環境マスタープラン - 首都高速道路株式会社

環境マスタープラン
首都高が取り組むべき 7 つの環境施策 −
大橋換気所屋上自然再生緑地
「おおはし里の杜」
平成 24 年 7 月
目
次
はじめに
1
Ⅰ
取り組むべき 7 つの環境施策
2
Ⅱ
環境施策の内容
7
1.交通円滑化による環境改善
2.走行空間の快適性の向上
7
12
2−1 走行快適性の向上
12
2−2 走行景観の向上
14
3.沿道環境の保全・改善
17
3−1 交通施策による沿道環境改善
17
3−2 環境負荷低減のための保全対策
18
4.都市景観との調和と創出
22
4−1 意匠デザインによる都市景観との調和
22
4−2 緑化による都市景観の創出
25
5.新たな環境への取組み
27
5−1 ヒートアイランド対策
27
5−2 生物多様性保全の取組み
28
5−3 循環型社会に向けた取組み
31
5−4 再生可能エネルギー、省エネルギーの取組み
32
5−5 電気自動車普及促進
33
6.環境コミュニケーションの展開
35
7.環境マネジメントの推進
38
はじめに
首都高を取りまく社会情勢の変化に的確に対応し、これからの環境施策を積極的かつ
持続的に取り組んでいくため、今までの首都高の環境への取組みを整理・体系化し、今
後の取組みの方向性を示す「環境体系」を構築することとした。この中で、平成 23 年 6
月に環境体系の基本的な理念として、環境との係わりあいに関する立脚点や環境施策の
方向性を示す「環境ビジョン」をまとめた。
今回、環境ビジョンを基に、具体的な環境施策の全体計画として、「環境マスタープ
ラン」を取りまとめ、首都高が取り組むべき環境施策を明らかにした。
環境体系のうち、明確な理念である環境ビジョンと、中長期に係る全体計画である環
境マスタープランは、首都高の基本理念、経営理念を環境という切り口で具現化するも
のであり、向こう3箇年の年次計画である「環境アクションプラン」は、中期経営計画
に相当するものである。これらが一体となって環境体系を構成し、首都高の環境施策を
どのように進めるべきか、その方向性を示すものとなる。
環境体系の位置付け
1
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
Ⅰ
取り組むべき 7 つの環境施策
環境マスタープランでは、環境ビジョンによって掲げられた環境施策の目標をふまえ、
今後、首都高が取り組んでいくべき 7 つの環境への取組みをまとめた。
これは、「交通円滑化による環境改善」や「走行空間の快適性の向上」、「沿道環境の
保全・改善」、「都市景観との調和と創出」、「新たな環境への取組み」といった首都高が
取り組むべき 5 つの環境施策を、「環境コミュニケーションの展開」と「環境マネジメ
ントの推進」という 2 つの取組みによって推進していくものである。
これらの「7 つの環境への取組み」を進めることにより、よりよい環境の実現と地域
社会の発展に寄与し、首都高が環境先進企業としてお客様や地域の皆様、広く社会から
求められる存在となるものと考える。
首都高が取り組むべき 7 つの環境施策
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
2
(1) 交通円滑化による環境改善
首都高速道路の渋滞を少なくし交通をスムーズにすることは、車からの排出ガスを
削減し、地域の環境改善を進める最も基本的な環境施策と考えている。
現状※にかんがみると、引き続き交通渋滞の削減が求められており、中央環状品川
線や横浜環状北線などのネットワーク整備、板橋熊野町ジャンクション間改良や小松
川ジャンクション新設などのボトルネック対策を進めるとともに、お客様への情報提
供などによる効率的な交通運用や、昼夜連続工事や工事の集約化による工事渋滞の削
減も進めていく。
※p.5
<参考> 首都高速道路をとりまく環境の現状
①渋滞の状況
を参照
(2) 走行空間の快適性の向上
お客様の視点に立って、走行空間の快適性を向上していくことも重要な環境施策と
考えている。
路面の継目をなくすノージョイント化や雨天時の走行性を向上する高機能舗装化を
着実に進めていきながら、道路空間を活用した緑化などにより、走行景観の向上にも
取り組んでいく。
(3) 沿道環境の保全・改善
沿道の大気環境※1や騒音※2に係わる環境保全については、首都高速道路を維持管
理していく上で永続的に取り組んでいく必要があると考えている。
沿道環境をふまえながら、遮音壁の設置や高機能舗装の整備、路面の継目から発生
する騒音・振動対策のためのジョイント補修やノージョイント化を継続して進めてい
く。
また、工事の実施にあたっては、関係法令に基づき適切な環境配慮を行い、日照阻
害、テレビ電波受信障害に対して今後とも適切かつ真摯に対応していく。
※1
p.5 <参考> 首都高速道路をとりまく環境の現状 ②大気環境の状況 を参照
※2
p.6 <参考>
〃
③騒音の状況
3
を参照
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
(4) 都市景観との調和と創出
今後とも、周辺の環境との調和を図っていくため、「景観向上対策アクションプロ
グラム 3 ヵ年 30 箇所」を実施していくとともに、都市景観との調和と創出の観点か
らトンネル上部や高架下などのオープンスペースや構造物の緑化を検討していく。
(5) 新たな環境への取組み
地域社会の一員として、「見沼たんぼ首都高ビオトープ」や「大橋“グリーン”ジ
ャンクション」における生物多様性の保全の取組みを進めていく。
また、社会全体の環境意識の高まりやエネルギーをめぐる社会情勢にかんがみ、太
陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーの技術動向を把握していくとともに、
LED化などの省エネルギー技術の導入を進めていく。
あわせて、工事における土砂、砕石、アスファルト、コンクリート塊などのリサイ
クルの実施や事務所・事務用品などにおけるエコ対策、電気自動車を普及促進するた
めの急速充電器の活用を検討していく。
(6) 環境コミュニケーションの展開
「見沼たんぼ首都高ビオトープ」や「おおはし里の杜」などを活用しながら、学校
をはじめとした地域との協働を進めていく。
また、首都高の環境への取組みをより深く知ってもらうために、今後も環境イベン
トへの出展や現場見学会の取組みなどを進めていく。
さらに、首都高を環境先進企業として広く社会に知っていただくため、マスコミと
の連携やホームページ、パンフレットなどの活用により、積極的な情報発信を行って
いく。
(7) 環境マネジメントの推進
交通円滑化のためのネットワーク整備やボトルネック対策をはじめ、沿道環境対策
を着実に実施していきながら、省エネルギーや環境保全などの環境技術の活用につい
て積極的に係わるとともに、社員一人一人のスキルアップにも取り組んでいく。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
4
<参考> 首都高速道路をとりまく環境の現状
① 渋滞の状況
首都高では交通渋滞を削減するために、ネットワーク整備やボトルネック箇所の拡
幅などのハード施策に加え、道路交通情報提供の充実、分合流部やボトルネック部に
おける標識・区画線の改良、事故や工事に係わる渋滞対策などのソフト対策を総合的
に実施してきた。
平成 15 年度以降における首都高速道路全線(月∼金曜日)の渋滞損失時間※の推移
