キノコ栽培における新技術の開発

キノコ栽培における新技術の開発
-水耕栽培に向けて-
資源利用部
主任研究員
菅原
冬樹
オガ粉を用いた人工栽培の問題
キノコの主な栽培方法には、原木栽培と菌床栽培があります。 しかし、市販されているキ
ノコのほとんどは、オガ粉を原料とした菌床栽培によって工場内でつくられています。
最近、自然食ブーム、健康食ブームに乗って、キノコの消費量、生産量は増加しており、そ
の栽培のために、毎日大量のオガ粉が使われています。しかし、このオガ粉に関して次の問
題が生じています。
① 不足する心配
オガ粉の消費量が増加する一方、供給量
の不足が心配されています。 このままのペ
ースで、オガ粉を消費すれば、現在の供給
体制では対応できなくなる恐れがあります。
② 産業廃棄物の悩み
キノコの人工栽培に使われたオガ粉は、毎
日大量に捨てなければならず、廃棄場所に困
っています。
ガラスビーズ栽培によるキノコ栽培
キノコの「ガラスビーズ栽培」
センターでは、オガ粉の代わりにガラスビーズを用いて、木材を一切使わないキノコの人工
栽培に成功しました。この方法を使えば、主に次のような利点が生まれてきます。
① 菌床栽培の問題を完全に解消
使用するガラスビーズは、簡単に洗え、何度でも完全にリサイクルできます。その再利用
により、前述したオガ粉を用いた菌床栽培の問題を完全に解消できます。
② キノコのわがままにふりまわされない栽培
キノコは、オガ粉の種類に好き嫌いが激しいです。例えば、シイタケは広葉樹のオガ粉に
は育ちますが、マツやスギのオガ粉には育ちません。また、キノコはオガ粉の粒子の大きさ、
木質成分(リグニンやセルロースなど)の構造の違いに敏感に反応します。しかし、オガ粉を
用いない「ガラスビーズ栽培」には、これらの悩みは一切ありません。
秋田県学術国際部
農林水産技術センタ ー
森林技術センター
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