使用上の注意改訂のお知らせ

医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読みください。
使用上の注意改訂のお知らせ
2011 年 10 月
劇薬
処方せん医薬品
処方せん医薬品
(一般名:リトドリン塩酸塩)
この度、標記製品の「使用上の注意」について、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知
及び自主改訂に基づく改訂を行いましたのでご案内申し上げます。
今後のご使用につきましては、下記内容をご参照くださいますようお願い申し上げます。
なお、改訂後の添付文書を封入した製品がお手元に届くまでに若干日時を要する点をご了
承くださいますようお願い申し上げます。
®
《ウテメリン 注 50mg
-使用上の注意-(改訂部分)》
改訂後(下線部改訂箇所)
改訂前
2. 重要な基本的注意
(1)本剤投与によって,肺水腫があらわれること
があり,急性心不全の合併に至った例もある
ので,呼吸困難,胸部圧迫感,頻脈等に十分
注意し,肺水腫があらわれた場合には投与を
中止し,適切な処置を行うこと。また,肺水
腫は心疾患,妊娠高血圧症候群の合併,多胎
妊娠,副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生し
やすいとの報告があるので,これらの患者に
は,水分の過負荷を避け,十分な観察を行う
こと。水分の過負荷を避けるには,薬剤濃度
を 上げ て注入 液量 を減ら すこ とが効 果的 で
あ る。 シリン ジポ ンプを 使用 するこ とに よ
り,薬剤濃度を 3mg/mL(全 50mL 中リトド
リン塩酸塩 150mg)まで上げることができ
る。この場合,注入速度 1mL/hr で毎分 50
μg の初期注入薬量が得られ,水分の負荷は
通常用法(液量 500mL 中リトドリン塩酸塩
50mg)の 1/30 となる。
2. 重要な基本的注意
(1)本剤投与によって,肺水腫があらわれるこ
とがあり,急性心不全の合併に至った例もあ
るので,呼吸困難,胸部圧迫感,頻脈等に十
分注意し,肺水腫があらわれた場合には投与
を中止し,適切な処置を行うこと。また,肺
水腫は心疾患,妊娠中毒症の合併,多胎妊娠,
副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生しやす
いとの報告があるので,これらの患者には,
水分の過負荷を避け,十分な観察を行うこ
と。水分の過負荷を避けるには,薬剤濃度を
上げて注入液量を減らすことが効果的であ
る。シリンジポンプを使用することにより,
薬剤濃度を 3mg/mL(全 50mL 中リトドリ
ン塩酸塩 150mg)まで上げることができる。
この場合,注入速度 1mL/hr で毎分 50μg
の初期注入薬量が得られ,水分の負荷は通常
用 法 ( 液 量 500mL 中 リ ト ド リ ン 塩 酸 塩
50mg)の 1/30 となる。
(10)胎児に心不全,頻脈,不整脈があらわれるこ (10)胎児に頻脈,不整脈が起こることがある。
とがある。また,新生児に腸閉塞,心不全,
また,新生児に可逆的な心室中隔壁の肥大,
可逆的な心室中隔壁の肥大,低血糖症,頻脈,
腸閉塞,頻脈,低血糖症,腎機能障害があ
腎機能障害があらわれることがある。
らわれることがある。
―1―
改訂後(下線部改訂箇所)
改訂前
4. 副作用
4. 副作用
(1)重大な副作用(頻度不明)
(1)重大な副作用(頻度不明)
6) 中 毒 性 表 皮 壊 死 融 解症 ( Toxic Epidermal
6) 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候
Necrolysis : TEN ), 皮 膚 粘 膜 眼 症 候 群
群),中毒性表皮壊死症(Lyell 症候群)
:皮
(Stevens-Johnson 症候群)
:中毒性表皮壊
膚 粘 膜 眼 症 候 群 ( Stevens-Johnson 症 候
死融解症,皮膚粘膜眼症候群があらわれる
群),中毒性表皮壊死症(Lyell 症候群)が
ことがあるので,観察を十分に行い,発熱,
あらわれることがあるので,観察を十分に
紅斑,瘙痒感,眼充血,口内炎等の症状が
行い,発熱,紅斑,瘙痒感,眼充血,口内
認められた場合には,適切な処置を行うこ
炎等の症状が認められた場合には,適切な
と。
処置を行うこと。
10) 高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス:血糖
値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖尿
病性ケトアシドーシスがあらわれることが
ある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると
母体と胎児の生命を脅かすことがある。観