を見ると、平成 17 年度のピークに比べ平成 20 年度にいったん約 4 割の減少となった
が、その後やや増加傾向となり、平成 23 年度は平成 17 年度と比較して約 2 割の減少
となっている。
※渋滞の程度を示す指標で、基準速度(規制速度)で走行した場合の所要時間から遅れた時間(損失時間)
に交通量を掛けたもの。
渋滞損失時間(万台・時/日)
12
10
9.1
9.6
中央環状線(4号∼5号)開通(H19.12)
湾岸線東行き有明辰巳ジャンクション間の4車線化(H20.3)
9.9
9.4
8.4 中央環状線(3号∼4号)開通(H22.3)
7.6
8
5.8
6
6.4
6.8
渋滞損失時間の経年変化
4
2
0
H15
H16
H17
H18
H19
年度
H20
H21
H22
H23
平成 21 年度以降の増加については、
特に昼間交通量の増加や震災後の大型車
の増加などが影響し ている と考え られ
る。
② 大気環境の状況
大気環境については、以前は騒音と同様、大きな道路環境問題であったが、近年は
渋滞対策や自動車排出ガス規制などの各種対策によって、緩やかな改善傾向にある。
しかし、自治体が測定している首都高速道路の沿道における自動車排出ガス測定局
12 局の一部では環境基準を超過している※。
※東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県内の首都高速道路の沿道に設置された自動車排出ガス測定局 12
局のうち、NO2(二酸化窒素)3 局、SPM(浮遊粒子状物質)1 局が環境基準を超過(平成 22 年度)。
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県:
大気汚染常時測定局測定結果報告より
日平均値の年間98%値(ppm)
首都高速道路の沿道におけるNO 2
(二酸化窒素)の経年変化
0.070
0.060
12局平均値
12局のうち達成している局数の割合
90%
環境基準値
80%
70%
0.050
60%
0.040
50%
0.030
40%
30%
0.020
20%
0.010
10%
0.000
0%
12局のうち達成している局数の割合
100%
0.080
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
年度
5
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県:
大気汚染常時測定局測定結果報告より
100%
12局平均値
12局のうち達成している局数の割合
0.140
90%
80%
0.120
環境基準値
0.100
70%
60%
0.080
50%
0.060
40%
30%
0.040
20%
0.020
10%
0.000
12局のうち達成している局数の割合
首都高速道路の沿道におけるSPM
(浮遊粒子状物質)の経年変化
日平均値の年間2%除外値(mg/m3)
0.160
0%
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
年度
③ 騒音の状況
昭和 40 年代ごろから、道路の騒音問題が社会的にクローズアップされ、昭和 45 年
12 月には騒音規制法に基づく要請限度が定められ、翌年、昭和 46 年 5 月には騒音に
係る環境基準が閣議決定された。これらの社会的要請を受け、首都高では遮音壁の設
置をはじめとした騒音防止対策を行ってきた。
東京都による首都高速道路の沿道における 15 地点の測定結果によると、平成 17 年
度以降、騒音要請限度を超過している地点は減少しているものの、平成 21 年度におい
ては、11 地点(73%)が夜間の環境基準を超過しており、そのうち 3 地点(20%)は
夜間の要請限度についても超過している。
なお、首都高速道路の高架橋の大部分は幹線街路上にあるため、首都高速道路の対
策だけでなく、街路の騒音対策もあわせて進めていく必要がある。
100%
20%(3) 21%(3)
13%(2)
20%(3)
環境基準
要請限度超過
騒音のランク別割合
80%
67%(4)
57%(4)
60% 83%(5) 83%(5)
57%(4)
86%(6)
環境基準超過
40%(6)
53%(8)
43%(6)
53%(8)
71dB∼
66∼70dB
40%
17%(1)
20%
29%(2)
0%
H12
H13
H14
∼60dB
20%(4) 29%(4)
17%(1) 17%(1) 17%(1) 14%(1) 14%(1) 14%(1)
H15
H16 H17
年度
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
61∼65dB
27%(4)
29%(2)
13%(2)
20%(3)
7%(1) 7%(1)
H18
H19
H20
6
環境基準以下
13%(2)
H21
(数字)は地点数
自動車交通騒音測定結果
東京都:道路交通騒音振動調査
報告書のデータより
Ⅱ
環境施策の内容
1.交通円滑化による環境改善
(1) ネットワーク整備による環境改善
・中央環状品川線、横浜環状北線、横浜環状北西線などの建設を進め、首都高ネット
ワークを整備・拡充することで、交通円滑化による沿道や地域全体の環境改善を図
っていく。
中央環状品川線の建設
中央環状品川線は、中央環状線の南側区間を
構成し、中央環状線のリングを完結させる路線
で、都心環状線などに集中する交通の迂回・分
散により、大きな渋滞緩和効果が見込まれてい
る。
(平成 25 年度完成予定)
(2) ボトルネック対策の推進
・中央環状品川線の開通による中央環状線全線のネットワーク効果をより有効に発現
させるため、中央環状線の機能強化事業として、将来ボトルネックとなることが予
想される板橋熊野町ジャンクション間や堀切小菅ジャンクション間の拡幅、小松川
ジャンクション新設を進めていく。
・これらの整備により首都高速道路全体の渋滞が減少し、交通の流れがスムーズとな
り、車からの排出ガスが減少し、環境改善が図られる。
車線拡幅
3 4車線
板橋熊野町ジャンクション間改良
5号池袋線と中央環状線が接続する板橋
ジャンクション∼熊野町ジャンクション間
の車線数を、片側 3 車線から 4 車線に拡幅
することで渋滞の緩和を図る。
(平成 29 年度完成予定)
改良前
改良後
小松川ジャンクション(完成予想図)
7 号小松川線の千葉方面と中央環状線の埼玉方面を
結ぶ連結路を新設することで、都心部に集中する交通
を中央環状線へ迂回・分散し、渋滞の緩和を図る。
(平成 31 年度完成予定)
7
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
ネットワーク整備・ボトルネック対策
(3) 工事・事故渋滞対策の実施
・昼夜連続工事や工事の集約化により、路上工事の効率化を図ることで工事渋滞を減
らし、環境改善を図っていく。
・お客様に極力ご迷惑をかけないよう、事前の広報や工事中の安全・渋滞対策なども
あわせて実施していく。
昼夜連続工事による路上工事の効率化
(11 号台場線上り 平成 24 年 5 月)
鋼床版を補強して長持ちさせるため、高強度の
コンクリートで鋼床版を補強する工事を、比較的
交通量の少ない休日に 24 時間車線規制を行って
実施している。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
8
・事故多発地点での安全対策を重点的に行っていく。特に、本線料金所における整流
