基礎工学部パンフレット - 大阪大学 基礎工学部/大学院基礎工学研究科

21 世
紀
の
科
学
School of
と
技
術
の
パ
イ
オ
ニ
ア
EngineeringOsaka
Science
University
大阪大学 基礎工学部
2016
エレクトロニクス
Electronics
物性物理科学
Materials Physics
合成化学
Chemistry
化学工学
Chemical Engineering
機械科学
Mechanical Science
知能システム学
Intelligent Systems Science
生物工学
Biophysical Engineering
計算機科学 / ソフトウェア科学
Computer Science/Software Science
数理科学
Mathematical Science
o f
E l e c t r o n i c s
D e p a r t m e n t
o f
C h e m i c a l
D e p a r t m e n t
o f
S y s t e m s
D e p a r t m e n t
o f
I n f o r m a t i o n
Genta Kawahara
D e p a r t m e n t
a n d
M a t e r i a l s
S c i e n c e
a n d
P h y s i c s
E n g i n e e r i n g
S c i e n c e
a n d
C o m p u t e r
S c i e n c e s
自然、人間社会までも含めた
総合的な科学技術を創出
大阪大学基礎工学部長
河原源太
1996、97年度にかけては、大学院を中
心とする組織に再編し、4学科に改組・
統合しました。
大阪大学基礎工学部は、1961年に国
近年、クリーンなエネルギーや知的情
立大学の中で初めて設置された学部で
報を中心とする持続可能な社会への移
す。創設の理念は、
「科学と技術の融合に
行が望まれているとともに、科学技術に
よる科学技術の根本的な開発、それに
対する取り組み方が見直されています。
より人類の真の文化を創造する学部」で
たとえば、情報やエネルギーを効率よく
す。この理念に基づき、基礎科学に根ざ
蓄え、変換、伝達するためには、新しい
した科学と技術の先端的領域を切り開く
材料、デバイス、システムに関する基礎
研究とともに、基礎科学の素養を身に付
科学とともに、個々の科学技術を有機的
けた柔軟性と創造性を持つ活力あふれ
につなぎ合わせ、それらと自然や人間社
る科学技術者の育成に取り組んでいる、
会とのかかわりまでをも含めた総合的な
ユニークな学部です。
科学技術を創り出す必要があります。基
基礎工学部は創設以来、時代の要請
礎工学部の各学科、大学院の各専攻では、
に応じて、生物工学科、情報工学科など
基礎科学から人間社会にかかわる学問を
の先導的な新学科を創設してきました。
縦糸とし、それらに関連する学問分野を
大阪大学 基礎工学部
Σ
基礎工学部のシンボル
はΣ
(シグマ)
。
文字では
S ci e n c e、形 状 で は
E n gi n e e ri n g、 数 学
では総和を表し、
「科学
と技術の融合」の象徴
として使われています。
Contents
目次
基礎工学部の概要
02
進学・就職のステップ
04
基礎工学部の歩み
05
キャンパスマップ
06
教育の特徴
08
キャンパスライフ
09
全学科の概要
10
電子物理科学科
エレクトロニクスコース
12
物性物理科学コース
正面玄関ホールに掲げられ
ている基礎工学部の理念
14
出身者が語る◎エレクトロニクスコース
16
出身者が語る◎物性物理科学コース
17
化学応用科学科
合成化学コース
18
化学工学コース
20
出身者が語る◎合成化学コース
22
出身者が語る◎化学工学コース
23
システム科学科 機械科学コース
24
知能システム学コース
26
生物工学コース
28
出身者が語る◎機械科学コース
横糸として、マトリックス的・複眼的視点
技術のあるべき姿勢を示したものと言え
に立った先端的な教育と研究を行ってい
ます。そのため、基礎工学部に対する社
ます。
自然と人間の調和をめざす21世紀
会の期待がますます高まっています。基
の科学技術のパイオニア、それが基礎工
礎工学部は、基礎科学の知識を身に付
学部です。
けたい工学部志望者、工学のセンスを身
創設以来50年以上にわたって、基礎
に付けたい理学部志望者、そして時代感
工学部は時代を先導する新たなセンスを
覚と国際感覚を身に付けたいすべての理
身に付けた数多くの優れた人材を世に送
工系志望者の期待に応える学部である
り出してきました。卒業生たちは、社会の
と確信しています。
多彩な分野で指導的な技術者、管理者、
基礎工学部は科学する心と技術への強
研究者として幅広く活躍しており、これ
い関心を大切にする教育研究を実践して
は基礎工学部の誇りでもあります。
います。21世紀の世界を創り支える研究
21世紀の科学技術の創造に
若い力を
出身者が語る◎知能システム学コース
出身者が語る◎生物工学コース
情報科学科 計算機科学コース/
ソフトウェア科学コース
32
数理科学コース
34
出身者が語る◎数理科学コース
37
36
出身者が語る◎計算機科学コース/
ソフトウェア科学コース 大学院基礎工学研究科附属の研究施設
38
基礎工学部と関連の深い教育・研究施設
39
大学院紹介
40
者・技術者には、理学と工学の枠を超え
た柔軟な発想力と実行力が求められて
います。この基礎工学部で私たちととも
社会や科学技術が複雑化する中で、基
に、新しい科学技術の創造に挑戦してみ
礎工学部の理念はまさに21世紀の科学・
ませんか。
2016
30
01
基礎工学部の概要
基礎工学部の組織
基礎工学部は1961年の創設以来順調に発展し、96、
に創設されて現在の組織に至っています。
97年度の大学院重点化により学部4学科、大学院4専攻
基礎工学部における各学科のコース構成は、学部
に再編成されました。
さらに、2001年度には大学院の一
創設の理念に沿って理学系/工学系の組み合わせになっ
部を改組し、情報科学研究科と生命機能研究科が新た
ています。
基礎工学研究科
基礎工学部
基礎工学研究科
電子物理科学科 定員 : 99人
物質創成
専攻
領域
工学 域
物理 学領
性
化
基礎工学研究科
物
物質 域
機能 学領
学工 領域
化
基礎工学研究科
物質
未来
定員 :: 84人
99人
電子物理科学科 定員
化学応用科学科
ース
スコ
ニク
ース ス
ロコ
ト学
ー
ク
学コ
ス
エレ 化 科ー
合成 物理コ
性工学
物学
化
領域
工学 域
物理 学領
性
化
物
物質 域
機能 学領
工
域
化学 質領
物
未来
定員: :169人
84人
化学応用科学科定員
システム科学科
ス
コー コース
化学 ム学ス
成科
テコース
合械
機
ス
能シ
工学コー
知
化学工学
生物
形
非線 ザイン
デ
域
機能 学領
工
生体
生命機能研究科
: 169人
システム科学科
: 83人
情報科学科 定員定員
域
学領
形力 領域
非線 ザイン
デ
域
機能 学領
工
生体
学
経工 クス
脳神 イナミ
ダ
生体
…
ススス
ーー
ココ
ース
学学
学コ
コー
科科
ム
械機
テ
科学ス
機
算
ス
ア
ェコース
計 能シ
ウ
ー
知 ト工学コ
ソフ
学
生物科
数理
情報科学研究科
生命機能研究科
情報科学科 定員 : 83人
各コースでは、大学院の関連する専攻に所属する教員が教育を担
ス
工学
機能創成
専攻
物質創成
領域
専攻
力学 領域
域
機能創成
学領
光科 学領域
子
専攻
電 ム科
テ
域
シス 学領 領域
科
理
数理 ステム数
シ
社会
システム創成
専攻
域
学領
光科 学領域
子
電 ム科
テ
域
シス 学領 領域
科
理
数理 ステム数 ス専攻
ン
シ
イエ 攻
社会
システム創成
専攻
サ
ータ 工学専
ピュ
コン ステム
シ
情報
…
基礎工学部
ス
コー
クス
ロニ
ス
ト
ー
ク
コ
エレ
科学
物理
物性
ス
経
ク
または未来物質領域の研究室で卒業研究を行います。
脳神 イナミ
…
…
ダ
ー
専攻
生体
ンス
学コ コース
イエ
当します。例えば、電子物理科学科・物性物理科学コースの教育を
基礎工学研究科は、基礎工学部から進学するための条件を設けて
機科ア科学
タサ 学専攻
算
ー
4年次の研究配属では
計 ウェ ース
工
ピュ
ト
情報科学研究科
コン ステム
担当している教員は、基礎工学研究科・物質創成専攻の物性物理工
いません。
また、
基礎工学部のどの学科を卒業しても基礎工学研究科、
ソフ 科学コ
シ
大学院の研究室に所属する
情報
数理
学領域と未来物質領域に所属しています。
電子物理科学科の例
このため、物性物理科学コースでは、大学院の物性物理工学領域
4年次の研究配属では
大学院の研究室に所属する
ス
コー
科学
電子物理科学科の例
物理
ナノ量子
物理講座
電子相関
物理講座
物性
1年次
2 年次、3 年次
ース
新物質
ナノ量子
創製講座
物理講座
物性
1年次
域
学領
理工
物
物性
修士課程
域
博士前期課程
学領
理工
4 年次
学コ
科
物理
生命機能研究科、情報科学研究科のいずれにも進学することができ
物質創成
専攻
電子相関
ます。
物理講座
物
物性
修士課程
2 年次、3 年次
4 年次
カリキュラム概要
微小物質
ダイナミクス
講座
新物質
創製講座
微小物質
ダイナミクス
講座
博士前期課程
領域
物質創成
博士課程
専攻
博士後期課程
物質創成
博士課程
専攻
博士後期課程
物質
未来
物質創成
専攻
領域
物質
未来
カリキュラム概要
このほか、関連する組織として3 つの研究センターがあります
極限科学センター
02
未来研究推進センター
太陽エネルギー化学研究センター
大阪大学 基礎工学部
入学試験
一般選抜試験
(前期日程)
に加え、2002年度から新た
募集人員
(人)
に「推薦入試」制度を導入しました。また、2013年度から
は後期日程の募集を停止し、前期日程と推薦入試の拡
充を行うことになりました
(推薦入試の定員をほぼ倍増)
。
基礎工学部のアドミッションポリシー
(入学者受入方針)
にマッチし、個性豊かで意欲あふれる学生を受け入れて
います。
前期日程 後期日程 推薦入試
合計
電子物理科学科
91
0
8
99
化学応用科学科
76
0
8
84
システム科学科
153
0
16
169
75
0
8
83
情報科学科
カリキュラムの特徴
基礎工学部には4つの学科の下に10のコースがありま
ける教育の内容についての詳しい情報が提供されます。
すが、各学科に入学した学生は2年次へ進学する際に各
1年次または2年次には、少人数で行う問題解決型の授業
教育コースに分かれ、それぞれの専門教育を受けます。 (P B L科目)
が用意され、4年次の配当科目には先端的
コース分属の際の志望判断を助けるために、各学科の
内容を多く含む大学院の科目を選択できるような内容も
1年次に「…科学序説」
という科目があり、各コースで受
含まれています。
関連する大学院
関連する大学院には、基礎工学研究科、情報科学
究設備、教育内容も充実し、研究活動を活発に行って
とナノ・バイオ科学の分野横断的なI T教育研究拠点と
います。大学院には、毎年大部分の卒業生が進学する
して、豊かで共生可能なネットワーク社会の構築をめざ
ほか、他大学の卒業生も多く入学してきます。大学院に
す情報科学研究科、21世紀の最優先課題である生命
は「推薦入学」制度、さらに学部の卒業を待たずに3年
体の機構を解明する生命機能研究科の3つがあり、研
次から入学する
「飛び級」制度もあります。
卒業後の進路
2015年3月までに学部卒業生:1万9287人、大学院
それぞれの科学と技術の接点で活躍しています。一例を
修士:1万603人、大学院博士:1690人の有為な人材を
挙げると、現在エレクトロ二クスの分野で国際的に話
世に送り出しています。学部卒業生の約85%は大学院
題となっているH E M T
(H i g h E l e c t r o n M o b i l i t y
に進学し
(4ページ参照)
、これらの卒業・修了生は、10
Tr a n s i s t o r)
と呼ばれる超高速トランジスターは、基
ページからの学科紹介にあるように、
2016
礎工学研究科の修了生2人が発明しました。
03
進学・就職のステップ
学部〜大学院〜就職の流れ
就職
3年
2年
学技術者の育成をめざす基礎工学部・基礎工学研究科。学部卒
大学院
博士後期
(博士)
課程
業生の多くが、基礎工学研究科を含む大学院に進学し、最先端
進学
短縮
1年
の研究活動を通して科学技術者としての力を高めていきます。下に
2年
掲載したデータからも、多くの学生が大学院博士前期
(修士)課程
大学院
博士前期
(修士)
課程
飛び級
進学
1年
基礎科学の素養を身に付けた、柔軟かつ創造的な力を持つ科
へ進学し、6年間の学究が標準となっていることが読み取れます。
進学の特色は、
「飛び級」と
「短縮」です。
「飛び級」は学部 3年
4年
次を終えた後、学部4年次を飛ばして大学院に進学できる制度。
3年
学部
「短縮」は、大学院修士課程(2年間)を1年短縮し、大学院博士課
2年