察を十分に行い,異常が認められた場合に
は,直ちに投与を中止し,適切な処置を行
うこと。
11) 腸閉塞:新生児及び母体に腸閉塞があらわ
れることがあるので,観察を十分に行い,
異常が認められた場合には,適切な処置を
行うこと。
12) 胎児及び新生児における心不全:胎児及び
新生児に心不全があらわれることがあり,
特に 2 週間以上の投与例で心不全を認めた
報告がある。胎児期から心拡大等の心不全
徴候に留意し,異常が認められた場合には,
適切な処置を行うこと。
13) 新生児心室中隔壁の肥大:可逆的な新生児
心室中隔壁の肥大があらわれることがあ
る。
14) 新生児低血糖:新生児に低血糖があらわれ
ることがあるので,観察を十分に行い,異
常が認められた場合には,適切な処置を行
うこと。
10) 腸閉塞:新生児および母体に腸閉塞があら
われることがあるので,観察を十分に行い,
異常が認められた場合には,適切な処置を
行うこと。
11) 新生児心室中隔壁の肥大:可逆的な新生児
心室中隔壁の肥大があらわれることがあ
る。
12) 高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス:血糖
値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖尿
病性ケトアシドーシスがあらわれることが
ある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると
母体と胎児の生命を脅かすことがある。観
察を十分に行い,異常が認められた場合に
は,直ちに投与を中止し,適切な処置を行
うこと。
13) 新生児低血糖:新生児に低血糖があらわれ
ることがあるので,観察を十分に行い,異
常が認められた場合には,適切な処置を行
うこと。
―2―
®
《ウテメリン 錠 5mg
-使用上の注意-(改訂部分)》
改訂後(下線部改訂箇所)
改訂前
2. 重要な基本的注意
(5)胎児に頻脈,不整脈があらわれることがあ
る。また,新生児に腸閉塞,頻脈,低血糖
症があらわれることがある。
2. 重要な基本的注意
(5)胎児に頻脈,不整脈が起こることがある。
また,新生児に腸閉塞,頻脈,低血糖症が
あらわれることがある。
4. 副作用
4. 副作用
(1)重大な副作用(頻度不明)
(1)重大な副作用(頻度不明)
4) 高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス:血
4) 新生児腸閉塞:新生児腸閉塞があらわれ
ることがある。
糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖
5) 高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス:血
尿病性ケトアシドーシスがあらわれるこ
糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖
とがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至
尿病性ケトアシドーシスがあらわれるこ
ると母体と胎児の生命を脅かすことがあ
とがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至
る。観察を十分に行い,異常が認められた
ると母体と胎児の生命を脅かすことがあ
場合には,直ちに投与を中止し,適切な処
る。観察を十分に行い,異常が認められた
置を行うこと。
場合には,直ちに投与を中止し,適切な処
5) 新生児腸閉塞:新生児腸閉塞があらわれ
置を行うこと。
ることがある。
6) 本薬の注射剤において,肺水腫,心不全,
無顆粒球症,白血球減少,血小板減少,シ
ョック,不整脈,肝機能障害,黄疸,中毒
性 表 皮 壊 死 融 解 症 ( Toxic Epidermal
Necrolysis : TEN ), 皮 膚 粘 膜 眼 症 候 群
(Stevens-Johnson 症候群),胸水,母体
の腸閉塞,胎児及び新生児における心不
全,新生児心室中隔壁の肥大,新生児低血
糖があらわれたとの報告があるので,観察
を十分に行い,異常が認められた場合には
投与を中止するなど適切な処置を行うこ
と。
削除→
(2)重大な副作用(類薬)
本剤の注射剤において,肺水腫,心不全,
無顆粒球症,白血球減少,血小板減少,ショ
ック,不整脈,肝機能障害,黄疸,皮膚粘膜
眼症候群(Stevens-Johnson 症候群),中毒
性表皮壊死症(Lyell 症候群),胸水,母体の
腸閉塞,新生児心室中隔壁の肥大,新生児低
血糖があらわれたとの報告があるので,観察
を十分に行い,異常が認められた場合には投
与を中止するなど適切な処置を行うこと。
―3―
【改訂理由】
《ウテメリン®注 50mg》
1.「重大な副作用」「重要な基本的注意」
◇胎児及び新生児における心不全(指示改訂)