化やジャンクションでの安全でスムーズな分合流を実現するために、区画線や案内
標識、看板の工夫について交通管理者と連携しながら行っていく。
料金所後広場の誘導線
(4 号新宿線上り永福本線料金所)
ETC レーンと現金レーンの合流を円滑にする
ために、平成 20 年 8 月に三ツ沢本線料金所に
導入され、それ以降順次進めている。
・カーブ区間における安全対策として、注意喚起カラー舗装などを実施するとともに、
適切な維持管理などを行っていく。
注意喚起カラー舗装
(都心環状線内回り浜崎橋ジャンクション)
赤色は信号機や規制標識でも用いられる注意
喚起に適した色であり、カーブ区間における安
全対策のひとつとして、平成 20 年度から施工
が始まっている。
・その他、歩行者の誤侵入対策など、重大事故につながる人対車両事故対策や、横転
事故を防ぐための速度抑制対策を実施していく。
・また、交通事故が発生した場合の事故渋滞を削減するため、事故処理の一層の迅速
化を図っていく。
9
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
(4) 交通整流化による渋滞対策
・分合流部付近における必要のない車線変更や偏った車線の使われ方による速度低下
を抑制するため、交通管理者と連携しながら、既存の案内標識や区画線を改良した
り、注意喚起のための看板やLED表示板を設置していく。
標識の改良による整流化
(中央環状線内回り板橋ジャンクション)
熊野町ジャンクションへの車両の迷走を抑える
ために、車線がイメージできる案内標識を設置し
ている。
・また、上り勾配区間での速度低下が原因となる渋滞発生を抑制するため、勾配区間
を認識できるような看板の設置などを進めていく。
上り勾配の注意喚起
(中央環状線内回り千住新橋付近)
「上り勾配4%」、「速度低下注意!!」
を交互に設置している。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
10
(5) お客様への情報提供
・首都高速道路を安全かつ効率的に利用していただくために、交通管制システムの機
能の向上を図り、お客様への適切な情報提供に取り組んでいく。
・道路交通情報サイト、お客様センター、一般道や首都高速道路上での情報板、パー
キングエリアでの大型パネルなど、様々な場面でお客様の快適なドライブに必要な
道路交通情報を提供していきながら、お客様の声などを反映し、より分かりやすい
情報提供と提供内容の高度化を推進していく。
道路交通情報サイトの充実
首都高の経路・所要時間案内をはじめと
した、工事予定や交通規制などの関連情報
を提供している。
交互表示
渋滞区間と長さ
所要時間
文字情報板による情報提供(中央環状線内回り扇大橋手前)
渋滞の区間・長さの表示と、文字情報板の位置から渋滞先頭地点までの所要時間を交互に
表示している。
11
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
2.走行空間の快適性の向上
2−1
走行快適性の向上
(1) ノージョイント化の推進
・ノージョイント化は、路面の継目の段差を解消することによる走行快適性の向上と
騒音・振動対策として、高架橋の床版(床板)を連結しても構造上支障がない箇所
を対象に、平成3年度から延べ約 1,600 レーン(車線)で実施しており、残り約
1,000 レーンについても引き続き推進していく。
ノージョイント化した路面
(横羽線下り浜川崎出口付近)
左側車線をノージョイント化した状況。
ノージョイント化済
(2) 高機能舗装の推進
・高機能舗装は、雨天時に路面に水膜が発生しにくいため、走行快適性が向上するほ
か、タイヤと路面から発生する騒音を低減する効果がある。
・平成 12 年から本格的に施工しており、トンネル内を除く首都高速道路全線の約
76%の高機能舗装化を終了している。
・引き続き、首都高速道路全線の高機能舗装化を概成させることを目標に、劣化した
舗装の打替えを基本に推進していく。
従来の舗装区間
高機能舗装区間
高機能舗装による雨天時の視認性向上の例
(6 号三郷線下り加平付近)
従来の舗装区間(写真左)から高機能舗装区間(写真右)に入ると、タイヤからの
水しぶきが抑えられ、視認性が大幅に向上する状況が分かる。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
12
(3) 案内標識の改善
・お客様が首都高をより安全に、安心して快適に走行していただくために、分かりや
すい案内標識への交換に取り組んでいる。
ジャンクション予告案内標識
(湾岸線東行き東扇島入口付近)
標識板の老朽化による改修にあわせて、分かりやすい
標識への改善のために表示内容を簡素化し、遠方からの
視認性の高いフォント(字体)を用いたレイアウトに変
更している。
「東関東道」の前に付けられているマークは、国連標
識ピクトグラムに準拠した高速道路マークを採用してい
る。
ジャンクション案内の支援対策
ドライバーが行きたい方面を容易に判別
しやすいように、色による走行支援対策を
行っている。
大橋ジャンクションの例
分岐部
西新宿ジャンクションの例
13
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
2−2
走行景観の向上
(1) 意匠デザインによる走行景観
・横浜ベイブリッジ、鶴見つばさ橋、レインボーブリッジのような長大橋は、車窓か
ら眺められるランドマークとなって、首都高速道路を走る楽しみを増加させてきた。
鶴見つばさ橋
(湾岸線)
広幅員の長大斜張橋であるため、横浜ベイ
ブリッジのように橋の両側で2面吊りとする
のが一般的であるが、景観を考慮してシンプ
ルな逆 Y 字形の主塔からの1面吊りとした。
・一方、中央環状線山手トンネルの建設や千代田トンネル、霞が関トンネルの改修に
おいては、トンネル内の統一感のあるすっきりとした走行景観だけでなく、非常口
や標識を分かりやすくするため、視認性を向上させる検討が行われてきた。
トンネル壁面の意匠デザイン
(都心環状線千代田トンネル)
壁面のタイルを貼り替える際、トンネル内の
景観検討によってタイルの色や貼る範囲を決定
し、実施した。
山手トンネルの施設配置
(中央環状線山手トンネル)
延長約 10km の都市内長大トンネルである
ため、発災時の非常口の案内や泡消火栓などの
安全施設について視認性の検討を行った。
・現在建設中の中央環状品川線や横浜環状北線においても、トンネル内の配管などが
すっきりするような施設配置や、発災時に非常口へ円滑に誘導するための表示につ
いて検討を行っていく。
・また、遮音壁をはじめ、照明柱などの付属設備の意匠デザインについても、構造物
の状況や周辺の環境をふまえながら工夫をしていく。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
14
(2) 緑化による走行景観
・擁壁や遮音壁による閉塞感を軽減させ、走行快適性の向上を図るため、ツタ類など
を用いた緑化を検討していく。
・連続的な高欄や遮音壁におけるアクセントかつスポット的な景観を生み出すため、
拡幅部など道路空間を活用した緑化を進めていく。
・首都高速道路における制約された空間での植栽方法や品種の選定、灌水などの緑化
について、新技術の活用を検討していく。
ツタ類を用いた壁面緑化
(都心環状線外回り銀座出口付近)
擁壁の下にはツタ類が生育する土壌やプランタ
ーを置くスペースがなかったため、壁面の上部近
くにプランターを設置し、ツルを下に垂らしてい
