公益財団法人 大阪社会運動協会 2016 年度事業計画書 2016 年3月29 日(火) 第 80 回理事会にて議決 公益財団法人大阪社会運動協会 2016 年度事業計画 当協会は、公益事業を行う法人としての責務を果たすため、引き続き大阪の労働福祉と自主 自由な市民活動の利益に供する資料提供・情報発信・啓発活動を行っていきます。 また、2015 年 12 月に大阪府法務課による立ち入り検査があり、2016 年 2 月 19 日付で公益認 定委員会より業務について「留意すべき事項」の通知(別紙1)がありましたので、それを踏 まえて事業計画を策定しました。 下記、当法人の3事業【公益事業】【その他の事業】【法人管理事業】それぞれについて事業 計画を述べます。 【公益事業】大阪産業労働資料館の運営並びに歴史書編纂、産業労働情報の発信、啓発事業を行う ことによって、企業経営と労働者福祉の向上に寄与する事業 Ⅰ.継続事業 下記(1)~(11)は前年度までの事業を継続する。 (1)資料収集整理・公開 次代に引き継ぐべき社会労働関係資料の収集に引き続き取り組み、関係団体や個人からの 寄贈を呼びかける。 ①労働労務関係の専門雑誌の最新号および関連図書を購入し、企業の人事担当者や労働組合、 一般勤労者、研究者・学生の利用に供する。 ②「れいこちゃん記念文庫」(小児癌で亡くなった井上玲子ちゃんと家族の闘病を支えた NPO の資料を収集・情報発信する)の継続・拡充など、社会運動・市民運動・ボランティア活動 に関する情報の収集・発信を行う。 ③Web サイトを通じた資料公開を行う。 ・大阪毎日新聞記事索引 ・大阪朝日新聞の記事索引公開に向けた準備 ・戦前期大阪の社会労働運動関係一次資料の pdf ・労働史オーラスヒストリー・プロジェクト ・オーラルヒストリー音源データベース ・労働組合旗のデータベース ④ライブラリーは無料で開放し、誰もが利用しやすい環境整備に努める。また、図書館事業 推進のため、図書管理ソフトの拡充、アーカイブズ資料の目録化を進める。 (2)エル・ライブラリーを勉強会に貸切提供 2013 年 5 月から始めた「大人のためのラーニング・コモンズ」。“Learning Commons”は「学 びのための公共空間」という意味。欧米の大学図書館で始まり、現在日本の私立大学を中心に 導入が増えている。社会人のために、平日夜間、エル・ライブラリーを勉強会やプレゼン練習 用に貸切提供するシステム。 (3)セミナー等のイベント事業 労働法、労働経済、労働運動史、NPO 活動など、エル・ライブラリー設立の趣旨に合致するテ ーマの企画を引き続き積極的に行う。 例: セミナー、映画上映会、展示会、講座など 2 (4)2017 年 5 月開催予定の「炭鉱の記憶と関西:三池炭鉱閉山 20 年展」展示会準備 本展示会の趣旨と内容詳細は別冊資料 1 を参照。 概要は以下の通り。 開催日時 2017 年5月(エル・おおさか)、6月~7月(関西大学博物館) 共催:関西・炭鉱と記憶の会、エル・ライブラリー、関西大学博物館 協力:法政大学大原社会問題研究所、大牟田市立図書館、九州大学附属図書館記録資料 館、大牟田市立石炭産業科学館ほか 予算規模:245 万円。うち、150 万円を 2 年かけて募金する。 (5)大学・研究機関等との連携企画 ①労働史分野のオーラルヒストリーのアーカイブ構築科研費プロジェクト(法政大学) (201114 年度)、科研費の補助期間が過ぎたが、引き続きプロジェクトは同志会とも連携して続け ていく。 ②戦後社会運動資料としての幻灯の再発見・再評価とアーカイブス間連携による資料保管・ 公開体制の構築(早稲田大学)(2012-13 年度)。2014 年度以降も引き続き研究継続。 ③関西大学経済政治研究所「大阪の社会労働運動と政治経済」班(2013~2016 年度)。谷合 が委嘱研究員に。エル・ライブラリーの資料を活用した研究を進める。 ④国際経済労働研究所との提携。同所からの「全国大学図書館所蔵資料の複写や図書館間貸 出依頼」に応じる。と同時に、広く一般の利用者からのリクエストにも応じる体制を整え る。 (6)広報、情報発信 これまでに引き続き、Web を通じた情報発信を続ける。新着雑誌の目次を採録してブログに掲 載を続けており、その他、イベント案内や労働情報の発信に役立てている。サポート会員向け にはメールマガジンを月に 3 回発信している。情報発信を通じてサポート会員拡大にもつなげ る。 インターネットツールは下記のものを活用。 ①Web サイト(ホームページ)http://shaunkyo.jp/ ②ブログ雑誌目次や図書、イベントなど最新情報掲載。