Title 金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険リ スク

金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険リ
スクの関係
Title
Author(s)
Citation
九州大学経済学会経済学研究 (1999), 66(4): 353-370
Issue Date
URL
吉澤, 卓哉
1999-12
http://hdl.handle.net/10252/5147
Rights
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Barrel - Otaru University of Commerce Academic Collections
険やファイナイト保険における
保険料と保険リスクの関保
哉
津
二台
仁3
して剰余金を見かけの上で増加させることが一
)。
時期盛んに行われた 3
1.はじめに
けれども,その後の保険監督当局の規制や会
金融(再)保険 (
f
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n
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n
c
i
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linsurance or f
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n
c
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l
計処理基準の策定を踏まえて高品改定がなされ
remsurance. 以下,金融保険も併せて「金融再
た結果,現在欧米で活用されている金融再保険
保険 jと呼ぶ)やファイナイト保険(五n
i
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ル
やファイナイト保険は,保険としては特に奇異
suranceorf
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)1)については,
なものではない。そのことを,保険リスクと保
何か妙な保険だという印象がどうも強いように
険料算定の経済的観点から示すのが本稿の主題
恩われる。金融再保験のそもそもの生い立ちが
である。保険料算定の経済的観点から分析を行
不幸だったのかもしれない。
うのは,金融再保険やファイナイト保険の最大
たとえば,初期の金融再保険形態の一つであ
る口ール・アップ再保険 (
r
o
l
1ers, rollovers or
の問題点はその保険料の性格であると考えられ
てきたからであるべ
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)2)の保験料は,英国の内顕歳入
ところで,日本では金融再保険やファイナイ
庁 OnlandRevenue) によっても経費控捺が否
ト保険の開発・利用が遅れているが,その最大
認されるに至っている。
の理由は,この種の保険の行政上,企業会計上,
また,米国では剰余金 (su叩 l
u
s
) を重視す
税務上の取り扱いが不明である点にある(ただ
る保険監督の下で,生命保険会社が剰余金救済
し,財務再保険を除く。後述 5参照)。そこで,
を用い
本稿ではこうした取り扱いが比較的明確な米国
型再保険
(SUrj
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)
て,再保険会社への実質的なリスク移転を全く,
の取り扱いにも触れることにする。
または,ほとんど伴わずに,将来利益を犠牲に
なお,現在利用されている金融再保険とブア
形態のことである。
1)金融持保険やブアイナイト保険については,
(
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7
7
3
91
3) [古瀬 1
9
9
6
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l
3
l
l
4頁参照。
また,生命保険会社の剰余金救済型湾保険を規制
するこューヨークチIiの規則である NewY
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四
頁以下, (Bunner 1
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9
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-,(討斉 1
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①,②), (トーア 1
9
9
9
]3
84
5
貰などを参照。
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0
2(
19
8
5
)を参照。
同
4
) 特に,過去の金融再保険については,保険なのか
d
e
p
o
s
i
t
)なのかが論議されてきた。なお,注 2
貯蓄 (
2) ロール・アップ再保険とは,保険成績の良い年度
参
照
。
の保険料を将来の保険料として蓄積しておく再保険
353 -
経 済 学 研 究 第 6
6 巻 第 4号
イナイト保険とを厳密に I
R別することは困難で
f同種の危険に曝された多数の経済主体を一つ
ある。両者の共通の特徴は,多数年の保険契約
の団体と見ると,そこには大数の法則が成り立
で,保険者が引き受ける 1
)スクが限定的 (
f
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e
)
つことを応用して,それに属する各経済主体が
である代わりに,保険契約当事者間(すなわち,
それぞれの危険率に相応した出揖をなすことに
保険会社と保験契約者)で保険利益を分配する
より共同的備蓄を形成し,現実に需要が発生し
仕組みになっていることにある。
た経済主体がそこから支払いを受ける方法で需
要を充足する制度 j などと定義され 8
) 多数の
2
. 保験リスクと保険料算定
リスクの集積・分散の経済的仕組みが保険の要
件と解されている 9)。
(
1) 保険リスク
米国においては,保険分野は連邦法ではなく
保険とは,経済制度の面から捉えると,保険
て州法による規制が原則とされているが 10) そ
契約者から保険者へと有償でリスクを移転し
の州法における保険監督によると,危険の移転
(
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立i
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),保険契約者間でこのリスクに
がないと保険会計(法定会計。 S
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よる損失を分散させる (
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)経済的
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) では「再保険としての取扱
な仕組みである。そして,再保険とは,こうし
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) が認められない。
て保険者が引き受けた保険リスク(i
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具体的には,全米保険庁長官会議 (
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)を再保険者へとさらに移転する仕組み(責
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)
任保険 5
))であるが,元受保険と同様に,出再
が1
9
9
0年に採択した「再保険としての取扱いに
者(=元受保険者)間でこのリスクによる損失
関するモデル法 J(
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を分散させる経済的な仕組みであるとも言え
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) に基づいて,州保険法に同様の規
よう。
定が設けられていることが多い 11)。また,連邦
日本の法律には「保険 J の 定 義 は な く へ そ
勝
ntemalRevenue
税に関しては,内閣歳入法典 O
のためか「保険 j の本質論が争われた判例も見
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e
) には保険の定義規定が存在しないが,
当たらないようである 7
)。学説では,たとえば,
連邦最高裁判所は生命保険契約に関する訴訟に
5) 東京控訴暁昭和 1
4年 6月 1
7l
:
l
半J
I決法律新開 4
447号
様の保険の定義として,たとえば, (白杉 1
9
4
9
]1
41
5
頁
, (印南 1956]ppl,401-406,[大森 1985]2
3頁
,
1頁(鈴木辰紀), [姉崎 1
9
8
4
]4
8頁
[鈴木 1992) 2
(姉崎義史)を参照。また, [山下 1
9
9
6
] を参照。
9) [東京海上 1
9
97
)1
3頁(山下友信)参照。
“
3頁
。
6) 商 法 で は 保 険 j の 定 義 規 定 は な く 損 害 保 険 J
(問法 6
2
9条)と「生命保険 J (同法 6
7
3条)が別々に
規定されているのみである。
保険業法においては. I
日法 (
1
9
9
6年 4月改正前の
もの)には, r
保険 J r
保険事業 J r
生命保険 J r
損害
9
6年
保険 J の定義規定はなかった。また,新法(19
4月施行)にも「保険」や「保険業 j の積極的な定
義 は な く 生 命 保 険 業 J (同法 3条 4項)と「損害
保 険 業 J (同法 3条 5項)を商法に倣って別々に規
定したうえで,それらをまとめて f
保険業 J と呼ん
でいるにすぎない(同法 2条 1項
)
。
生命保険 J にあたるかど
7)商法の「損害保険 J や f
うか判断した事例はある。大審院明治 3
8年 4月 8討
決定民録 1
1輯 4
7
5頁参照。
8) これは{江顕 1
9
9
6
]3
3
9頁の定義でめる。他に同
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11)たとえば,イリノイ州保険法(IlIi
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5 明5
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1年発効)など, 3