く手法を採用した。
拡幅部の緑化
(5 号池袋線上り飯田橋出口付近)
火山岩が持つ保水性に着目し、土壌の上に
敷き詰めたり、火山岩を加工したプランター
を用いることで植栽が生育するような環境を
創出している。
・新規箇所の緑化の取り組みだけでなく、既存の植栽の管理についても、適切かつ持
続的に実施していく。
路肩と中央分離帯の植栽
(1 号羽田線上り平和島本線料金所付近)
路肩と中央分離帯の植栽が側面にある建物
からの圧迫感を軽減している。
15
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
パーキングエリア内の緑化
(湾岸線西行き市川PA)
高架橋の間から差し込む光による木漏れ日
によって開放的な空間を演出している。
(3) 借景を考慮した走行景観
・走行景観を道路だけでなく、その周辺空間も含めての景観と考え、走行快適性を向
上させていくために、道路空間における意匠デザインや緑化にあわせて、周辺空間、
いわゆる「借景」も考慮した走行景観の演出を進めていく。
千鳥ヶ淵の走行景観
(都心環状線外回り代官町出口付近)
千鳥ヶ淵の緑が首都高を走るドライバーへ
快適な走行感をもたらしている。写真はちょ
うど桜が満開の状況。
大手町界隈の走行景観
(都心環状線外回り神田橋出口付近)
首都高ならではのビル群の谷間を駆け抜ける
ダイナミックな風景によって快適な走行感をも
たらしている。写真は、スポット的な桜が点在
する状況。
・また、遮音壁を新設・改修する際は、走行中の閉塞感の軽減や周辺の景観に配慮し、
必要に応じて透光板を採用するなどの景観対策も考えられる。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
16
3.沿道環境の保全・改善
3−1
交通施策による沿道環境改善
(1) 環境ロードプライシングの実施
・横羽線沿線の住宅地域の沿道環境を改善することを目的として、湾岸線または川崎
線を利用する大型車の料金を割り引き、横羽線から湾岸線への大型車の転換を図る、
いわゆる環境ロードプライシングを実施している。
・今後、より一層、大型車に横羽線から湾岸線へ転換していただくため、きめ細かな
広報(横断幕、PA放送、チラシ配布など)による環境ロードプライシングの周知
を行っていく。
環境ロードプライシング
平成 13 年から試行的に導入してきたが、平成 24 年
1 月の距離別料金制への移行に伴い、基礎的な料金施策
として継続されることとなった。
(2) 他の交通機関との連携
・八潮PAと用賀PAで実施されている高速バス&レールライドをふまえ、様々な交
通機関との連携について検討していく。
八潮 PA の高速バス&レールライド
(6 号三郷線上り八潮 PA)
常磐自動車道の茨城方面から6号三郷線を通って東京方面に
向かう高速バスの乗客が、高速道路の渋滞時に八潮PAから最
寄りのつくばエクスプレス八潮駅に徒歩で乗り継ぐことのでき
るサービスとして、平成 20 年 6 月に実証実験を始め、平成
21 年 4 月より引き続き本格運用となった。
リーフレット(首都高 HP)より
降車専用バス停の様子
17
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
3−2
環境負荷低減のための保全対策
(1) 大気環境対策の実施
1) 低濃度脱硝設備の運用
・中央環状新宿線、川崎線において、換気所から排出されるガスによる沿道環境負
荷を低減するために、低濃度脱硝設備(低濃度脱硝装置、SPM除去装置)を設
置し、NO2(二酸化窒素)を 90%以上、SPM(浮遊粒子状物質)を 80%以上
除去した上で換気塔から排出している。
・建設中の中央環状品川線、横浜環状北線についても、低濃度脱硝設備を導入する
予定である。
・今後の低濃度脱硝設備の運用については、ネットワーク整備による交通円滑化や
車からの排出ガスの改善によるトンネル内のNO2濃度の低下に伴い、大気環境の
改善が予想されることをふまえ、技術的な検討を行っていく。
低濃度脱硝設備の概要(イメージ)
道路トンネルの換気塔から排出される
自動車排出ガスなどを含むトンネル内空
気からNO2やSPMを除去するもので、
NO2を物理的、化学的に除去する低濃度
脱硝装置と、SPMを電気的作用によっ
て電極板に付着させることで除去する電
気集じん機により構成されている。
2) 光触媒塗装などの試験施工
・窒素酸化物を除去する光触媒塗装については、周辺環境への大きな改善効果は期
待できないものの、塗装としての自浄作用があることから、必要に応じて試験的
に実施していく。
・大和町交差点における大気浄化技術のフィールド実験など、局所的な大気環境改
善に係わる取組みについて、関係機関と一体となって実施していく。
局所的な大気環境改善の取組み
(板橋区大和町交差点)
国道17号、環状七号線及び5号池袋線が 3
層で立体交差しており、大気環境を改善するた
め、平成13年度から国土交通省、都、板橋区及
び首都高が共同で 5 号池袋線への換気機設置
や、土壌や光触媒を用いた大気浄化技術のフィー
ルド実験を続けている。平成 17 年 2 月には、
交差点北西部にオープンスペース(
「YUME パー
ク・大和町」
)を設置している。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
18
(2) 騒音対策の実施
1) 遮音壁の設置
・遮音壁の設置は、騒音が環境基準を超過している区間を対象に、沿道環境や地域
性を考慮し実施している。
・営業路線の未設置区間において、遮音壁の設置に係わる要望※がある場合、沿道環
境や構造的な制約などを調査し、遮音壁の設置に係わる適否を検討した上で、順
次適切に対応していく。
※遮音壁の設置に際しては日照阻害が懸念されるため、関係する皆様の総意が得られることが必
要。
新型遮音壁(先端改良型遮音壁)
(横羽線上り浜川崎入口付近)
高欄上 2m の遮音壁の上端に、円筒状の吸
音装置を設置することで遮音性能を高めてい
る。平成 9 年度から本格的に設置している。
・建設中路線、ジャンクションや出入口の新設・拡幅に係わる遮音壁の設置につい
ては、騒音に係わる環境影響評価を十分に検討した上で、適切に取り組んでいく。
2) 裏面吸音板の設置
・建設中路線、ジャンクションや出入口の新設・拡幅に係わる裏面吸音板の設置に
ついては、騒音に係わる環境影響評価を十分に検討した上で、適切に取り組んで
いく。
裏面吸音板
(埼玉大宮線与野公園付近)
街路(新大宮バイパス)からの走行音の
反射を低減させるために、高架橋である埼
玉大宮線の裏面に設置している。
19
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
3) 高機能舗装の整備
・高機能舗装は、雨天時の走行性を向上させるだけでなく、騒音の低減効果も期待
できるため、遮音壁の設置とあわせて、重要な騒音防止対策と考えている。
高機能舗装の騒音低減効果
自動車が走行するとき、タイヤと路面の
間に空気が入る。従来の舗装(左)では、
この空気が圧縮・膨張し騒音を発しやす
い。高機能舗装(右)はこうした空気を舗
装の中に逃がすことができるので騒音を低
減する効果がある。
※出典:国土交通省 HP
一部表記を変更して掲載。
従来の舗装
高機能舗装
・そのため、劣化した舗装の打替えにあわせて、トンネル内を除く首都高速道路全
線の高機能舗装化を引き続き推進していく。
4) 重量違反車両などの指導・取締り
