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第6章
1
基本計画
園路計画
(1)歩行者園路
計画地の地形は、根ヶ布と黒沢を分ける南北の尾根と東側に張り出す複数の尾根
で構成されている。そのため、谷津部から尾根部へ上がる現況歩道や尾根沿いの現
況歩道を活用して、歩行者園路を設定する。
現況歩道は複数のルートがあり、方向の分かりにくい分岐点や急傾斜の部分、危
険な部分などがあるため、散策コースに設定するルートを整理する必要がある。ま
た、現況歩道は東西のルートは多いが、南北のルートが少ないため、拠点施設エリ
ア(Cゾーン)とEゾーンなど、南北のゾーンをつなぐための新たな動線を確保す
る。
一般利用者は、既設のハイキングコース、鉄道駅あるいはバス停から計画地に来
訪することが多いと考えられるので、拠点施設エリアを中心としたA∼Cコースや
鉄道駅からの散策コースを設定する。さらに、北側の大日沢を周遊できるDコース
や計画地内の尾根を大きく縦断するEコースを設定する。
以下にモデルコースの見所とおおむねの所要時間を示す。
【散策コース】
A コース(北谷津周遊)
北谷津
--------15 分
オニギリ岩
所要時間
---------
65 分・45 分
展望広場 1
-------------
10 分
展望広場 2
35 分
--------5分
---------------------------------------20 分
オニギリ岩
展望広場 1 からの眺め
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北谷津
北谷津の池
北谷津
B コース(南谷津・指田氏別荘跡周遊)
----------
北谷津
南谷津
10 分
----------
----------
所要時間
指田氏別荘跡
20 分
---------10 分
65 分
展望広場 3
----------
南谷津
15 分
北谷津
北谷津から南谷津方面
南谷津の竹林
指田氏別荘跡の灯籠
C コース(北ノ入周遊)
北ノ入
----------
展望広場 4
20 分
所要時間
45 分・50 分
--------------------------
北ノ入
25 分
------------------------
北谷津
30 分
北ノ入の湿地
展望広場 4
29
10 分
Dコース(大日沢周遊)
所要時間
70分
Aコース
北谷津
---------
---------
オニギリ岩
15 分
大日沢
-------------
20 分
展望広場 5
20分
---------
北谷津
15 分
大日沢
Eコース(尾根沿縦断)
Bコース
南東部
--------5分
所要時間
Cコース
指田氏別荘跡
---------
80分
Aコース
展望広場1
45分
--------10分
西側の尾根から西側を望む
30
Dコース
オニギリ岩
--------20分
北部
【計画地アクセス(鉄道)】
①東青梅駅∼社寺経由
所要時間
60 分
霞丘陵ハイキングコース
東青梅駅
----------
吹上しょうぶ公園
----------
15 分
天寧寺
20 分
②東青梅駅∼成木街道経由
所要時間
---------15 分
虎柏神社
----------
北谷津入口
10 分
20 分
成木街道
東青梅駅
----------
北谷津入口
20 分
③青梅駅∼青梅鉄道公園経由
青梅丘陵ハイキングコース
青梅駅
----------
青梅鉄道公園
15 分
所要時間
20 分
永山公園
----------
北ノ入入口
5分
(2)管理用道路
計画地の管理や利用に必要な資材の搬入、切り出した木材や収穫した里山の幸の
運搬などに使用するために車両動線を確保する。計画地内は部分的に急しゅんな地
形があるが、現在の自然環境を維持できる動線を確保する必要がある。そこで谷津
部の比較的平たんな部分の現況歩道を活用し、ゾーン間の移動は計画地外の道路を
活用するものとする。管理用道路の幅員は管理用の軽トラックが通れる程度とし、
すれ違いのできる待避所を適宜設置する。また、必要に応じて、最低限の管理者用
駐車場(2∼3 台程度)を設置するとともに、身障者用の駐車場を設置する。
拠点施設エリアについては、管理や運営のために多数の関係者が集まることを想
定した台数の駐車場を設置する。なお、周辺の道路は住宅地や農地が隣接している
ため、通行には周辺住民の理解と協力が必要である。
計画地全体を管理するには、管理車両用の道路が必要であるが、急斜面地という
悪条件や整備による自然環境の改変が動植物に与える影響が大きい。そこで、当初