0州以上がモデ
ル法に基づいた州法を定めている。なお,カリフォ
ルニア州 (
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年発効)はモデル法とそれとは異なるものとの混合
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内容であり,ニューヨーク州 (
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9
8
4年発効)は独特のものである。
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各州の規定内容については, N
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eや (
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- に-覧表がある。
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p1
354 -
)スクの関係
と保険 1
ファイナイト保険における
おいて,生命保険契約の中核をなすのはリスク
の影響を受けることを指す。{出
の
の移転 (
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) とリスク分散 (
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方,タイミング・リスクとは,保 i
投棄任の履行
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) であると述べている
。さらに,米
期に関する保険者のリスクであり,事前に収受
の学説は,保険の一般論として,リスク移転
した保険料の運用期間の長短が影響を受けるこ
1
2
)
とリスク分散が保険の本質または基本的な特徴
だとしている 13)。
とを指す。
たとえば,米屈の企業会計 (GAAP: Generally
ところで,保験者が引き受ける保険リスクは,
Accepted Accounting P
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s
) では,企業
保険引受リスク (underwritingr
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) とタイミ
会計の指針を作成する財務会計基準審議会
ング・リスク (timing risk or payment timing
(FASBI5)) が,財務会計基準審 (FASI6)) 1
1
3
r
i
s
k
) に分かれる 14)。
号 17)で再保険に関する出再者の会計基準を示し
保険引受リスクとは
保険責任(通常は,保
ている。すなわち,再保険とは,
r
保険リスク
険金の支払)の震の多寡に関する保験者のリス
に関する損失や責任の補償 J (
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クであり,保険事故の発生の有無や支払保険金
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の多寡次第によって,保険者が果たすべき保険
であり
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ただし,この判決文言に硬直的に従うべきではな
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1
9
21
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他方,単一 の経済主体が長期間の時間軸上の損失
を分散させる自家保険制度 (
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) も保険
に包含したうえで,必ずしもりスク移転は保険の要
件ではないとする説もある。 R
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.,[Mehr 1
9
8
6
]p
p
3
7
3
8, [Mehre
tぷ 1
9
8
5
]p
p
3
23
3
.なお,本稿が取り
上げている金融再保険やファイナイト保換は多数年
契約であるので,時間軸上に損失をある程度分散さ
せていると言える。
1
4
) 保険会社の健全性維持のための支払能力の指襟
(ソルベンシー・マージン基準。保険業法 1
3
0条)に
)スク j と
関連して,保険業法施行規則でも「保険 1
7条 1号
, 1
6
2
いう用語が用いられているが(同規則 8
条 1号),それは「実際の保険事故の発生率等が通
常の予測を超えることにより発生し得る危険をい
うj とされており,タイミング・リスクが含まれて
いないようである。つまり, ー般保険リスクの保険
料算出基準リスク相当額を算出する際に用いられる
「リスク係数 J にはタイミング・ 1
)スクが織り込ま
れていないと思われる。
なぜなら,損害保険会社のソルベンシー・マージ
ン基準算出において, 1
)スク係数に乗じるのは「正
味既経過保険料 j とされており,米経過保険料が顧
a
司
申
- 355
1
8
)
保険リスクには
r
支払総額に関す
されていない。未経過分の保険引受リスクには未
経過保険料という資任準備金が後ろ腐となるもの
の,もともと現在の g本の損害保験商品では保険会
社はほとんどタイミング・リスクを抱えていないた
め(保険料が保険金支払までの予定資産運用収益で
割引算定されていない),米経過分についてタイミ
ング・リスクを勘案する必要性が事実上乏しいため
であろう。
損害保険会社のソルベンシー・マージン基準にお
ける保険リスクについては損害保険会社の業務
運常について J(平成 8年 4月 1B蔵銀 5
2
5号)の「第
4. 経理関係 J の f4. ソルベンシー・マージン基
準 J, お よ び 損 害 保 険 会 社 の 健 全 性 維 持 の た め の
基準の報告様式及び記載要領等について J (平成 8
年 4月 1民事務連絡。平成 9年 8月 1f:I部改正,
平成 1
0年 2月 2
7日一部改正)のIl2 (l)を参照(両
0年 6月 8B廃
者ともに金融監督庁発足時の平成 1
止)。現在の規定としては保検業法施行規則第 8
6
条等の規定に基づく保険会社の資本,基金,準備金
等及び通常の予測を超える危険に相当する綴の計算
方法等 J (平成 8年 2月 2
9日大蔵省告示 5
0号。改正
平成 1
0年 6ヨ
) 8B大蔵省告示 237号,改正平成 1
0年
6月 2
9l::1金融監督庁・大蔵省告示 l号,改正平成 1
0
年1
1月 2
4日金融監督庁・大蔵省告示 1
3号,改正平成
I
I年 1月 13B金融監督庁・大蔵省告示 l号)の 2条
1項 l号および別表第 3を参照。
1
5
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.
7
) FAS No
.
l1
3f
短期契約および長期契約の再保険
1
の会計処理と報告 J(
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) 1
9
9
2年 1
2月 1
5l::1より有効。
1
8
) FASNo.
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an.
l7
,p
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.
6
.
‘
0
第 6
6巻 第 4号
経 済 学 研 究
る不確実性と支払時期に関する不確実性 J (
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e
である保険料にいかに反映されているかを基準
u
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o both t
h
e u
l
t
i
m
a
t
e
に保険を分類すると,以下のようになる。
第 1の類型は,保険引受リスクのみに基づい
amounto
fpaymentsandthetimingo
fthosep
a
y
ments) が含まれ,それ以外のリスクは保険リ
て保険料が算出される保険種目である。たとえ
スクの構成要素ではないとしている 19)。
ば,損害保険の一般的な商品や生命保険の団体
そ し て , こ の FAS 1
1
3号の制定を受けて,
定期保険がこれにあたる。こうした保険種類で
全米保険庁長官会議では保険会計処理方法を規
は,保険引受リスクに基づいて保険料が算定さ
定するマニュアルを 1
9
9
4年に改訂し,再保険と
れている。
は保険リスクの移転であり,そして保険リスク
そして,保険期間は単年度が諒期となってお
の移転とは,再保険者が最終的にいくら支払う
り,収受した保険料の資産運用収益は保険料に
かについての不確実性と,再保険金をいつ支払
織り込まれていない 2
3
)。すなわち,タイミング・
うかについての不確実性であると規定してい
リスクは保険料には反映していない。もちろん,
る20)。
保険者は収受した保険料の資産運用を行ってお
なお,英国のイングランド・ウエールズ勅許
り,タイミング・リスクを保険者は独自に抱え
会計士協会(ICAEW: I
n
s
t
i
t
u
t
eo
fCharteredAc-
ているが,その予想収益が保険料に反映してい
c
o
u
n
t
a
n
t
si
n England and Wales) が作成した
ないだけである。
FRAG (
F
i
n
a
n
c
i
a
l ReportingAccounting Group)
なお,日本の損害保険ではキャッシュ・フ
35/9421)では,再保険としては保険引受リスク
ロー・アンダーライティング (cashflow under-
やタイミング・リスクの移転を要するが,必ず
w
r
i
t
i
n
g
)24)は行われておらず(コンバインド・
しも両者を共に必要とするものではないとして
レシオ (combinedr
a
t
i
oo
rcombinedl
o
s
sandex
いる 22)。
pense r
a
t
i
o
)25)は 100%を下回っている 26)),実
時
質的にも保険料の資産運用収益が保険料に反映
(
2
) 保険リスクと保験料算定
していない。逆に,米国では,損害保険のコン
次に,こうした保険リスクが,リスクの対価
パインド・レシオは 100%を超えており 27)保
1
9
) FASN
o
.1
l3
,s
u
p
r
an.
l7
,p
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r
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.
5
7
2
0
) (NAIC 1
9
9
4
]C
h
a
p
t
e
r2
2
.
