尾 州 の 窓

テキスタイル&ファッション Vol.25 No.2 (2008.5.)
■ 尾州の窓
尾
州
の
「尾・州・染・織・布」
ブランド誕生
QRコードで生産履歴把握可能
窓
は設けていない。対象商品は紳士服のスーツ、
ジャケットなどで、袖付けネームおよびQR
付き下げ札を取り付け消費者にメード・イ
ン・尾州を訴求する。
尾西毛織工業協同組合傘下の尾西紳士服
地振興会(加盟19社、伊藤正樹委員長)は
このほど、名古屋メンズアパレル製造卸協同
組合(加盟=13社、斉藤清治理事長)と共
同企画で尾州産地の織物の品質を証明する
「尾・州・染・織・布」(商標登録申請中)
ブランドを立ち上げた。ブランドラベルには
袖付け
「QRコード」を付帯し、消費者が小売店頭
で携帯電話で生産履歴(素材特性、生産企業
販売は当面、百貨店、中小専門店に限定、
名、電話番号など)を読み取れるようにした。
産地ブランドは盛んに開発されているが、Q
既製服のほかイージーオーダー、パタンオー
Rコードを下げ札に付けるのは産地ブラン
ダーも対象とする。当面の商品展開は名古屋
ドでは初のケース。
メンズアパレル製造卸協同組合加盟企業が
アパレル製品の大量輸入から疲弊する尾
推進するが、参加メンバーの東西の取引先ア
州産地の活性化のため、「尾州産地の織物の
パレルメーカーの関心も強く、今後は全国規
高い価値を消費者に浸透させ、産地ブランド
模に拡大する可能性も強い。
で品質の良さを打ち出し、需要促進を図る」
08年秋冬から紳士服メーカーのラグラ
のが狙い。この尾州ブランドに参加するのは
ックス信和がスーツで企画、タスマニアメリ
尾西紳士服地振興会メンバーのうち石慶毛
ノウール(生地=前島織物)とカムデンメリ
織、いわなか、小吉製絨、三洋毛織、中外国
ノ(同=三星毛糸)素材を使用し、4,000
島、長大、野村産業、前島織物、三星毛糸、
∼5,000着を国内縫製で対応する。販売は
渡玉毛織、の10社。
百貨店、専門店で、秋冬で提案したところ評
伊藤正樹委員長によると、品質基準は
価は上々という。
①尾州産地で織り上げた
②尾州産地で染色した
③尾州産地で仕上げ加工したものを基本
に各種検査機関での品質基準審査を受
検したもの
が対象で、国際化を反映して糸、縫製の制限
尾・州・染・織・布
国内での糸染め
国内での製織
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国内での整理
テキスタイル&ファッション Vol.25 No.2 (2008.5.)
《参考資料=プレスリリース》
産地ブランド化協同企画事業の
る尾州織物の付加価値(素材の特性や希少
概要について
性)を消費者に的確に伝達し、浸透させるた
尾西紳士服地振興会
め、産地のブランド化によって商品の訴求性
名古屋メンズアパレル製造卸協同組合
を側面から支援していくことを狙いとして
おります。
尾西毛織工業協同組合参加の尾西紳士服
「尾・州・染・織・布」の表示は、紳士服
地振興会(加盟19社)は、名古屋メンズア
のスーツ、ジャケットなどに対して『織ネー
パレル製造卸協同組合(加盟13社)と協同
ム(袖付け)』及び『ラベル』を取り付け、
企画で、尾州織物の品質、意匠力の高さを証
消費者に国内織物の魅力を深く理解してい
明する表示「尾・州・染・織・布」を紳士服
ただけるよう訴えていくものです。
に付与し、産地ブランド化と販売促進を刻的
「尾・州・染・織・布」のラベルには『QR
とした組合事業として推進していくことに
コード』を付帯して、尾州の伝統的な意匠技術、
なりました。
原料使い、染・織工程、企業名などを入力し、
繊維製品の生産のグローバル化が進み、輸
消費者が小売店頭において携帯電話で、その解
入製品が市場に定着する中で、どちらかとい
説を読み取れることができる機能も取り入れ、
えば日本製の良さが埋没しかねない状況に
国産織物の普及促進にあたっていく計画です。
もあります。両組合では国内生産の主軸であ
他産地は今、活路を求めて
石川県、「繊維ルネッサンス」構想スタート
プローチと非衣料分野進出支援策を進める。
「繊維王国」復権へ向けて、石川県は「繊
維ルネッサンス事業」をスタートする。アパ
具体的な川下アプローチ支援としては、産地
レル産業など川下へのアプローチと非衣料
企業と首都圏のアパレルの協働商品開発を
分野への進出に県の補助金を新設、商品開発、
狙った新アパレルパートナーシップ構想に
販路開拓、人材育成などで
250万円、JFWジャパンクリエーション
業
やる気のある企
への出展など「いしかわ繊維産地展」開催に
の成長・発展を援助する。
石川県は合繊長繊維織物主力の国内有数
900万円を補助する。
の繊維産地で、繊維事業所数は920カ所で
また非衣料アプローチ支援は3分の2の
県内製造業の22.9%、従業員数の14.
補助方式で800万円の補助金を交付、衣料
1%、出荷額は1,882億円で、7.6%を
分野で培った技術を生かし異業種との連携
占めている。日本の織物生産でのシェアは1
で産業資材など非衣料分野の商品開発に取
7.4%、合繊織物では26.4%、レーヨン
り組む。今年度は4件の事業を計画している。
織物では36.9%で、いずれも福井県に次ぐ
このほか、同県では繊維リソースいしかわ
第2位である。しかし、事業所数、従業員数、
などが実行部隊となり①差別化テキスタイ
出荷額はこの10年間で半減している。
ル開発倶楽部②産業資材プロジェクト③非
繊維ルネッサンス事業は県が1,950万
衣料のマッチング支援④いしかわ繊維大学
円を予算化し、マーケット指向の強化で繊維
⑤産業資材用テキスタイル中核人材育成講
産業の復権のため、アパレルなど川下へのア
座などに取り組んでいる。
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