・重量違反は、交通事故や構造物損傷の一因となるだけでなく、騒音、振動や排出
ガスの増大を招くものであるため、関係機関と協力して料金所における重量違反
車両の指導・取締りを引き続き実施していく。
重量違反車両の取締り
(大井本線料金所)
車両制限令に基づき、重量違反だけでなく、
車両の大きさについても取り締まっている。
・不正改造車などの迷惑騒音に対応するため、関係機関と協力して様々な取締りを
行っていく。
5) 防音助成
・首都高速道路が建設される以前から居住していた方を対象とした、騒音による障
害が著しい住宅に対する防音助成については、関連規定に基づき、今後も適切か
つ真摯に対応していく。
(3) 振動対策の実施
・沿道の皆様から振動対策の要望があった場合、状況を調査した上で、ジョイントの
段差修正、舗装の打替えなど、路面の平坦性を確保するための対策を行い、路面か
らの騒音・振動発生の抑制に取り組んでいく。
・路面の継目をなくすノージョイント化は、走行快適性の向上だけでなく、ジョイン
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
20
トから発生する振動や騒音をなくすための施策としても重要であるため、ノージョ
イント化に係わる構造的な検討を行いながら取り組んでいく。
・振動については、その発生のメカニズムが複雑であることから、今後も原因の把握
や対策に係わる技術的な情報収集や検討を推進していく。
(4) 低周波音対策
・市街地では低周波音の発生源として空調室外機や給湯器など、様々なものが考えら
れるため、低周波音に係わる要望があった場合、まずその内容を的確に把握した上
で、発生源の特定を行う必要がある。
・低周波音に係わる対応事例は全国的にも少ないことから、原因の把握や対策に関す
る技術的な情報収集や検討を推進していく。
(5) 高速道路建設に伴う補償
1) 日照補償
・首都高速道路を新たに建設・改築することによって日照が阻害される場合には、
日照阻害に係る関連規定に基づき、今後も適切かつ真摯に対応していく。
2) テレビ電波受信障害対策
・首都高速道路を建設することによって電波が遮られ、テレビ画像の受信に障害が
生じる場合においては、テレビ電波受信障害に係る関連規定に基づき、今後も適
切かつ真摯に対応していく。
(6) 工事に伴う環境保全対策
・工事の実施にあたっては、関係法令に基づき適切な環境配慮を行うとともに、過去
の事例なども参考にしながら環境保全に努めていく。
工事仮設物のデザイン
発進立坑
土砂搬出設備
(横浜環状北線新横浜地区)
シールドトンネルの発進立坑、土砂運搬
中継設備、土砂搬出設備の壁面や、新横浜
大橋上に設置してあるベルトコンベアの仮
囲いにデザインを施し、周辺景観に配慮し
た工夫を行っている。
土砂搬出中継設備
ベルトコンベア仮囲い
21
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
4.都市景観との調和と創出
4−1
意匠デザインによる都市景観との調和
(1) 構造物の意匠デザイン
・首都高では、昭和 37 年に首都高速道路を初めて供用開始して以来、制約された空
間の中で都市景観との調和を目指して意匠デザインの工夫を行ってきた。
赤坂見附高架橋(4 号新宿線)
(港区元赤坂付近)
都内でも有数な風致地区である江戸城の
面影を 残す 弁 慶堀沿 いに位 置している た
め、重圧感を与えないように、薄い橋桁や
丸い円柱を採用している。
千鳥ヶ淵堀上高架橋(都心環状線)
(千代田区北の丸公園付近)
皇居の直近に位置しており、桜の名所として
親しまれている。千鳥ヶ淵水上公園の景観と調
和させるため、桁の厚さや桁下の空間を極力抑
えた構造としている。
・また、中央環状線山手トンネルや横浜環状北線の換気所では、近隣にお住まいの方
へのアンケート調査をふまえ、景観の専門家や有識者などの意見により意匠デザイ
ンを決めていくといった新たな試みを行っている。
・今後も、必要に応じて地域の皆様や専門家、有識者など様々なご意見を取り入れる
ことも考えながら、景観の検討を行っていく。
東中野換気所の換気塔(山手トンネル)
(中野区東中野付近)
山手通りの中央分離帯に建てられている換気塔は、
地域の皆様へのアンケート調査や、「圧迫感の低減」
「周辺景観との調和」「時の移り変わりに配慮」とい
う基本的な方針によりデザインを決定。平成 20 年度
のグッドデザイン賞を受賞した。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
22
(2) 景観向上対策と美装化
・「景観向上対策アクションプログラム 3 ヵ年 30 箇所」に基づき、首都高速道路の景
観の重点的な整備を今後も継続していく。
周辺景観と調和した高架橋
(6 号向島線両国ジャンクション付近)
開放感のある隅田川の景観を演出するため、
平成 22 年度に国技館付近をコーラルピンクか
らウォーターサイド・ブルーに塗り替えた。
リニューアル後の市川 PA
(湾岸線西行き市川 PA)
「景観向上対策アクションプログラム3ヵ年 30
箇所」により、平成 23 年に改修した。
ライティングされた六本木交差点高架橋
(3号渋谷線六本木付近)
平成 20 年度に六本木商店街振興組合などと協同
で、ロゴプレートの変更、桁塗装の塗替え、外装板
の清掃などを実施した。
23
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
(3) 街並みの景観の取組み
・首都高では、中央環状線山手トンネル上の山手通りの拡幅整備を、街路の事業主体
者である東京都から受託して実施しており、歩道舗装の色や樹木の種類などについ
て、地域の皆様と「意見交換会」を行ってきた。
・これからも、街路の事業主体者と一体となって景観を考えながら、快適で地域に愛
される街並みをつくっていく。
整備された山手通り(中野区東中野付近)
景観面も含めて快適な道路づくりをするため、
地域の皆様との「意見交換会」の中で、歩道形態
や植樹などを決めていく方法をとった。
(4) ライトアップ、イルミネーションの実施
・かつしかハープ橋、横浜ベイブリッジ、レインボーブリッジなどのライトアップは、
夜景という都市景観の創出に大きく寄与している。
・平成 23 年夏の電力抑制を受けて、ライトアップを一時中断(平成 23 年 3 月∼9
月)したが、横浜ベイブリッジやレインボーブリッジのライトアップについては、
お客様から早く復活して欲しいという要望も寄せられた。
・今後のライトアップの実施については、お客様からのご意見や社会情勢をふまえて
判断していく。
レインボーブリッジのライトアップ
主塔のライトアップとして、夏パターン(4 月
∼10 月)は涼しげな白色、冬パターン(11 月
∼3 月)は温かみのある白色(温白色)としてい
る。また、イベント時などをはじめ、ライトアッ
プの色を変えるイルミネーションを行っている。
写真はお台場海浜公園より望んだ風景。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
24
4−2
緑化による都市景観の創出
(1) オープンスペース(道路空間)の緑化
・首都高速道路の建設に伴う環境施設帯や街路の整備にあたっては、関係機関と連携
しつつ、必要に応じて専門家や有識者などの様々な意見を取り入れながら、周辺の
環境と調和した緑化の検討を行っていく。
・また、トンネルの上部や高架橋の下を含めた道路のオープンスペースについては、