程に進学できる制度です。両方を利用すれば、大学入学から7年
1年
で博士号を取得することもできます。
2014年度/卒業者数・進路状況
85%が進学
その他 1.3%
就職
進学
84.7%
進学
短縮
基礎工学部の学生の多くが、大学院
就職
博士前期
(修士)
課程に進学していま
14.0%
す。2014年度は卒業者の約85%が
3年
大学院へ進学しました。
進学率の高さ
大学院
2年
は各学科に共通しており、4年次の研
博士後期
(博士)
課程
究室配属から大学院での研究を意識
1年
した教育が行われています。
2年
大学院
2014 年度の主な進学先
学部卒業後 ● 大阪大学大学院基礎工学研究科、大阪大学大学院工学研究科、大阪
大学大学院情報科学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科、大阪大学大学院理学
研究科、University of Auckland、京都大学大学院エネルギー科学研究科、京都大学
大学院工学研究科、京都大学大学院情報学研究科、京都大学大学院人間・環境学研究科、
京都大学大学院生命科学研究科、東京工業大学大学院理工学研究科、東京工業大学大
学院総合理工学研究科、東京大学大学院工学系研究科、東京大学大学院情報理工学系
研究科、東京大学大学院新領域創成科学研究科、奈良先端科学技術大学院大学物質
創成科学研究科
博士前期
(修士)
課程修了後 ●大阪大学大学院基礎工学研究科、東京大学大学院
博士前期
(修士)
課程
1年
進学
飛び級
学部・博士前期
(修士)
課程の就職状況
4年
理工学系にとどまらない就職先
3年
2014年度の主な就職先を掲載します。
電気・電子や精密機械、情報・通
学部ともに、化学や石油・石炭製品、医療、食品、
信分野に多く就職していると
2年
薬品分野にも就職の幅が広がっています。さらに、金融・保険やファンドの
分野にも就職している点に特徴があります。
1年
2014年度の主な就職先
学部卒業生●ANA、AVCテクノロジー、EIZO、IHI、JAL、LIXIL、NOK、NTTデータ、
RKB毎日放送、アイテック阪急阪神、アクセンチュア、大阪産業大学、大阪府教育委員会、
関西テレビ、警視庁、航空管制官基礎研修課程・前期、航空保安大学校(国土交通省)
、コ
ベルコシステム、サントリー食品インターナショナル、進学会、新日本電工、スズキ、住友商事、
住友電工システムソリューション、損保ジャパン日本興亜、第一生命保険、大日本スクリーン
製造、ダイハツ工業、豊田自動織機、日亜化学工業、日本コントロールシステム、日本生命
保険、日本テキサス・インスツルメンツ、野村證券、野村総合研究所、博報堂、パナソニック、
日立造船、廣電、ファナック、富士通、富士通システムズ・ウエスト、フジテック、本田技研
工業、
マツダ、マリンフード、三井住友銀行、三菱重工業、明電舎、メタルワン、ヤマハ発動機、
楽天、リクルート、リクルートスタッフィング、リコー、ワークスアプリケーションズ、ワコール
博士前期
(修士)
課程修了者 ●ASSIUT UNIVERSITY, EGYPT、BASFジャパン、
BLUE ORIGIN, LLC、DIC、IMPERIAL COLLEGE LONDON、JENDER AL
SOEDIRMAN UNIVERSIT Y、JFEエンジニアリング、JFEケミカル、JFEスチール、
JT、JX日鉱日石金属、KDDI、Mizkan J plus Holdings、NEC、NHK、NTTコミュニ
ケーションズ、N T Tデータ、N T Tドコモ、N T T西日本、P&Gジャパン、R A Z ES T、S B I
証券、S M BC日興証券、TOA、Y K K、アイピックス、旭化成、朝日生命保険、アステラ
ス製薬、アスパーク、アドバンテスト、アヨニックス、イシダ、いすゞ自動車、大阪ガス、大
阪大学、大阪府立大学、オムロン、オムロンヘルスケア、オリンパスメディカルシステムズ、
04
カシオ計算機、花王、カネカ、川崎重工業、関西電力、気象庁、キヤノン、九州大学、九
州電力、協和化学工業、キリン、近畿車輛、きんでん、クボタ、高等進学塾、神戸製鋼所、
神戸大学、国際電気通信基礎技術研究所、国土交通省、コニシ、コマツ、サカタインクス、
サムコ、三栄ハイテックス、産業技術総合研究所、サントリーホールディングス、三洋化成
工業、塩野義製薬、四国化成工業、四国電力、シスメックス、柴電、島津製作所、シャープ、
ジュピターテレコム、昭和電工、新コスモス電機、新日鉄住金ソリューションズ、新日本科学、
新日本電工、新日鐵住金、住友化学、住友精化、住友電気工業、住友電装、住友ベーク
ライト、セイコーエプソン、西部ガス、セカンドセレクション、石油資源開発、セコム、ソニー、
ソニー・コンピュータエンタテインメント、ソフトバンク、損保ジャパン日本興亜、第一工業
製薬、第一三共、ダイキン・ザウアーダンフォス、ダイキン工業、ダイセル、大日本スクリー
ン製造、大日本印刷、ダイハツ工業、ダイヘン、大和証券、タキロン、中国電力、中部電力、
デンソー、東京エレクトロン、東芝、東芝ソリューション、東ソー、東北大学、東洋インキ
SCホールディングス、東洋ゴム工業、東レ、トヨタ自動車、豊田自動織機、西日本旅客鉄道、
日油、日揮、日清オイリオグループ、日鉄住金テクノロジー、日本ゴア、日本コントロールシ
ステム、日本ヒューレット・パッカード、日本ペイントホールディングス、日本ロレアル、日本
学術振興会、日本新薬、日本電気航空宇宙システム、日本電気硝子、野村證券、パナソ
ニック、パナソニックエコソリューションズ、阪神高速道路、バンダイナムコゲームス、日立国
際電気、日立製作所、兵庫県社会福祉事業団福祉のまちづくり研究所、広島市役所、興
港投資発展LT D.、ファナック、福山通運、不二越、不二製油、富士ゼロックス、富士通、
富士通テン、富士電機、ブリヂストン、プロシステム、ベネッセコーポレーション、堀場製作所、
本田技研工業、マイクロウェーブ、マツダ、丸紅、三井化学、三井住友銀行、三井物産、
三菱化学、三菱自動車工業、三菱重工業、三菱電機、三菱日立パワーシステムズ、村田製
作所、明治安田生命保険、文部科学省、ヤマハ、山本金属製作所、ヤンマー、ライオン、
楽天、リクルートホールディングス、リコー、りそな信託銀行
大阪大学 基礎工学部
基礎工学部の歩み
基礎工学部・基礎工学研究科の沿革
1961年
機械工学、合成化学、電気工学の3学科と共通講座
(数理)
を設置して
基礎工学部が発足
1996年
1962年
制御工学、材料工学の2学科を設置
1963年
化学工学科を設置
1964年
大学院基礎工学研究科を設置、数理系、物理系、化学系の3専攻を置き、
1967年
生物工学科を設置
1970年
情報工学科を設置
科が化学応用科学科に、情報工学科と共通講座が情報科学科に再
編された
極限物質研究センターは、10年時限到来により1996年3月31日に廃
止になり、極限科学研究センターに転換された
各専攻には、各学科に対応する専門分野を設けた
1997年
大学院重点化にともなう基礎工学研究科の改組により、従来の物理
系専攻を物理系とシステム人間系の2専攻に再編し、
それぞれ大学
院専任講座を設置し、学部の電気工学科と物性物理工学科が 電子
物理科学科に、機械工学科、
システム工学科、生物工学科がシステ
ム科学科に再編された
材料工学科は、物性物理工学科に改称
1974年
附属超高圧実験施設設置
1979年
附属極限微細ビーム加工実験施設設置
1981年
附属太陽光エネルギー化学変換実験施設設置
1986年
附属超高圧実験施設と附属極限微細ビーム加工実験施設は学内共同
2001年
有機光工学研究センターは、10年時限到来により2001年3月31日に
2002年
新研究科(情報科学研究科・生命機能研究科)
の設置にともない、
附属太陽光エネルギー化学変換実験施設は、
計算機科学、
ソフトウェア科学両分野は情報科学研究科へ、生物工
物工学分野の一部は、
システム人間系専攻に再編され、基礎工学研
究科は3専攻8分野となった
2003年
基礎工学研究科の改組により、物理系、化学系、
システム人間系は
物質創成、機能創成、
システム創成の3専攻に再編された
学内共同教育研究施設「有機光工学研究センター」
に統合吸収
制御工学科は、
システム工学科に改称
廃止になり、太陽エネルギー化学研究センターに転換された
学分野の一部は生命機能研究科へ移行し、数理科学分野および生
教育研究施設「極限物質研究センター」
に統合吸収
1992年
系と数理系が化学系と情報数理系の2専攻に再編され、
それぞれ大
学院専任講座が設置されるとともに、学部の合成化学科と化学工学
1971年
1991年
大学院重点化にともなう基礎工学研究科の改組により、従来の化学
2004年
国立大学法人大阪大学へ移行
2006年
極限科学研究センターは、10年時限到来により2006年3月31日に廃
止になり、極限量子科学研究センターに転換された
基礎工学部は1961年に発足されました。
育・研究を展開し、多くの研究成果を挙
より幅広い学際領域に拡張して、大阪大
基礎工学研究科は64年に数理系、物理
げるとともに、理学と工学双方の視点を
学全体をさらに活性化して新しい科学技
系、化学系の3専攻でスタートし、さらに
備えた研究者、技術者を多数育成し、学
術や新学問領域を創り出すことをめざし
96、97年度に大学院重点化にともない物
界、産業界に貢献してきました。
ています。
理系、化学系、システム人間系、情報数
2001年度には、情報数理系専攻とシス
具体的には、基礎工学研究科は
「物理
理系の4系専攻に再編されました。
テム人間系専攻の一部がそれぞれ新しく
と化学の融合を特徴とする物質創成専攻」
基礎工学部および基礎工学研究科創
創設された情報科学研究科、生命機能
設の理念は
「科学と技術の融合による科
研究科へ移りました。
融合を特徴とする機能創成専攻」
「ハード
学技術の根本的な開発」
です。
「科学と技
このような流れのなかで、03年度に、
ウェアからアルゴリズムまでを一体化し
術の融合」の基本理念に基づき、数学、
基礎工学研究科の21世紀における新た
文理融合も視野に入れることを特徴とす
物理学、化学、生物学などの基礎科学と
な発展をめざすための改組が行われま
るシステム創成専攻」
の3専攻に再編され、
先端技術に関係する教育・研究環境を整
した。この改組では、その教育研究領域
基盤専門教育と専攻横断的な学際専門教
え、科学と技術をつなぐ分野を研究対象
を従来取り組んできた理学と工学の学際
育を組み合わせた新たなカリキュラムを
とする全国唯一の学部・研究科として教
領域だけでなく、人文社会系まで含めた
導入しました。
2016
「バイオエンジニアリングとメカニクスとの
05
キャンパスマップ
基礎工学部生が学ぶ豊中キャンパス
43万平方メートルの規模を持つ大阪大学豊中キャンパス。
敷地内の待兼山は、
『枕草子』に「山は…まちかね山」
と描かれ、
また多くの和歌に詠まれていて、昔から西国街道沿いの
景勝地として知られていました。
基礎工学部生は、この緑豊かなキャンパスで
学究を深めていきます。
施設名一覧
大阪大学会館
待兼山会館(レストランなど)
学生会館(サークル)
明道館(サークル棟)
福利センター
(レストラン・売店)
基礎工学研究科附属極限科学センター
刀根山寮(学生寮)
全学教育推進機構 全学教育総合棟
全学教育推進機構 全学教育講義C棟
全学教育推進機構 全学教育管理講義棟
第一体育館
プール
健康体育研究棟
グラウンド
言語文化研究科
文学部・文学研究科
経済学部・経済学研究科
法学部・法学研究科
総合図書館
保健センター豊中本室
国際公共政策研究科・高等司法研究科
サイバーメディアセンター・豊中教育研究棟
カフェテリアらふぉれ
(レストラン)
低温センター
国際交流会館
基礎工学部・基礎工学研究科・情報科学研究科
太陽エネルギー化学研究センター
基礎工学国際棟
科学教育機器リノベーションセンター
理学部・理学研究科
基礎工学部棟
ラジオアイソトープ総合センター分館
学生交流棟
(学生部豊中学生センター、
レストラン・売店など)
06
大阪大学 基礎工学部
豊中キャンパス
箕面キャンパス
吹田キャンパス
彩都西
至宝塚
石橋
北千里
バス路線
茨木市
南茨木
至京都
阪急宝塚線
阪急千里線
千里中央
柴原
阪急京都線
茨木
北大阪急行
大阪空港
JR京都線
阪大病院前
大阪モノレール
江坂
新大阪
山陽新幹線
十三
阪急神戸線
JR神戸線
大阪・梅田
梅田
門真市
淡路
京阪本線
至神戸
阪神本線
西梅田
淀屋橋
中之島センター
JR環状線
地下鉄中央線
地下鉄堺筋線
なんば
森ノ宮
鶴橋
至奈良
地下鉄御堂筋線
地下鉄四つ橋線
JR難波
本町
京橋
北浜
近鉄奈良線
天王寺
動物園前
JR大和路線
天下茶屋
近鉄南大阪線
関西空港
南海本線
JR阪和線
泉佐野
利用交通機関
【鉄 道】阪急電車宝塚線石橋駅
(急行停車)
下車
東へ約1.5キロメートル、徒歩約25分
【モノレール】大阪モノレール柴原駅下車
徒歩約10分
2016
07
教育の特徴
授業科目は
「共通教育系科目」および「専門教育系科目」の2体系に分かれ、
それぞれの履修方針に従って所定の単位を修得しなければなりません。
全学共通教育科目の履修方法を以下に示します。
(入学年度によって変わる場合があります)
Ⅰ . 共通教育系科目
「共通教育系科目」は「教養教育科目」