http://d.hatena.ne.jp/l-library/ ③レアもの資料紹介専用ブログ http://d.hatena.ne.jp/shaunkyo/ ④Twitter(ツイッター) ID は@Llibraryosaka ⑤Facebook(フェイスブック) (7)図書館関係団体等との連携 下記団体に役員団体または個人として参画し、図書館界全体の発展向上のために尽くし、 セミナー等に参加して研鑽に努める。 ・公益社団法人国際経済労働研究所(正会員)※2016 年度より ・専門図書館協議会(機関会員) ・社会労働関係資料センター連絡協議会(機関会員。幹事、事務局長) ・全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(個人会員) ・近畿産業考古学会(個人会員) ・日本アーカイブズ学会(個人会員) 3 ・日本図書館協会(個人会員) ・アート・ドキュメンテーション学会(個人会員) ・「saveMLAK」(博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の復興支援)(ボランティア参加。 会計担当) このほか、各種の図書館関係団体や労組、NPO などと連携して、エル・ライブラリー設立の趣 旨に合致するさまざまな企画を行う。 (8)『大阪社会労働運動史』編纂事業 2022 年度発行予定の『大阪社会労働運動史』第 10 巻編纂に向け、引き続き資料収集を続け る。特に、散逸すると二度と入手できない内部文書などの「アーカイブズ資料」の収集に力 を入れる。 (9)市民ボランティアの協力 図書館司書、社運協退職役員(伍賀偕子氏)などによるボランティア協力をあおぐ。 (10)図書館収益のための講演・執筆 学術雑誌などへの論文執筆や機関紙編集者クラブ「編集サービス」紙の依頼原稿、大学な どへの出講による収入を図書館運営費とする。 (11)エル・ライブラリー運営委員会の開催 ライブラリーの運営に関する実務的な諮問機関として、 「エル・ライブラリー運営委員会」 を設置している。次年度の事業計画策定に先立ち、有識者や行政担当者からのアドバイス・ 提案・協力を得るために開催する。 委員は下記の通り(2016 年 3 月現在)。 ・大阪市立大学名誉教授 玉井金五 ・大阪大学教授 澤井 実 ・大阪府立大学教授 伊田久美子 ・大阪府商工労働部雇用推進室労政課長 北尾保巳 ・大阪市市民局ダイバーシティ推進室雇用・勤労施策課長 辻 延清 ・堺市産業振興局商工労働部雇用推進課長 尾西正雄 ・連合大阪副事務局長 佐伯昭子 ・大阪 NPO センター副会長 山田裕子 ・一般社団法人大阪労働者福祉協議会事務局長 三田真也 ・大阪の社会労働運動を伝承する同志会代表幹事 山中昭彦 Ⅱ.新規事業など 上記以外にも、随時エル・ライブラリー設立の趣旨に合致した公益事業、収益事業を行う。 あらたに、もしくは、これまで以上に力点を置いて以下の事業を行う。 (1)書庫を増やす 「労働安全衛生研修所」の退去後に、同事務室を書庫として借りる。年間 40 万円の家賃 負担と 40 万円の共益費・光熱費の増加が見込まれる。 (2)労働史・労働運動史の出前授業 労働組合や学校などに向けての出前授業を行う。 4 1セット 90 分~120 分、2 万円(交通費別)。金額については応相談。 公的機関を通じた広報協力を要請し、労組への広報を進める。 (3)就労支援事業 ①就労準備支援事業の提案・申し入れを大阪府・大阪市・堺市に 当法人が公益財団法人へと移行する際に、公益事業として「就労支援事業を行う」旨 を明記したが、その後、本事業については立ち消えとなっているため、改めて、「就労 困難者が就労準備のために、まずは図書館でのボランティア作業を行うこと」を提起 する。これまでは個別に私的なネットワークを経由したボランティア申し入れはあっ たが、公的機関との連携を図る。 ②就労支援セミナーへの講師派遣 これまで、大阪府(ドーンセンター)および枚方市でおこなった「母子家庭の母のた めの職業訓練」や「女性の再就職のためのセミナー」への講師派遣の実績を踏まえ、 今後も府内自治体との連携を深めていく。 (4)『大阪社会労働運動史』第 10 巻編纂に向けた準備 2022 年度に発刊予定の同書については、具体的な準備(研究会の立ち上げなど)はも う少し先のこととなるが、それを見据えた研究や講座の開催を随時行う。監修者・執 筆者の選定を 2017 年度末までに行う。また、同書編纂の過程は WEB で公開し、SNS を多用して「パブリックコメント」を募集しながら進めたい。 