3級 - 第三書房

独検(ドイツ語検定試験)
2015 年度
春期
3級
1.大問1(出題事項:つづり,発音,アクセント)
(1)つづりの読み方
-gg- の読み方が問題。ただし,weggehen は,weg と gehen が結びついて,-gg- にな
っているだけ。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
g の読み方が出題対象。外来語 Genie「天才」の読み方は?
【2014 年春】
外来語の ch の読み方が出題対象(Charakter[カラクター]
,Chef[シェフ]など)。
【2013 年秋】
つづり er の読み方が出題対象。すなわち母音化する -er- なのか(Mutter),母音化し
ない -er- なのか(Berg)。
【2013 年春】
文字 h の読み方が出題対象。h を読むか(hoch)
,読まないか(gehen)
。
(2)アクセント
アクセントのない(置かれない)母音を選ぶ問題。今回,選択肢として eu を含む語を
4つ揃えていますね。芸が細かい。
まず,第一音節は,基本的にアクセントを担いますから,第一音節に下線の eu がある
選択肢は,一応,外しましょう。
次に,前つづり Be- には,アクセントが置かれませんから,Be- の後ろの eu にアクセ
ントが置かれる可能性がより大になるので,これも一応外します。
以上の消去の後に残るのは Abenteuer。Abenteuer のアクセントは?
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
Exemplar などの外来語が出題の対象。ポイントは外来語ですね。外来語の名詞一覧
があった方がいいかな?
【2014 年春】
基本的に第一音節にアクセントがあります。したがって,第一音節に下線のない
Arbeit か Bäckerei が問題になります。
長い単一語の場合,まずは第一音節にアクセントを置いて発音し,発音しやすいかど
うか,試みるのが一つの手です。息が続かなくなったら,アクセントは後ろの方にあ
る証拠になりますからね。
【2013 年秋】
アクセントを担うことのない be-,ge- などの前つづりと外来語の特殊なアクセントの
位置が出題対象。
【2013 年春】
アクセントのあるつづり(an- など)とないつづり(ver- など),また,つづりの長い
外来語(アクセントは後ろの方)が解答のポイント。
(3)母音の長短
短く発音される母音 e の問題。
すべての選択肢で,母音 e の後ろの子音は一つ。子音が一つなら,前の母音は長いは
ずですから,もし後ろの子音が一つなのに,e が短母音だとしたら,それは外来語!
では,選択肢4つの中で外来語的なものはどれ?
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
つづり-ie-の読み方の問題。vielleicht「ひょっとして」の読み方がポイント。
【2014 年春】
母音の e の長短が出題対象。母音の後ろの子音の数で決められるオーソドックスな問
題でした。
【2013 年秋】
語頭の Na-(na-)の母音の長短が出題対象(Nacht「夜」
,前置詞 nach など)。
【2013 年春】
lebhaft[レープハフト]と lebendig[レベンディヒ]の発音の相違がポイントの出題
でした。
(4)文中で強調して発音される語
A の発話も B の発話も,2つの文で構成されています。初めての試みですね。しかし,
いくら文が長くなっても,このような問題では,解答上,後半の文が重要になります。
この設問の A の後半の文は「その Rezept をもらえますか?」であり,B の後半の文
は「その Rezept をあげないよ」というものです。
では,B の後半の文のどの語句を強調するかですから,「もらえるか?」に対して「あ
げない」と応じているのですから,否定を表す部分,すなわち nicht ですね。一度,
下線部のある文のそれぞれにアクセントを読んでみてください。nicht にアクセントを
置いた場合が一番読みやすいはずです。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
A の発話文として,二つの疑問文を並べたのが特徴です。そのような場合,後ろの疑
問文が重要になります。
【2014 年春】
wann「いつ?」という疑問詞の質問に対する返答文で強調される語を問う出題でした。
1語で答えるとしたら,どうしますか?Um と答えますか?Sechs と答えますか?