の整備は最低限の管理用道路である整備路線にとどめ、将来整備検討路線は必要に
応じて整備するものとする。
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図 6 -1 歩 行 者 園 路 計 画 図
32
32
図 6 -2 管 理 用 道 路 計 画 図
33
33
2 導入施設
前記のゾーニングを基に、想定される主な導入施設を以下にまとめる。
表6-1 主な導入施設
導入施設
整 備 概 要
備
考
現況歩道の一部を散策路として整備する。また、標
散策路
準的なルートを散策コースに設定する。必要に応じ
て、階段や手すり、転落防止柵を設置する。
拠点施設や主要施設までは車両通行を考慮した幅
管理用道路
員および舗装とする。また、必要に応じて入り口か
ら主要施設までは、バリアフリー園路として利用
車道幅員:2∼3m
し、その他は散策路と兼用する。
観察用園路
休憩施設
案内板等
自然観察等に適する園路とし、必要に応じて身障者
身障者を考慮する場合の形態は、
を考慮した園路形態とする。
東京都の条例を準拠 (注1)
主要施設や散策コース沿いにベンチを設置する。必
要に応じ、四阿などを設置する。
総合案内板、ゾーン等を解説した説明板、道標、注
意板等を主要施設や散策コース周辺に設置する。
利用者に対するサービス機能や維持管理機能を備
管理事務所
えた施設とし、倉庫を併設する。必要に応じて体験
学習施設、研修・会議が行える多目的室を設置する。
トイレ
説明板:各施設や主な動植物の生
息場所付近に設置
例:事務室(50㎡程度)
体験学習施設、多目的室
(各80∼100㎡)
例:男子(大-1、小-2)
規模とする。
女子(大-2)
、身障者(大-1)
また、各管理用道路の入り口付近に3台程度の駐車
場を設置する。
炭焼き小屋、窯
総合案内板:拠点施設に設置
管理事務所に併設または周辺に設置する。最小限の
拠点施設周辺には20台程度の駐車場を設置する。
駐車場
四阿:3×3m∼5×5m
炭焼き窯に屋根をかけた程度の整備水準とし、100
㎡程度の規模とする。
駐車場の必要面積:
1台当たり5×2.5∼3.5m
必要に応じて設置
木工・土器作り
木材や竹を加工して生活の道具や工芸品を作成す
工房
る場や土器作りの場となる工房を設置する。
ため池、井戸
水田の復元や湿地環境の維持のために整備する。
必要に応じて設置
展望広場
展望広場や展望台を最小限の規模で整備する。
必要に応じて設置
門・柵
維持管理や盗掘防止のために、木杭に鉄線を張った
程度の柵を設置する。
34
必要に応じて設置
必要に応じて設置
(注 1)東京都福祉のまちづくり条例による基準
園路幅員は有効幅員1.2m以上、縦断こう配4%以下、延長が50mを超える場
合は1.5m水平部を設置。斜路は有効幅員1.2m以上、縦断こう配5%以下、
高さ75cm ごとに1.5m以上の水平部を設置。両側に立上り部と手すりを設置。
※補助対象施設について
都市緑地法第31条第2項では、
「基本計画又は管理協定に定められた緑地の保
全に関連して必要とされる施設の整備は補助の対象となる。」と記載されている。
東京都では、補助対象施設を都市公園法に準ずるとしている。以下に都市公園法
等の補助金に関する条文を抜粋する。
①都市公園法第29条(補助金)
国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、地方公共団体に対
し都市公園の新設又は改築に要する費用の一部を補助することができる。
②都市公園法施行令第31条(都市公園に関する費用の補助額)
法第29条の規定による国の地方公共団体に対する補助金の額は、都市公園の
新設又は改築に要する費用のうち、次に掲げる公園施設の新設、増設又は改築
に要する費用にあっては当該費用の額に二分の一を乗じて得た額とし、都市公
園の用地の取得に要する費用にあっては当該費用の額に三分の一を乗じて得た
額とする。
また、以下に補助対象施設(遊戯施設、運動施設を除く)を示す。
園路広場:園路、広場
修景施設:植栽、芝生、花壇、いけがき、日陰だな、噴水、水流、池、滝、つ
き山、彫像、灯籠、石組、飛石、その他これらに類するもの
休養施設:休憩所、ベンチ、野外卓、キャンプ場、その他これらに類するもの
教養施設:自然生態園、野鳥観察所、動植物の保護繁殖施設、野外劇場、野外
音楽堂、体験学習施設、その他これらに類するもの
便益施設:駐車場、園内移動用施設、便所、時計台、水飲場、手洗場、その他
これらに類するもの
管理施設:門、さく、管理事務所、苗畑、照明施設、ごみ処理場(廃棄物再生