本剤が投与された母体の児(胎児あるいは新生児)に心不全(心拡大を含む)が認められた
症例が 13 例集積されたことから、「重大な副作用」の項に「胎児及び新生児における心不全」
を追加記載いたしました。
従来、「重要な基本的注意」の(10)項において、胎児及び新生児に関する注意喚起を図っ
てまいりましたが、心不全について追加記載を行い、あわせて記載整備を行いました。
2.「重要な基本的注意」
◇妊娠高血圧症候群の記載について(自主改訂)
薬食審査発 0111 第 1 号/薬食安発 0111 第 1 号(平成 23 年 1 月 11 日)に基づき、「妊娠
中毒症」の記載を「妊娠高血圧症候群」へと記載変更いたしました。
3.「重大な副作用」
◇中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群(自主改訂)
「中毒性表皮壊死症」を現在、一般的に用いられている用語「中毒性表皮壊死融解症(Toxic
Epidermal Necrolysis: TEN)へと記載変更いたしました。
◇記載整備[記載順の変更及び用語統一]
(自主改訂)
現在の「重大な副作用」の記載内容を再確認し、下記の点について記載整備を行いました。
・ 母体と新生児の副作用の記載が混在していたため、記載順序を入れ替え、母体と胎児・
新生児の副作用を整理して記載いたしました。
・ 「および」と「及び」の記載が混在していたため、「及び」に統一いたしました。
―4―
《ウテメリン®錠 5mg》
1.「重大な副作用」
◇胎児及び新生児における心不全(自主改訂)
現在までにウテメリン錠 5mg による「胎児及び新生児における心不全」の副作用報告はあ
りませんが、ウテメリン注 50mg の「重大な副作用」の項に、「胎児及び新生児における心不
全」を追加記載したことに伴い、注射剤で報告されている副作用として、「胎児及び新生児に
おける心不全」について追加記載いたしました。
なお、従来、注射剤で報告されている重大な副作用について、「重大な副作用(類薬)」の項
で注意喚起を図ってまいりました。医薬品医療機器総合機構の指導により、「類薬」の表現を
削除し、「重大な副作用」の項に記載することといたしました。
また、中毒性表皮壊死融解症の用語変更等、注射剤と同様の記載整備を行いました。
2.「重要な基本的注意」「重大な副作用」
◇記載整備(自主改訂)
現在の「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の記載内容を再確認し、下記の点につい
て記載整備を行いました。
・ 「重要な基本的注意」(5)項の記載を見直し、記載整備を行いました。
・ 「重大な副作用」は母体と新生児の副作用の記載が混在していたため、記載順序を入
れ替え、母体と胎児・新生児の副作用を整理して記載いたしました。
―5―
【症例紹介】
《ウテメリン®注 50mg》
症例 1
患者
性・ 使用理由
日齢 (合併症)
女
切迫早産
・
1 日 (なし)
副作用
投与量
投与期間
73~180
μg/min
(母体)
40 日間
経過及び処置
心拡大、心機能障害
【母体経過】
投与開始日
切迫早産に対し、ウテメリン注 120μg/min 投与
(妊娠 30 週 6 日) 開始。
投与 4~39 日目
ウテメリン注 133~180μg/min にて増減。
投与 40 日目
(妊娠 36 週 3 日)
9:00 ウテメリン注 73μg/min に減量。
12:00 ウテメリン注投与終了。
15:34 正常分娩にて児を娩出。
分娩時異常所見:無
【新生児経過】
出生時所見
女児、体重 2980g、身長 49.4cm
Apgar score 1 分後 8 点、5 分後 9 点
生後 1 日目
(投与中止日)
出生後 2 時間の心エコーにて心拡大(LVIDd:
1.81cm)、心機能障害(EF:52.6%)、僧帽弁逆流
症中等度あり。酸素経鼻投与開始。
生後 2 日目
経皮的極細中心静脈カテーテル留置。低カルシ
ウム血症に対しグルコン酸カルシウム水和物注
射液持続投与開始。
生後 4 日目
EF:65.8%。酸素投与終了。
生後 7 日目
グルコン酸カルシウム水和物注射液投与終了。
生後 9 日目
低カルシウム血症回復。
生後 12 日目
僧帽弁逆流症消失。
生後 15 日目
(中止 14 日後)
心拡大、心機能障害回復。
臨床検査値
生後
1 日目
Ca
Ca[2 回目]
Mg
P
NT-proBNP
PTH-INT
dBP
sBP
HR
(mg/dL)
(mg/dL)
(mg/dL)
(pg/mL)
(pg/mL)
(mmHg)
(mmHg)
(/min)
生後
2 日目
6.6
1.9
5.3
52244
36
64
137
29
62
125
生後
3 日目
7.1
8.1
2.1
5.4
44
37
61
114
生後
4 日目
8.9
生後
5 日目
9.6
生後
7 日目
2.3
6.2
10259
47
65
115