首都高速道路に必要な管理施設の計画をふまえた上で、周辺環境や管理のしやすさ、
コストを考慮しながら緑化について検討していく。
大師ジャンクションの緑化
平成 21 年 3 月の大師出入口(横浜方面)開通
にあわせて、イワダレソウを大師ジャンクション
のループ内の一面に植栽している。
現地の
イワダレソウ(岩垂草)
(2) 換気所における緑化
・首都高では、中央環状線山手トンネルの西新宿換気所における壁面緑化 ※1や屋上
緑化※2、そして大橋換気所の屋上における自然再生緑地「おおはし里の杜」 ※3な
ど、換気所に係わる緑化に取り組んできた。
※1
p.26 (3)構造物の緑化の取組み、※2
ン”ジャンクション
p.27 (1)屋上緑化、※3
p.29 (2)大橋“グリー
を参照
・さらに、横浜環状北線における換気所(新横浜、馬場、子安台)については、景観
の専門家や有識者などの意見を聞きながら、周辺環境との調和が図られるような緑
化の検討を行っていく。
子安台換気所(完成予想図)
学校のある住宅地に囲まれた子安台公園に
馴染むデザインの配慮をしている。
25
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
(3) 構造物の緑化の取組み
・首都高速道路は街路や公共施設など、都市内の様々な視点から見られることから、
構造物の圧迫感を軽減させ、よりよい都市景観を創出するための緑化についても検
討していく。
西新宿換気所における壁面緑化
(新宿区西新宿付近)
平成 19 年 12 月の供用にあわせて、歩道に
面した建物壁面などに緑化を行っている。
(約 5 年後)
(約 30 年後)
大橋ジャンクションの壁面緑化
大橋ジャンクションのループ周りの地表
面には年間 50cm 程度成長するツル(オオ
イタビ)を植栽することにより、時間の経
過とともに緑豊かなジャンクションとな
り、地域の景観形成に寄与することを目指
している。
(約 50 年後)
大橋ジャンクション(現況)
(目黒区大橋付近)
コロッセオ風のデザインを採用し、地域景観と
の調和を図っている。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
26
5.新たな環境への取組み
5−1
ヒートアイランド対策
(1) 屋上緑化
・首都高では、ヒートアイランド対策の一環として屋上緑化にも取り組んでおり、
代々木PAの建物や西新宿換気所、大橋換気所について屋上緑化を実施してきた。
・さらに、首都高速道路の管理施設についても、屋上緑化の可能性を検討していく。
屋上の植樹の状況
西新宿換気所の屋上緑化
ヒートアイランドだけでなく、手前の建物脇の
植樹とも一体感を表現するなど、景観向上にも一
役かっている。
(2) 路面温度上昇を抑制する舗装の導入
・「遮熱性舗装」をはじめとした、路面温度上昇を抑制する舗装の導入について、技
術的な検討を進めていく。
遮熱性舗装(4号新宿線上り代々木PA)
代々木PAの他、加平PAなどの駐車場
部分に試験的に施工している。
27
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
5−2
生物多様性保全の取組み
(1) 見沼たんぼ首都高ビオトープ
・自然共生型の新しい都市高速道路を目指し、見沼たんぼを通る埼玉新都心線(平成
18 年 8 月供用)の高架下に、延長 1.7km、面積 6.3ha のビオトープを整備し、首都
高速道路整備後の植生の回復にあわせて地域在来種の育成を促進するなど、見沼た
んぼにおける生態系の保全を図っている。
見沼たんぼ首都高ビオトープ
見沼たんぼ固有の生態系を育成するため、
近隣で種子を採取し、育てた約 21,500 本の
苗木をビオトープに植樹。あわせてチガヤを
主とした草地、8 箇所の池沼、野鳥の止まり
木やチョウゲンボウなどの巣箱、カワセミの
営巣のための土塁を設置している。
ビオトープをとりまく水田風景
ビオトープ周辺には畑作化などで少なくなった
水田が広がっている。
・定期的なモニタリングを行い、自然の自己復元能力を活かしながら最低限必要な管
理作業(順応的管理)を行っており、今後も、こうした作業を通じて、ビオトープ
の育成を図っていく。
両生・爬虫・昆虫類調査
捕獲にあたっては手や網を使う他、食べ物や
光でおびき寄せる方法も行っている。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
28
アメリカザリガニの駆除
適時、網を使って池沼にいるアメリカ
ザリガニの駆除を行っている。
・管理作業の一部については、環境を学ぶ大学や専門学校の学生の実習として協力い
ただいており、今後も、関係機関との連携や地域の皆様との協働に取り組みながら、
地域と連携したビオトープづくりを目指していく。
学生実習(見沼たんぼ首都高ビオトープ)
ビオトープの改善にあたり、機械を使わない
作業などについて、環境を学ぶ学生や専門学校
生の実習として協力いただいている。
(2) 大橋“グリーン”ジャンクション
・平成 22 年 3 月に供用した大橋ジャンクションは、沿道環境保全としてトンネルと
高架をつなぐループ全体を躯体で覆うだけでなく、さらなる環境配慮として、ヒー
トアイランド対策や生物多様性保全の観点から、3つの緑「街並みの緑」(ジャン
クション壁面緑化)」、「公園の緑」(ジャンクション屋上の目黒区立公園)、「自然再
生の緑」(換気所屋上の自然再生緑地「おおはし里の杜」)を整備している。
換気所屋上に
「自然再生の緑」
(おおはし里の杜)
ジャンクション屋上に
「公園の緑」
大橋“グリーン”ジャンクション
3号渋谷線と中央環状線山手トンネルを接続
する、ループ状の大橋ジャンクション(平成
22 年 3 月供用)は、道路事業と再開発事業を
一体で実施しており、3つの緑による緑化の取
組みを行っている。
ジャンクション壁面に「街並みの緑」
29
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
・平成 23 年夏には、大橋換気所屋上に、自然再生緑地である「おおはし里の杜」の
整備を行った。
・現在、「おおはし里の杜」については、専門家によるモニタリングや樹木などの管
理を行っており、今後も必要なモニタリングを実施していく。
大橋換気所屋上自然再生緑地
「おおはし里の杜」
平坦部と斜面が作る形状が、池、小川、田んぼ、
雑木林といった昭和初期の目黒の里地をイメージし
ている。有識者のアドバイスにより、これらを再現
した。
・現在、大橋ジャンクションの壁面緑化や屋上公園の整備に取り組んでおり、都市部
における緑化の創出に貢献するだけでなく、大橋“グリーン”ジャンクションとし
て周辺の緑と連携して、エコロジカルネットワークの形成に寄与していく。
エコロジカルネットワークの形成
大橋“グリーン”ジャンクションは、
東京都が環境軸としている「山手通り」、
目黒区が風の道・緑の軸としている「目
黒川」との接点に位置し、都市部におけ
る緑化の先進的な事業として、また周辺
の緑地と連携するエコロジカル・ネット
ワークの拠点としての働きが期待されて
いる。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
30
5−3
循環型社会に向けた取組み
(1) リサイクルの実施
・首都高速道路の建設現場から発生する土砂については、関係機関と連携しながら、
他の工事現場などで埋戻し材として利用されるように調整を図っている。また、ア