21)また,貿易産業省 (
D
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p
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r
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m
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fT
r
a
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ea
n
dI
n
d
u
s
t
r
y
) の1
9
9
2年 1
2月のマーケット・レターを参照。
2
2
) この考え方は保険監督当局,会計監査人,税務当
うした考え方は採られていない。たとえば, [小暮
1
9
9
8
]1
0
1
9頁参照。
2
4
) キャッシュ・フロー・アンダーライティングと
は,収受した保険料の保険金支払時点までの予想運
用収益も勘案したうえで,保験料率の設定を行う保
険引受のことである。
2
5
) 支払保険金と事業費の合計額を,保険料で除した
割合のこと。
2
6
) l::I本の損答保険会社のこの 1
0年間のコンパイン
ド・レシオは, 84.5%(
19
8
8年
度), 85.6%(
19
8
9年
度
)
, 89.3%(
19
9
0年
度
)
, 98.9%(
19
9
1年
度
)
, 9
6
.1
%
(
1
9
9
2年
度
)
, 95.2%(
19
9
3年
度
)
, 91
.8%(
19
9
4年度),
89.7%(
19
9
5年
度
)
, 91
.8%(
19
9
6年
度
)
, 9
2
.8%(
19
9
7
年度)である([インシュアランス 1
9
8
9
)~ (インシュ
アランス 1
9
9
8
) による)。なお, 1
9
9
1年度が著しく
9号による多大な保検金支払の影響
高いのは,台風 1
である。
なお, l::I本の生命保険会社の貯蓄部分を除いた保
局に受け入れられている。
ECI
n
s
u
r
a
n
c
eA
c
c
o
u
n
t
s
なお, EC保験会計指令 (
2月2
3l::1より有効)では,会計処
D
i
r
e
c
t
i
v
e
.1
9
9
4年 1
t
r
u
ea
n
df
a
i
r
)であること
理内容が「真実で公正 J (
を求めており,実質を重視している。この E C指令
ompany A
c
t1
9
8
5 (
I
n
s
u
r
a
n
c巴 A
c
は,英国では C
c
o
u
n
t
s
)R
e
g
s1
9
9
3に取り入れられている。
2
3
) ただ厳密に言うと,団体定期保険では,保険期間
調始日から保険事故発生白までの期間における保険
料の資産運用収益が織り込まれて,保険料が割引設
定されているベ伊藤 1
9
8
5
)8
78
8頁
, [佐藤 1
9
8
9
]
6
1
3
頁参照。
他方, l
:
I本の損害保険料率の算'定においては,こ
円
円︿U
ρhu
rU
金融再保険やブアイナイト保険における保険料と保険 1
)スクの関係
険料の資産運用収益が保険料に反映される後述
保険種目である。たとえば,生命保険の定期保
の 第 3の 類 型 に 実 質 的 に は 該 当 す る も の と 言 え
険(単年度契約でないもので,貯蓄保険料部分
よう。
が保険料積立金として積み立てられるもの)や
第 2の 類 型 は , タ イ ミ ン グ ・ リ ス ク の み に 基
終身年金保険がこれにあたる。こうした保険種
づいて保険料が算出される保険種目である。た
類では,保険事故の発生(定期保険では保険期
とえば,生命保険の一時払終身保険や一時払普
間内の死亡。終身年金保険では生存期間の継続)
通養老保険がこれにあたるお)。こうした保険種
が不確実であり,保険引受リスクが帯在する。
類では,将来における保険事故(ないしは,保
また,保険料(あるいは,保験料積立金)の予
険金支払事由)の発生が確定しており(終身保
想運用収益で保険料が割り引かれているので,
険では死亡,養老保険では死亡または保険期間
タイミング・リスクも存在する。
の満了), 保 険 引 受 リ ス ク は 存 在 し な い 。 そ の
以上のように,保険引受リスクとタイミン
代わり,保険事故がいつ発生するかというタイ
)ス ク を 保 険 料 算
グ・リスクという二つの保険 1
ミング・リスクのみが存在し,保険事故発生ま
定にどのように反映させるかについては,
での保険料予想運用奴益で保険料が割り引かれ
の 類 型 が あ る こ と に な る ( 表 Iを参照)。
ている 29)。
3つ
ところで,損害保険のー殻的な商品は第 1の
第 3の 類 型 は , 保 険 引 受 リ ス ク と タ イ ミ ン
類 型 に 該 当 す る が , 第 2や 第 3の 類 型 に 該 当 す
グ・リスクの両方が保険料算定に反映している
る損害保険商品は見当たらない 3
0
)。 そ れ は , 損
表 1 保検リスクの保険料への反映
保険リスクの保険料への反映
第 1の類型
第 3の類型
)スク
保験引受 1
タイミング・リスク
O
×
×
O
O
O
i
保険種類の例
損害保険
ゐ般的な商品
生命保険
団体定期保険
鳥時払終身保険、
-時払普通養老保険
定期保険、終身年金保険
障部分だけのコンパインド・レシオは明らかではな
a
c
c
i
d
e
n
ta
n
d
い。米国では,生命保険でも健康保険 (
h
e
a
l
t
h
)の分野においては損害率の指標が用いられて
いる。たとえば,ベスト社の分析によると, 1993年
から 1997年の 5年間にかけて,健康保険金体のコン
パインド・レシオは 100.8%,102.5%,105.8%,
1
0
5
.
1%
, 106.7%と
, 100%を超えている。 Re
,
.
f[
B
e
s
t
2
8
) 終身保険や普通養老保険でも保険料分割払方式の
場合には,保険料払込期間中は貯蓄保険料の蓄積に
よる保険料積立金が十分には形成されておらず,こ
の間においては保険引受リスクが存在すると考えら
れる。
2
9
) 普通養老保険の保験料は,定期保険の保険料と生
存保険の保険料を別々に算出したうえで合算して算
出するが(たとえば, [伊藤 1985] 3034貰
, (柴田
1
9
9
5
)7
88
0貰参照),死亡保険と生存保険の組み合
わせであり,かつ,保険期間および保険金額が問
であるので,保険料… 時払の場合には,全体として
)スクは存在しないと考えてよいと
見れば保険引受 1
忠われる。
3
0
) 強いて言えば,複数年契約を行う場合に適用され
I引率である長期係数に保険料の予想、運用収益が
る
古J
織り込まれていると言えよう(実質的に本文の第 3
L/H 1
9
9
8
]p
1
2
0
.
“
2
7)米国の損害保険のこの 1
0年間のコンパインド・レ
司
シオ(契約者担当後)は 105.5%(
19
8
8
),109.2%
(
19
8
9
),109.7%(
19
9
0
),108.9%(
19
91
)
, 115.7%
(
19
9
2
),106.9%(
19
9
3
),108.4%(
19
9
4
),106.4%
(
19
9
5
),105.8%(
19
9
6
),1
01
.6%(
19
9
7
)である o Re
.
f,
(B巴s
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P
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C
1
9
8
9
]~ [
B
e
s
t
P
/
C
1
9
9
8
)
.な
お, 1992年が
著しく高いのは,ハリケーン・アンドリューによる
多大な保検金支払の影響である。
e
357
γれド
江川
経済
第 6
6 巻 第 4号
害探検商品が基本的には l年を保険期間として
保険費在期間が未経過の保険)に分けることが
いるため,収受した保険料の予想、運用収益が保
できる。そこで,金融再探検やブアイナイト保
険料に反映されてこなかったためである。
険の保険料算定を分析するにあたり,両類型か
ら事例を取り上げることにする。
しかしながら,保険期間を複数年以上にすれ
ば,当然に保険料の予想、運用収益で保険料を割
(
1) 遡及型保険
り引くことも考えられよう。また,たとえ
度の保険期間の保険契約であっても,賠償責任
①
口ス・ポートフォリオ帯保験と会計処理
保験のように保険金支払までに長期間を要する
遡及型の金融再保険やファイナイト保換の典
保険種呂については,その間の保険料の予想、運
型例として,口ス・ポートフォリオ再保険 Ooss
用収益で割り引くことも考えられよう 31)。こう
p
o
r
t
f
o
l
i
ot
r
a
n
s
f
e
r
)を取り上げる。この保険は,
した要請に応えたのが,金融再保験やファイナ
既発生の保検事故に関する保険貢径を移転する
イト保険である。
再保険契約である。
口ス・ポートフォリオ再保険の例としては,
そこで次に,金融再保険やファイナイト保険
たとえば次のようなものが考えられよう 33)。
の例を掲げ,いかに保険料が算定されているか
を実捺に見てみることにする。
A元受保険会社はある保険種目の銃発生事故
に関し,毎年$2
0,
000の保険金支払が 5年間に
3. 金融再保験やファイナイト保験の保険料
わたって予想されるので,総額$1
0
0,000の支
算定
払備金を負賓として計上している。なお,この
支払備金は,保険金支払までの問の予想運用収
金融再保険やファイナイト保険は,遡及型保
益による部引はなされていない 34)。
険32) (
r
e
t
r
o
a
c
t
i
v
ec
o
v
er.保険責任期間が経過
ここで, A元受保険会社社は B再保険会社(受
済みの保険)と将来型保険 (
p
r
o
s
p
e
c
t
i
v
ecove
r
.