41
67
142
生後
9 日目
9.7
生後
生後
12 日目 15 日目
10.3
2.3
6.7
2696
2.0
7.0
1397
34
63
135
22
60
139
32
61
138
併用薬(母体):ビフィズス菌製剤、ウリナスタチン、メトロニダゾール、酸化マグネシウム、
酢酸リンゲル液(ブドウ糖加)、アンピシリンナトリウム
―6―
症例 2
患者
投与量
性・ 使用理由
投与期間
日齢 (合併症)
男
切迫早産 累積投与量 心不全
・
13.5g
【母体経過】
1 日 (なし)
(母体) 投与開始日
(妊娠 24 週 0 日)
54 日間
副作用
経過及び処置
切迫早産のためウテメリン注、硫酸マグネシウ
ム水和物・ブドウ糖を投与開始。
以後、分娩まで最大投与量を継続。(累積投与
量:ウテメリン注 13.5g、硫酸マグネシウム水和
物・ブドウ糖 816g)
投与 53 日目
(妊娠 31 週 3 日)
前期破水。
投与 54 日目
(妊娠 31 週 4 日)
ウテメリン注、硫酸マグネシウム水和物・ブド
ウ糖を投与中止。
投与中止後 2 時間で頭位経腟分娩にて児を娩出。
分娩時異常所見:無
【新生児経過】
出生時所見
体重 1718g、身長 41cm、低出生体重・早産児
Apgar score 1 分後 7 点、5 分後 9 点
生後 1 日目
(投与中止日)
NICU に入院。
バイタルサインに大きな異常はなかったが、胸
部 X 線で心拡大あり、心エコーで心収縮力不良
(EF:42%)、左室拡大、心嚢液貯留あり。
BNP 1490pg/mL、Mg 4.4mg/dL と高値。心電図で
左側胸部誘導の陰性 T 波あり。
心不全と判断し、ドパミン塩酸塩、ドブタミン
塩酸塩、オルプリノン塩酸塩水和物投与開始。
生後 15 日目
(中止 14 日後)
心不全、軽快。
その後、1 歳時点で発育発達は良好。
臨床検査値(生後 1 日目)
RBC
Hb
Ht
Plt
WBC
AST
ALT
(X10000/mm3)
(g/dL)
(%)
(X10000/mm3)
(/mm3)
(IU/L)
(IU/L)
433
16.2
48.3
38.6
14810
23
5
ALP
γ-GTP
T-Bil
LDH
BUN
Cre
TP
(IU/L)
(IU/L)
(mg/dL)
(IU/L)
(mg/dL)
(mg/dL)
(g/dL)
併用薬(母体):硫酸マグネシウム水和物・ブドウ糖
―7―
1109
335
2.3
417
6.3
0.6
5.6
Mg
BS
CK
UA
BNP
CRP
(mg/dL)
(mg/dL)
(IU/L)
(mg/dL)
(pg/mL)
(mg/dL)
4.4
39
296
4.6
1490
0.00
ウテメリン®注 50mg
改訂後の「使用上の注意」全文(下線部改訂)
(5) 本剤の臨床適用は切迫流・早産であるが,妊娠 16 週未満の
-禁忌(次の患者には投与しないこと)-
1. 強度の子宮出血,子かん,前期破水例のうち子宮内感染を
合併する症例,常位胎盤早期はく離,子宮内胎児死亡,そ
(6)
の他妊娠の継続が危険と判断される患者[妊娠継続が危
(7)
険と判断される。]
2. 重篤な甲状腺機能亢進症の患者[症状が増悪するおそれ
がある。]
3. 重篤な高血圧症の患者[過度の昇圧が起こるおそれがあ
る。]
4. 重篤な心疾患の患者[心拍数増加等により症状が増悪す
(8)
(9)
るおそれがある。]
5. 重篤な糖尿病の患者[過度の血糖上昇が起こるおそれが
ある。また,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれるこ
ともある。]
6. 重篤な肺高血圧症の患者[肺水腫が起こるおそれがあ
る。]
7. 妊娠 16 週未満の妊婦(「重要な基本的注意」の項参照)
8. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
(10)
(11)
-使
用
上
の
注
意-
症例に関する安全性及び有効性は確立していないので,投与
しないこと(使用経験が少ない)。
頸管の開大が 5cm 以上の症例に関する安全性及び有効性は
確立していない。
子宮収縮の状態及び母体心拍数・血圧,胎児心拍数を含む心
血管系への作用の監視を行いながら投与し,投与中に過度の
心拍数増加(頻脈),血圧低下があらわれた場合には,注入
速度を遅らせ,減量するなど適切な処置を行うこと。
注入薬量毎分 200μg を越えて投与する場合,副作用発現の
可能性が増大するので注意すること。
本剤投与中,血糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖尿
病性ケトアシドーシスがあらわれることがある。糖尿病性ケ
トアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことが
ある。投与前から口渇,多飲,多尿,頻尿等の糖尿病症状の