スファルトやコンクリート塊については、中間処理施設または再資源化施設へすべ
て搬出して処理しており、再生材として利用されている。
・一方、首都高の建設現場で使用する土砂や砕石などの建設資材について、引き続き
再生材の利用促進を図っていく。
(2) 事務所・事務用品などのエコ対策
・引き続きグリーン購入法に基づき積極的に環境物品の調達に努めるとともに、クー
ルビズやウォームビズの実施、ペーパーレス会議の導入、昼休みの消灯などに取り
組んでいく。
(3) 循環型社会促進のための取組み
・首都高速道路に設置していた横断幕など、使用済みの素材をトートバックなどに再
利用するリサイクルプロジェクト「CIRCULATION SHUTOKO」なども、首都高の省資
源化や環境の取組みとして分かりやすいものとなっている。今後もこのような取組
みも実施していく。
はたらくトート(左)
使用済み横断幕をトートバッグに再利
用するもので、お客様のニーズに即した
個性的なデザインの製品として好評をい
ただいている。
Hi-W8(ハイウェイト)
(右)
首都高速道路で使われていた使用済み
の工事案内看板をスケートボードにリメ
イク。
31
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
5−4
再生可能エネルギー、省エネルギーの取組み
(1) 再生可能エネルギーの取組み
1) 太陽光発電
・首都高では、東京港トンネルの大井側坑口や代々木PA、川崎浮島ジャンクション
などで太陽光発電を試験的に採用している。
・今後も、技術開発の動向を注視し、設置や維持管理に要するコストをふまえ、必要
に応じて導入について検討していく。
太陽光発電パネル
(湾岸線東行き東京港トンネル)
東京港トンネルの大井側の坑口に設置され、
発電した電力は、換気所内の空調などに使用さ
れている。
2) 風力発電
・首都高速道路の道路空間ではスペースが限られていることもあり、大規模な風力発
電設備の設置は難しい状況にある。現在は、大黒PAや代々木PAなど、PA内の
照明設備に太陽光発電との併用で試験的に採用しており、引き続きPAや付属施設
への試験的な設置を検討していく。
3) 環境配慮型PA
・代々木PAや加平PAでは節水型トイレ、太陽光発電をはじめとする各種の環境施
策を導入した「環境配慮型PA」として整備しており、PAを訪れたお客様に首都
高の様々な環境への取組みに触れられる機会を提供している。
・今後も必要に応じて、環境配慮型PAの展開を検討していく。
屋上緑化
壁面緑化
太陽光発電
風力・太陽
光ハイブリ
ッド発電
環境配慮型PA
(4 号新宿線上り代々木PA)
代々木PAは、平成 20 年 4 月に太陽光発電、
屋上緑化、壁面緑化、遮熱性舗装などを取り入れ
てリニューアルした。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
32
遮熱性舗装
(2) 省エネルギーの取組み
・道路標識や看板について、照明灯がなくても視認性が高い超高輝度反射板への取替
えを引き続き進めていく。
・道路照明設備におけるLED灯をはじめとした新たな照明光源の採用については、
初期投資だけでなく、管球の取替え頻度の低減やそれに伴う車線規制・渋滞の低減
など、維持管理に係わるトータルコストのメリットも大きく、今後の技術開発の状
況を調査しつつ、導入について検討を進めていく。
・平成 25 年度に供用する中央環状品川線などでは、トンネル内におけるLED灯の
導入を進めていく。
・また、内部から蛍光灯で照らすタイプの標識板などのLED化についても検討を進
めていく。
白色LED灯(10 号晴海線)
平成 21 年 2 月に開通した 10 号晴海線では、道路
照明に高速道路初となる白色LED灯を設置した。ま
た、LED灯に限らず、照明器具の形状を路面外への光
の漏れ出しが少ないタイプにするなど、一層の「環境配
慮型照明」化をすすめている。
※灯具図は、
(株)因幡電機製作所 HP より引用
5−5
電気自動車普及促進
(1) 電気自動車の導入
・首都高では業務用自動車として 3 台、グループ会社の運搬用車両として 1 台、スマ
ートドライバーのシンボルカーに 1 台の計 5 台の電気自動車を導入している。
・今後とも、管理用自動車の買い替えにあわせて、さらなる電気自動車の導入を検討
していく。
東京スマートドライバーのシンボルカー
「ホメパトi」
平成 23 年 2 月、コミュニケーションの力で
交通事故を削減することを目的とした「東京スマ
ートドライバープロジェクト」では、スマートド
ライブとエコドライブを推進するシンボルカーと
して、電気自動車のアイ・ミーブ(i-MiEV)を
導入している。
33
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
業務用に導入した電気自動車
平成 23 年 3 月に日産リーフ(LEAF)
を 3 台導入した。
運搬用電気自動車
平成 23 年 12 月、首都高パトロール(株)
で は 、「 ミ ニ キ ャ ブ ・ ミ ー ブ ( MINICABMiEV)を導入した。
(2) 急速充電器の設置
・平成 20 年 10 月に大黒PA(湾岸線)、平和島PA(1号羽田線上り)、平成 21 年
4 月に八潮PA(6 号三郷線上り)、市川PA(湾岸線西行き)の計4箇所のPAに、
試験的に急速充電器を導入している。
・今後も実証実験を通じて、急速充電器の運用のあり方について検討していく。
・また、新たな急速充電器の設置については、投資効果、既存の4箇所のPAとの設
置場所のバランスの問題、PAの電気容量の問題(変電設備に余裕がない場合は改
修に多額の費用を要する)などを総合的に検討する必要があり、それらをふまえた
上で、さらなる活用について検討していく。
急速充電器
急速充電器の利用状況
(6 号三郷線上り八潮PA)
(大黒 PA)
八潮PAの他、平和島PA(1 号
羽田線上り)、市川PA(湾岸線西行
き)、大黒 PA(湾岸線)に設置され
ている。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
34
6.環境コミュニケーションの展開
(1) 地域との協働
・地域の皆様に、「見沼たんぼ首都高ビオトープ」をより深く知っていただくため、
幼稚園児の自然観察会や学生による実習の場として活用するとともに、近隣の小学
校、中学校と連携した「ハンノキ・プロジェクト」についても取り組んでいく。
・引き続き、広報や地域のイベントなどについて関係機関との連携を進めていく。
自然観察会(見沼たんぼ首都高ビオトープ)
アメリカザリガニなど外来種の駆除について
近隣の幼稚園児を招いた自然観察会でのイベン
トを活用している。
ハンノキ・プロジェクト(見沼たんぼ首都高ビオトープ)
準絶滅危惧種(埼玉県レッドデータブック)に指定され、「埼玉
県の蝶」でもある「ミドリシジミ」を見沼たんぼに呼び戻すた
め、近隣の小・中学校と連携して、ハンノキ(榛の木)を種か
ら育て、見沼たんぼ首都高ビオトープに植樹する「ハンノキ・
プロジェクト」を平成 23 年に立ち上げた。
・平成 23 年度に大橋換気所屋上に整備された「おおはし里の杜」における、近隣の
小学校との協働による稲作は首都高で初めての試みであり、引き続き取り組んでい
く。
・また、「おおはし里の杜」における自然観察会や環境ツアーによって、首都高の環
境への取組みを皆様にPRしていく。
稲作体験(おおはし里の杜)
近隣の小学校との協働で、田植えから、稲刈り、
脱穀を行い、給食の時間に収穫されたお米でおにぎ