の類型にあたると言えるかもしれない)。
損害保険でも第 2の類型にあたる商品を作れない
こともないかもしれない。例として白動車の終
身保険 J を考えてみる。今後,環境保全に対する配
慮、が高層求められるようになるのは必至であるが,
廃車車両の不法投棄問題もあって,廃車車両の引取
義務が自動車メーカーに課せられるかもしれない
し,あるいは,自主的に廃車車両を引き取って処分
する自動車メーカーが現れないとも限らない。その
際に,自動率メーカーが負却することになる廃車処
分費用を担保するように,自動車の終身保険を設計
するのである。
たとえば,自主的に廃車車両を引き取る場合,廃
車時の引取処分サービスが付いた環境に優しい自動
であることをセールスポイントとして,自動車
メーカーは消費者にこうした自動車を販売する。他
方で,自動車メーカーは,出荷時から個々の車両に
自動東の終身保険を付保しておく(車台番号で特定
する)。保険金額としては,廃車処分に要する最小
必要額を定額で予め定めておく(実損範囲内の定額
填補なので,損害保険として開題ないと考えられ
る)。やがて,当該牽両を廃車することになると,
自動車メーカーは自動車を引き取って溌車処分を行
う。保険会社は廃車事実を確認したうえで自動車
メーカーに保険金を支払う。当然,保険期間は廃車
までのオープン・エンドとなり,保険引受リスクの
ない(つまり,保険期間内に必ず保険事故が発生す
)スクのみの保険となる。
るにタイミング・ 1
3
1)米国では,保検料1
I
文受から保険金支払までに長期
o
n
gt
a
i
lb
u
s
i
聞を要するロング・テイル・ビジネス O
n
e
s
s
. 生産物賠償資任保険 (
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sI
i
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b
i
l
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yi
n
s
u
r
二
a
n
c
e
)や専門職業人向け賠償資任保険 (
p
r
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f
e
s
s
i
o
n
a
l
l
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a
b
i
l
i
t
yi
n
s
u
r
a
n
c
e
)など)において,キャッシュ・フ
ロー・アンダーライティングが 1
9
8
0年前後の高金利
時代に盛んに行われた。
また,事故が発生した後に手配・購入する事後保
険 (
r
e
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r
o
a
c
t
i
v
ec
o
v
e
r
) もキャッシュ・フロー・ア
ンダーライティングに通ずるところがある。事後保
9
8
0年 1
1月 2
1日に発生した米国の M
検については, 1
G Mグランド・ホテル火災事故が有名である。{金
光1
9
8
7
) を参照。
3
2
) 正 確 に は f事 後 保 険 Jだ ろ う が 将 来 型 保 険 J
と対比させるべく,以下では「遡及型保険 J と呼ぶ
ことにした。
3
3
) [
B
u
n
n
e
r1
9
9
5
)p
p
l
l
0
-1
l2
の例を基に作成した。
3
4
) 日本でも米国でも,保険会計上はこうした割引計
6
口
qJ
m
l
a
金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険リスクの関係
再会社)と再保険交渉を行い,予想運用収益率
元受保険会社)の貸借対照表においては,負債
を 5 %として割り引いた金額($8
6,590) で
,
項目である支払備金から出再分を控除すること
この支払備金に該当する既経過(保険期間が満
はできず 37) その代わり,やはり負債項目に fロ
了済みであること)の保険契約を B再保険会社
l
o
s
sp
o
r
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f
o
1
i
o
ス・ポートフォリオ再保険J (
に出再することにした。ただし
B再保険会社
t
r
a
n
s
f
e
r
) という項目を立てて,出再契約につ
の総支払限度額を $110,000に設定する(保険
いて従前計上していた支払備金の額(設例では
金支払額の変動の可能性を考慮して,予想支払
$100,
000) をマイナス許上する 38) (これによ
総額のたとえば I割増とした)。まさに,この
り,負債総額としては,出再分の支払備金だけ
再保険契約がロス・ポートフォリオ再保険で
減少することになる)。他方,乗日余金項目につ
ある。
いては,支払備金と再保険料との差額(設例で
A元受保険会社の保険会計処理を単純化して
は $13,
410)を「非指定剰余金 J(unassigned s
u
r
-
説明すると,出再時点で, $8
6,590の出再保険
p
l
u
s
) に計上することはできず,剰余金項目の
料を費用として計上し,他方で$100,000の支
中に「口ス・ポートフォリオ再保険勘定 J Ooss
払備金を減額する(差し引き$13,
4
1
0が出再時
p
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r
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o
1
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ot
r
a
n
s
f
e
ra
c
c
o
u
n
t
) を設けて,そこに
点で A元受保険会社の収益となり,剰余金 (
s
u
r
ω
計上する 39) (これにより,剰余金総額としては
p
1
u
s
) の増加につながる)。
差額分だけ増加することになる)。
B再保験会社は, A元受保険会社と同
再保険者(設例では B再保険会社)の貸借対
様の保険会計制度を採用する国(や州)に設立
照表においては,負債項目である支払備金に受
されているとすると, $8
6,590の受再保険料を
再分を計上することはできず 40) その代わり,
収入として計上する一方で,
$100,
000の支払
やはり負債項目に「口ス・ポートブォリオ再保
備金を計上しなければならない(差し引き
o
r
t
f
o
l
i
ot
r
a
n
s
f
e
r
) という項目を立て
険 J Ooss p
$13,
410だけ B再保険会社の剰余金の減少につ
て,受再契約について出再者が従前計上してい
ながる)35)。
た支払備金の額(設例では$100,000) を加え
他方
ただし,米国では会計処理は次のようになる。
る41) (これにより,負債総額としては,受再分
まず,保険会計ではあ出再者(設例では A
の支払備金だけ増加することになる)。
上は認められていない 0
:
1
:本では税務会計上も割引
計上をしない)。
9
8
6年の税制改正で,米国の税務会計で
ただし, 1
T
a
x
は逆に割引計上をしなければならなくなった (
R
e
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o
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nA
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9
8
6,1
0
0S
t
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.2
0
8
5,2
3
9
9(
19
8
6
)
.IRC
i
:
!8
3
2
. そして, 1
9
9
2年 9月 4E:1には,内居歳入法
典(IRC i
:
!8
4
6
) に基づく規則 (
R
e
g
.1
.8
4
6
) を定
め,具体的に割引計上方法を規定した)。
3
5
) ただし, B再保険会社の設立国において,支払備
金の計上に関し,予想運用収益による割引計上が保
険会計上認められているとすると, B社には特に剰
余金の減少というデメリットはない。
ただ, B再保険会社がしかるべき再保険者である
とA社設立閤(州)の監督当局から認められないと,
A元受保険会社は湾保険としての保険会計処涯がで
きない。討本については保険業法 1
1
6条 3項
, 1
1
7条
2項,同法施行規則 7
1条 4号
, 7
3条 2項参照。米国
については, NAIC,M
odelLawo
nC
r
e
d
i
tf
o
rR
e
i
n
s
u
r
a
n
c
e を参照。
3
6
) これは,ニューヨーク州保険庁規則 (New Y
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eI
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u
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s,R
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g
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i
o
n1
0
8(
19
8
4
)
)で
初めて定められ,間もなく NAICに採用されたこと
から,全米の各州でも同様の規制が設けられている。
3
7
)E
g
.,NewY
o
r
kS
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)
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)
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C
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4
0
)E
g
.,i
4
1
)E
g
.,i
d
.,i
:
!1
1
2
.
6(
a
)
.
359 -
経 済 学 研 究 第 6
6巻 第 4号
そして,出再者の損益計算書においては,こ
ただし,相互会社については,証券法 (Secu-
r
その他
r
i
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i
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s Act o
f1
9
3
3
)や証券取引委員会 (SEC: Se-
の差額分を保険料収入には計上せず,
収入 J (other income) の項目の中に f口ス・
c
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s and Exchange Commission) の規則は
ポートフォリオ再保険利主主 J Ooss p
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o
原則として適用されないため,企業会計を強制
t
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s
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n
) という項目を設けて,そこに
されていない。しかしながら,公認会計士から
計上する 42)。再保険者の損益計算書においては,
適正意見(ないしは,付帯意見なし)の監査証
この差額分を「口ス・ボートフォリオ再保険損
明を得るには,企業会計の適用が求められる 46)。
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oss p
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1
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0
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) という項目
失J (
なお,従来は FAS 113号(保険会社の企業
会計基準である FAS60号 47
)
や FAS97号48)も向
を設けて,そこに許上する 43)。
結局,米国の保険会計では,ロス@ポートフォ
様)は,相互保険会社には企業会計としてすら
リオ再保険による負債減少,剰余金増加,利益
も適用されなかった 49)。その後,米国公認会計
や損失を,ロス・ポートフォ 1
)オ再保険による
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士協会 (AICPA:American I
ものであることを明示したうえで計上する会計
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c Accountants) が見解表明書 (SOP: S
処理方法となっている。
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)9
5
_
150)を1995年に規定した
次に,米国の企業会計では,出再者は FAS
のを機に,財務会計基準審議会が FAS 120号 5])
113号(1992年 1
2丹 1
5Elより発効)44)に従い,再
(
1995年 1月公表。 1995年 12月 15日から開始す
保 険 料 を 再 保 険 受 領 権 (reinsurance recover-
る事業年度より有効)を規定し, FAS 113号
a
b
l
e
s
) として計上し,そして,再保険料と従
(FAS 60号や FAS 97号も同様)は,企業会計
前の支払備金との差額(設例では$13,
410) は
で会計処理を行う場合には相互保険会社にも適
繰延収益 (deferredg
a
i
n
) として,残余クレー
用されることになっている。
ム処理期間 (remaining settlement period) に
以上のとおり,米国では保険会計と企業会計
わたって収益計上する。この繰延利益の計 k方
とで異なる会計処理となっているものの,会計
法は,再保険金回収の額と時期が合理的に予想
処理基準は一応明らかにされている o 地方,日
することができる場合にはその予想植を用いた
本においては会許処理方法(特に,企業会計)
利子法Ci
n
t
e
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s
tmethod) により,そうでない
が明らかではない。
場合には回復法 (recoverymethod) による 45)。
4
2
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1
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2
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4
5
) FASNo.
