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無回転ボールがぶれる理由 Re = =

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無回転ボールがぶれる理由
3班
1.はじめに
私は,小学校 1 年から高校 3 年までの間サッカーを
していた.今でも定期的に友人とやることもある.ま
た,今年の 6 月の初めから 7 月の半ばまでブラジルで
サッカーのワールドカップがあり,日本代表も出場し
ていた.日本代表の結果は残念であったが,ニュースな
どで度々選手の打つ無回転シュートが取り上げられて
いた.私は,そのシュートがぶれるのでゴールキーパー
が取りにくいという事実は知っていたが,なぜ無回転
で放たれたボールがぶれるのかという理論は知らなか
った.そこで今回の機械工学創造演習でその無回転ボ
ールがぶれる理由を調べようと考えた.また、無回転
ボールは野球ではナックル,バレーボールではフロー
ターサーブなどと各スポーツでも知られているが,今
回はサッカーの無回転シュートに着目したいと思う.
2.ボール軌道の要因
まず,一般的な回転があるカーブボールのような場
合,そのボールの軌道が予測できる理由について述べ
る.ボールの周囲には気流が生じていてボールの回転
により,その気流が影響を受ける.ボールの回転により
気流が集まる部分とそうでない部分がボールの周囲に
生じ,そのことで圧力差ができる.そのため物体は圧力
が高いところから低いところに移動していくというマ
グヌス効果(マグナス効果ともいう)によってボール
の軌道が予測できるわけである.
一方,無回転ボールの場合,回転が生じないので今述
べたマグヌス効果が適用されないので,それによる軌
道予測はできないのである.また、ボール周囲の気流
がボールに沿わず剥がれていく剥離という現象が起き
る.剥離が起きる要因は,レイノルズ数 Re が関係して
いる.レイノルズ数とは,
Re =