「言語・情報教育科目」
「健康・スポーツ教育科目」
「自由選択科目」の各科
目から構成されています。2015年度入学の基礎工学部学生の共通教育系科目の履修方法を次に示します。
(卒業するためには指定されている単位を修得する必要があります)
1. 教養教育科目
「基礎教養科目」
「現代教養科目」
「国際教養科目」の授業
科目のなかから所定の単位を修得しなければならない。
3. 健康・スポーツ教育科目
「スポーツ実習A」
(1単位)を必修とし、
「スポーツ科学」
(1単
位)、
「健康科学実習A」
(1単位)および「健康科学」
(1単位)
のいずれかを選択履修し、計2単位を修得しなければなら
2. 言語・情報教育科目
ない。
8単位を修得しなければならない。
4. 自由選択科目
①第1外国語として、英語の授業科目のうちから選択履修し、
②第2外国語として、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中
先端教養科目、国際教養科目
(国際教養1)、基礎セミナー、
国語のうちから1外国語を選択し、3単位を修得しなけれ
情報処理教育科目(情報科学科の学生は
「情報社会と倫
ばならない。
理」および「アドバンスド情報リテラシー」、その他の学科の
③情報処理教育科目として、情報活用基礎2単位を修得し
学生は
「アドバンスド情報リテラシー」に限る)のうちから選
なければならない。
択履修し、2単位を修得しなければならない。
Ⅱ . 専門基礎教育科目
専門基礎教育科目として指定された科目のなかから、指示された単位を修得しなければなりません。
1. 電子物理科学科:24単位以上を修得しなければならない。
2. 化学応用科学科:28単位以上を修得しなければならない。
※
3. システム科学科:24単位以上を修得しなければならない。
4. 情 報 科 学 科:18単位以上を修得しなければならない。
08
※注:機械科学コースを選択する者は図学Aを、知能システム学
コースまたは生物工学コースを選択する者は電磁気学Ⅰを必ず履
修しなければならない
大阪大学 基礎工学部
キャンパスライフ
サイバーメディアセンター[左]
情報処理技術基盤の整備を図るとと
もに、ディジタル・コンテンツの蓄積・
発 信のための基盤 技 術の提 供と利
用のための効率化の推進を目標とす
る、学内外の情報基盤を支える組織
大阪大学会館[右]
旧制浪 速高等学 校の校舎
(イ号館)
を最新技術を導入した環境に優しい
建物として再開発。総合学術博物館
や産学連携・国際交流スペースなど
で構成される。大学の歴史と進取の
気風が融合した大阪大学のシンボル
2015年度 行事予定
学部入学試験、編入学試験、転学部・転学科や大学院入学試験などの日程は記載していません。
予定は変更されることがあります。
月
日
2
1年次
入学式
(大阪城ホール)
新入生各学部別履修指導
3
1年次
4
1年次
新入生履修選択希望登録
(~4/7 13時)
6
2年次
クラス別懇談会
1年次生クラス別懇談会
教職課程ガイダンス
(希望者のみ)
学生交流棟の1階。中山池に臨み、緑豊かな景色を
楽しめる食堂
4
7
8
3年次
合成化学コースでの実験・測定の様子。教員や大学
院生とのチームワークが欠かせない
7
8
9
必修科目「防災特論」の講義の様子
10
12
1
3
安全講習会
1年次
新入生健康診断
全学年
第1学期授業開始
(専門教育科目)
1年次
留学生ガイダンス
2~4年次
5
コース別履修指導
専門教育科目1学期KOAN履修登録
(3/20~4/21)
全学共通教育科目1学期KOAN履修登録
(4/8 13時30分~4/16 13時)
第1学期授業開始
(全学共通教育科目)
9
全学年
1
全学年
大阪大学記念日・いちょう祭
(授業休業、
~5/3)
7
全学年
基礎工学部専門教育科目休業
(臨時)
22
全学年
基礎工学部専門教育科目休業
(臨時)
23
全学年
専門教育科目授業・試験実施期間
(7/23~24、7/30~31、8/3~6、8/10~11)
30
全学年
全学共通教育科目授業・試験実施期間
(7/30~31、8/4、8/6~7)
12
全学年
夏季休業
(8/12~9/30)
ただし全学共通教育科目は8/8~9/30までが夏季休業
1
全学年
全学共通教育科目第1学期成績閲覧開始
3
全学年
全学共通教育科目第2学期履修選択希望登録
(~9/16 13時)
28
全学年
全学共通教育科目第2学期履修選択希望登録結果閲覧開始
(9時~)
全学共通教育科目第2学期履修登録
(9時30分~10/8 13時)
学生定期健康診断
(~4/14)
1
全学年
第2学期授業開始
(全学共通教育科目、専門教育科目とも)
初旬
全学年
専門教育科目2学期KOAN履修登録
31
全学年
大学祭
(授業休業、
~11/4)
22
全学年
冬季休業
(~1/3)
(全学共通教育科目、
専門教育科目とも)
15
全学年
大学入試センター試験前日
(臨時休業)
21
全学年
28
全学年
全学共通教育科目授業・試験実施期間
(1/28、2/5、2/9~10、2/15)
1
全学年
全学共通教育科目第2学期成績閲覧開始
7
全学年
全学共通教育科目在学生履修選択希望登録開始
(~3/23 13時)
中旬
4年次
卒業者発表 楠本賞/基礎工学部賞受賞者発表
28
4年次
卒業式
専門教育科目授業・試験実施期間
(1/21、1/28~29、2/2~3、2/5、2/8~2/10、2/12)
ただし2/12は月曜日の振替授業・試験実施期間
学生交流の場として2009年6月に完成した基礎工
学部の中庭。ランチや休憩の場としても活用される
2016
09
全学科の概要
【電子物理科学科】
Department of Electronics and Materials Physics
● エレクトロニクスコース
● 物性物理科学コース
定員:99人
ス
コー
クス
二
ス
ロ
クト
コー
エレ
科学
理
物
物性
人
間重視の知的情報技術、創省エネル
研究・開発する物性物理とそれらを新たなデ
ギー技術や省資源技術がますます重要
バイス・システムヘと発展させる電気工学を
となってきました。これらを支える主要な科学
融合し、さらに人間工学的な要素を加味した
技術は、
「電子・光」についての基礎科学とそ
のが「電子物理科学科」です。深い基礎知識
れに基づく新しい機能材料、デバイス・システ
と広い視野や柔軟性を持った学生を育てま
ムの開発です。同時に自然や人間社会とのか
す。1年次には共通の専門の教育科目を履修
かわりを総合的に見つめる力が要求されます。
し、2年次からはエレクトロニクス、物性物
電子や光の性質を深く知りつつ機能材料を
理科学の2つのコ一スに分かれて学びます。
【化学応用科学科】
Department of Chemical Science and Engineering
10
● 合成化学コース
● 化学工学コース
定員:84人
ース
学コ
化
ース
合成
学コ
工
化学
化
学は私たちの生活を支え、人類の進
化学工学コースに分かれます。2年次と3年次
歩と地球環境との調和を図るために、
では、それぞれ基礎を重視した合成化学・
必要な科学技術の源です。本学科では、物質
化学工学の専門科目を学び、4年次では全員
の新しい在り方を探求し、物質と生命の関係、
が教職員の直接指導を受けて特別研究を行
エネルギー問題・環境問題の解決など広い
います。
視野に立った教育・研究を行っています。
さらに、本学科の学生の大半は大学院に
1年次で自然科学・社会科学・語学を含む
進学し、科学技術と人間の調和に必要とさ
一般教育を修め、2年次で合成化学コースと
れる創造性豊かな能力を身に付けます。
大阪大学 基礎工学部
● 機械科学コース
● 知能システム学コース
● 生物工学コース
定員:169人
ス
コー ース
科学 ム学コ
械
機 システ ス
ー
知能工学コ
生物
ロ
ボットや人工衛星は複雑なシステムの
機能を発揮します。本学科では、機械、社会、
代表であり、その構成要素である多く
環境、生物について数学や物理を駆使した
の機械部品、電子部品およびソフトウェアを
数理的アプローチを基本とし、システム論的
巧みに連携させることにより、人に役立つ作
な手法で教育と研究を行います。2年次より
業や高速移動を可能としています。医療福祉
機械科学、知能システム学、生物工学3コー
や環境エネルギー技術にも応用され、人類社
スで具体的なシステムを対象とする専門分野
会に貢献しています。生物も多くの細胞や器
の教育を受けます。それぞれの学問分野の深
官で構成され、これらが互いに協調して生命
化とともに学際融合領域の開拓を目指します。
【システム科学科】
Department of Systems Science
【情報科学科】
Department of Information and Computer Sciences
● 計算機科学コース
● ソフトウェア科学コース
● 数理科学コース
定員:83人
ース
学コ コース
科
機 科学
計算 ウェア ス
ー
ト
ソフ 科学コ
理
数
本
学科には、計算機科学コース、ソフト
科学コースは理学、工学、経済学、そのほ
ウェア科学コース、数理科学コースの
かさまざまな分野に生じる数学的、統計学的
3コースがあります。
問題に共通する数理的法則を抽出・解明し、
計算機科学とソフトウェア科学の2コース
応用に役立てることをめざしています。
は、コンピュータそのものの可能性を追究す
本学科の教育は情報科学における基礎的
る科学と、その技術の基礎をなす数学手法、
な素養の養成と技術の習得に重点を置いて
さらにコンピュータをツールとする新しい応
います。専門科目を含む一般教養の修得後、
用技術を教育の主な課題としています。数理
2年次に3つのコースに分かれて学びます。
2016
11
【電子物理科学科】
エレクトロニクスコース
Electronics
3大講座
(分属予定人数:50人程度)
ここが
オモシロイ
コースの特徴
学びの内容
高品位で安定した情報伝達やエネルギーの
エレクトロニクスコースでは、エレクトロニクス
伝達は、ダイナミックに進展しつつある現代の
とフォトニクスの基礎から応用までを幅広く勉強
社会を支える基盤となっていると言ってよいで
します。入学時から、エレクトロニクス全般にわ
しょう。
たって基礎となる数学、電気・電子回路学、電
エレクトロニクスコースでは、これらの基礎科
磁気学、量子力学、半導体電子工学をしっかり
学である電子や光、電磁波について基礎から
と勉強します。これと並行してコンピュータの基
応用までを学ぶとともに、最先端のエレクトロニ
礎を楽しく学び、自在に活用できるようにします。
クスをリードする実力を養成します。電子を扱う
高学年になると、広範囲にわたる専門的な科
エレクトロニクスだけでなく、光を扱うフォトニク
目を勉強し、材料、デバイスのみならず、システ
スをも同時に勉強できるということです。さらに、
ム思考まで身に付けます。この時期には豊富な
ヒューマンインターフェースを念頭に置き、それら
演習があり、実験を行うことで理解を深めてい
をシステム化できる学生を養成します。
きます。教育は基礎工学研究科・システム創成
そのため、エレクトロニクス全般の基礎となる、
専攻・電子光科学領域の
「固体電子工学講座」
数学、電気・電子回路学、電磁気学、量子力学、
「量子機能エレクトロニクス講座」
「光エレクトロ
半導体電子工学をしっかりと身に付けるための
ニクス講座」
「附属極限科学センター」
の教員が
カリキュラムが組まれています。
担当します。
エレクトロニクスが文明をリードする
携帯電話、ゲーム機、薄型テレビなど、身の
りません。インターネットは光ファイバーにより、
回りの電化製品の進化は、とどまるところを知
世界を一つにし、茶の間から世界中の情報を瞬
オ シ ロ ス コ ー プ を 利 用 し て 、電子
回路に流れる電流や、発生する電
圧 を 測 定 す る 学 生 実 験 を 通 し て、
エレクトロニクスを学ぶ
時に得られるようになりました。これらはすべて、
エレクトロニクス技術があって初めてなし得たこ
となのです。エレクトロニクスコースでは、電子
や光の最先端技術を手に取って学び、そして未
来に向けた研究を進めています。
エレクトロニクスコースでは、電子や光を使っ
たいろいろな実験を通して、エレクトロニクスの
世界を体験していきます。半導体の電子の動き
や、電波や光の挙動を学び、それらを利用した
未来へのエレクトロニクスを探究しています。
12
大阪大学 基礎工学部
Department of Electronics and Materials Physics
Electronics Course
http://www.ee.es.osaka-u.ac.jp/
研究内容
若いみなさんの自由なアイデアや斬新な発想が遺憾なく発揮できる舞台が整って
います。高機能・ユビキタス通信を可能にする半導体・超微細集積回路、光波・マ
イクロ波技術、持続可能エネルギーをめざす高効率太陽電池、安心・安全な社会を
めざす高度センシング技術、情報処理の未来を拓くスピントロニクスや量子コンピュー
タ、高温超伝導、極限計測などの最先端の研究に挑戦しています。
無線光融合通信用アンテナ
分子のスピンを使った量子コンピュータ
スピントロニクスデバイス
テラヘルツ無線通信
