考えられており、それによって腫瘍の成長を全体的に抑
えるとされています。
Erbituxの最も多い副作用はざ瘡様皮疹であり、皮疹の程度(グレード)と治療効果は相関があると報告されています。また、Erbitux
の治療を受ける患者にInfusion Reaction(注入に伴う反応)が発生する可能性があり、まれですが、重度な症状を示すことがありま
す。
Erbitux は、76 カ国で市販承認を取得しており、そのうち、直腸・結腸がんの治療薬としては 75 カ国で承認されています。また、局所
進行の頭頸部扁平上皮がんの治療薬として、71 カ国で承認を受けています(2009 年 4 月時点)。
 スイス(2003 年 12 月)、米国(2004 年 2 月)、EU(2004 年 6 月)を始め各国で、Erbitux は、イリノテカン塩酸塩水和物を
ベースとした化学療法が耐性を示した EGFR が発現した転移性結腸・直腸がんに対する治療薬として、イリノテカン塩酸
塩水和物をベースとした化学療法との併用が承認されました。単独療法が承認されている国もあります。
 EU(2006 年 4 月)他各国で、Erbitux は、局所進行の頭頸部扁平上皮がんの治療薬として放射線療法との併用が承認さ
れました。また、化学療法が耐性を示した再発・進行性の頭頸部扁平上皮がん患者の治療薬として、単独療法も承認され
ています。
 日本では、2008 年 7 月に、EGFR 陽性の治癒切除不能な進行・再発の直腸・結腸がんに対する治療薬として承認を取
得しました。
 EU では 2008 年 7 月に、EGFR が発現した KRAS 野生型の転移性結腸・直腸がん患者に対する化学療法との併用療法
がすべての治療ラインで承認されました。また、オキサリプラチンまたはイリノテカン塩酸塩水和物をベースとした化学療法
に耐性を示す患者およびイリノテカン塩酸塩水和物に忍容性を示さない患者に対しては、単独療法での使用も承認され
ています。
 EU では、2008 年 11 月に、再発・進行の頭頸部扁平上皮がん患者のファーストライン治療として、白金製剤をベースとし
た化学療法との併用での適応が承認されました。
Merckは、1998年にニューヨークを拠点とするImClone System社から、米国とカナダ以外でのErbituxの販売権を取得しました。日本
では、2008年9月にメルクセローノ株式会社より販売が開始されました。Merckはがん治療の進展に継続的に取り組んでおり、現在
は結腸・直腸がん、頭頸部扁平上皮がん、および非小細胞肺がんへのErbituxの使用など非常にターゲットを絞った分野での新し
い治療手段を研究しています。
また、Merckは、転移性結腸・直腸がんのファーストライン治療として、フォリン酸と併用される経口化学療法剤のUFT®(テガフールウラシル)の日本、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア以外の国における権利を取得しています。
Merckはまたその他のがん治療薬のひとつとして、非小細胞肺がん治療でのStimuvax®(旧称BLP25リポゾームワクチン)の使用も研
究しています。このワクチンに対してはFDAから2004年9月にファストトラックの適用が認められました。Merckは米国ワシントン州ベ
ルビューのOncothyreon Inc.から世界各国での排他的使用許諾権を得ています。
Merckについて
Merckは、1668年に設立された世界で最も長い歴史を持つ医薬品・化学品メーカーです。2008年の売上は76億ユーロで、59カ国
で約3万3,000人の社員が活動しています。米国では、1917年以来、旧子会社のMerck&Co.が分離独立し、事業展開しています。
Merckについての詳細は、www.merck.deをご参照ください。
メルクセローノ株 式 会 社 について
メルクセローノ株式会社は、Merckの医療用医薬品部門として新しく設立されたMerck Serono部門(本社:スイス、ジュネーブ)の日
本 法 人 で す 。 日 本 市 場 に お い て は 、 2007 年 10 月 1 日 よ り 事 業 を 開 始 し ま し た 。 メ ル ク セ ロ ー ノ に つ い て の 詳 細 は 、
www.merckserono.co.jpをご参照ください。
Merckでは、がんやアービタックスに関するグローバルな情報をwww.globalcancernews.comにて提供しています。
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本 件 に関 す る問 い 合 わせ 先
メルクセローノ株 式 会 社 広 報 窓 口
エデルマン・ジャパン株 式 会 社
頼廣/磯崎 Tel: 03-6403-5295/5708、Fax: 03-6403-5201
E-mail: [email protected] /[email protected]
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