Uhr と答えますか?Aufstehen と答えますか?こういう形で正解を探す方法もありま
す。
【2013 年秋】
Was willst du machen?「何するつもり?」という,疑問詞の 質問に対する返答文で
強調される語を問う出題でした。
【2013 年春】
wie viele?「いくつ?」という疑問詞の質問に対する返答文で強調される語を問う出
題でした。
2.大問2(適切な前置詞)
(1)動詞 beginnen「始める」と結びつく前置詞を選ばせる問題。
同義の anfangen も,そして aufhören「止める」も同じ前置詞(mit)です。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
動詞 bestehen「…から成る」と結びつく前置詞を選ばせる問題(aus+3格)
。
【2014 年春】
動詞 verzichten「諦める」と結びつく前置詞を選ばせる問題(auf+4格)
。
【2013 年秋】
glücklich sein と結びつく前置詞を選ばせる問題(über+4格)。
【2013 年春】
fragen と結びつく前置詞を選ばせる問題(nach+3格;定番!)
(2)熟語表現の前置詞を選ばせる問題。
「Es geht um+4格」で,「…が問題だ」
。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
動詞 denken「考える」と結びつく前置詞を選ばせる問題(an+4格)。
【2014 年春】
sich kümmern「面倒をみる」と結びつく前置詞を選ばせる問題(um+ 4格 )
。
【2013 年秋】
理由を表す前置詞を選ばせる問題(wegen+ 3格 )
。
【2013 年春】
sich freuen と結合する前置詞を選ばせる問題。これも定番。
<注>sich freuen an+3格は「目の前のことを喜ぶ」,sich freuen über+4格は
「(過去のことも含めて)ともかく喜ぶ」,sich freuen auf+4格は「未来のことを楽
しみにする」
(3)再帰動詞 sich4 interessieren「興味を持つ」と結びつく前置詞を選ばせる問題。
正解は,「…に対して」の für なのですが,このような問題に対する対策は,ただただ
暗記する以外に方法はないのでしょうかね?
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
Mittwoch「水曜日」と結びつく前置詞を選ばせる問題。am Mittwoch で「水曜日に」
。
【2014 年春】
理由を表す名詞 Gründen(複数)と結びつく前置詞の選択。aus と結びつくと,「…
の理由から」ということになります。vor も原因を表しますが,vor Freude「嬉しさ
のあまり」のように,感情的なものに関して用います。
【2013 年秋】
berichten と結びつく前置詞の選択(von か über か)。
【2013 年春】
「新聞記事に載っている」という場合の stehen と結びつく前置詞の選択(in)
。
(4)zu Hause という熟語表現を知っているかどうかがポイントの問題。zu Hause
bleiben は「家に留まる」
,nach Hause gehen は「帰宅する」。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
nichts mit+ 3格 zu tun haben「…と関係がない」という熟語表現を知っているかど
うかがポイントの問題。
【2014 年春】
zufrieden sein「満足している」と結びつく前置詞を選ばせる問題(mit+3格)
。形容
詞の前置詞支配。時折,出題されます。
【2013 年秋】
3格 +zur Verfügung stehen「…が自由に使えるようになっている」という前置詞を
含む熟語表現を知っているかどうかがポイント( 3格 + 4格 +zur Verfügung stellen
は,
「…が…を自由に使えるようにする」
)。難しいありませんでした?