4
6
) FA SB解 釈 警 4
0号If .般に公正妥当と認められ
処理と報告 J(
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生命保険相互会社の特定の保険業務に
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関する会計処理 J (
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)。
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1
) FASN
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1
2
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生命保険相互会社および特定の配
た会計原則の生命保険相互会社およびその他の企業
への適用~ (
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9
9
3年 4月)参照。
4
7
) FAS N
o
.60 r
保険会社の会計処理と報告」
(
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)。
4
8
) FASNo.97 r
特定の長期保険契約および投資売却
当付き長期契約に関する保験会社の会計処理と報
告J (
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s
)。
により実現した利益・損失に関する保険会社の会計
ρhu
ハ
リ
qJ
金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険リスクの関係
口ス・ポートフォリオ再保険と保険リスク
よりもうまく資産運用を行う予定で口ス・ポー
さて,以上のような口ス・ポートフォリオ再
トブオリオ再保険は仕組まれており,その分,
5年開にわたり,予定どおりの
B社にも収益が残ることになる(ただし,資産
②
保険において,
再 保 険 金 支 払 が 発 生 し ( 毎 年 $2
0,0
0
0の支払),
運用がうまくいかずに年 5%を下回ると B再保
かつ,予定どおりの資産運用(毎年 5%の運用)
険会社に損失が発生するので, B再保験会社は
が行われたとすると,
B再保険会社の保険会計
i
s
k
)を抱えている
資産運用リスク Gnvestmentr
の収支は表 2のようになる o
ことになる)。
資産運用収益の合計鎮は $13,
4
1
0となり,当
次に,予定よりも保険金の支払が膨らみ,そ
初に支払備金を割り引いて再保険料を定めた
の額が 2割増しの
が,その割引額と同額となる。 B再保険会社と
する。 B再保険会社にとって,再保険における
しては結局収支がゼロとなりバランスがとれる
保険引受リスクがまさに顕在化したことにな
が(他方, A元 受 保 険 会 社 は $8
6,5
9
0の将来の
る52)。その場合の B再保険会社の収支は表 3の
資産運用収益を出再時に先取りしている),実
ようになる。
際には B再保験会社は予定運用利回り(年 5%)
$2
4,0
0
0になったと仮定
保険金支払は 2説増となったので, A元受保
表 2 口ス・ポートフォリオ再保険の受再会社の収支(予定どおりの経過を辿った場合)
資産運用収益
支払再保険金
資産の算出式
資産│
支払備金│支払備金の算出式
1
0
0,0
0
0
受再{呆験料
受再時
当初支払備金
8
0,0
0
0
6
0,0
0
0
0
0
2
0,0
0
0
1
0
0,0
一2
0,0
0
0
2
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0
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0
0
5
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2
,
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0
2
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3
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0
0
4
0,0
0
0
6
0,0
0
0
2
0,0
0
0
4年後
1
,
8
5
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2
0
.
0
0
0
4
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5
2
0,0
0
0
1
9,0
2
0,0
0
0
5年後
9
5
2
0
0
2
0,0
4
0,0
0
0
2
0,0
0
0
2
0,0
0
0
2
0,0
0
0
2年後
4
,
3
3
0
3
,
5
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6
3年度
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1
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口
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0
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0
0
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4
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5
2
0,0
0
0I
1
0
0,0
0
0I
表 3 口ス・ポートフォリオ再保険の受再会社の収支(予定よりも再保険金支払が多くなった場合)
資産運用収議
支払再保険金
受丙時│
I年後
4
,
3
3
0
一2
4,0
0
0
2年後
3
,
3
4
6
2
4,0
0
0
3年度
2
,
3
1
3
2
4,0
0
0
4年後
1
,
2
2
9
2
4,0
0
0
5年後
9
0
合計
1
1,3
0
8
資産の算出式
資産
i
支払備金 支払備金の算出式│
受再保険料
8
6,5
9
0I
9
0X1
.0
5
2
4,0
0
0
6,5
6
6,9
2
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2
0X1
.0
5
2
4,0
0
6,9
4
6,2
6
6 6
8
6,0
0
0
6
2,0
0
0
1
1
0,0
0
0
2
4,0
0
0
0
0
2
4,0
0
8
6,0
3
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0
0
6
2,0
0
0
2
4,0
0
0
1
4,0
0
0
3
8,0
0
0
2
4,0
0
0
1
4,0
0
0
1
4,0
0
。
。 。
7
9 4
6,2
6
6X1
.0
5
2
4,0
0
0
2
4,5
7
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.0
5
2
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0
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,
18
0
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1
2
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1
0
2
0
0 1
4,0
当初支払備金
,
18
0
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.0
5
2
4,0
0
0I
。
。
一1
1
0,0
0
0
*保険金の支払が 2割増となることが初年度に判明した場合を想定した。
5
2
) 米国では,保険引受 1
)スクが移転しないような遡
ことになる。内閣歳入庁の公定見解(IRSRevenu巴
R
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l
i
n
g
)8
9
9
6を参照。
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及型支払備金積立契約 (
m
e
n
t
) については,税務 L 保険とは認められない
3
6
1
第 6
6巻 第 4号
経 済 学 研 究
B再 保 険 会 社 は $3,231の損
険会社は被保険者に $120,
000 (=$24,OOox
の顕在化により,
5年)を支払わなければならないが,このロス・
失を被ることになる。
ポートフォリオ再保険には$110,000の総支払
このように,ロス・ポートフォリオ再保険で
限度額が設定されているので, B再保険会社は
は再保険金の支払完了までに長期間を要するこ
再 保 険 金 と し て $110,000を支払えばよい(差
とが前提となっており,保険料の予想運用収益
額 の $10,000は A元受保険会社の負担となる。
で再保険料が部り引かれている。そのため,再
A元受保険会社も支払保険金総額
保険者は,予定利回りで資産運用ができないと
したがって,
000になると判明した時点で, $10,
000
が $120,
いう資産運用リスクを抱えることになるのはも
の支払備金を計上すべきである)。それでも B
ちろん,タイミング・リスクの顕在化によって
再保険会社は $12,102の赤字となる(ただし,
資産運用期間が短縮するがために思い通りの資
資産運用がうまくいっていれば (5%超の運用
産運用ができない,というタイミング・リスク
ができた場合にこの赤字(の一部)を埋める
も抱えることになる。さらには,再保険者は,
ことができるかもしれない)。
保険引受リスクも抱えているのである 53) (ただ
その次に,保険金支払総額 ($100,000) は
し,総支払限度額の設定により,上限を定める
ことができる)。
予定どおりだが,その支払時期が早まった場合
を想定する。 B再保険会社にとって,再保険に
(
2
) 将来型保険
おけるタイミング・リスクのみがまさに顕在化
したことになる。たとえば,
1, 2年 目 に
$30,
000の支払, 3年 目 に $20,
000の支払
①
4,
将来型ファイナイト保険と会計処理
将来型の金融再保険あるいはファイナイト保
5年 目 は $10,000の支払となったとする。この
険の例としては,たとえば次のようなものが考
場合の B再保険会社の収支は表 4のようにな
えられよう 54)。
C事業会社(米国法人)は労災保険を付保し
る。つまり,この例では,タイミング・リスク
表 4 ロス・ポートフ 3すリオ再保験の受再会社の収支(予定よりも再保険金支払が阜くなった場合)
資産運用収益 支払再保験金
受再時
資産の算出式
資産
8
6,
5
9
0
受再保険料
支払備金
1
0
0,
000
。
支払備金の算出式
当初支払備金
1年後
4,
3
3
0
3
0,
000
6
0,
920
8
6,
5
9
0X1
.0
5
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0,
0
0
7
0,
000
1
0
0,
000-30,
000
2年後
3
,
0
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3
0,
000
966
3
3,
920XL0
5
3
0,
000
6
0,
000
4
0,
7
0,
000-30,
000
3年度
,
16
9
8
一2
0,
000
1
5,
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3,
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.0
5
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0,
000
000
2
0,
4
0,
000-20,
000
4年後
7
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1
0,
000
4
4
7
6,
664X1
.0
5
1
0,
00
1
5,
1
0,
000
2
0,
000-10,
000
5年後
3
2
2
1
0,
000
3,
2
3
1
O
1
0,
000-10,
000
計
1
0,1
7
9
-100,
0
0
0
メ
口
L
。
4
4
7X1
.0
5
1
0,
0
0
0
6,
5
3
) 換言すると,ロス・ボートフォリオ再保険は保険
ヲ
!