有無や血糖値,尿糖,尿ケトン体等の観察を十分に行うこと。
投与開始後に異常が認められた場合には,直ちに本剤の投与
を中止し,適切な処置を行うこと。
胎児に心不全,頻脈,不整脈があらわれることがある。また,
新生児に腸閉塞,心不全,可逆的な心室中隔壁の肥大,低血
糖症,頻脈,腎機能障害があらわれることがある。
本剤投与直後に帝王切開術を行うと,循環動態の大きな変動
により心不全があらわれることがある。休薬期間をおくこと
が望ましいが,やむを得ず投与直後に帝王切開術を行う場合
には,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切
な処置を行うこと。
本剤を硫酸マグネシウム水和物の注射剤と併用する場合に
は,呼吸抑制及び循環器関連の副作用の増強(胸痛,心筋虚
血)が報告されており,注意深く監視を行うこと(「相互作
用」の項参照)。
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 甲状腺機能亢進症の患者
(2) 高血圧症の患者
(12)
(3) 心疾患の患者
(4) 糖尿病の患者,糖尿病の家族歴,高血糖あるいは肥満等の
糖尿病の危険因子を有する患者(「重要な基本的注意」の項
参照)
3.相互作用
(5) 肺高血圧症の患者
併用注意(併用に注意すること)
(上記(1)-(5)は「禁忌」の項参照)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
(6) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
併用により肺水腫を
副腎皮質ホルモン剤
(7) カリウム減少性利尿剤の投与を受けている患者[過度の血
発生することがある
ベタメタゾンリン酸エステル
清カリウム低下が起こるおそれがある。]
との報告がある。
ナトリウム 等
(8) 筋緊張性(強直性)ジストロフィー等の筋疾患又はその既
β-刺激剤
作用が増強されるこ
とがある。
往歴のある患者[横紋筋融解症があらわれることがある。]
β-遮断剤
作用が減弱されるこ
機序・危険因子
体内の水分貯留
傾向が促進され
る。
相加的に作用が
増強される。
β受容体におい
て競合的に拮抗
する。
機序不明
2.重要な基本的注意
とがある。
(1) 本剤投与によって,肺水腫があらわれることがあり,急性
心不全の合併に至った例もあるので,呼吸困難,胸部圧迫
硫酸マグネシウム水和物
CK(CPK) 上 昇 が あ ら
(注射剤)
われることがある。
感,頻脈等に十分注意し,肺水腫があらわれた場合には投
心 筋 虚 血 の 発 生 が 増 機序不明
与を中止し,適切な処置を行うこと。また,肺水腫は心疾
加したとの報告があ
患,妊娠高血圧症候群の合併,多胎妊娠,副腎皮質ホルモ
る。
ン剤併用時等に発生しやすいとの報告があるので,これら
呼
吸 抑 制 作 用 の 報 告 機序不明
の患者には,水分の過負荷を避け,十分な観察を行うこと。
がある。
水分の過負荷を避けるには,薬剤濃度を上げて注入液量を
減らすことが効果的である。シリンジポンプを使用するこ
とにより,薬剤濃度を 3mg/mL(全 50mL 中リトドリン塩酸 4.副作用
副作用集計の対象となった 1,800 例中,330 例(18.3%),456
塩 150mg)まで上げることができる。この場合,注入速度
件の副作用が認められた。主なものは心悸亢進(動悸)234
件
1mL/hr で毎分 50μg の初期注入薬量が得られ,水分の負荷
(13.0%),頻脈 49 件(2.7%),手指振戦 31 件(1.7%),顔面
は通常用法(液量 500mL 中リトドリン塩酸塩 50mg)の 1/30
潮紅 27 件(1.5%),嘔気 17 件(0.9%)であった。(再審査終
となる。
了時)
(2) 本剤継続投与によって,白血球減少又は無顆粒球症があら
われることがあるので,定期的に血液検査を行うとともに
(1) 重大な副作用(頻度不明)
観察を十分に行い,発熱,咽頭痛等の異常があらわれた場
1) 肺水腫,心不全:肺水腫があらわれることがあり,急性心
合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
不全の合併に至った例もあるので,呼吸困難,胸部圧迫
なお,白血球減少及び無顆粒球症はほとんどが 2-3 週間以
感,咳嗽,頻脈,低酸素血症等に十分注意し,肺水腫が
上の継続投与例において発現しているので,特に注意する
あらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこ
こと。
と。また,肺水腫に合併しない心不全があらわれること
(3) 本剤の投与対象は,入院治療など緊急を要する切迫流・早
もあり,帝王切開術後に心不全に至った症例が報告され
産患者である。子宮収縮,頸管の開大・展退,出血等の程
ているので,帝王切開術後も十分観察を行い,異常が認
