CanadaGAP

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CanadaGAP
(仮訳)鹿児島大学名誉教授
岡本嘉六
世界食品安全イニシアチブ(GFSI)に認定された 10 社の Scheme(規格体系)保有者
の中で、私が余り耳にしたことがなかったのは、畜産を中心に調べていたためかも知れない。
CanadaGAP ™ は専ら農作物生産に限定した規格体系を作成してきたが、狭い認証範囲の
組織であるにもかかわらず規格体系保有者として GFSI に認定された。
日本では日本 GAP 協会が 2005 年に発足し、GLOBAL GAP 協議会が設置されるなど
農水省も GAP 推進に力を入れてきた。しかし、認証の話になると、依然としてバラバラで
あり国際的に通用する制度には至っていない。どこが違うのか、CanadaGAP ™ の概要と
比べると、スタートラインから大きく違っているように思われる。
「歴史」を見ると、果物と野菜生産者の全国産業協会であるカナダ園芸評議会(CHC)
が全国統一規格を開発して国際化することを当初の目的としたことである。CanadaGAP プ
ログラム開発貢献者一覧(Click here for contributors to the development of the
CanadaGAP Program.)を見ると、業界大手と行政の多数が名前を連ねている。規格体系
作成において、カナダ行政の関与が大きいことが述べられているが、日本と行政の質が異な
ることを理解しなければならない。米国では実学主義(プラグマティズム)が学問の主流を
占め、大学と実業界、行政との人事交流が盛んに行われている。すなわち、民間ベースの第
三者認証システムに詳しい元大学人が行政の中に多数いることから、強力な支援となり得
る。
目的の部分では、日本に乱立している組織も同じことを言っているだろうが、実体のな
い組織が言っているだけである。全国組織を母体としない限り全国統一規格ができる訳がな
い。日本では、業界の全国組織を動かしている中央行政が展望を持っていないため、地方乱
立状況は今後も変わらないだろう。
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CanadaGAP の概要
Overview of CanadaGAP
CanadaGAP ™は、果物および野菜を生産し、取扱う企業のための食品安全プログラム
である。生鮮産物事業内の効果的な食品安全手順の実施と維持を手助けするために設計され
ている。2 冊のマニュアルがあり、1 冊は温室作業もう 1 冊はその他の果物と野菜に固有の
ものであり、園芸業界によって開発され、カナダ政府当局によって技術的健全性が吟味され
ている。このマニュアルは、生産、梱包、保管作業における適正農業慣行(GAP)を実施
している会社、適正製造基準(GMP)と HACCP プログラムを実施している仕分け業者
(Repacker)と卸売業者のために設計されている。
このマニュアルは、国際的に認められた HACCP(危害解析必須管理点)方式の 7 原則
を適用する厳密な危害解析に基づいている。このプログラムはベンチマークを受け、世界食
品安全イニシアチブ(GFSI)によって正式に認められた。プログラムの監査と認証のサー
ビスは、認定された認証機関によって行われる。
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プログラムの認証とは?
認証とは、供給者が規格を満たし、その食品安全プログラムを継続的に維持しているこ
との正規の機関による決定を記述するために CanadaGAP で使用する用語である。これに
は、認証機関からの第三者監査員訪問の受入れ、食品安全マニュアルと関連する記録の吟味、
経営者と職員との面談、ならびに CanadaGAP 監査チェックリストに対する会社の適合性
を査定が含まれる。監査チェックリストは全ての作物グループをカバーしているので、複数
の作物の事業体も一つの監査だけで全体の生産をカバーすることができる。監査に合格した
者はプログラムを認証される。
認証は、その事業体が生産物の汚染リスクを最小限に抑える手順のシステムを保有して
いることを示す。認証機関は生産物ではなく手順を認証する。監査員は、単に特定の時点の
スナップショットを得るのではなく、食品安全システムの継続的維持を証明する証拠を収集
する。
プログラムを入手する方法は?