受1
)スクとタイミング・リスクの両者が移転する
ものであるため,米菌の GAAP会計において出持者
は再保険者は再保険として会計処理ができる(本文
2 (1)参照)のである。なぜなら, FAS 1
1
3号に
- 3
6
2
おいて,短期 (
s
h
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d
u
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i
o
n
) の保険契約を出再する
場合には,保険引受 1
)スクとタイミング・ 1
)スクの両
)スク移転しないと,出
方を出再者から再保険者へと 1
再者は湾保険として会計処理できないと規定されてい
るからである (FASNo.113,s
u
p
r
an
.
1
7,p
a
r
a
.
9
)。
金融再保険やブアイナイト保険における保険料と保険 1
)スクの関係
てきたが,外部のアクチュアリー(保険計理人)
の80%との合計額に予定利子率 5%分を加えて
に自社の労災事故を分析してもらったところ,
いるが,それは次のような理由による。すなわ
次のような結果が出た。すなわち,総額で毎年
ち,こうした保険会社の韻かり資産については
6百万ドル程度の労災支払が発生する可能性は
資産運用収益が生じるが,この収益を保険会社
高いが,それが年間 1
2百万ドルにまで勝らむ可
と保険契約者とで分配するためである(保険契
能性は非常に抵いとのことだ、った。
約者の取り分は 5%の確定運用収益。保険会社
そこで,
c社は D保険会社とファイナイト保
の取り分は 5%超で運用できた場合の,
5%超
険を締結することとした。契約内容は以下のと
部分の運用収益)。ここに,ファイナイト保険
おり o
の特徴が表れている。通常の損害保険では保険
保険期間
5年間
料の運用収益は保険契約者に(少なくとも明示
年間総支払限度額 (
a
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n
u
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la
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t
)
的には)還元されないからである。
1
2百万ドル /1年
なお,当年度保険料にも予定利子率を乗じて
証券総支払眼度額 (
p
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c
ya
g
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i
t
)
保険料
いるのは次の理由による。すなわち,保険料郎
4
0百万ドル / 5年
収の原射により,当年度の年払い保険料は当年
6百万ドル / 1年(年払い契約)
度開始前に保険会社が領収する。他方,保険金
変換選択権 (
c
o
m
m
u
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i
o
no
p
t
i
o
n
) 付き
支払については,保険事故は期央で発生して,
この変換選択権というのは,このファイナイ
治療期間などを経て保険事故の半年後である当
ト保験に設けられる変換勘定 C
c
o
m
m
u
t
a
t
i
o
na
c
年度末に保険金支払にいたるものと仮定する。
c
o
u
n
t
) が保険契約終了時点において正の値で
したがって,保険会社は受領した保険料をちょ
あれば,その額について保険契約者が保険会社
うど 1年間運用できると仮定したためである。
に支払を請求できる選択権を与えるものである
問題はこの変換選択権の会計処理である。ま
(ただし,この選択権を保険契約終了時に行使す
ず,米国の保険会計では,この将来型ブアイナ
ると,それ以降は保険金請求ができなくなる)。
イト保険が全体として保険であるとみなされれ
変換勘定の計算方法は以下のとおりとする。
ば,変換選択権も含めた全体が保険として処理
蜘
されることになる 57)。
変換勘定額=(期首の変換勘定残高十自
度保険料 X
8
0
%
5
5
)
)X1
.0
5
次に,米国の企業会計では,保険料の事後調
-当年度支払保険金 56)
整について,
F
A
S
Bの新規発生問題専門委員会
ここで,期首の変換勘定残高と当年度保険料
(EI
TF58))で 1
9
9
3年 7月に採択されたコンセン
5
4
) [
M
o
n
t
i
&
B
a
r
・
i
l
e
1
9
9
5
]p
p
1
5ト1
5
4を基に作成した。
また, [インタリスク 1
9
9
9
]3
43
6頁を参照した。
5
5
) ここで,保険料に 80%を乗じているのは,その残
0
% を保有係数 (
r
e
t
巴n
t
i
o
nf
a
c
t
o
r
) として
額である 2
f
a
c
t
o
r
)J となる。ロス調整係数を乗じるのは,保険
事故の処理において保険会社には経費(損害査定付
帯費用)が発生するが,そのうち個別の保険事故に
割り当てることが可能な経費を加えるためである
(割当鴎難な経費部分については前住参照)。
5
7
) 5年間の保険料総額は 3
0百万ドルとなるが,証券
総てん補摂度額は 4
0百万ドルと保険料総額を棺当程
度上位i
っている(なお,本文 2 (1)を参照)。ま
た,変換勘定の支払を請求する場合は,将来の保険
金議求ができなくなっており,通常の預金の引出し
とは異なる。
叩
保険会社に憶保するためである。つまり,保険会社
の事務諸費用を 2
0%と仮定している訳で,保険契約
の締結に必要な費用(保険証券発行費用など)や,
損害調査費用のうちの閤定資部分(個別の保険事故
に割り当てることが困難な経費)などが相当する。
5
6
) 本文では保険金と単純に表現しているが,実際に
は支払保険金×ロス調整係数(I
o
s
sc
o
n
v
e
r
s
i
o
n
什ぺU
ρhu
つ凸
第
経 済 学 研 究
6
6巻 第 4号
サ ス で 会 計 処 理 方 法 が 規 定 さ れ て い る ( EITF
1月に EITFI
s
s
u
e
険にも適用すべく, 1993年 1
I
s
s
u
eNo. 93659))。
460)が採用されている。
NO.931
四
梯
対象となるのは,数年間におよぶ再保険で保
以上のとおり,米国では保険会計と企業会計
m
u
1
t
i
険料の事後的調整を義務的に行うもの (
とで異なる会計処理となっているものの,会計
y
e
a
rr
e
t
r
o
s
p
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c
t
i
v
e
l
yr
a
t
e
dr
e
i
n
s
u
r
a
n
c
e
)である。
処理基準は一応明らかにされている o 他方,日
会計処理方法は,将来の追加保険料等の支払債
本においては会計処理方法(特に,企業会計)
務については,出再者は貸借対照表上の負債と
が明らかではない。
して計上し,再保険者はそれを資産として計上
②
同
将来型ファイナイト保検と保険リスク
この保険契約において,予想どおり毎年 6百
する。他方,将来の基金返還請求権(本文の設
D保険会社
例では変換勘定の支払請求権)については,出
万ドルの保険金支払が発生すると,
再者は貸借対照表上の資産として計上し,再保
は 5年間で合計 30百万ドルの保険料収入に対し
険者はそれを負債として計上する。なお,こう
て,同額を保険金として支払うことになる(表
した会計処理は,企業会計上,両当事者間の契
5参照)。そして,変換勘定は負の値となるの
約が保険契約とみなされるか否かとは関係なく
で
,
適用される。なお,この会計処理方法を元受保
場合,通常の保険契約と変わるところがない。
c事業会社へ精算すべきものはない。この
表 5 変動勘定(コミュテーション・アカウント)の収支(予定どおりの保険金支払の場合)
期首 C/A
保険料
保険金
期末 C/A
期末 C/Aの算出式
第 I年度
O
6
,
0
0
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
9
6
0,
0
0
0
(
6,
0
0
0,
0
0
0x
0
.