イオンを使った量子コンピュータ 薄膜シリコン太陽電池の開発
2016
近赤外光を利用したペットボトル検査装置
電子顕微鏡による結晶の
原子配列観測
原子間力顕微鏡による原子操作
13
【電子物理科学科】
物性物理科学コース
Materials Physics
4大講座
(分属予定人数:50人程度)
ここが
オモシロイ
学びの内容
コースの特徴
固体や液体などのさまざまな天然および人工
まず、序説とP B Lで基礎と応用それぞれを
の物質が示す
「電気・磁気・光・熱・力学」的な
学ぶ楽しさを味わいます。次にこれからの物性
性質を物理学を用いて研究します。物性物理科
物理の中心的課題であり、同時に社会のニーズ
学は、
「未知の現象の探究と理論的な解明」
「新
でもある
「電子と光の多彩な姿・現象・機能」
を
物質の創成と物性の究明」
「新しい観測量・観
理解するための科目
「電子・原子・固体のミクロ
測手段の開発」
などを実験と理論の両面から追
な法則である量子力学・電磁気学・統計力学
究することにより、人類の自然観や工学の基礎と
などの基礎、およびさまざまな物性の応用」
を
なっている重要な学問分野です。
学びます。
物性物理における新しい発見や発展は工学
実験と演習により理解を深め、コンピュータ・
に新しい領域を生み出し、産業の飛躍的発展
電気回路の基礎演習・実験を通して「ソフトと
を引き起こします。例えば、今日の情報化社会
ハード」の経験も積みます。4年次では各研究室
の基になっている超高速コンピュータやレーザは
に所属し卒業研究に取り組みます。世界最先端
物性物理学の基礎研究から生み出されたもの
の物性研究を自ら体験することによって、物理
です。また、半導体・超伝導体などのさまざま
的基礎力を確かなものにし、自ら新しい流れを
な新機能材料を開発することにより、省資源化
作り出し、未来の技術を創出できる科学技術者
社会の実現に寄与することができます。
に育てます。
物質科学のイノベーションリーダーを養成
真に革新的な技術の開発には自然法則の深
ことを目指し、そのために必要な世界最先端の
い理解が必要です。それと同時に社会のニーズ
研究の展開を行ってきました。
をつかむ広い視野も必要とされます。本コース
これまでの成果の一つとして、図に示されたよ
ではそのような力を身に付けた若者を育成する
うな銅
(C u)
を含む酸化物で見られる
「高温超伝
超伝導臨界温度の年代変化
高温超電導の歴史
導の機構の解明」に向けた貢献ができたことが
挙げられます。
そうした取り組みが評価され、2012年から文
部科学省の博士課程教育リーディングプログラ
ム「インタラクティブ物質科学・カデットプログ
ラム」に選定され、その中核メンバーとして、教
育研究を発展させています。このプログラムは
次代を担う物質科学のイノベーションリーダー
を養成することを目的とし、高度な教育研究活
動を精力的に行っています。
14
大阪大学 基礎工学部
Department of Electronics and Materials Physics
Materials Physics Course
http://www.mp.es.osaka-u.ac.jp/
研究内容
新しい超伝導体の超伝導機構の解明、スプリング8の放射光を用いた物質の電子
構造の解明、電場で磁石の性質を制御するといった新しいデバイスの構築に繋がる
研究、量子暗号、量子コンピューティングなど量子情報処理に関する研究、レーザ
光と物質の相互作用を用いて新しい光を作る研究などを行っています。また、ミクロ
スケール、ナノスケールへと物質の大きさを変えて生まれる新しい性質を理論・実験
の両面から明らかにし、ナノテク・ナノサイエンスに正面から取り組んでいます。
シンクロトロン放射光による物質の電子構造の解明
超高速の計算機を用いた理論研究
ダイヤモンドを用いた
超高圧下の物質科学
先端径0.1mmに100万
気圧の圧力を発生
1mm
Cu Cl量子ドットの
レーザー発振
Intensity(a.u.)
レーザーを用いた光物性測定装置
0 200 400 600
Time(fs)
量子光学・量子情報
エンタングルした光子対の発生
ナノ構造物質と超高速レーザ分光
金属表面上の分子の姿
10nm×10nm
2016
15
【電子物理科学科】
出身者が語る◎エレクトロニクスコース
岡本博明(おかもと・ひろあき)教授[左]
基礎工学部・電子物理科学科・エレクトロニクスコース教授
河村麻美(かわむら・あさみ)さん[右]
エレクトロニクスコース出身/
文部科学省
Electronics
①プラズマC V Dで太陽電池をつ
くる
②実験で用いるガスの制御盤
③プラズマの発生を確認する
「早
く専門的な勉強がしたかった」
とは確実視されている。現在は、これま
で科学技術政策を推進する仕事をしたい
と言う河村麻美さんは、中学校
でに培われた技術を用いて、より低コス
と思った。はじめは経済産業省が適して
を卒業して工業高等専門学校に入学。
「自
トでより高性能なシリコン薄膜太陽電池
いると思っていたが、文部科学省の先輩
分でゲームがつくれたら面白そう」
と電子
の開発を目指している。
職員と話すうちに「理系好きな子供を増や
情報工学科に所属してプログラミングの
河村さんは基礎工学部に3年次編入を
す政策に携わりたい」
と思うようになった。
勉強をしていた。しかし勉強を進めるう
果たし、岡本研究室に配属。太陽電池の
そして基礎工学部のハードな勉強の傍ら
ちに、電子やエネルギーそのものの仕組
膜やプラズモン
(金属中の自由電子が集
で国家公務員試験の対策も進め、見事合
みを知りたくなってきた。
団的に振動して擬似的な粒子として振る
格。念願の文部科学省へ入省した。
「高専卒業後の編入先の大学を探してい
舞っている状態)が発生する素地を作製
「理学と工学のいいとこ取りをしている
るうちに、後に所属することになる岡本
し、その物性を評価する研究をした。
環境で学ぶことができたことは、科学技
先生の研究室のウェブサイトを見つけて、
面白そうだと思ったんです」
術行政に携わるときに大いに生かされま
した」
と河村さんは振り返る。
一方、将来どんな仕事をするかについ
岡本教授はコースの特徴を挙げる。
「バ
ても、次第に考えるようになった。
「まず
ラエティーに富んだ研究室がそろってい
岡本博明教授の研究室では早くから、
ずっと仕事を続けたいと思い、そのため
つつ、コンパクトにまとまっています。そ
シリコン系薄膜を用いた太陽電池に着
にはやりがいが欠かせません。私の場合
うした良い雰囲気の中で、最先端エレク
目して研究をしてきた。クリーンなエネル
は国のためならばやりがいを持ち続けら
トロニクスをリードする技術者・研究者の
ギーとして太陽電池の需要が急増するこ
れると思ったんです」
。具体的には、省庁
育成をしています」
。
早くから太陽電池に着目した研究室
16
学部の勉強の傍ら国家試験対策も
大阪大学 基礎工学部
Department of Electronics and Materials Physics
出身者が語る◎物性物理科学コース
木村 剛(きむら・つよし)教授[左]
基礎工学部・電子物理科学科・物性物理科学コース教授
薄井智靖(うすい・ともやす)さん[右]
物性物理科学コース出身/
物質創成専攻・物性物理工学領域・博士前期課程修了
株式会社村田製作所
Materials
Physics
①X 線 回 折 装 置で 物 質の
微細な構造を解析する
② 物 質の 磁 気特 性を測る
磁化測定装置
③薄井さんが研究で使って
いた試料
高
校2年の夏、志望大学・学部を探
を選んだ。
的には同じ物質でも、構造が違う状態を
していた薄井智靖さんは、基礎工
3年次の
「物性演習」は、自らの手で計
指す。薄井さんは、物質のらせん構造の
学部の物性物理科学コースが開催した
算をして問題を解き続けるという、楽で
右巻きと左巻きとの違いを対象にした。
体験入学に参加。
はない科目だ。薄井さんは
「それほど大変
ある物質を作るときにらせんの向きを制
身近にある物質の性質を解明する分
ではなかった」
と笑うが、実は学部4年間
御できれば、磁性や電気分極の方向を制
野があると知り、それまであまり興味を
を通して陸上部に所属しており、非常に
御できる。
持っていなかった物理学に、一気に面
多忙な学生生活を送っていた。
「練習の
木村教授は学生時代の薄井さんの長
白みを感じた。オリジナリティーを大切
ため、毎日のように豊中キャンパスと吹田
所を振り返る。
「研究テーマは私が示した
にする薄井さんにとって、基礎工学部が
キャンパスを往復していました。忙しかっ
わけではなく、自分で試料を見つけてき
国公立大学で唯一大阪大学にある点も気
たですが、充実していましたね」
。
て設定していました。オリジナルを追究
に入っていた。
4年次になり、特殊な物質の開発や、
することは研究者として非常に大事なこ
その物性の起源を探る測定をする木村研
とです」
。
究室に入った。卒業研究では、理論家が
このコースの魅力についても木村教授
基礎工学部の電子物理科学科に入学
発表した酸化銅の単結晶の電気磁気効果
は教えてくれた。
「産業に近いところから、
し、2年次のコース選びではエレクトロニ
を高める方法を、実験して確認すること
もっと基礎的なところまで、幅広い研究
クスコースと物性物理科学コースで迷った。
に取り組んだ。
がそろっています。自由な発想で新しい
しかし、最初に共感した
「身近な物質の
修士課程ではカイラリティーを研究。
物質を見つけることに挑戦したい方に向
性質を調べる」
ことが決め手となり、後者
カイラリティーとは、例えば物理的、化学
いているでしょう」
。
陸上部と学業を両立する充実の日々
2016
17
【化学応用科学科】
合成化学コース
Chemistry
2大講座
(分属予定人数:40人程度)
ここが
オモシロイ
コースの特徴
学びの内容
複雑な生命現象もその根元をたどっていくと
化学の基礎である
「元素の自由な組み合わせ
実に巧妙な分子の働きに支えられています。情
による新しい化合物の合成」の研究・教育を
報やエレクトロニクスを支える材料をはじめ、21
行っています。コースは、有機化学系、高分子
世紀に要求される優れた機能を持つ材料を作
化学系、無機化学系、物理化学系などに分か
り出すには、その働きを分子のレベルで理解す
れた7つの研究グループで構成。環境に適合
ることが不可欠です。
した合成反応の開発、ナノテクノロジーの基盤
また、これまで人類の生活を豊かにしてきた
となる高度な機能性有機分子・高分子・有機金
化学は、環境問題をはじめ、資源、エネルギー、
属分子・超微 粒子から機能性界面創成、遺伝
食糧、人口問題など人類の生存を脅かす問題
情報伝達や光合成に関連する重要な生体分子
の解決にも重要な役割を果たすことが期待され
機能の解明やその利用まで幅広く学びます。
ています。
教育は、基礎工学研究科・物質創成専攻・
合成化学コースでは、化合物の新しい合成
機能物質化学領域の
「合成化学講座」
「機能化
法の開発、化合物や物質の構造、化学結合や
学講座」
、未来物質領域の
「新物質創製講座」
化学反応全般にわたる基礎研究とともに、これ
「微小物質ダイナミクス講座」、太陽エネルギー
らの基礎研究に立脚した先進的な応用にも注
の化学変換の研究を進める
「太陽エネルギー化
目した研究を活発に行っています。
学研究センター」の教員が担当します。
ライフサイエンスの基礎としての化学
私たちの回りには医薬品やプラスチック製品な
造を原子レベルで解明する構造生物学の発展に
ど多くの有機化合物がありますが、私たちの身体
より、多くの生命現象を化学構造式と反応式で
も有機分子でできており、生命現象は酵素が触
表すことができるようになってきました。また、タ
媒として働く様々な化学反応の積み重ねであると
ンパク質や核酸の部分構造を化学的に合成する
言えます。そのような視点で見ると、化学と生物
方法が確立されているだけでなく、生体分子の
学の間に垣根はありません。生体分子の立体構
分析にも化学が使われています。例えば、生物
化学合成したDNA断片を
分析している大学院生
学の研究に欠かせない遺伝情報の解析や犯罪
捜査で威力を発揮するDNA型鑑定にも核酸関
連化合物の合成研究の成果が利用されています。
合成化学コースでは有機化学と物理化学を中
心に無機化学や高分子化学などを学びますが、
化学の知識があれば原子や分子を扱う構造生
物学や分子生物学を理解することは容易ですの
で、将来の進路としてライフサイエンスの分野も
一つの選択肢となります。
18
大阪大学 基礎工学部
Department of Chemical Science and Engineering
Course of Chemistry
http://cobalt.chem.es.osaka-u.ac.jp/
研究内容
研究の対象は、分子構造や反応機構の解明など、化学の最も基本となるものから、
実用性の高いさまざまな合成反応や新素材・新薬・新デバイスの開発など応用に近
いものまで幅広く、まさに基礎工学部の理念が実践されていると言えます。これらの
研究には、さまざまな最新の分析装置、レーザ、コンピュータなどが用いられ、世界
の最高水準の研究成果が得られています。このほか、太陽エネルギー化学研究セン
ターと密接に連携した研究も行っています。
ナノサイズの穴を持つ分子の穴を
有機分子で交互に埋めた分子配列