【2013 年春】
stolz sein「誇りにしている」と結びつく前置詞を選ばせる問題(auf+4格)
。
3.大問3(動詞関連) 適切な選択肢(動詞)を選ぶ問題です。
(1)選択肢は,du の人称変化形。
文末に本動詞 gehen があるので,
( )に入るのは話法の助動詞。
「もう(時間的に)遅
い」という前文から考えて,現在形。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
状態受動であることを読み取らせる問題。geöffnet sein で「開いている」
。
【2014 年春】
es gibt ...「…がある」の,geben の適切な変化形を選ばせる問題。
【2013 年秋】
完了形であることを読み取らせ,kommen の過去分詞の,正しい形を選ばせる問題。
【2013 年春】
状態受動であることを読み取らせ,適切な助動詞(sein)を選ばせる問題。
(2)選択肢は,gebären「生む」を除いて,過去分詞。
設問文は,
「ヤコブ・グリムは 230 年前に(…)した」。定形の動詞 wurde と結びつく
のは,gebären の過去分詞 geboren のみ。
歴上の人物に関しては(また履歴書では),wurde ... geboren の形が,日常会話など
では,bin ... geboren. の形が使われるようです。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
als ob 文の接続法第2式が出題対象。
【2014 年春】
適切な助動詞の選択。ohne deine Hilfe「君の手助けがなければ」は仮定的前提。した
がって,非現実話法が問題になっているので,接続法第2式が適切な助動詞。
【2013 年秋】
動作受動を作る助動詞(werden)か,あるいは状態受動を作る助動詞(sein)かの選
択。
【2013 年春】
übersetzen の過去分詞の選択。分離動詞か非分離動詞かの区別と絡めた問題。
(3)nicht brauchen と zu 不定詞句の結びつきの問題。
①文末に zu machen という zu 不定詞があります。話法の助動詞は,zu 不定詞と結び
つきません。
②動詞 sein は,zu 不定詞と結びつくこともありますが,その際,zu 不定詞の目的語
(Hausaufgabe「宿題」
)が主語になります。
以上のことから残るのは?消去法でも brauchen に行きつきますね。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
ohne+zu 不定詞句「…をすることなしで」の動詞部分を補う問題。
分離動詞の場合,zu 不定詞は,「分離前つづり+zu+基礎動詞」という形(たとえば
zuzumachen「閉める」
)
。
【2014 年春】
sprechen の適切な変化形を選ばせる問題。定形の動詞が hast なので,完了形である
ことが読み取れるかどうかが隠れたポイント。結果的には,過去分詞の問題。
【2013 年秋】
知覚動詞 hören と不定形の動詞の結びつく文であることを読み取らせる問題(「…する
のを聞く」
)
。不定形の動詞が正解。
【2013 年春】
lassen「…させる」の文の作り方。
(4)wenn+接続法第2式による願望表現の問題。
この表現は,主文を伴わない,接続法第2式の wenn 文の用法です。
また,副文ですので,定形の動詞(定動詞)は,文末に置かれます。
まず,接続法第2式の用法なので,接続法第1式の選択肢4は外れます。
次に,gehabt という過去分詞が用いられているので,完了の不定詞を作る助動詞が問
題になります。移動・状態変化の表現ではないので,haben(接続法第2式)がふさ
わしいことになります。
gehabt hätte は,接続法過去の形です。さすが3級と言えますが,学習範囲が広がり
ましたね。…やりがいがある?…大したもんだ!(「もっと時間があったならなあ!」)
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
話法の助動詞と受動の不定詞の結びつきであることを読み取らせる問題。
【2014 年春】
文末は erzogen worden なので,であることが読み取れるかどうかです(受動の完了
形は erzogen worden sein「教育された(こと)」)
。正解は sein。
【2013 年秋】