8
)X1
.0
5
6,
0
0
0,
0
0
0
第 2年度
9
6
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
1,
9
6
8,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0 -
(
9
6
0,
0
0
0
十6
,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
6,
0
0
0,
0
0
0
第 3年度
1,
9
6
8,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
,
0
2
6,
4
0
0 (
…
1
,9
6
8,
0
0
0十6
,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
6,
0
0
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0 一3
第 4年度
3,
0
2
6,
4
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
4,1
3
7,
7
2
0 (
3,
0
2
6,
4
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
6,
0
0
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0 -
第 5年度
4,1
3
7,
7
2
0
,
0
0
0,
0
0
0 5,
3
0
4,
6
0
6 (生 1
3
7,
7
2
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0XO
.8
)X1
.0
5
6,
0
0
0,
0
0
0
,
0
0
0,
0
0
0I 6
6
よ
口〉
、
3
0,
0
0
0,
0
0
0 3
0,
0
0
0,
0
0
0
計
自
5
,
3
0
4,
6
0
6
表 6 変動勘定(コミュテーション圃アカウント)の収支(予定よりも保験金支払が少なかった場合)
期首 C/A
保険料
保険金
期末 C/A
期末 C/Aの算出式
(
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
4,
0
0
0,
0
0
0
第 1年度
O
6
,
0
0
0,
0
0
0
4
,
0
0
0,
0
0
0
1
,
0
4
0,
0
0
0I
第 2年度
,
10
4
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
4
,
0
0
0,
0
0
0
,
1
3
2,
0
0
0 ,
1
(0
4
0,
0
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
4,
0
0
0,
0
0
0
2
第 3年度
2
,1
3
2,
0
0
0
4
,
0
0
0,
0
0
0
,
2
7
8,
6
0
0
3
(
2,
1
3
2,
0
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
4,
0
0
0,
0
0
0
第 4年度
3
,
2
7
8,
6
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
4
,
0
0
0,
0
0
0
,
4
8
2,
5
3
0
4
(
3,
2
7
8,
6
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
4,
0
0
0,
0
0
0
第 5年度
A
ロ、
計
4
,
4
8
2,
5
3
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
,
7
4
6,
6
5
7
5
(
4,
4
8
2,
5
3
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0XO
.8
)X1
.0
5
4,
0
0
0,
0
0
0
3
0,
0
0
0,
0
0
0
2
0,
0
0
0,
0
0
0
5
,
7
4
6,
6
5
7
保険会社と事業会社関の遡及料率による複数年
6
0
)I
保険契約に関する会計 J (
A
c
c
o
u
n
t
i
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Y
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)。
5
8
)E
m
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n
gI
s
s
u
巴 T
a
s
kF
o
r
c
e
.
保険会社関の遡及料率による複数年再保険契約
5
9
) I
に関する会計 J(
A
c
c
o
u
n
t
i
n
gf
o
rM
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l
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n
dA
s
s
u
m
i
n
gEn
t
e
r
p
n
s
e
s
)。
3
6
4
金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険リスクの関係
次に,予定よりも保険金支払が少なかった場
払手続に半年を要するものと仮定して,保険料
合を考える(表 6参照) たとえば,毎年 4百
運用期間を見込んでいる。そのため,変換勘定
万ドルの保険金支払しか発生しなかった場合,
の算出において,当年度分の保険料収入の 80%
5年間の保険金支払総額は 2
0百万ドルとなる o
分についても付利対象としているのである印。
0
他方,変換勘定は 5
.7
4
7百万ドルの残高となり,
ところが,こうした期間設定は仮定にすぎず,
この金額を C事業会社に支払う必要がある。結
保険年度開始直後に 4百万ドルの保険事故が発
局
,
c事業会社としては,
5年間に 3
0百万ドル
生し,かつ,ただちに保険金請求がなされて(た
5
.
7
4
7百万ドルを保険
を保険料として支払い, 2
とえば,即死事故では治嬢期間が存在しない),
2
0百万ドルの保
会社から回収したことになる (
保険金支払にいたった場合には,当年度分の保
.7
4
7百万ドルの変換勘定清算金)。この
険金と 5
険料の運用はほとんどできないにもかかわら
場合がまさに変換勘定が有効に働き,保険引受
ず,変換勘定算出土は 1年の運用をしたものと
利益を保険者と保験契約者とで分配する結果と
して計算されるため,保験会社がタイミング・
なっている。さらに,保険料の投資収益の一部
リスクを負うことになるのである。つまり,た
も保険契約者に還元されているが,換言すると,
とえ表 6のような経過を追ったとしても,保険
D保険会社は変換勘定の維持・形成に関してリ
金支払時期が早まれば保険会社のタイミング・
スクを負っていることになる。
リスクが顕在化し,逆に支払時期が予定より遅
この変換勘定の維持・形成に関する D保険会
くなれば保険会社は運用期間を稼ぐことがで
社のリスクとは,一つは,約定利率 5%未満の
きる。
資産運用利田りしか確保できない資産運用リス
次に,予定よりも保険金支払が多くなった場
合を考える(表 7参照)。たとえば,毎年 9百
クである。
そして,もう一つは,タイミング・リスクで
万ドルの保険事故が発生したとすると,保険金
ある。このファイナイト保険のでは,前述のと
0百万ドル(=保険証券総
としては 5年合計で 4
おり,期央に労災保験事故が発生し,その後の
5百万ドルと
支払限度額)となる(損害額合計 4
被災労働者の治療,保険金請求手続,保険金支
の差額である 5百万ドルは C事業会社の自己負
表 7 変動勘定(コミュテーション・アカウント)の収支(予定よりも保険金支払が多かった場合)
期首 C/A
第1
年度
第 2年度
第 3年度
第 4年度
第 5年度
1
口入
計
O
I3,
9
6
0,
0
0
0
8,1
1
8,
0
0
0
一1
2,
4
8
3,
9
0
0
一1
7,
0
6
8,
0
9
5
保険料
6
,
0
0
0,
0
0
0
,
0
0
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
6
,
0
0
0,
0
0
0
6
6
,
0
0
0,
0
0
0
3
0,
0
0
0,
0
0
0
保険金
│期末 C/A
9
,
0
0
0,
0
0
0 3,
9
6
0,
0
0
0
9
,
0
0
0,
0
0
0 8,1
1
8,
0
0
0
9
,
0
0
0,
0
0
0 一1
2,
4
8
3,
9
0
0
9
,
0
0
0,
0
0
0 1
7,
0
6
8,
0
9
5
,
0
0
0,
0
0
0I1
6,
8
8
1,
5
0
0
4
4
0,
0
0
0,
0
0
0 1
6,
8
8
1,
5
0
0
61)なお,変換勘定算出において,当年度分の保険料
期末 C/Aの算出式
(
6,
0
0
0,
0
0
0x0
.
8
)x1
.0
5
9,
0
0
0,
0
0
0
(
3,
9
6
0,
0
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0x
0
.
8
)x1
.0
5
9,
0
0
0,
0
0
0
(
8,1
1
8,
0
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.
0
5…9
,
0
0
0,
0
0
0
4
8
3,
9
0
0
+
6,
0
0
0,
0
0
0XO
.8
)X1
.0
5
9,
0
0
0,
0
0
0
(
1
2,
(
1
7,
0
6
8,
0
9
5
+
6,
0
0
0,
0
0
0X0
.
8
)X1
.0
5
4,
0
0
0,
0
0
0
ファイナイト保険にすれば,保険会社がタイミン
グ
・ 1
)スクを負 J
同しない構造になる。
収入の 80%分については付利対象としない方式の
3
6
5
経済学研究
担となる)。この場合, D保険会社は,
第 6
6巻 第 4号
5年間
では,保険者は保験引受リスクも負担しており
の保験料収入である 3
0百万ドルを大幅に上回る
(ただし,年間の総支払限度額や保験証券の総
保険金支払を行うことになり,保験会社の保険
支払眼度額が設定されているため,保険引受リ
引受リスクが顕在化したと言える。なお,精算
スクが全面的に移転している訳ではない),保
すべき変換勘定の残高はない。
険引受リスクがやはり保険料に反映しているも
のと言えよう。
このように,変換選択権付きの将来型ファイ