の走査型トンネル顕微鏡像とその
モデル
音で集まる分子
オンラインLC - N M Rによる
高分子分析
光変形する分子に働く力で
観る・測る
金属酵素様機能を示す亜鉛クラスター触媒
細胞中でのD N A修復の蛍光による検出
光触媒反応による水素発生
2016
19
【化学応用科学科】
化学工学コース
Chemical
Engineering
3大講座
(分属予定人数:45人程度)
学びの内容
コースの特徴
化学工学とは、物質および機能の変化
(=化
大学院に進学して高度かつ専門的な教育を受
学反応や機能発現)
をともなうシステムを扱う学
けつつ最先端の研究を行うことを前提とした、
問です。ビーカーやフラスコの中の分子・原子
学部から大学院までの一貫教育を行っています。
をはじめ、それらの化学的ふるまいの起源であ
大学院に進学するためには、基礎的な学力、お
る電子やスピンはもちろん、化学プラントや半導
よび理学的センスと工学的センスを兼ね備えた
体工場、植物や動物の体から地球そのものまで、
創造性が必要であり、そうした能力を持つ人材
各種の機能の発現や物質の変化を伴うシステ
を育てる教育を行っています。
ムは身の回りに多くあります。量子レベルから地
具体的には、化学、物理、数学、外国語な
球レベルまでの物質および機能の変化を、化学、
どの共通教育科目のほかに、2年次から化学プ
物理の知識と数学の手法を用い、より深い原理
ロセスに関する基礎理論や研究開発序論などを
の探究・解明に根ざしたシステム的な理解に基
含む専門教育科目の講義が始まります。さらに、
づいて、望ましい目標に向けて働きかけていく。
化学工学演習・実験、コンピュータ実習などが
それが化学工学を学んだ科学者・技術者の姿
用意されており、化学工学の基礎的内容の習得
です。21世紀に入り、地球環境・エネルギー問
と応用力の養成が図られます。4年次からは各
題など人類共通の課題の解決に向けて、化学
研究グループに分かれて指導教員の個別指導
工学の役割はますます大きくなっています。
のもとに卒業研究
(特別研究)
を行います。
ここが
オモシロイ
「ものづくり」の醍醐味を知る化学工学
効率的に
「ものづくり」を行うためには、原理
ルから地球レベルまで、マルチスケールでの「も
や手法を考えることが重要です。化学工学は、
の」や、人体のようなより複雑な系を把握し、学
「ものづくりの学問」
で、
「もの(=物質)
」
について
問的にシステム化することで、効率的に産業へ
の原理と性質を理解したうえで、ものづくりに導
と展開する。これこそが化学工学の醍醐味です。
くための手法を築き上げます。量子・分子レベ
原理を考えるうえで講義の理解が重要です。
化学工学学生実験の様子
化学工学コースの専門課程では、講義科目を通
して化学、物理、数学の知識を身に付けます。
また手法を身に付けるためには、実験と演習が
必要です。ものづくりの面白さ
(醍醐味)を理解
したスペシャリストを育てるために、カリキュラ
ムでは数多くの実験と演習が用意されています。
「もの」を知る
「ものづくり」のプロフェッショナ
ルには、理学から工学の幅広い領域における
知識と技術が必要であり、基礎工学部の化学
工学コースはそれをかなえるところです。
20
大阪大学 基礎工学部
Department of Chemical Science and Engineering
Course of Chemical Engineering
http://www.cheng.es.osaka-u.ac.jp/
研究内容
化学工学コース
(学部)
/化学工学領域
(大学院)
では、原子・分子や電子・スピン
の量子スケールから、地球規模の大きなスケールに至るまでの、モノ
(物質)
の変化と
エネルギーのやりとりについて、総合的に探求すると同時に、人間社会の発展に貢献
できる、物質やエネルギーの変換システムの創造をめざした研究を行っています。
「環境・
エネルギー・テクノロジー」
「ケミカル・バイオ・エンジニアリング」
「コンピュータ・エンジ
ニアリング」
「新素材開発」
といった分野のほかにも、さまざまな研究を行っています。
Ag Nanoparticles
散逸量子動力学法によるデンドリマーの
光エネルギー輸送シミュレーション
Nano CeO2
完全な官能基選択的還元反応を可能にする
コア- A g /シェル- CeO 2 ナノコンポジット触媒
包括直後
14日後
吸着剤やキャパシター電極用に開発された
規則性ナノ細孔カーボン
分子が集合系を構成することで初めて発現する
多彩な物質分配の機能
動 物細胞が内部
で 増 殖し 細 胞 塊
を作るカプセル
モデル生体膜としてのリポソーム
リポソーム
C'
A
A
B
C
Y
化学反応ネットワーク
2016
Z
液滴運動の
p H制御
21
【化学応用科学科】
出身者が語る◎合成化学コース
真島和志(ましま・かずし)教授[左]
基礎工学部・化学応用科学科・合成化学コース教授
菊川結希子(きくがわ・ゆきこ)さん[右]
Chemistry
合成化学コース出身/
基礎工学研究科・物質創成専攻・機能物質化学領域・博士後期課程修了
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
①研究室で試料を配合しているところ
②グローブボックスの中は無酸素。酸化しやすい試料はここで扱う
③質量分析装置で試料を分析する
「も
うかれこれ10年は化学の世界に
言えるかもしれませんね」
と笑うが、何で
研究チームは博士課程2年生、修士課程
いることになりますね」
と語るの
もとりあえずやってみるという性格の持ち
1年生との3人組で、実験などでの細々し
は、高等専門学校の応用化学科から3年次
主は、基礎工学部に向いているというこ
たことは修士1年生に、研究の方向性な
編入した菊川結希子さん。中学時代から
とだろう。
ど大きなことは博士2年生にと、レベルに
化学が好きで「もうこの道しかない」
と決
現在の所属研究室である真島研究室に
合わせて相談できたからだ。
め、高専の応用化学科に入った。
入った理由をこう語る。
「ここに入って勉
高専では念願かなって、メーカーで即
強していくうちに、
『環境に優しい化学』
に
戦力となれる力を養っていったが、
「もっ
興味を持ち始めました。化学反応の際に
そして菊川さんはこれまでに2回の学
と基礎研究がしたい」
と理学と工学が融
出てしまう
『ゴミ』
をどう減らすかという研
術的な受賞と、ドイツのアーヘン工科大
合した基礎工学部に編入した。
究を進めている真島先生の研究室を選ん
学に2回、3カ月ずつ短期留学する機会を
だのです」
。
得た。充実した研究ができている証拠だ。
4年次に研究室へ配属されると、
「1つ上
真島和志教授もアドバイスする。
「合成
入学後は、高専で鍛えた能力のおかげ
の先輩、つまり修士1年生が
『1年違うだ
化学コースでは、同じ化学といってもさ
で授業や実験で後れをとることはなかっ
けでこんなに!』
と思うほど何でも知って
まざまなことをしている研究室があり、化
た。基礎工学部の特徴の一つに
「科学を
るし、何でもできるんです。私はこんな
学が好きであるならばどこかには興味を
幅広く学ぶカリキュラム」
がある。菊川さ
レベルまで行けるだろうかと少し不安に
持つはず。がんばり次第で菊川さんのよ
んは「高専のときから興味を持ったことは
なりました」
。しかしその不安も、研究が
うに受賞や海外留学などのチャンスがあ
何でも勉強していました。飽きっぽいと
進むにつれて解消されていく。所属した
るのも特徴です」
。
「何でもやってみる」人が向く
22
社会的、国際的な活躍の場
大阪大学 基礎工学部
Department of Chemical Science and Engineering
出身者が語る◎化学工学コース
馬越 大(うまこし・ひろし)教授[左]
基礎工学部・化学応用科学科・化学工学コース教授
さん
[右]
岩崎文彦(いわさき・ふみひこ)
Chemical
Engineering
化学工学コース出身/
基礎工学研究科・物質創成専攻・化学工学領域・博士後期課程2年
①リポソームのサイズを一律にする
②ラマン分光器で膜の分子構造や反応後の物質の構造を見る
③蛍光分光器で膜の分子構造を見る
小
さいときから
「つくる」
ことが好きだっ
た。そのときに
「化学工学ではものづくり
岩崎さんが一貫して進めている研究
た岩崎文彦さん。
「例えば、ボード
のすべての工程に携われる」
と分かった一
テーマは、リポソーム膜の触媒的効果だ。
ゲームも自分で作ったらもっと面白くでき
方で、数学の力がかなり必要とされること
リポソームとは生体膜を模してつくった
そうだと思って、本当に作ったことも。何
も思い知らされた。
「当時は正直、数学は
人工膜で、それをものづくりに活用する
かを作るために考えることが好きなんで
得意ではなかった」
と笑う岩崎さんは、化学
可能性を追究している。
す」
。そして教科としては、中学生・高校
工学という学問の面白味を通じて数学の
研究を進めるに当たって、岩崎さんは
生のときから化学が好きだった。
理解も深めていき、今では研究を進めて
厳しい成績要件を満たして修士課程を1年
高校生のときにオープンキャンパスで
いくのに必要なレベルの理解を得ている。
短縮した。さらに博士課程1年のときに
基礎工学部を訪れてみると、視野を広く
持って、さまざまな角度から物事を考え
課程短縮、留学もできる
2カ月半、スイス連邦工科大学チューリヒ
校に短期留学した。同校が業績を誇って
られることが分かった。
「その時点ではや
大学院進学を決心した際、博士前期
(修
いる反応について学ぶことが目的だった。
りたいことが明確ではありませんでした
士)
課程だけでなく、博士後期
(博士)
課程
馬越大教授も言う。
「ものづくりプロセ
が、
『幅の広さ』
を感じたので、
『入ってか
まで進む希望を持った。
「研究者になるた
スの基礎工学
(Engineering Science)
を
ら決めればいい』
と思えたのです」
。
めには当然、博士課程を修了しなければ
学びたい人にお勧めです。岩崎さんのよ
なりませんし、修士課程までではやりたい
うにやる気次第でどんどん人とつながって
研究が終わらないことも見えていました。
世界を広げることもできます。
『高度な化
そうして入学を果たし、1年次の秋に化
この馬越研究室の博士課程の先輩に相談
学』
にピンときた人は、ぜひコースや研究
学工学コースの説明を受ける機会があっ
して、決意を強くしていきました」
。
室のウェブサイトを訪れてください」
。
ものづくりの全工程にかかわれる
2016
23
【システム科学科】
機械科学コース
11研究室
(分属予定人数:80人程度)
Mechanical Science
コースの特徴
ここが
オモシロイ
学びの内容
形あるモノ、動くモノはすべて機械と言えるで
機械科学コースで扱う領域は多様です。質
しょう。その意味では、飛行機、自動車、家電
点・剛体力学に始まり、固体力学、流体力学、
製品、ロボットのみならず、人体や細胞、さら
熱力学、機械力学、音響学、生産・加工学、
に分子・原子まで機械の範囲が広がります。
システム・制御工学、計測工学、ロボティクスや
機械科学は、このようなマクロからミクロまで
人間工学にも及びます。
さまざまなスケールを持つ機械の性質を知り、
これらの学問領域は新素材や宇宙開発、メ
その動きや構造を探求・解析することで、次世
カトロニクス、コンピュータ支援工学、バイオエ
代の新しい機械を創造することを目標にしてい
ンジニアリングなどの最先端分野を拓き、環境・
ます。機械はどのようにしてエネルギーを運動
エネルギー問題の解決に必要な情報や技術を
に変えているのか、宇宙や深海は機械にとって
提供します。さらに応用科目には、宇宙工学、
どのように過酷なのか、環境に優しい機械とは、
制御情報システム、生産工学、ロボット工学、
機械はどれだけ小さくできるのか、考える機械
人間工学、生体機械工学など興味深い内容が
はできるのか、生体という機械はなぜ自己修復
盛り込まれています。
できるのかなど、多くの疑問が湧きます。これら
教育は主として、機能創成専攻の3領域
(非
を解き明かすために、このコースでは多様な研
線形力学領域、機能デザイン領域、生体工学
究と教育を行っています。
領域)
の教員が担当します。
新しい機械を創造する魅力ある教育
ロボットの製作を通した体験学習
次世代の新しい機械を創り出すためには、
学問体系として機械工学のみならず、物理、電
気、情報、化学、生物など幅広い知識が必要
です。機械科学コースでは、これらが自然に身
に付く魅力ある教育を行っており、履修科目を
通じて機械エンジニア・研究者としての能力が
磨かれるようカリキュラムが工夫されています。
物理数学、力学および機械情報についての
コンピュータを使った設計製図
24
基礎的な科目をコアとして、機械システムの解
析や設計、それをサポートするコンピュータ、
コントロールや情報システム、人間とかかわる
ロボットや生体医療工学に関する多様な専門科
目を準備しています。そのなかには、さまざま
な実験・演習科目が含まれていて、実際的な体
験を通じて学ぶことができます。
大阪大学 基礎工学部
Department of Systems Science
Mechanical Science Course
研究内容(取り組んでいる研究の例)
卒業後の進路は?