sich leicht +不定詞+lassen「簡単に…できる」という熟語表現の問題。
【2013 年春】
gern+hätten(接続法第2式)
「…がほしいのだが」という控えめの要求表現の問題。
4.大問4(その他1) 主に,名詞的な選択肢を選ぶ問題です。
(1)選択肢は,人称代名詞(再帰代名詞?)と再帰代名詞。
動詞 merken は,sich3+4格と結びついて,「…を覚える」
。
どの再帰代名詞を用いるかは,主語に準じて決まります。man「人は」は,3人称単
数となりますので,正解は sich。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
sich4 an+4格 erinnern「…を思い出す」という再帰用法が問題。再帰代名詞の種類
は,主語に準じて決まります。
【2014 年春】
選択肢は,関係代名詞。先行詞は,die Leute。関係文中では,前置詞 mit と結びつく
格。複数・3格の関係代名詞の問題。
【2013 年秋】
関係代名詞の問題。
【2013 年春】
sich3+4格+vor|stellen「…を想像する」という文型であることがわかり,適切な再
帰代名詞を選ばせる問題。
(2)形容詞の適切な格形を選ばせる問題。
①まず,冠詞類が付いていないことを確認。
②次に,Unterschiede は複数(
「相違」
)であることを確認。
③最後に,es gibt「…がある」と結びつくので,4格であることを確認。
それらを総合すると,冠詞類を伴わず,複数4格の形容詞の語尾は?ということにな
ります。
-----------------------------------------------------------------------------
【2014 年秋】
適切な関係代名詞あるいは従属接続詞を選ばせる問題。
alles を先行詞とする関係文がポイント。alles を先行詞とする不定関係代名詞は was。
【2014 年春】
適切な縦続接続詞を選ばせる問題。
なお,als+過去形は,一回限りの出来事の場合に用いられ(「…した時~」)
,wenn+
過去形は,反復的な出来事の場合に用いられます(
「…するたびにいつも~」)。
【2013 年秋】
形容詞 viel「多い」が主語として単独で用いられる場合の形を選ばせる問題。viele
「多くの人々」
。
【2013 年春】
alle の後ろに置かれる形容詞の格形が出題対象。形容詞の格形が出題されることはま
れです。
(3)前置詞を補う問題。
「誕生日に」に当たるドイツ語は,zum Geburtstag。
これは語彙の問題なのか,文法の問題なのか?問題を作成する場合,どの学習事項を
設問のポイントとするのかを明確に意識化する必要がありますが,3格+4格+zum
Geburtstag schenken という言い回しそのものを知っているかどうかだと,語彙(熟
語表現)の問題ということになるのでしょか?そうすると,対策は,語彙をもっと重
視すべきということになりますね。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
形容詞 deutsch の名詞的用法が問題。einem と結びつく適切な形は Deutschen(「一
人のドイツ人に」
)
。
【2014 年春】
選択肢は,語頭を大文字で書いた形容詞の変化形。形容詞の名詞的用法の問題。
etwas は,中性,1格(主語)。
【2013 年秋】
動詞 treffen と用いられる再帰代名詞が問題。
【2013 年春】
vor Freude「喜びのあまり」という熟語的前置詞表現が問題。
(4)出来ましたか?説明するのも少し難しいです。正解は,関係副詞の wo なのです
が,前の文の gefunden の前に dort があると考えたら,少しわかりやすくなります
か?すなわち ... dort ..., wo ... で,「メガネがそこにあるなんて想像もしなかったそこ
に」となります。そして,実際のお設問文では dort が省略されたのです。私が審査委
員なら,これができだけで合格を挙げます(接続法第2式の非現実話法ですが)
。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
関係文の問題。
まず,先行詞が何かを読み取れるかどうか,次に,関係文中でどのような役割を果た
しているかを読み取れるかどうか,最後に,それらを総合した定関係代名詞の形がわ
かるかどうか。
【2014 年春】
