ファイバータップの損失とネットワークへの影響

ファイバータップと損失計算の例
by Bitrieve
ファイバータップの損失とネットワークへの影響
ファイバータップは物理的に光信号を分岐し、オプティカルネットワーク内の光信号を各種装置に
供給することが出来ます。ファイバータップを設置したオプティカルネットワークは、アナライザ
やその他の装置にネットワークに流れる実信号を供給することが出来ます。アナライザやその他の
装置との接続は分岐側ポートに対して行うため、機器の接続や切り離し時にネットワークを停止す
ることなく安全に行えることも特徴です。ファイバータップは物理的な光信号の分岐を行うため、
光ネットワーク信号強度に対して損質が発生します。具体的に表現すると、タップを通過した光信号は少々暗くなるのです。 本リポートでは
ファイバータップがオプティカルネットワークに及ぼす影響を検討すると共に、損失算定方法の概要を説明します。
ファイバータップの概要 左図はファイバータップと接続概要です。ファイバータップは内部に分光器
(光りスプリッタ)を持っています。スプリット比が 50:50 の例では、100 の
入射光に対し分岐側 50%、ネットワーク側出射 50%の光パワー分割を行いま
す。50:50 の場合、この光パワー分割で生じる損失は理論値で -3dB になりま
すがコネクタ損失や製品誤差も含めカタログ値の最大を -4dB ∼ -4.5dB とし
ています。ファイバータップは光の分岐比率を 10%刻みで選択できます。 分岐出力比率が低い場合は、ネットワーク側の損失は小さくなります。
損失算定方法
*オプティカルバジェット
スイッチやルータに使用されている GBIC の仕様を見ると右表
の様な数値が出ています。この最小送信レベルと最小受信レベ
ルの差がオプティカルバジェットになります。右の例ではオプ
ティカルバジェットは 10dB になります。
1000Base-SX の仕様例
850nm
最大
0 dBm
0 dBm
波長
送信レベル
受信レベル
最小
- 6 dBm
- 16 dBm
線長は仕様の最大値にて算出
*損出の算出例
次に右図のオプティカルネットワーク例で
各構成部品の損失から全損失値を算出する。
機器#1
TAP
機器#2
(C)Bitrieve Inc.
1:1000Base-SX 、62.5 μ コアのマルチモードオプティカルネットワークにおける計算 ( 分割比率 50:50 のタップで算出)
名称
単位損失
数量
想定損失
備考
SC コネクタの一般値を採用、タップ部はタップに含む
コネクタ接続損失
0.3 dB/ 個
2
0.6 dB
一般的ファイバーの損失値を採用
ファイバー損失
3.5 dB/Km
275m
1 dB
NetOptics 社カタログ値、コネクタロスを含む
ファイバータップ損失
4.5 dB
1
4.5 dB
算定損出の合計値
6.1 dB
計算によって求められた損失値の合計は 6.1dB。このネットワークのオプティカルバジェットが 10dB の場合、3.9dB がマージンとなる。
2:1000Base-LX のシングルモードオプティカルネットワークにおける計算 ( 分割比率 50:50 のタップで算出)
名称
単位損失
数量
想定損失
備考
SC コネクタの一般値を採用、タップ部はタップに含む
コネクタ接続損失
0.5 dB/ 個
2
1 dB
一般的ファイバーの損失値を採用
ファイバー損失
0.5 dB/Km
5000m
2.5 dB
NetOptics 社カタログ値、コネクタロスを含む
ファイバータップ損失
3.7 dB
1
3.7 dB
算定損出の合計値
7.2 dB
計算によって求められた損失値の合計は 7.2dB。一般的なシングルモードネットワークのオプティカルバジェットは 10dB ∼ 11dB 以上
確保されている。よってこのケースの場合、2.8 d B ∼ 3.8 d B がマージンとなる。
算定値と実測値
前項で算出した損失値は構成要素が持つ最悪値のを合計した机上の値です。実測値はこの机上の値より数デシベル少ない損失値となります。
結論
オプティカルネットワーク内にタップを設置するための机上損失計算では、算出した損失値はオプティカルバジェット内に収まる結果となりま
した。この例では光ファイバーネットワーク内にファイバータップを設置しても、データ通信リンクに与える影響は無いと結論できます。また、
上記の算出例では分割比率 50:50 で算出しましたが、60:40 や 70:30 では分岐側への出力が少なくなるため、ネットワーク側の損失はより少な
くなります。
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