・熱、流体や固体に生じるソリトンやカオス、乱流などといった非線形な力学現象の解析
・超音波や応力波、乳剤被膜、磁場などの最新の計測技術を利用した先進材料の評価
・人間の理解や人間を支援するスキルロボティクスと医療ロボティクス
・電子・イオン・分子の流動やプラズマ流における 応用数理とメカニズムの追究
・電子・原子論に基づくシミュレーションによる高機能先端材料の創成
・生体を力学的にとらえるバイオメカニクスとその医学、工学への応用
・レーザー光やテラへルツ光を利用した生体の計測
産業界へ進む道と、高度な研究を行う大
学院へ進学する道とに別れます。
[主な就職先]
三菱重工業、三菱電機、トヨタ自動車、
本田技研工業、パナソニック、クボタ、
神戸製鋼所、I H I、ダイハツ工業、川崎
重工業、マツダ、日立製作所、J F Eス
チール、東レ、住友金属工業、キヤノン、
コマツ、東芝、デンソーなど
http://www.me.es.osaka-u.ac.jp/msc/
ロケットエンジン
用 ポ ンプ の 羽 根
車で生じるキャビ
テーション
(液体
が気化する現象)
加熱壁面上の乱流
身体構造を模擬した筋骨格ロボット
試料
超音波共鳴法
による薄 膜 弾
性定数の測定
センサ
医用画像診断支援のための計算力学
シミュレーション
フェムト秒レーザー計測装置
粉末冶金法によって製作された
発泡アルミ合金円柱
2016
25
【システム科学科】
知能システム学コース
Intelligent Systems
Science
3大講座
(分属予定人数:50人程度)
学びの内容
コースの特徴
航空機、自動車、化学プラントなどのように、
本コースでは、複雑なシステムを解析・設計
多くの機械・電子部品で構成され、構成要素間
するための基礎理論と、人間が主体となる新し
の有機的な連携によって高度な機能をもたら
いシステムの創造とを二つの柱とした、バランス
すものが「システム」
です。このコースでは、コン
の良いカリキュラムに基づく教育活動を実践す
ピュータを中心とした知能システムの創造を通
ることにより、新しい視点と柔軟な適応性を持
して、人々の幸福と自然との調和をめざしてい
つ技術者・研究者の育成をめざしています。
ます。そのために、コンピュータや数学・物理
コンピュータと情報メディアを駆使できる能力
を駆使した情報処理技術、制御技術、メディ
が必須のため、コンピュータ関連科目と演習を
ア技術などの固有技術と、それらを有機的に
重視しています。統合化を意味する基礎工学部
統合するシステムインテグレーションの教育と研
のシンボル「Σ」
を、教育面でも体現することを
究に携わっています。
めざしています。
センシング技術、パターン認識、感性情報処
教育は、基礎工学研究科・システム創成専攻・
理、ヒューマンインターフェイス、ロボティクスな
システム科学領域の
「システム理論講座」
「知能
どの探求、システムのモデリング、解析、計画、
システム構成論講座」
、同専攻・社会システム
最適化、設計、制御の基礎理論とそれらの応
数理領域の
「システム数理講座」
の教員が担当
用に重点を置いているところが大きな特徴です。
します。
ここが
オモシロイ
バランスのとれたシステマティックなカリキュラム
本コースでは、理論および十分な工学的スキ
設計、計測の工学的スキルを習得するために、
ルを習得できるよう、理論、コンピュータ、実習・
「学生実験A・B」では計10課題を、
「学生実験C」
演習のバランスのとれたシステマティックなカリ
ではそれらを統合した自由度の高い課題を設定
キュラムを組んでいます。
しています。
「知能システム学セミナー」では英語
卒業後に必要とする多様なシステムに対する
専門書の長文読解を課し、技術英語スキルの
導入教育を実施しています。コンピュータに関
演習・実験
各種基礎教育科目
コンピュータ基礎演習
コンピュータ工学演習
知能システム学実験ABC
情報処理演習、PBL
基礎理論
システム理論、回路理論
システム制御工学、信号処理
組込みシステム論
システム最適化、数値解析
特別研究
コンピュータ
計算機ハードウェア
計算機ソフトウェア
ヒューマンインターフェイス工学
センシング工学、メディア工学
ロボット工学
する3つの演習科目では、C言語を中心とした
実践的なプログラミング実習を行っています。
特別研究
(卒業論文)では、半年以上にわ
たって各自の研究テーマに取り組み、各指導
教員から研究方法、論文や発表資料の作成に
ついて個別に指導を受けます。
本コース学生の90%以上は大学院に進学しま
す。成績優秀者には、3年次からの飛び級進学、
4年次では推薦入学への道も開かれています。
26
大阪大学 基礎工学部
Department of Systems Science
Intelligent Systems Science Course
http://www.sys.es.osaka-u.ac.jp/sch/jp/
研究内容
システムの知能化
各種センシング技術と制御技術を統合し、効率的で安全な生産システムをめざす
システムの協調
ハイブリッドシステムの解析・設計を通じて高機能なシステムを実現
システムと人
人の視覚や感性のパターンを計測し、ユーザの行動や利用特性を積極的に探る
システム理論の駆使
システムの数理的な構造のモデリング、解析、制御などに関する方法論を確立
ロボットの人間らしさを探究
するための人間型ロボット
色彩分析に基づく特殊な照明光を
当てることで物体が透明に見える
ロボットの原 理と
機能を究め、人と
社会の未来を創る
空気圧人工筋駆動
ヒューマノイドロボット
自然言語処理技術により、商品レビューからあらすじ
(小説や映画などにおけるストーリー)に関する記述を
検出し非表示化するブラウザ
2016
絵 画 技 法を
模倣して、質
感を再現しな
がら復元する
27
【システム科学科】
生物工学コース
Biophysical
Engineering
3大研究分野
(分属予定人数:40人程度)
ここが
オモシロイ
学びの内容
コースの特徴
生物の仕組みの解明は、生物の謎を解くとい
カリキュラムの特色は、必修科目を最小限と
う純学問的な貢献と同時に、自ら生体 機能の
し、幅広い選択科目制をとっていることです。
仕組みを基礎とした新しい工学を拓くことにつ
これは、自分に合うカリキュラムを組み立てて、
ながります。
その適性を伸ばす余地をつくるためです。生物
生物工学コースでは、脳科学、生化学、細
学の基礎知識の上に、既存の専門のみに偏ら
胞生物学、遺伝子工学、物理学、数学、コン
ない学際的な知識と豊かな創造性を持つこと
ピュータ科学、情報・システム工学などの幅広
が期待されています。4年次になると研究室に
い知識と技術を総合し、生物の持つさまざまな
配属され、実 験と特別研究を通して、専門的
仕組みの解明とその応用をめざし、遺伝子分子、
なテーマについて本格的な研究指導を受けま
細胞、脳、個体にいたる各レべルにわたって研
す。なお、幅広い知識と基礎学力を付けるた
究しています。
めに、このほかに言語・スポーツ、社会・人文
生物機能を対象とした理学、工学、脳科学
科学系の科目、自然科学系の基礎科目があり、
の境界領域を開拓し、将来の発展にも柔軟に
多くは1〜3年次に学べます。
対処できるように基礎から実際面までしっかりと
生物学、物理学、工学、脳科学のバランス
身に付け、学際的感覚を持った科学者、技術
のとれた知識を備えた学生を育成することを目
者の育成を教育・研究の目標にしています。
標としています。
学際的な教育を受けられる生物工学
生物工学コースのカリキュラムは、生物学・物
必修科目では、生物工学の出発点となる事
理学・情報システム工学の3本の柱からなります。
象や考え方、すなわち、生物現象に重点を置く
必修科目を最小限とし選択科目を多くしています。
生物学的科目、生命現象の物理学的基礎科目、
これは、学生が自分に合うカリキュラムを組み
生物の機能の理解に必要な情報や、システム
立て、各自の適性を伸ばすようにするためです。
の概念を理解するうえで必要な数学・物理学的
生 物 工 学 実 験で 熱 心に脳・
神 経 系 に 関 する 実 験 に 取り
組む3年生たち
基礎科目を学びます。
選択科目としては、統計力学や量子力学を含
む数理物理学関係科目、物理化学、生化学、
分子生物学、生物物理学、神経生理学などの
生命科学関係科目、電子工学、計算機、生体
計測学、信号解析論、システム論などの情報
システム工学関連科目などが、3年間の勉学を
通じて学べるように用意されています。
4年次になると研究室に配属されて特別研究
を行い、専門的かつ高度な課題に取り組みます。
28
大阪大学 基礎工学部
Department of Systems Science
Biophysical Engineering Course
http://www.bpe.es.osaka-u.ac.jp/
研究内容
生物工学と名が付くところは、醸造工学や遺伝子工学を行っているところが多いよ
うですが、このコースは、生物学、物理学、工学を融合したものです。分子生物学、
物理学、高度な計測技術に基づいて、タンパク質の構造と機能、体や脳の発達と機能、
感覚のメカニズムを解明する研究や、生物画像やデータの処理法・表示法の開発を
行っています。生物物理学、構造生物学、脳科学といった純粋科学に加え、医用
工学、画像工学、情報工学といった工学など、ハイブリッド的研究がなされています。
大脳皮質の発達と
神経細胞移動
大脳一次視覚野ニューロンの時空間受容野を
右眼と左眼それぞれについて計測した結果
感覚神経節の中の一つの
神経細胞から発する軸索
M R I脳画像と
X線血管画像の融合
(データ提供 東京大学)
光学イメージング法による一次視覚野の構造の可視化
2016
前頭葉皮質の細胞の蛍光色素による標識
29
【システム科学科】
出身者が語る◎機械科学コース
和田成生(わだ・しげお)教授[左]
基礎工学部・システム科学科・機械科学コース教授
宇野かんな(うの・かんな)さん[右]
Mechanical
Science
機械科学コース出身/
基礎工学研究科・機能創成専攻・
機能デザイン領域・博士後期課程3年
②空気圧人工筋肉を用いた、膝関節装具。
歩行補助やリハビリに利用できる
③腕の筋肉の働きを計測する
①黒いチューブ状の空気圧人工筋肉を使い、
自転車を漕ぐときの筋肉の働きをとらえる
理
科系の科目それぞれを組み合わせ
ると新しい価値が創造できる、と
思っていた長瀬百代さんにとって、
「 科学
を生かした研究内容にも興味をひかれた。
光源を遮っても影がない?