申込様式はここ(here)をクリック。
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歴史
History
CanadaGAP プログラム開発貢献者一覧(Click here for contributors to the development
of the CanadaGAP Program.):
2000: 果物と野菜生産者の全国産業協会であるカナダ園芸評議会(CHC)は、食品
の安全性における適切な配慮を証明する加盟者の必要性に応えて農場における食品安全
(OFFS)の開発に着手した。
2002-2008: CHC は、商品固有の危害解析を完了するために、8 つの商品固有の食品
安全作業グループ(OFFS Working Group)を設置した。HACCP モデルと利用者マニュア
ルは、吟味のため連邦政府と地方政府の代表者に提出された。CHC 食品安全委員会および
技術検討運営委員会は、公式の政府の技術的検討手順を通じてそれぞれのモジュール毎に手
順を監督した。認証システムと監査手順を開発するために、2007 年に専任グループ(Task
Group)が設置された。全ての作業は CHC 食品安全委員会によって監督された。
2005: カナダ生産物取引協会(CPMA)は、仕分けと卸売の食品安全プログラム
(RWFSP)の初版を完成させたが、それは第一次生産部門のために CHC によって行われ
た同様の手順を通して開発され、導かれた。
2008: CanadaGAP™認証プログラムが CHC によって着手され、8 つの作物グルー
プは、6 つの一般的 HACCP モデルと 6 つの農場における食品安全(OFFS)マニュアルに
統合された。
2010: CanadaGAP は、世界食品安全イニシアチブ(GFSI)によって正式に認定さ
れた認証オプション B と C の最初のカナダの食品安全性プログラムになった。
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2010: 単一の統合された規格および独立した非営利法人を作るために、CanadaGAP
とカナダ生産物取引協会(CPMA)の仕分けと卸売の食品安全プログラム(RWFSP)の統
合の可能性に関して公式の検討が行われた。この検討は、それが実現可能な活動であると結
論付け、2012 年に両方の組織の加盟員は 2 つのプログラムの統合を進める最終決定を下し
た。活動のこの方向性は、食品安全プログラムの管理に伴う責任を問われる可能性を制限す
るために、勧告されていた。
2012: 6 つの CanadaGAP マニュアルは、2 冊のマニュアル(果物と野菜、温室)に
統合されたが、6 つの一般的 HACCP モデルは維持されている。
2012: CanadaGAP は、CanAgPlus と呼ばれる非営利会社の下で独立して機能する
プログラムになった。CanadaGAP プログラムに登録した全ての参加者は、11 月 1 日に
CanAgPlus 加盟者の対象となった。暫定的理事会が指名され、2014 年の最初の CanAgPlus
年次総会において加盟員の選挙によって最初の理事会が選出される。
2013: 仕分けと卸売の要件の CanadaGAP プログラムへの統合が完了した。
2014: 仕分け業者と卸売業者が顧客の要求に応えるため CanadaGAP 認証を取得で
きるように、オプション D が 4 月 1 日に発効した。
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統治
Governance
CanadaGAP ™ プログラムは、カナダの非営利企業、CanAgPlus が所有および運営し
ている。設立は 2012 年であった。
CanadaGAP 理事会と職員は、全国的に一貫して信頼できる方法でサービス提供を確保
するために認可された認証機関の管理と監督を維持している。CanadaGAP プログラム管理
システムは、カナダ政府の食品安全プログラムの承認要件、GFSI ベンチマークおよび国際
管理システム規格を満たすために設計されている。
CanadaGAP 固有の監査員訓練課程が開発され、CanadaGAP によって継続的に維持さ
れている。CanadaGAP は、食品安全実施要領、監査チェックリスト、監査員の要件と資格
などを含め、技術的規格の更新も行っている。
理事会
CanadaGAP プログラムを監督する理事会は、カナダ園芸評議会(CHC)、カナダ生産
物取引協会(CPMA)および一般加盟員によって承認された代表者で構成される。理事会は
加盟員によって選ばれる。
現在の加盟員のリスト(Current Member List)
理事会員の略歴(Board of Directors' Biographies)
プログラムの目的
理事会は、生鮮果実と野菜のための以下の食品安全プログラムの交付を確保する責任が
ある。
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現実的、費用対効果、自発的、および市場主導型である
業界の資源と必要性に基づく
技術的に健全で信頼できる
透明な手順で作成される
公開された同業者評価による科学に立脚する
地域と商品の間の整合性がある
購入者に認知される。
CanadaGAP 利害関係者諮問委員会
技術作業グループとして以前知られていた利害関係者諮問委員会は、CanadaGAP の技
術規格の維持に貢献している。委員は理事会によって任命されている。会員は、CanadaGAP
の開発に貢献した商品固有の作業グループと専任グループ(Task Group)の技術専門委員、
ならびに業界内のプログラム利用者と利害関係者から選ばれる。このグループは、様々な種
類の作物やカナダ全域の活動についての彼らの知識を反映する食品の安全性と商品固有の
専門知識を提供するよう努めている。
● 現在の委員のリスト(Current Member List )
利害関係者諮問委員会の役割は、以下の通りである。
● CanadaGAP 監査チェックリストの更新の吟味
● 必要に応じて、提案された CanadaGAP 実施要領および HACCP モデルの改訂と更
新の吟味
● CanadaGAP プログラムに関連したその他の技術的事項(たとえば、自己査定チェ
ックリスト、適合性の宣言、監査員訓練計画など)の吟味
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監査と認証の手順
Audit and Certification Process
監査と認証の手順はどのようにして正確に機能するか?