さらに、既刊本の簡易版を作成して、上記出前講座などで活用する。 (5)「エル・ライブラリー機関リポジトリ」構想の着手 機関リポジトリは、現在、国立情報学研究所で進められている「大学とその構成員が創 造したデジタル資料の管理や発信を行うために、大学がそのコミュニティの構成員に提供 する一連のサービス」のこと。https://www.nii.ac.jp/irp/ つまり、エル・ライブラリーの WEB サイト上に論文や研究ノートなどの文章を公開し、 それを国立情報学研究所が運営する「CiNii Books」で検索可能なようにする。エル・ライ ブラリーのサイト上に論文などを掲載するだけではなかなか全国の研究者の目にとまりに くいが、「CiNii Books」で論文の書誌情報(タイトルや著者名など)がヒットすれば、リンク をたどってエル・ライブラリーのサイトに飛び、直接コンテンツ全文を閲覧可能となる。 大学だけではなく、民間の研究機関もこのシステムに参加することが可能であるが、その ためには一定の条件が必要で、当法人が研究機関として認定されることが必須となる。 将来的には全国大学機関と結んでこの偉業に参画したいが、2016 年度、まずは当館 WEB サイト上に「機関リポジトリ」を設置することから始める。 (6)人事 黒川伊織さん(神戸大学研究員、文学博士)をエル・ライブラリーの特別研究員に任命す る。無報酬とし、任期は特に定めない。講演や勉強会の講師を依頼するときは都度、謝金 を払うことができる。特別研究員はエル・ライブラリーの資料を活用した研究を行い、成 果を公表する。 【その他の事業】大阪社会運動顕彰塔の持管理並び顕彰追悼式の挙行 (1)顕彰塔将来像検討委員会の答申について 2015 年 5 月に設置した「顕彰塔将来像検討委員会」より、答申が提出された。これに基 づき、顕彰塔の改修のために積み立てていた「特定費用準備資金」を解いて、新たに「資産取 5 得資金」を積み立てる。2019 年度から 2020 年度にかけて解体と新たな顕彰碑の建立を行う。 顕彰塔資産取得資金 明細 対象となる資産の名称 大阪社会運動顕彰碑 当該資金の目的 大阪社会運動顕彰塔を解体し、新顕彰碑 を設置する。 (現在の特定費用準備資金を解き、毎年 10万円積み立てる。残りは労働団体ら の寄付を、 「特定寄附金」として集める。) 計画期間(事業年度) 平成年度 28~平成 32 年度 資産取得等予定時期 平成32年4月~10月の間 資産の取得等に必要な額の算定方法 顕彰塔解体、新顕彰碑設置費用総額 18,933,366 円 (内訳) 顕彰塔解体費用 11,721,186 円 新顕彰碑製作費 5,400,000 円 新顕彰碑運搬・設置費用 972,000 円 会議費 8,300 円×3×5 年=124,500 円 調査費(旅費など) 25,680 円 弁護士・税理士相談料 50,000 円 デザイン料 540,000 円 雑費 100,000 円 (5 年間) 1.控除対象財産における資産取得資金の計算 (当年度以後5年間の計 画) 年度 27 当年度 28 次年度 29 利益の繰入割合 50% 50%超 積立額 取崩額 資産取得資金の額 (累計) 積立限度額 13,636,000 13,636,000 18,933,366 100,000 13,736,000 18,933,366 次々年度 100,000 13,836,000 18,933,366 30 3年度 100,000 13,936,000 18,933,366 31 4年度 4,897,366 9,466,683 9,366,683 9,466,683 32 5年度 100,000 9,466,683 0 0 50% (2)「新顕彰碑建立実行委員会」の設置について 上記答申に基づき、「新顕彰碑建立実行委員会」を理事会の下に設置する。委員の任命は 2016 年 5 月の第 81 回理事会で決定する。 6 (3)顕彰追悼式の挙行 第 46 回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式を 2016 年 10 月 15 日(土)に開催する。「顕彰 費 20,000 円」は据え置き、継承する。会場および式典の持ち方については、昨年初めて屋 内開催したその方法を継続する。 (4)顕彰塔の維持管理 4 月末並びに 10 月 15 日の前に清掃活動をボランティア作業で行う。顕彰管理のための基 金を集め、寄付を募る。 (5)『顕彰者事跡録』三訂版編纂事業 2011 年に改訂版を上梓した本書の三訂版編纂のため、データを収集・蓄積する。