「光源があって、それを遮れば影ができる
ことは常識ですが、それに反して影がで
きなくなるのはやはり不思議です」
。
と技術の融合」
を標榜する基礎工学部は
長瀬さんが取り組んだ研究は、プロジェ
佐藤宏介教授は説明する。
「数学に近
ぴったりだった。
クタが部屋のなかに複数備えつけてあった
い分野から、基礎を重視しつつインテリ
4年次の研究室配属では、
「先輩方の研
ときに、どのプロジェクタから投影すれば、
ジェントなシステム作り、ロボットの制御な
究の見せ方がとてもうまい!」
と思った佐藤
最も美しく投影できるかという内容だ。具
どを体系的に学べます。システムの知能
研究室を選択。
「最先端技術を分かりや
体的には、環境中に配置された複数のプロ
化は、産業や経済、諸々の解析・設計・
すく伝えることを意識して行動されている
ジェクタを使って、1台のプロジェクタだと必
制御・通信にも使えますから、幅広い可能
感じがしました」
。さらに、人の知覚特性
ずできる影を動的に消す手法を研究した。
性が開けています」
。
Biophysical
Engineering
出身者が語る◎生物工学コース
30
①鈴木さんは、脳が視覚情報
をどのように処理しているのか
を解明すべく研究していた
② 藤田 研 究 室は、脳の 構造
解 析や情 報 処 理の経 路、神
経回路の形成、分子・細胞レ
ベルでのメカニズムの解明な
ど、総合 的な脳 科 学 の 研 究
に挑む
藤田一郎(ふじた・いちろう)教授[左]
基礎工学部・システム科学科・生物工学コース教授
鈴木実佳(すずき・みか)さん[右]
生物工学コース出身/
生命機能研究科・生命機能専攻・
博士前期課程修了
株式会社デンソー
大阪大学 基礎工学部
Department of Systems Science
ブ
ロック玩具でいろいろなモノを作るの
が好きだった宇野かんなさん。将来
「ヒトとロボットの一体化」
「ヒトとロボットの
協調・競合」
をテーマに研究を進めている。
ことが、多くありました。自分が分かった
ときに仲間に教えてあげることからも学
も
「ものづくり」
がしたいと思っていたが、進
「ヒトが運動するときの筋肉の働きを、ロ
びがありましたね」
。そうして学びを深めて
学する大学を探していたときに基礎工学部
ボットを使って理論的に明らかにする研究
いった宇野さんは、厳しい成績要件を満た
のパンフレットを見たところ、自分が使って
をしています」
(宇野さん)
。
し、3年次を終えた後に大学院に進学する
いたものと同じブロック玩具を用いた授業
があることを知り、志望校を一気に絞った。
機械は一人ではつくれない
「飛び級制度
(P4参照)
」
を利用した。
和田成生教授も言う。
「単にモノがつく
そしてその授業をしていたのが、現在所
学部時代に特に大事だと思ったのは
「一
れればよいわけではなく、その過程や仕組
属している宮崎文夫教授の研究室。ここ
緒に勉強できる仲間」
だという。
「分からな
みを考える力を養ってもらいます。どんな
では
「ヒトの理解によるロボットの能力拡大」
いことは仲間で知恵を出し合って解決する
分野にも応用がきく力が付きますよ」
。
佐藤宏介(さとう・こうすけ)教授[左]
基礎工学部・システム科学科・知能システム学コース教授
長瀬百代(ながせ・ももよ)さん[右]
現・知能システム学コース出身/
基礎工学研究科・システム創成専攻・システム科学領域・博士前期課程修了
三菱電機株式会社・情報技術総合研究所
②手のひらを利用した
「どこでもリモコン」
。ボタンに見
立てた指を押すことで操作する機能を実現した。操作
に応じてリモコン画面がプロジェクタから表示される
③サーモグラフィで撮影し
た物体の温度情報をプロ
ジェクタから位置合わせし
て投 影することで、通常
は人 間 の目に見えない、
温度の情報を可視化する
①長瀬さんが研究していた映像投影技術を応用
し、本棚に触れるとその上に収納されている本
の表紙が投影されて見ることができるシステム
「基
Intelligent Systems
Science
出身者が語る◎知能システム学コース
礎工学部の存在を知って、もっと
1冊読み切ってみよう」
と先生に言われて読
6カ月間、修士2年のときも3週間、ドイツに
広い視野で勉強したいと思うよう
んだ本が、脳科学者のエッセイだったこと
派遣されたのだ。
も理由の一つだった。
研究テーマは
「眼球運動と脳の情報処
になりました」
と言う鈴木実佳さん。高校生
のときは薬の勉強をしたいと思っていたが、
基礎工学部では薬だけでなく人体などもっ
がんばり次第で短期留学にも
理」
。脳がどう視覚情報を処理しているの
か。具体的には、人が注視する点を決定
と広い勉強ができることに魅力を感じた。
学部卒業後は大学院に進学。そして研
するときの手掛かりを探ることだった。
3 年次に所属する研究室を選ぶ際は、
究への姿勢とコミュニケーション能力を買
藤田教授は
「
『広く深く』
学ぶことで多様
「体のすべてを司っている」
という面で脳科
われ、藤田研究室とドイツの研究機関と
な可能性が開けます。現に、このコースか
学に魅力を感じ、藤田一郎教授の研究室
の共同研究プロジェクトを通して、短期留
ら脳科学者が続々と飛び立っています」
と
を選んだ。1年次に
「英語の本をとにかく
学ができることになった。修士1年夏から
研究者を目指せることも教えてくれた。
2016
31
【情報科学科】
計算機科学コース/ソフトウェア科学コース
Computer Science/
Software Science
(分属予定人数:各35人程度)
ここが
オモシロイ
学びの内容
コースの特徴
情報工学とは、いかに高性能なコンピュータ
1〜3年次に、基本的な知識と技術として、プ
を作り、いかに使いやすい形で利用者に提供
ログラミング、電子回路、計算機アーキテクチャ
するか、コンピュータやネットワークを応用した
などの必修科目を履修するとともに、情報論理
情報処理システムをいかに構築するかなどを担
学、情報論、計 算論、プログラム設計など多
う学問です。コンピュータやネットワークの利用・
数の授業科目のなかから選択して勉強します。
適用範囲の拡大とともに、情報工学はそれらを
授業に関連して、実際にコンピュータを使って
支え、発展させるものとして社会的に強く期待
プログラムの作成、コンピュータを組み立てる
されています。
実験も行います。
このコースでは、医学部や学内の研究所など
さらに4年次では、知識工学、マンマシンイン
いくつかの研究室の協力も得て、15 研究室に
タフェースなど技術の応用分野を広げる科目に
相当する多くのスタッフで教育と研究指導に当
ついて学 ぶとともに、卒 業 研 究を行います。
たります。また、3年次1学期までに多くの基礎
卒業研究や大学院での研究テーマは、マルチ
的な科目や重要な科目を履修するので、夏休み
メディア、インターネット、情 報セキュリティ、
に行われる大学院入学試験に3年次で合格
(飛
VL S I設計、プログラミング言語や処理系、ソ
び級)
することは難しくありません。進学する学
フトウェア設計、知能情報処理、並列/分散シ
生の1、2割は飛び級です。
ステムなど、非常に多岐にわたります。
世界を豊かにするIT分野を育てる
コンピュータは常に何かの役に立てるために
帯電話のない生活は考えられないでしょう。I T
発展してきました。当初、その恩恵は限られた研
は私達の生活を安全で豊かなものにするために
究者のみが受けましたが、現在では子供もウェ
使うべきですが、ITを悪用したり、IT関連の
ブ検索などのIT
(情報通信技術)
を使っています。
機器やソフトウェアの作り方が未熟で、不本意
携帯電話は ITそのものですが、みなさんも携
ながら世間に迷惑をかけることもあります。I T
没入型多面ディスプレイを用いた
三次元ユーザインタフェース
は急速に変化しています。その変化に適応し、
また信頼のおける使いやすいコンピュータシス
テムを作るためには、I Tの基礎をしっかりと学
ぶ必要があり、それを学べるのが計算機科学
コースとソフトウェア科学コースです。I Tは国
家や企業の競争力を支え、バイオ研究・巨大科
学・先端医療などに必 須の重要な分 野です。
I Tはイノベーションや創造性に富んだ魅力的な
ものなのです。I Tで世界を豊かにするために、
私たちと一緒にこの分野を育てていきませんか。
32
大阪大学 基礎工学部
Department of Information and Computer Sciences
Computer Science Course/Software Science Course
http://www.ics.es.osaka-u.ac.jp/
研究内容
計算機科学コースでは、計算理論、情報理論など計算機科学の基盤となる理論
体系や、VL S Iなどのディジタル回路設計、コンピュータのアーキテクチャ、コンピュー
タネットワーク、ディペンダブルシステム、セキュリティ、データベースシステム、生物情
報処理など、情報処理システムの構成・開発に関する研究を行っています。ソフトウェ
ア科学コースでは、アルゴリズムなどのソフトウェア基礎論、プログラミング言語、ソフ
トウェア工学、ソフトウェア設計開発法、ヒューマンコンピュータインタラクション、並列・
分散処理など、ソフトウェアの構成法・応用に関する研究を行っています。
高度情報通信社会を支えるネットワーク諸技術
並列コンピュータによるエンジンのレンダリング処理
コンピュータサイエンスの基礎技術と応用
ユビキタスネットワークの性能解析
V LS I設計とコンピュータによる設計支援
バイオインフォマティクス:遺伝子の働きをコンピュータで解析
2016
33
【情報科学科】
数理科学コース
Mathematical
Science
3大講座
(分属予定人数:15人程度)
コースの特徴
学びの内容
数理科学コースは、数理モデル、統計数理、
数理科学コースでは、コンピュータと応用数
数理計量ファイナンスの3大講座から成ってい
学について、基礎から応用までしっかり習得で
ます。数理科学とは、現象を表現する数理モ
きるように教育しています。
デルの開発とその解析を通して現実に接近しよ
1年次ではまず、数学や外国語などの共通教
うとする学問です。したがって、工学、自然科
育系科目のほかに、計算機科学コース/ソフト
学はもちろん、生命科学、社会科学、人文科
ウェア科学コースと共通でコンピュータの基礎を
学まですべての現象が研究対象となります。
学びます。2年次からは微分方程式、確率論、
数理科学には、高度な数学と、コンピュータ・
数理統計、データ解析、数値計算、数理モデ
シミュレーション、コンピュータ・グラフィックス、
リングとその基礎となる数理専門科目が始まりま
各種アルゴリズムの研究などコンピュータの応
す。そして4年次になると各研究室に配属され、
用が不可欠です。具体的には、微分方程式、
卒業研究を行います。
応用解析、統計解析、データ科学、統計的推
数理科学コースのカリキュラムは、数理科学
測決定、確率モデル、確率・数理ファイナンス
の研究者や教育者をめざすうえで必須であるだ
の諸分野に重点を置いて研究と教育を行ってい
けではなく、情報系のエンジニアにとっても生
ます。数理的な素養を備え、創造的な技術開
涯のべースとなるのに十分なほど多様で有用な
発ができる研究者とエンジニアを養成します。
内容を持っています。
ここが
オモシロイ
数理科学と世界
現代ではすべての世界が数理科学に支えら
には存在し得ません。理工系と言われる分野
れています。かつての定性的に世界を表現して
では解析学を筆頭にあらゆる数理科学の分野
いればよかった時代には数理科学の活躍の場
が動員され、現象は数式で表現されて解析さ
は広いとは言えませんでしたが、定量的に表現
れます。医療科学では複雑な生体反応の分析
することが要求される現代社会は数理科学なし
に応用解析学や統計学が応用されていますし、
数理モデルを用いて現実世界
で起こる現象とその原理を数
学的に解明する学問である数
理 科 学 を 学 ぶ。 充 実 し た 設 備
と少人数教育が特徴だ
金融の分野では今や確率論は必須です。生命
保険などの保険科学は数理科学がなければ存
在できませんし、文学作品の分析にさえ数理科
学によるデータの巧みな解析が必要です。暗
号理論は整数の理論の塊です。
21世紀は情報の世紀、とも言われていますが、
技術の進歩と同時に数理科学の発展により支えら
れています。数理科学は純粋数学と言われる分
野を超えて、文系・理系を問わずあらゆる現象を
モデル化して定量的にとらえようとする科学です。
34
大阪大学 基礎工学部
Department of Information and Computer Sciences
Mathematical Science Course
http://www.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/ugrad/
研究内容
数理モデル講座
物理学、化学、生物学などの理論科学の基礎となる非線形問題の数学解析。
解の決まらない非適切問題の数学的研究と工学や医学への応用。
統計数理講座
誤差を含むデータのモデルと解析法の開発および諸科学への応用。
特にコンピュータ志向型データ表現法と解析法の開発。
数理計量ファイナンス講座
確率的な現象や金融工学・数理ファイナンスに現れる問題の解析。
数値解析と金融データ解析。統計的モデルにかかわる推測決定、検定。
数理ファイナンス:
金融リスクの計測
と制御
確率微分方程式のサンプルパスと最尤型推定量
2016
腫瘍形成の数理モデル
統計科学:生物進化や複雑ネットワーク
など様々な対象にチャレンジする
35
【情報科学科】
出身者が語る◎計算機科学コース/ソフトウェア科学コース
荒川伸一(あらかわ・しんいち)准教授[左]
基礎工学部・情報科学科・計算機科学コース/ソフトウェア科学コース准教授
Computer Science/
Software Science
諶 (しん・るー)さん[右]
計算機科学コース/ソフトウェア科学コース出身/
情報科学研究科・情報ネットワーク学専攻・博士後期課程3年
さんが高校生のころ、パソコン
諶
Based Learning)
で、
「ロボット戦車ゲー
がある。
はもちろんインターネットが急速に
ム」
に取り組んだ。これは、パソコン上の
研究室を選ぶに当たっては、
「これから
普及していた。SNS
(ソーシャルネットワー
戦車の行動パターンをプログラムで組んで、
は生物学や物理学の知見を生かしたネッ
キングサービス)
が登場し、諶さんも楽し
相手の戦車と戦うゲームだ。行動パター
トワークが重要になるのでは」という考
みながら活用し、さらにこうしたシステム
ンを練るところはもちろん、勝敗が決まっ
えのもと、研究室見学や教員への質問を
を自分で作ってみたいと思うようになった。
た後に行うレビューで「ここを改善すれば
していった。そして新しいネットワーク
いいのか」
と気付くことが最も楽しかった
の在り方を研究している村田研究室を選
と諶さんは振り返る。
んだ。
「少し調べてみると、そのためにはプログ
ラミングが必要だと分かりました。そして
プログラミング自体がかっこいいとも思う
ようになっていきました」
。
ロボット戦車、オルゴールが教材
指導教員の荒川准教授もアドバイスを
してくれた。
3年次にはオルゴールの自作に取り組
「諶さんは自分で考えて自分なりの答え
み、好きな映画
『ハリー・ポッター』
のテー