● CanadaGAP ™ プログラムの申込様式を作成し、CanadaGAP 事務所に提出する。
この様式により多くの情報を提供できれば、より迅速に申込が処理できる。入会申
込書を提出しその後毎年の入会日に、オプション D 以外の年会費、CHC 年間料金
50 ドルの支払いを求められる。
● CanadaGAP 実施要領のコピーを未だ持っていない場合、CanadaGAP のウェブサ
イト(CanadaGAP website)から入手できる。監査チェックリストも、ウェブサイ
ト(Audit Checklist)で公式に入手でき、監査の事前準備に役立てるためダウンロ
ードする必要がある。
● 申込様式は、CanadaGAP からあなたが選んだ認証機関(Certification Body)に送
信され、監査を予約する連絡があなたに入るだろう。監査の範囲と期間は、認証機
関によって事前に決定される。あなたの事業についての最も詳細な情報を提供する
ことよって、費用対効果がありかつ簡潔に監査できるようになる。
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● 監査後、監査員の報告書は、証明の決定のため認証機関に送信される。認証機関は、
最終的な監査報告書および証明票をあなたに送付する。
● 監査料金、監査員旅費および費やした任意の時間は、認証機関によって監査後請求
される。
● 監査に関するその他のよく寄せられる質問への回答(What to Expect from Your
Audit)を参照してください。
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実施要領について
About the Manuals
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実施要領のダウンロード(Download Manuals )
実施要領の内容(Content of Manuals )
実施要領開発の過程(Process for Developing the Manuals)
試行(Pilots)
技術的検討(Technical Review )
プログラムの継続的維持(Ongoing Program Maintenance)
自己宣言と著作権の注意事項(Disclaimer and Copyright Notice)
カナダで育成され取扱われる様々な果物と野菜に対する実用的かつ適切な食品安全指
針を提供するために、果物と野菜および温室生産物に固有の商品の食品安全実施要領が策定
された。これらの実施要領は、危害解析必須管理点(HACCP)と呼ばれる国際的に認めら
れたシステムに基づいており、果物と野菜の生産と取扱いにおいて危害が発生する可能性を
特定するのに役立つ。この実施要領は、生産者、梱包業者、再包装業者、卸売と保管の作業、
その他の業界の代表者ならびに食品安全専門家が、最高の利用可能な科学に基づき現実的で
あることを確保するために開発された。CanadaGAP ™ の要件は、トラック運転手、加工
業者、小売業者および食品サービス業者が利用し、他の国際的取組みと一致している食品安
全プログラムを補完する。
実施要領の内容
CanadaGAP 実施要領は、果物と野菜を生産し、取扱う事業にとって経済的で、使い易
くかつ実用的であるように設計されている。この実施要領は、種植えから生産物の出荷まで
の農場、保管と包装施設、再包装と卸売事業における活動の規格を利用者に提供している。
この実施要領に含まれているいくつかの主要分野は以下の通りである。
● 従業員の衛生
● 清潔な水
● 食料と接触する表面の清潔
● 適性農業慣行(農薬、化学肥料および堆肥の適用を含む)
● 設備と必需品
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● 保管
● 輸送
● トレーサビリティー
これらの食品安全慣行のほとんどは、新しいものではない。カナダの農産物供給者は、
長年これらの慣行を利用してきている。CanadaGAP 実施要領は、それを顧客に証明できる
使用可能な一貫性のある方法を提供する。
実施要領開発の過程
各作物グループの商品に固有の作業グループは、各実施要領の基盤を規定する一般的
HACCP モデルを完結するため HACCP の取組み方を使用している。再包装と卸売の事業の
ための HACCP モデルの開発についても同じ過程が行われた。この取組み方は、生産、梱
包、再包装および卸売の全ての面、ならびに投入資材と生産過程の流れ図を完結させる;生
物・化学・物理的な危害に関連する全てのリスクの柔軟な考え方;さらなる研究が必要な領
域を特定;生鮮農産物の安全性における公開された同業者の評価を受けた科学の吟味および
洗練された技術専門家との密接な協力; ならびにそれぞれの危害を制御する適正農業慣行
(GAP)、適正製造慣行(GMP)あるいは必須管理点(CCP)を特定して説明する。特定
の要件と手順は、それぞれの実施要領に盛り込まれている。
CanadaGAP プ ロ グラ ム の 開 発 協 力 者 の 一 覧 は こ こ を ク リ ッ ク ( Click here for