度を総合的に判断して使用を決定すること。緊急状態を離
められた場合には,適切な処置を行うこと。
脱した後は安全性を勘案しつつ使用し,不必要な投与は避
2) 汎血球減少,無顆粒球症, 白血球減少,血小板減少:汎血
けること。
球減少,無顆粒球症,白血球減少,血小板減少があらわ
(4) 本剤は,妊娠 35 週以下又は推定胎児体重 2500g 未満の切
れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認めら
迫流・早産に使用することが望ましい。
れた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
―8―
3) ショック:ショック(蒼白,チアノーゼ,血圧低下等)があ
胎児・新生児
胎児不整脈,新生児
胎児頻脈
頻脈,新生児低血糖
らわれることがあるので観察を十分に行い,異常が認めら
症,新生児腎機能障
れた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこ
害,新生児呼吸障害
と。
(多呼吸等)
4) 不整脈:心室頻拍等の重篤な不整脈があらわれることがあ
注1) このような症状があらわれた場合には注入速度を遅らせ,減量
るので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投
するなど適切な処置を行うこと。
与を中止し,適切な処置を行うこと。なお,多胎妊娠等の
注2) 異常が認められた場合には減量,休薬等の適切な処置を行うこ
患者では,麻酔薬を投与した直後に重篤な不整脈から心停
と。
止に至った症例が報告されているので,本剤使用時あるい
注3) このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
は,中止直後に麻酔を行う際には特に注意すること。
5) 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等の肝機能障 5.妊婦,産婦,授乳婦等への投与
(1) 妊娠 16 週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立し
害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,
ていないので,投与しないこと(使用経験が少ない)。
異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処
(2)
出産直前に本剤を投与した場合には,出産直後の授乳を避
置を行うこと。
けることが望ましい。[動物実験(ラット)で乳汁中への移
6) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis : TEN),
行が報告されている。]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群):中毒性表皮
壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるの 6.適用上の注意
で,観察を十分に行い,発熱,紅斑,瘙痒感,眼充血,口
(1) 調製時
内炎等の症状が認められた場合には,適切な処置を行うこ
1) 本剤はワンポイントカットアンプルであるが,アンプル
と。
カット部分をエタノール綿等で清拭しカットすること
7) 横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿
が望ましい。
中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわ
2) 希釈溶液として 5 %ブドウ糖注射液,10%マルトース
れることがあるので,このような場合には直ちに投薬を中
注射液がある。電解質溶液の使用は肺水腫防止のため避
止し,適切な処置を行うこと。
けること。
8) 血清カリウム値の低下:血清カリウム値の低下があらわれ
3) セフメノキシム塩酸塩,フロセミド,セフォチアム塩酸
ることがある。
塩,セファロチンナトリウムとは配合変化を起こすの
9) 胸水:胸水があらわれることがあるので,観察を十分に行
で,混注しないこと。
い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切
(2) 投与時
な処置を行うこと。
薬剤投与中は,患者の心臓への負担軽減を図るため半側
10) 高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス:血糖値の急激な上昇や糖
臥位又は側臥位とすることが望ましい。
尿病の悪化から,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれる
7.その他の注意
ことがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎
早産児にみられる脳室内・周辺出血の発生頻度が,β-刺
児の生命を脅かすことがある。観察を十分に行い,異常が
激剤を切迫早産に使用した症例において高かったという外
認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を
国の報告がある。
行うこと。
11) 腸閉塞:新生児及び母体に腸閉塞があらわれることがある
ので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適
切な処置を行うこと。
12) 胎児及び新生児における心不全:胎児及び新生児に心不全
があらわれることがあり,特に 2 週間以上の投与例で心不
全を認めた報告がある。胎児期から心拡大等の心不全徴候
に留意し,異常が認められた場合には,適切な処置を行う
こと。
13) 新生児心室中隔壁の肥大:可逆的な新生児心室中隔壁の肥
大があらわれることがある。
14) 新生児低血糖:新生児に低血糖があらわれることがあるの
で,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切
な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
循環器注 1)
5%以上又は頻度不明
動悸,頻脈,上室性頻
拍,血圧の変動
肝臓注 2)
0.1%未満
心電図異常
(ST・T の異常
),顔面疼痛
肝 機 能 障 害
(AST(GOT),ALT
(GPT)の上昇等)
血液
精神神経
系
血小板減少,貧血
消化器
高アミラーゼ血症を
伴う唾液腺腫脹,下痢
多形滲出性紅斑,腫脹
過敏症注 3)
投与部位
その他
0.1~5%未満
顔面潮紅,息苦
しさ,胸痛
一過性の血糖上昇,CK
(CPK)上昇,尿糖の
変動,倦怠感,こわば
り,咳嗽
振戦,しびれ感, 発汗,眩暈
頭痛,四肢末梢
熱感,脱力感
嘔気,嘔吐,便
秘
発疹,瘙痒
血管痛,静脈炎
発熱
冷汗
―9―
ウテメリン®錠 5mg
改訂後の「使用上の注意」全文(下線部改訂)
-禁忌(次の患者には投与しないこと)-
1. 強度の子宮出血,子かん,前期破水例のうち子宮内感染を合
併する症例,常位胎盤早期はく離,子宮内胎児死亡,その他
妊娠の継続が危険と判断される患者[妊娠継続が危険と判
断される。]
2. 重篤な甲状腺機能亢進症の患者[症状が増悪するおそれが
ある。]
3. 重篤な高血圧症の患者[過度の昇圧が起こるおそれがあ
る。]
4. 重篤な心疾患の患者[心拍数増加等により症状が増悪する
おそれがある。]
5. 重篤な糖尿病の患者[過度の血糖上昇が起こるおそれがあ
る。また,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもあ
る。]
6. 重篤な肺高血圧症の患者[肺水腫が起こるおそれがある。]
7. 妊娠 16 週未満の妊婦(「重要な基本的注意」の項参照)
8. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
-使 用 上 の 注 意-
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 甲状腺機能亢進症の患者
(2) 高血圧症の患者
(3) 心疾患の患者
(4) 糖尿病の患者,糖尿病の家族歴,高血糖あるいは肥満等の糖
尿病の危険因子を有する患者(「重要な基本的注意」の項参
照)
(5) 肺高血圧症の患者
(上記(1)-(5)は「禁忌」の項参照)
(6) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(7) カリウム減少性利尿剤の投与を受けている患者[過度の血清
カリウム低下が起こるおそれがある。]
(8) 筋緊張性(強直性)ジストロフィー等の筋疾患又はその既往
歴のある患者[横紋筋融解症があらわれることがある。]
4.副作用
副作用集計の対象となった2,122例中83例(3.9%),100件の
副作用が認められた。主なものは心悸亢進(動悸)60件(2.8%),
手指振戦14件(0.7%),嘔気8件(0.4%)であった。(再審査
終了時)
(1)重大な副作用(頻度不明)
1) 横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿
中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ
ることがあるので,このような場合には直ちに投薬を中止
し,適切な処置を行うこと。
2) 汎血球減少:汎血球減少があらわれることがあるので,観察
を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適
切な処置を行うこと。
3) 血清カリウム値の低下:血清カリウム値の低下があらわれる
ことがある。