選択肢は,比較級,最高級。je+比較級,um so+比較級「…すればするほど~」とい
う比較表現を作る問題。
【2013 年秋】
und zwar「詳しく言うとつまり」という決まり文句の問題。
【2013 年春】
nichts を先行詞とする不定関係代名詞の問題。
5.大問5(その他) 色々な適切な選択肢を選ぶ問題です。
(1)選択肢は動詞
みなさんは食後(nach dem Essen),ふつう歯(Zähne)をどうしますか?すすぐ
(spülen)人もいますが,ふつうはみがく(putzen)ですね。なお,spülen の場合は,
所有の3格 dir などは付けないようです。また,den Mund spülen と言う方が多いよ
うです。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
gehören「…3 のものである」の目的語になる疑問代名詞が問題。
【2014 年春】
適切な形容詞を選ばせる問題。文脈から見て,böse auf+ 4格 sein「…に対して腹を立
てている」
。
【2013 年秋】
3格+schwarz vor Augen werden「目の前が真っ暗になる」という句例の問題。
【2013 年春】
前置詞 seit の使い方の問題。
(2)再帰用法の動詞と結びつく前置詞句の問題。
動詞は sich setzn「座る」
。列車が「座る」というのはおかしいですが,比ゆ的に考え,
どこに「座る」ことがあるかと言えば,「動き(Bewegung)」ですね。「動きの中に座
る」で,「動き出す」
。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
Darf ich … は「…してもいいですか?」。Frage と結びつく動詞を選ばせる問題。
eine Frage stellen で「質問をする」。
【2014 年春】
選択肢は,前置詞ではなく,分離前つづり。finden と結びついて,分離動詞を分離前
つづりが問題。
【2013 年秋】
3格+fehlen「…がいなくて寂しく思う」という句例の問題。
【2013 年春】
先行詞が nichts の場合の不定関係代名詞の問題。
(3)選択肢は形容詞。
形容詞と結びつく形容詞の問題。mit dem Roman と結びつく形容詞は,mit+3格
fertig sein「…は済んでいる」の fertig。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
選択肢は形容詞。von allen Fehlern と結びつく形容詞(frei)を選ぶもの。
【2014 年春】
選択肢は形容詞。前の文で,「チーフは遅刻をしない」と書かれていますので,zu と
結びつく適当な形容詞(spät)を選ぶ問題。
【2013 年秋】
適切な前置詞を選ばせる問題。
日(Tag)
,曜日(Wochentag)と結びつく前置詞は an。
週(Woche)
,月(Monat)
,年(Jahr)と結びつく前置詞は in。
【2013 年春】
Platz nehmen「座る」という決まり文句を作る問題。
(4)選択肢は,動詞。
Sport と結びつく動詞。Sport treiben「スポーツをする」。決まり文句の出題ですね。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】
in 前置詞句と結びつきうる形容詞あるいは形容詞的過去分詞を選ばせる問題(「…に
惚れています」(in+4格 verliebt sein)
)
。
【2014 年春】
選択肢は各種の動詞。einen Vortrag と結びつく動詞は,halten。
【2013 年秋】
Abschied nehmen「別れの挨拶をする」という句例の問題。
【2013 年秋】
um+zu 不定詞句「…するために」を作る問題。
6.大問6(読解力と語彙力)
テキストは,ベルリンに住む友人に送ったメールです。
ただ,この場合,選択肢もドイツ語ですので,まず,テキストの大筋をつかんでから,
各選択肢を個別に検討することにしましょう。
大筋をつかむためには名詞に着目するのが一番よいという仮説がありますので,それ
に基づいて(基本的な語彙なら,動詞なども含め),テキストの内容を大雑把に訳して
みましょう。
----------------------------------------------------------------------------1番目の文:件名 ありがとう!
