インターネットと英語 第5回 インターネット時代の英語学習法(その2

インターネットと英語
第5回 インターネット時代の英語学習法(その2)
柳沢康司
はじめに
前回は、英語の電子会議室に参加したり、英文電子メールをやりとりするときに役立つ
考え方として、少数精鋭の英語を身につけることの大切さについてお話ししました。今回
はインターネットに必要な英語を身につけていくための方法について、前回とは少し角度
を変えてお話ししようと思います。
“active vocabu1ary ”と“passive vocabulary”を分けて考える
インターネットばかりでなく、一般に英語を学習するときには、自分で意見を発表した
り、情報を発信するために使う英語の語彙(これを能動的語彙(active vocabu1ary)と呼ぶこ
とにします)と、英語を読んだり聞いたりするときに意味を把握するための語彙(これを受動
的語彙(passive vocabu1ary)と呼ぶことにします)の 2 種類の知識を分けて考えることが
大切となります。電子会議や電子メールなどで自分の意見を述べ、情報を交換していくた
めには、1,000 語から 2,000 語程度の少数の語彙の使い方をよく知っていて十分に使いこな
せることが肝要であることは前回述べたとおりですが、これは英語の能動的語彙にあたり
ます。ところが、実際にインターネット上の英語のホームページを読みこなしていくため
には、能動的語彙だけでは足りず、それを含むもっとひろい知識が必要となります。この
部分が受動的語彙にあたります。受動的語彙は能動的語彙と異なり、一語一語の使い方を
深く知っているといったことは必要ありません。読んだり聞いたりした時に意味が把握で
きる程度の浅い知識でよいのです。能動的語彙と受動的語彙の関係を図で示すと下のよう
になります。
能動的語彙(1,000 語∼2,000 語)。少なくても使い方を
よく知っている小数精鋭の語彙。狭くて深い知識。
受動的語彙。意味が把握できる程度の広く
て浅い知識。
能動的語彙と受動的語彙を分けて考えないと、大変な苦労を背負い込むこととなります。
自分の知っている単語全部について、一つひとつ、その使い方を良く知ることは至難の業
です。使い方をよく知るということは、その単語のもつ複数の意味だけでなく、様々な用
法や他の単語との結びつき、文法的なきまりごとなど、多くのことを知ることです。これ
を知っている単語すべてに広げようとすることがいかに困難なことかは容易に想像がつく
でしょう。
インターネットで受動的語彙を増やす
さて、インターネットのホームページの英語情報を読むための受動的語彙を増やすのに
はどんな方法があるのでしょう。一番良いのは、自分の興味のある英文のホームページを
見つけてそれを読むことです。内容を知りたいという欲求さえあれば、自然と読み進める
ものです。この時注意したいのは、知らない単語が出てきてもいちいち辞書を引かないで、
‘情報を得ることが一番大切’という気持ちで読んでいくことです。知らない単語にぶつ
かる度に辞書を引いていたのでは、すぐに読むのがいやになってしまうでしょう。そして、
読み進むうちに、どうしても意味を知らないと理解に大きな困難を感じる単語、つまり‘キ
ーワード’にぶつかります。ここではじめて辞書を引きます。こうして読んでいくと、自
然に受動的語彙を増やしていくことができます。
もう一つおすすめしたい受動的語彙の増やし方は、各種報道メディアと結びついたホー
ムページを利用することです。毎日耳に飛び込んでくるニュースをホームページで読むこ
とは受動的語彙を増やすのにとても有効です。筆者自身が重宝して利用しているもののい
くつかを下に紹介しておきましょう。
・ CNN International
http://www.cnn.com/
テレビで放送されている CNN のニュースを文字で読むことができるホームページで
す。とてもこったつくりのホームページで、文字だけでなく、ニュースを映像と音で
視聴することもできます。
・ VOA ホームぺージ
http://www..voa.gov/
筆者が愛聴している VOA(Voice of America)のホームページです。VOA はアメリカ
政府が世界に向けて発信しているラジオの英語放送で、筆者は自宅の有線放送で聴い
ています。VOA のホームページではニュース原稿が読めるほか、放送されたニュース
を聴くこともできます。
・ Popup 英和ニュース
http://www.asahi.com/english/popup/enindex.html
朝日新聞社のホームページの中にある「Popup 英和ニュース」は、英語の新聞記事を
オンラインの辞書つきで読めるとても便利なサービスです。辞書機能は研究者の英和
辞典に基づいており、高校生の基本単語以上を対象にしているとのことで丸単語をク
リックするだけで、発音記号を含む単語の意味が表示されます。英文記事は、Asahi
Evening News をはじめ、The New York Times などの英字新聞から抜粋してあります。
筆者が好きな英英辞典の定義が表示されないのは残念ですが、無料でこれだけの教材
があるのに利用しない手はありません。
おわりに
上記に紹介したほかにも受動的語彙を増やすのに役に立つホームページがインターネッ
ト上には数多くあると思われます。読者のみなさんが自分にピッタリ合ったホームページ
を発見されることを願っています。
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