contributors to the development of the CanadaGAP Program)。
試行(Pilots)
開発過程の不可欠な部分には、カナダ全土における農場、梱包施設、および再包装と卸
売施設で実施要領の試行が含まれる。試行参加者は、コンサルタントの支援を得て実施要領
を試すことを志願した所有者・事業者であった。試行施設は、それぞれのグループ内の商品、
事業の種類(たとえば、大小、食品安全プログラムの実施経験、食品安全の初心者)および
活動の範囲において可能な限り多様となるように全ての生産地から選んだ。試行テストの過
程は、実施要領が「利用者に親しみ易く」、実行および理解可能で、その商品に関する全て
の食品安全リスクがプログラム参加者の最小負担とする方法で適切に取組まれることを保
証した。実施要領の試行テストは 2007 年に完了した。
技術的吟味
カナダ食品検査庁(CFIA)は、連邦・領土・地方チームを代表して技術的検討過程を
管理している。実施要領と一般的 HACCP モデルは、厳格な検討過程のための連邦政府と
地方政府の代表者に提出された。検討が完了した後、CFIA は連邦政府と地方政府に代わっ
てプログラムの技術的健全性を認定する書面を提供した。この書面を受け取る利点は、以下
を含む。
● 業界主導の活動の政府による承認
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業界のプログラムが利用可能な最善の科学に基づいていることの信頼性と保証の追
加
● カナダ政府の手順が技術的吟味を受けた業界開発プログラムの信頼性を裏書する外
国の受入れ。
プログラムの技術的に吟味された状態を維持するために、CanadaGAP はプログラムの
更新をカナダの政府によって定期的吟味を受けることが求められている。
継続的なプログラムの維持管理
継続的なプログラムの維持管理についての情報は、ここをクリック(here)。
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認証機関
Certification Bodies
現在、次の認証機関が CanadaGAP ™ の監査および認証サービスの提供を許可されて
いる。
● Bureau de normalisation du Québec (BNQ)
● NSF-GFTC
● SAI Global
● SGS Canada Inc.
第三者認証機関は、CanadaGAP についての監査および認証サービスを提供することを
CanadaGAP プログラムによって認可されている。
CanadaGAP 認証機関は、監査員の分布、手数料、地域/言語サービスなどが異なってい
る。CanadaGAP プログラムに申し込む前に認証機関を決める際、次の質問を検討する。
● 監査の手数料はどれくらいか?
● 私の地域に監査員がいるか?
● 監査員の旅費はどれくらいかかるのか?
認証機関は、
● プログラムの技術的な要件に対し事業者の適合性を査定する訓練を受けた専門
家の責任を持ち、
● 公平かつ客観的(CanadaGAP プログラムと顧客から第三者として)で、
● 認証機関の適合性査定と認証活動に関連する国際認定機関フォーラム(IAF:
International Accreditation Forum)の加盟者によって国際的に認定されてい
る。
認証機関は次のことに責任がある。
● 監査員の採用と訓練
● 監査の予定を立て、監査員を指定する
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監査員を派遣する
監査員を監督し、活動を監視して校正する
監査結果と是正活動要求を吟味する
認証の決定
監査請求書の取扱い
監査員および入会者のデータベース維持
認証された事業者の検索可能なオンライン登録を公開して維持する。
CanadaGAP のサービスを提供する許可を得ることに関心がある認証機関は、要件につ
いてのさらなる情報のためメールか電話で連絡してください。申請様式はここから入手でき
る(here)。
CanadaGAP ™ は食品の安全性と品質を確保・向上させるための Scheme Scheme (規
格体系)保有者であり、生産者・加工業者などがその規格を遵守しているかどうかを見定め
るのは認証機関の役割である。すなわち、規格体系保有者は、認証機関の適格性を見定めて
認定する機関である。逆にいえば、詐欺集団が国際的に承認されない規格体系を作成しても、
認証機関から相手にされなければ何の意味もない。
国際認定機関フォーラム(IAF: International Accreditation Forum)の日本からの加
盟者は、Japan Accreditation Board (JAB)と International Accreditation Japan (IAJapan)
の 2 者のみであり、CanadaGAP ™ は進出していない。
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