=


(1)
の式(1)で表される無次元量である.ここで、U は流速
m/s , L は物体長さ m , は粘度 Pa・s , は動粘度 m2 /s
である.また、今回のサッカーボールの公認サイズであ
る 0.22 m と空気の動粘度1.5 × 10−5 m2/s を式(1)の L
とνに代入する.すると,式(1)は
Re ≒14667U
(2)
と,流速によりレイノルズ数が定まる. 実際のプロサ
ッカー選手が打つ無回転シュートの速度がだいたい
100 km/h であるので,これを式(2)に代入すると,レイ
ノルズ数 Re は
1)
櫻井滉佑
Re=14667×28
=410676
となる.レイノルズ数が約 3~4×105のとき物体付近
の流れが層流から乱流に遷移する.このときのレイノ
ルズ数を臨界レイノルズ数といい,無回転シュートの
ときはこの臨界レイノルズ数であるため,ボール周り
の気流が乱流であるため,正確な軌道が予測しにくい
のではないかと考えた.
また,もう一つ考えられることとしてボールの抵抗と
レイノルズ数の関係がある.その関係を表したのが図
1 である.横軸にレイノルズ数,縦軸に抗力をとった対
数グラフである.
図1.レイノルズ数とボールの抗力の関係 2)
このグラフをみてわかるように右下の部分で急激に
抗力が下がっている.この範囲のレイノルズ数はちょ
うど臨界レイノルズ数に相当している.ゆえに無回転
シュートが放たれている速さのときと一致している.
このことが,なぜボールがぶれる理由と関係している
と考えたかというと,先に述べた剥離位置とこのボー
ルの抗力が関係しているのではないかと考えたからで
ある.臨界レイノルズ数の範囲に達するまで抗力はほ
ぼ一定である.このことにより,ボール周りの気流が剥
離する位置はほぼ同じと言っていいだろう.しかし,急
激に抗力が下がると気流の力が勝り,抗力の低下とと
もに剥離位置も徐々に後方へと変化していくのではな
いかと考えた.極微小時間で剥離位置が変化していく
ため,剥離してから少し経った気流と剥離たばかりの
気流が違う位置で重なり合うのでボール軌道の予測は
ほぼ不可能と言えるのではないかと考えた.
私は,最初に無回転ボールがぶれる理由を物体周り
の気流が剥離してそれが物体後方で渦になるカルマン
渦列によるものではないかと考えていたが,カルマン
渦が発生する条件はレイノルズ数が 40~300 の時であ
り,今回の検証でレイノルズ数がその範囲に該当して
いないことから,カルマン渦列による影響はないもの
と考えた.よって,上記の 2 つの要因で無回転ボール
がぶれると私は考えた.
3.実験方法と結果
2で述べた 2 つの要因を確かめるために,まず
solid works でボールとボール周囲の疑似空間となる
四角柱を作成した.ボールのサイズは実際の公認サイ
ズである 0.22 m であり,疑似空間は十分大きくする
ために 1 m×1 m×3 m のサイズで作成した.次に,
作成したものを ANSYS というソフトウェアに取り込
み数値解析をするためのメッシュを切った.そして,
そのデータを FLUENT という数値解析のソフトに読
み込ませたのだが,そこで問題が起きて結果的に最後
までシミュレーションの結果を得ることができなかっ
た.
図2.球体と四角柱(疑似空間)のメッシュ
なぜシミュレーションがうまくいかなかったのかを
考察したいと思う.1 つ目は solid works で作成した
球体がうまく ANSYS 上で球と認識していなく単なる
円となっていた可能性が考えられる.複数回にわたり
球体を作り直し,ソフトに読み込ませたが必ず円の状
態で画面上には現れていた.そこで,solid works で
は疑似空間の四角柱だけを作成し,ANSYS 上で球体
を作り直した.しかし,それでも結果は変わらなかっ
た.次に,メッシュを切る際に正しくブロックを分け
られていなかったことや,メッシュ自体が正しく切れ
ていなかったことが考えられる.他にも,境界条件が
正しく指定できていなかったことや,数値解析をする
ときの初期設定でミスがあったのではないかと考えら
れる. 何か細かいミスでもあるとシミュレーション
はうまくできず,よくインターネットやテレビで見る
シミュレーションは相当な技術が駆使されていると感
じた.
4.公式球の形状変化
実際,無回転ボールは野球ではナックルボールと知
られているようについ最近になって新たに発見された
わけではない.では,なぜ最近よく無回転ボールが注
目されるようになってきたのかということについて私
は考えてみた.それは,各選手の技術が向上したとい
うのはもちろん影響していると思うが,試合で使用さ
れているボールの形状も 1 つ要因ではないだろうか.
従来のよく知られる五角形と六角形から成る黒と白
のサッカーボールは全部で 32 枚ものパネルを組み合
わせて作られている.またそれぞれのパネルを縫い合
わせることで球体にしてあり,ボール表面は滑らかで
はなく凹凸が目立つものである.しかし,今年の 6 月
頃から開催されたブラジルワールドカップでは、従来
のボールは使われておらず,球体を構成するパネルも
わずか数枚と一桁なのである.しかも,各パネルのつ
なぎ方は縫い合わせるのではなく貼り付けである.こ
のことで,最近使用されているボールは表面が従来よ
りも滑らかになりその分ボールの抵抗も弱まっている
と考えられる.よって,2 の後半部で述べた剥離位置
の変化が起きやすいのではないかと考えられる.その
ため,無回転ボールで軌道が乱れるということが以前
より頻繁に起こるようになり,メディアもそれにとも
ない度々注目するようになったのだろう.
図3.ボール形状比較(模式図)
5.まとめ
無回転ボールがぶれる理由は,ボール後方にできる
気流が乱流であること,ボール周りの気流の剥離位置
が極微小時間で変化し続けていることがあげられる.
乱流になる条件は,レイノルズ数が関係していて,流
れが層流から乱流に遷移する臨界レイノルズ数の値の
範囲に該当するボールスピード(75~100 km/h)で
あることである.また,最近のボールの形状の改良に
よりボール自体の抵抗が従来のものより低くなってい
ることも要因の1つであると考えられる.
6.参考文献
1) オリンピックに勝つ物理学:
「摩擦」と「抵抗」に
勝機を見出せ! 望月修 講談社p104 2012 年
2) 流体力学 シンプルにすれば「流れ」がわかる 築
地徹浩,青木克己,他 実教出版p197 2009 年
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