関連資料に ついてはエル・ライブラリーに集積し、ライブラリー資料として一般の閲覧に供する。 7 2016 年 2 月 29 日 公益財団法人大阪社会運動協会 理事長 山崎 弦一殿 顕彰塔将来像検討委員会 (公印省略) 大阪社会運動顕彰塔の将来像について(答申) 2015 年 5 月 8 日の第 78 回理事会決議によって公益財団法人大阪社会運動協会理事長から諮 問のありました「顕彰塔の将来像について」、当検討委員会は、下記の通り答申いたします。 1. 大阪社会運動顕彰塔(以下、 「顕彰塔」)の意義と歴史を踏まえ、大阪の社会運動の歴史を継 承発展させるという目的を果たすために、今後も顕彰碑を引き続き設置し、式典を継続される ことを求める。 2. 1970 年に建立された顕彰塔はコンクリートの耐用年数である 50 年をまもなく迎えるとい う現状を前提として、改修予定であった顕彰塔を解体・建て直すよう事業内容を変更し、2020 年 10 月までに新たな「顕彰碑」を建立するべく直ちに事業計画を策定されたい。 3. 新たな顕彰碑の建立時期は連合運動30年の節目にもあたることから、大阪産業の発展と 健全な労使関係の確立、社会運動・市民活動の活性化をめざすことを改めて顕彰事業の目的と して位置づけ、労働福祉事業団体、労働組合等と連携を図り歴史に学ぶさまざまなイベントを 企画するとともに、それに伴う財源確保に向けても、関係団体との協議を図られたい。 以上 8 【法人管理事業】 1.大阪府・大阪市・堺市への要請 大阪府・大阪市への予算要請は、引き続き大阪労福協と連携して行う。また、堺市に対しても関係 方面の協力を得て、新たな要請に取り組む。 2.理事会の開催 定時理事会は以下の開催を予定。 <開催時期と主な議案> 2016 年 5 月 : 定時理事会(2015 年度事業報告・決算報告の承認) 2016 年 6 月 : 臨時理事会(電子開催)(理事長と常務理事の選任) 2016 年 10 月: 臨時理事会(電子開催)(新理事選任のための評議員会を招集する) 2017 年 3 月 : 定時理事会(2017 年度事業計画・予算書の承認) 3.評議員会の開催 定時評議員会は以下の開催を予定。 ※理事の出席は必要ありません。 <開催時期と主な議案> 2016 年 5 月 : 2015 年度事業報告・決算報告の承認 2016 年度事業計画・予算書の承認 評議員の改選 理事の選任 2016 年 10 月:臨時評議員会(新理事の選任) 4.情報公開について 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律および同施行規則、並びに定款 48 条に 基づき、下記の情報を Web サイトおよび法人事務所内において一般の閲覧に供する。 ・定款 ・予算書 ・事業計画 ・決算書 ・事業報告 ・貸借対照表 ・特定費用準備資金(労働運動史編纂積立金) ・資産取得資金(新顕彰碑建立積立金) ・役員名簿 ・役員報酬規程 ・寄付金等取扱規程 9 特定寄付金の募集について 「寄付金等取扱規程」第2条、第4条、第5条、第7条に則り、2017年に開催する「炭鉱の記 憶と関西:三池炭鉱閉山20年展」の開催費用として「特定寄付金」の募集を開始する。募集期 間、内容、募集総額、資金使途及びその他の事項は下記の通りである。 募集期間:2015年4月1日~2017年7月31日 募集総額:150万円 募集目的:「炭鉱の記憶と関西:三池炭鉱閉山20年展」展示開催費用および併催事業、プレ イベント 予算の内訳: ※関西大学博物館での開催費用を含まない 会場費 20万円 ショーケースなどレンタル 20万円 広報費 20万円 図録印刷費 75万円 輸送費 20万円 資料購入費 5万円 パネル作成など文具 2万円 展示品製作費 50万円 謝礼 20万円 調査・研究費 10万円 ボランティア交通費 合 3万円 計 245万円 募集の方法:当法人の銀行口座への送金および現金による支払。またはインターネット献金 (クラウドファンディング)。 その他:募集総額が目標を上回った場合、または収支の残金が出た場合は、当該金額を公益 事業に繰り入れることとする。 関西大学経済・政治研究所の協賛を得たので、図録印刷費のうち75万円は同研究所 より支出される。 会計処理規程の策定について 当協会の会計処理については、公益法人会計基準(平成20年4月11日内閣府公益認定等 委員会)に準拠する。具体的な規程については 2016 年度中に策定することとする。 10
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