りを作り試食会を開くなど、稲作を通じての協働作
業を体験することができた。
(写真は平成 23 年 6 月の田植えの様子)
35
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
(2) 環境イベント、現場見学会
・環境イベントは、お客様と直接コミュニケーションをとり、首都高の環境への取組
みを説明できる場として重要と考えている。特に、様々な企業・団体が一堂に会す
るイベントには、今後も継続して出展していく。
エコプロダクツの首都高ブース
首都高の環境の取組みを、より深く知って
いただけるような展示を行っている。
(写真は平成 23 年 12 月)
・上記のようなイベントだけでなく、「見沼たんぼ首都高ビオトープ」や「おおはし
里の杜」などにおける現場見学会については、実際の首都高速道路の建設、管理の
現場を体験していただく貴重な機会であり、首都高の環境への取組みをより深く知
っていただくために、これからも積極的に実施していく。
大学生の現場見学会
(見沼たんぼ首都高ビオトープ)
ビオトープ整備に係わる経緯をはじめ、育成
の状況や今後の課題などについて、現地の状況
をもとに分かりやすく説明している。
(3) 積極的な情報開示
・「環境レポート」をはじめとした環境への取組みを説明する冊子や、リーフレッ
ト・パンフレットなどをお客様のニーズにあわせて充実させていく。
環境レポート
「事業レポート」
、
「管理レポート」とともに、
首都高の取組みを広報する3つのレポートの1つ
として、首都高の環境への取組みを分かりやすく
紹介している。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
36
・ホームページでは、首都高の環境への取組みの内容を分かりやすく発信するととも
に、環境イベントや現場見学会などの情報についても適時発信していく。
環境イベント専用ホームページ
GREEN METROPOLIS(平成 23 年度)
首都高ホームページとは別に、専用ホーム
ページで平成 23 年 10 月から平成 24 年 1
月までの期間限定で情報発信を行った。
(4) マスコミとの連携
・首都高の環境への取組みを広く社会に知っていただくために、ホームページだけで
なく、テレビ、ラジオや新聞、雑誌などのマスコミと連携した情報発信を行ってい
く。
・「おおはし里の杜」や「見沼たんぼ首都高ビオトープ」などの取組みについて、積
極的にマスコミへの公開を図っていく。
見沼たんぼ首都高ビオトープのマスコミ取材
平成 21 年 10 月に、近隣の幼稚園児を招いた自然
観察会にあわせてビオトープを紹介する看板の除幕式
が行われ、テレビ局や新聞社の取材を受けた。
(5) 社員の広報活動
・マスコミやホームページによる情報発信だけでなく、社員一人一人が広報マンとし
て首都高の環境への取組みをPRすることも大切である。
・そのためには、社員一人一人が首都高の環境への取組みを理解し、関心や意識を高
めていくような社内環境を整備することが重要であり、社内でも「環境レポート」
を活用しながら首都高の環境への取組みを周知させるとともに、普段から社内掲示
板などで環境に係わる情報を発信していく。
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平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
7.環境マネジメントの推進
(1) 環境対策の着実な実施
・道路事業者として、ネットワーク整備やボトルネック対策などにより、交通の円滑
化を図ることは、地域の大気環境などを改善するための最も基本的な環境対策と考
えている。
・あわせて、沿道の騒音・振動対策や日照補償、テレビ電波受信障害対策、工事に伴
う環境保全対策なども適切に対応していくことが重要と考えている。
・その上で、環境への取組みを持続的に行っていくには、地域社会との協働や環境広
報によって首都高の環境への取組みを広く知っていただくとともに、新技術などを
活用して効率的な環境保全を行いつつコスト削減を図るなど、総合的な環境への取
組みを進めていく。
(2) 新技術の積極的導入
・環境に係わる新たな技術について広く情報収集するとともに、新技術の研究や開発
について積極的に係わっていく。
(3) 更新にあわせた取組み
・遮音壁、照明などの付属施設の補修や更新を行う際には、沿道や地域社会、地球環
境により優しい性能・材質、省エネルギーの仕様など、より環境に配慮したものに
更新していく。
・今後、ジャンクション間の拡幅などの改築や、大規模な構造物の更新の際には、景
観や街づくりに配慮していく。
(4) 災害時における交通機能の確保
・安全・安心な街づくりに寄与するという観点でみると、首都高速道路の役割には通
常時の交通機能だけでなく、大規模災害時の延焼防止としての防災空間や、緊急輸
送道路として都市の早期復旧を支援し、減災に寄与するという機能もある。特に、
平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災からの復旧・復興にあたり、道路ネッ
トワークの重要性が再認識されている。
・このような災害時においても、ネットワーク機能を維持し、円滑な交通を確保する
ことは環境の面でも大切なことであり、引き続き構造物の適切な維持管理を行うこ
とによって、首都高の交通機能とネットワークの強靭さを確保していく。
平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
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(5) 沿道環境の把握
・大気や騒音などの首都高速道路の沿道環境はもちろん、地域の皆様、お客様からの
意見などの把握にも努め、首都高の沿道環境の現状を把握していく。
(6) 環境施策の自己評価
・今後の環境への取組みをどのようにしていくべきかを考えるため、首都高が求めら
れている環境保全に係る施策を着実に実行しているのか、地域社会からどのように
評価されているかなどを、自ら客観的に把握するよう努めていく必要がある。
(7) 社員のスキルアップと環境技術の育成
・首都高が環境先進企業として社会に広く認められる存在になるために、環境に係わ
る情報の提供や研修を充実させ、社員一人一人が環境への関心を寄せ、環境技術を
スキルアップさせていく必要がある。
・あわせて、環境技術を蓄積していく中で培った技術や成果を、学会などを通じて広
く社会に発信していく。
土木学会環境賞
土木学会環境賞(Ⅰグループ)は、土木技術、
システムを開発・運用し、環境の保全・創造に貢
献した画期的な業績およびプロジェクトを表彰す
るものであり、首都高は、平成 21 年度の山手ト
ンネルの低濃度脱硝設備に係わる受賞から 3 年連
続の受賞を果たしている。
左:おおはし里の杜(平成 23 年度)
右:見沼たんぼ首都高ビオトープ(平成 22 年度)
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平成 24 年 7 月 首都高環境マスタープラン
お問合せ先 首都高速道路株式会社
計画・環境部
環境グループ tel 03-3539-9399(直通)
<URL> http://www.shutoko.co.jp/
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2012.7