利用施設を含む)、水道、井戸、暗渠、水門、雨水貯留施設、水質浄
化施設、護岸、擁壁、発電施設(環境への負荷の低減に資するもの)、
その他これらに類するもの
その他の施設:展望台、備蓄倉庫
35
3
施設計画
(1)園路・広場
ゾーニングや園路計画で示したとおり、東側の谷津部の平場を中心に広場を設置
し、現況歩道を活用した散策コースや管理用道路を各ゾーンや施設をつなぐように
配置する。こう配の急な歩道には、適宜、階段やロープ柵などを設置して、快適な
歩行空間を提供する。また、管理用道路を樹林地内に整備する場合は、自然環境に
十分に配慮して、四万十式林道などを参考に、自然に優しい工法を検討する。
図6-3 急こう配の園路のイメージ
図6-4 管理用道路のイメージ
また、拠点施設である北谷津には、様々な自然観察や里山管理に関する施設を設
置するため、駐車場から各施設や観察用園路などに至る園路は東京都の福祉のまち
づくり条例にもとづいたバリアフリー園路とする。
尾根部の散策路には適宜、展望広場や休憩施設を設置する。
図6-5 観察用園路のイメージ
図 6-6 展望広場のイメージ
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(2)休養施設
拠点施設周辺や主要な広場など多くの人が利用する場所には、休息や語らいのた
めの休憩所やベンチ等を設置する。材料は現地で発生する間伐材や施設整備に伴う
伐採材料等を活用することを検討する。また、校外学習や総合学習などの際に利用
できるように、必要に応じて野外卓を設置する。
図6-7 ベンチのイメージ
図6-8 スツールのイメージ
図6-9 野外卓のイメージ
図6-10 休憩施設のイメージ
(3)教養施設
自然観察や里山の生活を学習するために必要な自然生態園や野鳥観察所、体験学
習施設を必要に応じて設置する。体験学習施設などの建築物は、整備費の節減や維
持管理の軽減を考慮して、管理事務所など他の建築物との併設を考慮する。
(4)便益施設
維持管理活動に携わる市民やボランティアが利用するため、管理用駐車場は拠点
施設周辺に20台程度、各管理用道路の入り口部付近に各3台程度を確保し、一部
は身障者対応の駐車場とする。また、トイレは管理事務所に併設するものとする。
なお、必要に応じて手洗い場や水飲み場などを設置する。
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(5)管理施設
拠点施設エリアを本計画地の正面玄関とし、管理事務所を設置するほか、必要に
応じて炭焼き小屋などを設置する。管理事務所にはトイレや倉庫を併設するため、
必要な給排水・電気設備を整備する。また、必要に応じて、門、柵、護岸、擁壁等
を設置する。
なお、北谷津の入り口部には、計画地全体の配置や施設内容を示す総合案内板を
設置し、各散策コースの分岐点等に道標を設置するものとする。また、貴重な動植
物の生息地や生育地付近には解説板を、立入りを制限する場所や危険な箇所には注
意板等を設置する。
図6-11 管理事務所のイメージ
図6-12 炭焼き小屋のイメージ
図6-13 案内板のイメージ
図6-14 道標のイメージ
(6)修景施設
広場や施設周辺の植栽は現況植生に合わせた樹種を植栽する。植生の復元や林相
転換する場合は、多摩地域産など生産地を特定した樹木を植栽する。なお、管理に
伴う補植や林相転換は管理計画を検討し、必要に応じて実施する。
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図 6 -15 拠 点 施 設 エ リ ア 平 面 図 ( 北 谷 津 )
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39
図 6 -16 基 本 計 画 図
40
40
永山北部丘陵保全計画検討委員会
専
委員名簿
亀山
章
東京農工大学大学院農学府 教授
濱野
國勝
東京農工大学大学院農学府 教授
矢島
稔
門
的
知
識
を
群馬県立ぐんま昆虫の森
園長
久保田 繁男
西多摩自然フォーラム
中嶋
捷恵
野生動物観察家
者
花野
耕一
東京都立青梅総合高等学校校長
各
高山
登
築地
弘光
田中
功
勝沼2丁目自治会長
高野橋 正夫
黒沢3丁目自治会長
高橋
正蔵
多摩団地自治会長
澤田
弘
岩田
三治
有
す
代表
る
NPO 法人青梅林業研究グループ理事長
種
団
体
の
代
社団法人青梅青年会議所理事長
表
者
公
募
委
員
大柳町在住
富岡1丁目在住
事務局:青梅市都市開発部公園緑地課
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