4) 高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス:血糖値の急激な上昇や糖
尿病の悪化から,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれるこ
とがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎児の
生命を脅かすことがある。観察を十分に行い,異常が認めら
れた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
5) 新生児腸閉塞:新生児腸閉塞があらわれることがある。
6) 本薬の注射剤において,肺水腫,心不全,無顆粒球症,白血
球減少,血小板減少,ショック,不整脈,肝機能障害,黄疸,
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis : TE
N),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),胸水,
母体の腸閉塞,胎児及び新生児における心不全,新生児心室
中隔壁の肥大,新生児低血糖があらわれたとの報告があるの
で,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中
止するなど適切な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
循環器
肝臓注)
血液
頻度不明
0.1~5%未満
不整脈(心室性期外
収縮等)
AST(GOT),ALT(GPT)
の上昇等
血小板減少
しびれ
動悸,頻脈,顔面
潮紅
0.1%未満
2.重要な基本的注意
精神神経系
振戦
ふらつき
(1) 投与中に過度の心拍数増加(頻脈)があらわれた場合には,
消化器
嘔気,腹痛
減量するなど適切な処置を行うこと。
過敏症
発疹,紅斑
(2) 1日用量30mgを越えて投与する場合,副作用発現の可能性が
胎児・新生児 胎児頻脈,胎児不整
増大するので注意すること。
脈,新生児頻脈,新
生児低血糖症
(3) 本剤の臨床適用は切迫流・早産であるが,妊娠16週未満の症
例に関する安全性及び有効性は確立していないので,投与し
注)異常が認められた場合には減量,休薬等の適切な処置を行うこと。
ないこと(使用経験が少ない)。
5.妊婦,産婦,授乳婦等への投与
(4) 切迫流産患者にはあらかじめ安静療法を試みた後に本剤を
(1) 妊娠 16 週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立して
投与するとともに,症状の消失がみられた場合は漫然と継続
いないので,投与しないこと(使用経験が少ない)。
投与しないこと。
(2) 出産直前に本剤を投与した場合には,出産直後の授乳を避け
(5) 胎児に頻脈,不整脈があらわれることがある。また,新生児
ることが望ましい。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行
に腸閉塞,頻脈,低血糖症があらわれることがある。
が報告されている。]
(6) 本剤投与中,血糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖尿
病性ケトアシドーシスがあらわれることがある。糖尿病性ケ 6.適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して
トアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことが
服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により,硬い
ある。投与前から口渇,多飲,多尿,頻尿等の糖尿病症状の
有無や血糖値,尿糖,尿ケトン体等の観察を十分に行うこと。 鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の
重篤な合併症を併発することが報告されている。)
投与開始後に異常が認められた場合には,直ちに本剤の投与
を中止し,適切な処置を行うこと。
3.相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
β-刺激剤
β-遮断剤
臨床症状・措置方法
作用が増強されること
がある。
作用が減弱されること
がある。
機序・危険因子
相加的に作用が増強され
る。
β受容体において競合的
に拮抗する。
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問い合わせ先:くすり相談センター 東京都中央区日本橋室町 1 丁目 8 番 9 号
TEL 03-3279-2304
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