2番目の文:スザンヌへ,
3番目の文:今,再度,東京にて,女友達のところにいる。
4番目の文:一週間前,無事日本に着いて,2,3日,広島の両親のところにいた。
5番目の文:両親はとても元気だった。
6番目の文:新しい住まいを見つけるために,二日前に東京に戻って来た。
7番目の文:まず,ベルリンでの滞在中の手助けに感謝する。
8番目の文:日本はまだ暑い。
9番目の文:天気予報は,この夏が最も暑い(…)だと伝えていた。
10 番目の文:ドイツの気持ちの良い夏が懐かしい。
11 番目の文:大学は,9月の終わりに始まる。
12 番目の文:まだ2週間休暇。
13 番目の文:早く住まいを見つけたい。
14 番目の文:東京に来ることを期待する。
15 番目の文:その時は,どこでも同伴します。
16 番目の文:心からの挨拶を。
17 番目の文:あなたのミサコ
----------------------------------------------------------------------------次に設問ですが,一つひとつ見てみることにしましょう。
第1の設問: 手助けに感謝するという内容ですから,関連するのは,7番目の文です
ね。3つの選択肢は,最後の部分だけが異なっていて,一番目は「…にも拘わらず」
,
二番目は「…なので」
,三番目は「…した時」。
第2の設問:「この夏が最も暑い(…)だと伝えていた」の( )に入れる語句ですね。
選択肢は,
「百年来の」
,
「昨日の」
,「2時間後に」,「百年前に」。
第3の設問:本文全体の内容に合致する選択肢の中から選ぶものですね。
1は,
「両親が東京に住んでいるので,ミサコは東京に住む」
・関連するテキストの文は,4番目。
2は,
「9 月の終わりに,ミサコは,両親に会うために広島に行く」
・広島に行ったのは,帰国後すぐのようですし,9月の終わりに大学が始まると
書かれてあるので,テキストの内容に合致しませんね。
3は,
「ドイツの夏の気候は,マサコにとって日本のそれよりも気持ちがよい」
・関連するテキストの文は,10 番目。本当にそうですね。
4は,
「ミサコは,すぐ引っ越しするので,東京に来れない」
・関連するテキストの文は,…。ありませんね。
5は,
「ミサコは,Susanne が日本に来ることを望んでいる」
・関連するテキストの文は,14 番目。
7.大問7(会話文の完成)
テキストは,電話での会話です。空所は5箇所,選択肢は8つ。
この場合,選択肢がドイツ語で,テキストの文中に入れるという問題ですので,まず,
選択肢の内容を大まかに理解し,その上で,テキストの順に訳し,空欄に入れるもの
を順次選んでいくことにしましょう。内容が分かれば,どれが適切な選択肢かは常識
で判断できますね。
----------------------------------------------------------------------------選択肢1 雪のために配達できない。
選択肢2 切らないで,待ってください。おつなぎします。
選択肢3 では,折り返し,お電話します。
選択肢4 もう一度,まとめてもいいですか?
選択肢5 新しいブラウスにどうしても必要なあの布地?
選択肢6 ごめんなさい,番号を間違えました。
選択肢7 繰り返していただけませんか?
選択肢8 電話がつながって,よかった。
次に会話文を大雑把に訳しながら,空欄に入る選択肢を考えてみましょう。
----------------------------------------------------------------------------Gotthaus: Pincolor AG, Stefan Gotthaus, こんにちは。
(注:電話をかけた人がまず名前を言います)
Beindl:
Textil N GmbH, Erwin Beindl, こんにちは。
(注:電話を受けた人も名前を言います)
Gotthaus: あなたの名前を正しく聞き取れませんでした。
<ここで空欄(a)
;ここにふさわしい選択肢は7ですね>
Beindl:
Erwin Beindl, B-E-I-N-D-L。
Gotthaus: ありがとう,Beindl さん。
そして,あなたのために何ができますか?