を言ってくれます。ここではネットワークと
基礎工学部の情報科学科に入学し、
マ曲を奏でるプログラムを組んだ。そして
いうコミュニケーションにかかわる研究を
1年次から念願のプログラミングを学び始
この3年次が終わった段階で、修士課程
していることもあり、相手に自分の考えを
めることができた。望み通りの勉強がで
に飛び級した。4年次から修士課程に進
きちんと伝えることはとても大切です。各
きた諶さんは、コース選択では迷わず
学するのに比べ、大学院入学試験対策に
研究室のウェブサイトをぜひ見てみてくだ
計算機科学コース/ソフトウェア科学コー
さほど時間を取られることがなく、研究
さい。将来やりたいことのヒントがきっと
スを選 択。2 年次には P B L
(Problem
を早くからスタートできるというメリット
ありますよ」
望み通りの勉強で楽しさ増す
36
①サーバーのネットワーク
の設定をする
② 研 究 対 象であると同 時
に研究を支えるサーバー室
③研究室のメンバーとディ
スカッションをしていると
ころ
大阪大学 基礎工学部
Department of Information and Computer Sciences
出身者が語る◎数理科学コース
下平英寿(しもだいら・ひでとし)教授[左]
基礎工学部・情報科学科・数理科学コース教授
福井一輝(ふくい・かずき)さん[右]
Mathematical
Science
数理科学コース出身/
基礎工学研究科・システム創成専攻・数理科学領域・博士前期課程
工
①情報量規準について示す研究室の学生
②研究内容についてメンバーの前で説明するのは、下平研究室では日常茶飯事
③下平研究室で開発した
「マルチスケール・ブートストラップ法」は、統計学の
ベイズ派と頻度論派を結び付けて、データのランダムネスを精確に計算できる
ようにした
業高等専門学校の電子制御工学科
4年次には現在も修士課程1年として
ションが高い。本人は
『まだまだ』
と謙遜
から3年次編入した福井一輝さん
在籍している下平研究室に配属された。
していますが、数学のレベルも上がり続
は、
「編入するならば数学に強い学部が
下平研究室は統計科学、機械学習、バ
けています。そしてこれが最も大事ですが、
良かった」
と振り返る。
イオインフォマティクスの研究を行って
良い意味で頑固で、オリジナリティーを
高専で画像情報処理の勉強をしている
いる。
大事にしていますし、それを支えるメンタ
なかで、人間の学習能力をコンピュータで
その下平研究室で、福井さんは卒業研
ルの強さもある。これは研究者になるた
実現する機械学習に興味を持った。そこ
究として
「画像マッチング」
という、同研
めに非常に重要な能力です」
でももちろん数学は使ったが、
「道具とし
究室にとっては初めてのテーマを選んだ。
下平教授は数理科学の面白さも教えて
てしか認識していなくて、もっと勉強した
画像マッチングとは、ある画像に対して
くれた。
かった」
と福井さんは言う。
類似している画像を探し出す技術のこと
「バイオインフォマティクスではゲノム
だ。この研究で福井さんは、非正解
(似て
データなどの分析を行い、生物学や医学
いない)
画像を集める方法を改善した。
に貢献しています。さらに、近年注目さ
研究室にとって初のテーマを選ぶ
「基礎工学部に入って、数学の背景、
厳密なものの見方を学びました。おかげ
医学やSNSにも役立つ数理科学
れている複雑ネットワークの理論は、生命
科学だけでなくウェブやソーシャルネット
で研究をするに当たり、
『なぜその数学を
下平教授はそんな福井さんの良いとこ
ワークなど皆さんにとって身近なサービ
使うのか』
が分かるようになりました」
。数
ろをこう語る。
スに役立っています。数学を使って社会
学も基礎工学部の強みだと、福井さんは
「高専で手を動かして勉強してきたか
に貢献したいと思っている人にとって最
読み取っていた。
らでしょう、応用研究に対するモチベー
適なのではないでしょうか」
2016
37
大学院基礎工学研究科附属の研究施設
極限科学センター
Center for Science and Technology under Extreme Conditions
待兼山のふもとの一角にある大学院基礎工学研究科附属極限科学
センターは、1986年に科学技術の原点にある基礎的諸量の極限状
態を実現することにより物質科学の基礎と応用研究を統合的に行う
ことを目的として大阪大学
「極限物質研究センター」として発足し、以
来、超高圧、超強磁場、超微細構造という極限状態において発現
する極限量子科学に関して世界を先導する研究成果を挙げ発展して
きました。
2014年には、学内外組織との連携や国際連携を通じて極限状態
における新しい学術領域を創成することを目的として、
「超高圧研究部門」
と
「先端エレクトロニクス部門」ならびに
「国際連携部門」からなる基礎
超高 圧を発 生させる
ために用いられるダイ
ヤモンド・アンビル・
セル(DAC)。対向に
配置したダイヤモンド
で試料を加圧する
工学研究科附属極限科学センターに改組しました。
「超高圧研究部門」では、超高圧を機軸とする複合極限状態における
物質の基礎物性の解明およびその知見に基づく新物質合成への展開を、
「先端エレクトロニクス研究部門」では物質の極微細構造の観測ならび
に物性計測技術の開発及び先端的エレクトロニクスへの応用展開を、
「国
際連携部門」では極限環境下における新物質・材料・素子の開発と学
理の探求に関する国際共同研究の推進を目指しています。
先 端エレクトロニクス研 究 部 門が 保 有 する、
世界最高性能の非接触原子間力顕微鏡の内部
未来研究推進センター
Center for Promotion of Advanced Interdisciplinary Research
基礎工学研究科では、2002年度より、部局独自の研究組織として、
未来研究ラボシステムを設置し、異なる専門分野の融合から新しい研究
の芽を涵養して、未来志向型の研究や独創的な新領域の創成につながる
研究を展開してきました。第二期中期目標中期計画においては、未来研
究ラボシステムを発展させて研究拠点を形成し、当該分野の学際融合研
究を格段に進展させることを計画しました。
一方、2009年度からは、特別
経費の配分を受け、
「物質の量子機能解明と未来型機能材料創出事業」
を
推進し、大型装置を整備するとともに、大型放射光施設
(SPring-8)
関
係機関や情報通信研究機構
(N I C T)、産業技術総合研究所
(A I S T)と
の連携を深めてきました。
このような状況を踏まえ、領域横断および異分野融合による萌芽研
フェムト秒時間分解レー
ザー測定システム。フェ
ムト秒レーザーを組み
合わせ、分子系の超高
速電子移動、励起エネ
ルギー移動や化学結合
の生成、切断の過程を
直接とらえる
究を推進するとともに、他機関との研究連携を積極的に行い、広範な
領域において新学術領域の創生を目指すことを目的とした研究拠点とし
て、2014年4月、
「未来研究推進センター」を設置しました。
センターは、光量子研究部門、未来研究部門、AIST連携部門、NICT
連携部門、SPring-8連携部門の5部門から構成し、研究室の枠を越えた
共同研究を推進し、本部局の理念である複合学際領域の開拓を行います。
SPring-8 に設置された非球面ミラーチェンバーと硬 X 線励起光電子
分光装置。SPring-8 の高輝度放射光を用いることで測定試料上のス
ポットサイズ 25×25μm 2、相対エネルギー分解能 <10 - 5 を達成する
38
大阪大学 基礎工学部
基礎工学部と関連の深い教育・研究施設
太陽エネルギー化学研究センター
Research Center for Solar Energy Chemistry
2001年に大阪大学の学内共同教育研究施設として設立された
「太
陽エネルギー化学研究センター」
は、太陽エネルギーの化学的な利用
を目的とした、世界でも唯一の研究機関です。
同センターには、
「太陽
エネルギー変換」
と「環境光工学」
の2つの研究分野があります。
前者は、光が持つエネルギーの化学エネルギーへの変換、および、
化学的な太陽電池によって新しい太陽エネルギーの利用法の研究を
行っています。後者は、光と物質の相互作用で起きる機能に注目し、
新しい光機能性材料・デバイスを研究して、将来的に環境問題の解
決に貢献する光化学反応システムの開発をめざしています。
将来的には、
「太陽エネルギー」
をより大きな枠組みでとらえ、環境
学や社会学などもかかわれるような体制を整えることも可能になるで
しょう。
研究者紹介
今 こ こ に あ る「 光 」 で 新 し い 反 応 を 起 こ す
らいし・やすひろ)
白石 康浩(し
大阪大学准教授(太陽エネルギー化学研究センター環境光工学研究分野)
チタノシリケートを用いた光合成
細孔を使って、有害な分子を無害に
し、工業的に有用なフェノール類の
分子に変える
の場所)の構造を変化さ
方法論が確立したとしても、その方法論
せ、特定の反応だけをす
を実現するための光反応装置やプラント
るような新しい材料を作
の開発は進んでいない。白石准教授は
り出そうとしている。太陽
通
「難しいからこそやりたい」
と意気込む。
の可視光で反応を起こさ
「光触媒には、人類の生活を抜本的に
せる光触媒なら、自然の
変える可能性があります。この研究には
エネルギーを有効活用す
人生をかける価値があるのです。ただし、
ることになる。常温のまま
化学だからといって試験管の中のことし
反応させられるので、安全
か見られないのではダメ。プラントでの
性が高まり、施設などのコ
プロセスまで見ることのできる、エンジ
信、記録、計測、情報処理と、光
ストが低く済むことが期待されている。
ニアリングの発想が欠かせません」
の活用領域はどんどん広がり、今
問題は、反応を起こさせたとしても、
太陽エネルギーを使った反応に関して
や人びとの暮らしに
「光」
は欠かせない。
できあがった素材が光に反応して、また
は、やっと研究の糸口が見えてきたとこ
太陽エネルギー化学研究センターの白
別の分子構造に変化してしまうこと。反
ろで、ゴールはまだまだ遠い。白石准教
石康浩准教授は、光によって物質の反応
応させること以上に、反応を止めること
授の研究は、その貴重な第一歩を踏み出
活性点
(分子が吸着して反応する触媒上
が難しい。
たとえ新しい触媒が完成して
したところだ。
2016
39
大学院 紹介
基礎工学研究科
Graduate School of Engineering Science
理学と工学を融合し
未来の技術を創造する
基礎工学研究科では、科学する心と技術への強い関心を
の3専攻に組織を改め、従来の理工融合をさらに超え、人
大切にし、あらゆる学問領域の創成をめざして先端的な研究
文社会学系や医学薬学系も視野に入れたより広い学際領域
を活発に行っています。ここから世界で最先端の研究が次々
の創成をめざしています。
と生まれて、これらに直接触れながら、優れた研究者、技
基礎工学部生の9割近くが大学院に進学しています。す
術者としての素養を身に付ける研究・教育がなされています。
べての専攻の各領域で推薦入学も行い、また他大学からも
基礎工学研究科は、2003年より物理と化学を融合した物
多くの学生が入学してきます。学部で学んだ専門と異なる領
質創成専攻、バイオエンジニアリングとメカニクスを融合さ
域へ進学できるように、入学試験では、入学希望領域以外
せた機能創成専攻、文理融合も志向するシステム創成専攻
の科目で受験することも可能です。
基礎工学研究科の専攻構成のコンセプト
従来の
体制
物理系専攻
化学系専攻
システム人間系専攻
合成化学
物性物理
化学工学
電子光科学
機械科学
数理科学
生物工学
物質創成専攻
機能創成専攻
システム創成専攻
物理と化学を融合し学際的
アプローチで新物質の創製と
物質循環にかかわる科学の
教育研究を実施
バイオエンジニアリングとメカ
ニクスの融合により応用力学
を基本とした教育研究を実施
システム的手法を核にハード
ウェアからアルゴリズムまでを
一体化した教育研究を文理
融合も視野に入れて実施
ナノ光化学
融合領域
のテーマ
40
システム科学
生体力学
金融工学
巨大分子
生体計測
安心安全
強相関効果
バイオイメージング
コミュニケーション支援
量子情報
ロボティクス
メディアアート 大阪大学 基礎工学部
情報科学研究科
Graduate School of Information Science and Technology
豊かで共生可能な
ネットワーク社会の構築を
情報科学研究科は、情報科学技術に関する先進的で専
専攻、情報数理学専攻、コンピュータサイエンス専攻、情報
門性の高い教育・研究を発展させ、この分野で世界をリード
システム工学専攻、情報ネットワーク学専攻、マルチメディ
することをめざし、2002年に創設されました。情報通信技術
ア工学専攻、バイオ情報工学専攻の7専攻からなります。
(I C T)
は人類が21世紀に遭遇する諸課題を解決するための
産業界との連携強化を図るための連携講座も3つ設置され
重要な基盤技術です。豊かな高度情報化社会を実現し、人
ています。
類の幸福に貢献するために、情報技術に対して、さまざまな
世界をリードするIC T分野の拠点となるべく、情報科学と
側面から科学的に取り組むことが強く要請されています。
ナノ・バイオ科学や医学などの分野横断的/分野融合的な
情報科学研究科は、従来、学内の工学研究科、基礎工学
先進的研究プロジェクト
(グローバルC O Eプログラム)や独
研究科、理学研究科に分散していた情報科学技術に関連す
創的な教育プログラム
(海外インターンシップ、先導的ITス
る教育研究組織を改組・再編したものです。情報基礎数学
ペシャリスト育成推進プログラム)を推進しています。
生命機能研究科
Graduate School of Frontier Biosciences
21世紀の最優先課題である
生命体の機構を解明する
生命機能研究科は、2002年に新設された大学院です。
命の多様な機能を生み出します。生命機能学とは、このよ
20世紀の生命科学の発展によって、生命体を構成する要
うな生きた状態の生命体がシステムとして実現するさまざま
素、いわば部品について、それぞれを明らかにして詳しく記
な機能について、その原理と機構を解明する学問です。
述する作業は急速に進みました。それらの要素は、核酸、
これからの生命科学の本流を担う教育と研究を実現する
遺伝子、蛋白質、生体膜などであり、遺伝子工学、分子
ために、大阪大学では、第一線で活躍する研究者を大学
生物学、生理学など、医学・生命科学の研究分野によって
内外から結集し、医学系、工学系、理学系の学問を融合
もたらされたものです。生命機能が成立するための物質的
した新しい教育・研究体系を作りました。
な基盤についての知識は整ったと言えます。
本研究科は1専攻7講座で組織されています。前期と後期
しかし生命は、物質や生体部品の単なる寄せ集めではあ
を区分しない5 年一貫制の博士課程により、医学・生命科
りません。それらが極めて動的に絡み合いながら、刻々と
学と物理学、工学の最先端技術や理論を使いこなし、次世
変化することによって初めて生命体システムが成り立ち、生
代の生命科学研究の最先端で活躍する人材を育成します。
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2015年5月