Beindl:
Stern さんと話がしたいのですが。
Gotthaus: <ここで空欄(b);ここにふさわしい選択肢は2ですね>
Beindl:
よろしくお願いします(注:ちょっと意訳過ぎかも知れませんが)
[…]
Stern:
もしもし,Stern です,こんにちは,Beindl さん。
Beindl:
<ここで空欄(c)
;ここにふさわしい選択肢は8ですね>
あなたが私たちに注文した新しい生地に関する問題で電話しています。
Stern:
<ここで空欄(d);ここにふさわしい選択肢は5ですね。聞き返しなが
ら,確認しているのですね>
Beindl:
はい,そうです。申し訳ありません,布地は工場にあります。
<ここで空欄(e)
;ここにふさわしい選択肢は1ですね。>
アウトバーンは未だに封鎖されているのです。
Stren:
あれあれ,それはどうしようもありませんね。
----------------------------------------------------------------------------【2014 年秋】居酒屋での会話が出題されました。
【2013 年秋】医者と患者の会話が出題されました。
【2013 年春】フリーマーケットでの買い物の会話が出題されました。
8.大問8(内容把握)
内容把握の問題の場合,まず,*の付いた語の日本語訳を見ることですね。テキスト
の話題を推測させる場合が多々あります。ただし,今回は,ausgefallen のみで,役に
立つものではないですね。なお,これは,「非日常的な」と解釈した方がいい感じがし
ます。
次に,選択肢が日本語の場合,選択肢をしっかり読んで,どのような点が問題になっ
ているかを把握しておくのがよいと思います。
選択肢ごとに,問題になる点を確認すると,以下のようになります。
選択肢1: 18 世紀,貴族などが,教養のために,旅行
選択肢2: 英国人,文化と芸術のため,国内旅行
選択肢3: 英国人,子どもたちを,しばしば,教養旅行に,送り出す
選択肢4:ゲーテの場合,2年の予定,結局数か月
選択肢5:娯楽・保養旅行,19 世紀はじめに,一般化
選択肢6:19 世紀,ライン川・イタリア,旅の目的地としての魅力,減少
選択肢7:19 世紀,教養旅行,ますます盛ん
選択肢8:クリスエィの小説,ぜいたくな旅行,描かれている
それでは,これらのことを頭に入れて,一文ずつ,選択肢が内容と合致しているかど
うかをみることにしましょう。
----------------------------------------------------------------------------1番目の文:18 世紀,教養旅行が流行。
・関連する選択肢は1。選択肢は,本文のように,「流行」したまでは書いていませ
んが,正 解でしょうね。
2番目の文: ますます多くの Adelige と Reiche が,旅行に楽しみを発見。
・内容的には,1番目の文と同じことですね。
3番目の文:ヨーロッパ諸国の文化・芸術に触れるために,特に旅に出た。
・関連する選択肢は2。選択肢には,国内とあるので,合致しない。
<「es ist/sind ... +関係代名詞+ ~」は,「…」の語句を強調する構文。
4番目の文:しばしば子供たちも,教養旅行のためにヨーロッパ中に送り出した。
・関連する選択肢は3。正解ですね。
5番目の文:ゲーテも教養旅行をする人だった。
・直接関連する選択肢はありませんね。選択肢4に少し関係がありますが。
6番目の文:1786 年9月にイタリアへ行った。
・関連する選択肢は,これにも有りません。選択肢4に少し関係がありますが。
7番目の文:元々は数か月のはずだった,結局ほぼ2年間だった。
・関連する選択肢は4。しかし,選択肢は,2年が数か月になったというもの。
8番目の文:娯楽・保養旅行は 19 世紀に生じた。
・19 世紀のこととして関連する選択肢は5,6,7。しかし,本文には,このよう
な旅行が「すでに一般化」していたとも(選択肢5),ライン川などが魅力を失って
いたとも(選択肢6),ますます旅行するようになったとも(選択肢7)書かれてい
ませんね。
9番目の文:目的地は,ますます多様化していき,ライン川とかイタリアは十分では
なかった。
・関連する選択肢は6。正解ですね。immer+比較級で,「ますます…」
。
10 番目の文:楽しみたいのであり,日常的でないものの体験を求めたのである。
・関連する選択肢は7。選択肢は,教養旅行に関するものです。
11 番目の文:これは,オリエントエクスプレスでイスタンブールへあるいは船でエジ
プトに行くことなどで,可能だった。
・直接関連する選択肢はありませんね。
12 番目の文:文学でも,そのぜいたくな旅行は,A. クリスティの推理小説によっても
描かれている。
・関連する選択肢は8。正解ですね。ただし,この文の Es ging ... は,どう訳され
ましたか?冒頭の Es は前文(「非日常を体験する」)を受け,ging(<gehen)は
(事物を主語とする)「なんとかなる」「可能である」という意味用法だと思います
が,出版される「過去問題集」で確認してください。
13 番目の文:その女性作家自身もしばしばエジプトやアラビアに旅をした。
・関連する選択肢は8ですが,旅行云々に関しては何も触れていませんね。