ナイト保険では,保険料の予想、運用収益と支払
つまり,保険リスク(保険引受リスクおよび
保険金で変換勘定が算定されることになってい
タイミング・リスク)の保険料への反映形態か
る。そのため,保険会社は,運用利回りが思わ
らすると,金融再保険やブアイナイト保険は前
しくなくて予定どおりの資産運用ができない,
掲表 1に掲げた第 3の類型に該当するものとな
という資産運用リスクを抱えることになるのは
る。したがって,少なくとも保険リスクの保険
もちろん,保険金支払時期が予想、よりも早まっ
料への反映形態という保険料の算定方法の側面
て資産運用期間が短縮し,予定どおりの資産運
からは,換言すると,最も問題視されている保
用ができないというタイミング・リスクも抱え
険料の性格において
ることになる 62)。さらには,保険会社は保険引
ファイナイト保険が一般の保険と比較して特に
受リスクをも抱えているのである(ただし,総
不自然なものではないことが明らかであると
支払限度額の設定により,上限を定めることが
えよう 64),
6
5
)。もちろん,従来の一般的な損
できる)。
保険商品の保険料算定とはやや異なるものの,
こうした金融再保険や
キャッシュ・フロー・アンダーライティングは
4. 金融再保険やファイナイト錦検の蝕置づけ
実質的に第 3の類型に該当するし,また,生命
保険商品には第 3の類型のものが多いのである。
以上に見たように,口ス・ポートフォリオ・
5
. さいごに
トランスファーやブァイナイト保険は,共に長
期契約であって,保険料の予想運用収益で保険
料が割り引かれていたり,保険料絹算勘定(前
このように,金融再保険やファイナイト保険
述の例では,変換勘定)が形成されていくため,
が,最も問題となる保険料の観点から分析しで
保険料の資産運用叙益(の一部)が保険料(や
も通常の保険形態と特に異なるものではないと
精算保険料)に反映しており,保険者はタイミ
すると,日本でも今後本格的に導入していくに
ング・リスクを負担していると言える 6
3
)。これ
6
4
) 現在の金融再保険やファイナイト保険でタイミン
グ・ 1
)スクが移転しない形態のものについては(前
注参照), i
呆験引受 1
)スクのみが移転しているので,
通常の保険と同様に,前出表 1の第 lの類型に分類
されることになる o
6
5
) なお,かつての金融再保険のように,たとえ保険
)スクが移転しておらず,そのため保険引受 1
)
引受 1
スクが保険料に反映していない場合であっても,少
なくともタイミング・リスクが保険料に反映してい
るものについては,第 2の類型に該当するものと言
えよう。
は,金融再保険やブアイナイト保険に通ずる特
徴である。
また,現在の金融再保険やファイナイト保険
6
2
) ただし,タイミング・リスクを排除するような変
換条項を設定することも可能である。
6
3
) 保険会社がタイミング・リスクを負担しない形態
もある。前注参照。
366
金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険 1
)スクの関係
あたり,何らかの基準(保険として認められる
財務再保険の種類としては,共同保険式再保
基準,認められる場合の保険会計基準や企業会
険68)と修正共同保険式再保険 69)の形態のみが認
計基準など,当局への報告義務,等々)を明示
められる(財務再保険であっても,他の形態の
すべき段階にきているのではないだろうか。
ものは金融監督庁及び大蔵大臣が認める期務再
たとえば,日本の監督当局が正面から認めて
保険には該当しない)。また,出再保険受入手
いる金融再保険は財務再保険であるが(19
9
7年
数料の使途は,責任準備金の積み増しに限定さ
末に認められた )66),一定の処理基準が明示さ
れている 70)。
れており,利用された実例も明らかになってい
そして,保険会計処理は,再保験と同様の処
る67)。
理を行うが,財務諸表に「出再保険受入手数料」
の現在残高を注記することとされている 71)。
すなわち,財務再保険とは,次に述べる要件
に該当する再保険で
出再する元受保険契約の
以上のように,日本でも財務再保険について
将来収益を f出再保険受入手数料(初年度コミッ
は利用基準が明確であるが,他の金融再保険や
ション)J として予め一定額を収受するものと
ブァイナイト保険についても利用基準が明確に
定義されている。この財務再保険の要件は,保
ならないと,いつまでもこうした保険の導入が
険契約に関する全ての保険リスク(死差損益関
鵠賭され,長期安定的なカバーや特殊なリスク
連リスク,費差損益関連リスク,手J
I
差損益・儲
についての保険カバーを必要とする企業(や元
格変動損益関連リスク,責任準備金関連 1
)スク)
受保険会社)の保険需要に,日本ではいつまで
の移転である。また,当局への事前届け出が必
も応えられない。
要である。
つまり,金融再保険やファイナイト保険は長
6
6
) r
w生命保険会社の業務運営について』通達の
部改正について」平成 9年 1
2月 1
5日蔵銀 2
7
9
9号参照。
この通達により生命保険会社の業務運常につい
て j 平成 8年 4月 1日蔵銀 5
00号に f別紙 4 財務再
保険の取扱いに関する基本事項」が設けられた。
また,その後,平成 1
0年に追加された保険業法施
1条 2項. 3項と,前期通達内容を改めて規
行規則 7
定した「保険業法施行規則第 7
1条第 2項の規定に基
0年 6月 8
づき大蔵大臣が再保険を定める件 j 平成 1
日大蔵省告示 233号(改正平成 1
0年 6月29B金融監
督庁・大蔵省告示 1号)を参照。
なお,このように当初は生命保険会社のみに認め
られたが,現在は生命保険に限定されていない。
67)東邦生命の事例では. 1998年 4月の G Eファイナ
ンシャル・アシュアランスとの合弁による G Eキャ
ピタル・エジソン生命の設立に燃して財務再保険が
利用された。東邦生命は既存契約に関する財務再保
険の出再者となって,出再保険受入手数料を受領す
る一方で,エジソン生命の向後 1
0年間の保険契約に
関する受持者となって,将来にわたって保険利益を
収受することになった。けれども. 1
9
9
9年 6月に東
邦生命は破綻した。
第百生命の事例では. 1
9
9
8年 3.flの財務内容改善
に際して出再者となり,また. 1
9
9
9年 4月のマニュ
ライフ・ブァイナンシャルとの合弁によるマニュラ
イフ・センチュリ一生命の設立に際しでも出再者と
なり,この財務再保険が用いられている。
6
8
) 共同保険式再保険とは,受再者が出再割合に応じ
た部分の責任準備金の積み立てと責任準備金相当額
の資産の管理を行う方式のことである。
6
9
) 修正共同保険式再保険とは,受再考が出再割合に
応じた部分の寅任準備金の穣み立てを行うが,震任
準備金相当額の資産の管理は出再者が行う方式のこ
とである。
7
0
) 出再する元受保険契約の将来収益を基に計算した
出再保険受入手数料は,保険会計では次のように処
理すべきことが定められている(財務再保険か否か
を関わない)。
まず,金融監督庁長官及び大蔵大臣が定める再保
険については,出再保険受入手数料を寅任準備金に
積み立てる(保険業法施行規則 7
1条 2項)。なお,
この「金融監督庁長官及び大蔵大臣が定める再保険」
として財務再保険が定められている。
他方,金融監督庁長符及び大蔵大臣が定める再保
険以外の再保険については,出再保険受入手数料を
預り金として計上する(保険業法施行規制 7
1条 3
項
)
。
71)企業会計も税務会計も関様の処理をすることにな
ると忠われる。
367
経済学研究
第 6
6巻 第 4号
期の保険契約であるので,保険サイクルCinsur-
参考文献
ance cy
c
1e) に左右されない,長期安定的な保
[姉崎 1
9
8
4
) 姉崎義史他『議案保険総論 JJ (
19
8
4
)法律
文;化社
険カバーを提供することが可能である。
[伊藤 1
9
8
5
] 伊藤梅雄 fやさしい保険の算数 JJ (改訂新
また,総支払恕度額の設定により,保険引受
9
8
5
) 新日本保険新聞社
版
。 1
リスクが限定されているので,通常の保険形態
[岩崎 1
9
9
2
) 岩崎稜「第 2章
では保険化しにくいような特殊なリスク(たと
[印南 1
9
5
6
] 印南博子守 f保険の本質 JJ (
19
5
6
)自桃書房
えば,政治的リスク)を担保する保険カバーも
[梅津 1
9
8
8
) 悔津昭彦「米国における生命保険規制一
昭夫編『保険業法の在り方
保検事業の定義 J 竹内
J (
19
9
2
)有斐閣
下巻 J
3号(19
8
8
)
金融商品としての『保段』概念 J文研論集 8
提供することが可能となる。
[インシュアランス 1
9
9
8
] インシュアランス『損害保
さらに,援数のリスクのカバーを統合した複
険統計号
9
8
)
平成 9年度決算』保険研究所(19
[インタリスク 1
9
9
9
] Iリスクファイナンシング第 9
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合リスク商品 Gntegratedrisk cover orblended
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)
cover) が今後広がっていくものと思われるが
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)Jインタ 1Jスク 1
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9・9号
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9
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0号
[江頭 1
9
9
6
) 江頭憲治安5
1 W務取引法 J
J (
第 2版
。 1
9
9
6
)
(たとえば,伝統的な保険リスクと金利・為替
弘文堂
といった金融リスクの謹合リスク高品や,ある
9
8
5
] 大森忠夫『保険法 JJ (補訂版。 1
9
8
5
) 有斐
[大森 1
プ口ジェクト全体の 1
)スク(財物損壊リスク,
閤
[金光 1
9
8
7
] 金光良美『米国の保検危機 JJ (
19
87)保険
操業遅延リスク,政治的リスク,金利リスクな
毎日新開社
ど)を包括的にカバーする接合リスク商品),
9
9
8
) 小暮雅岨『保険の数理一損保・生保・年
[
1
]
¥
暮 1
J (
第 3版
。 1
9
9
8
) 損害保険事業総合研究所
金一 J
やはり通常の保険形態ではなかなか保険イヒしに
9
8
9
] 佐藤菰「第 6章
[佐藤 1
くいので,その際にはこの金融再保険やファイ
間体生命保険 J 討本ア
19
8
9
)
クチュアリー会 F保険 1 (生命保険 )JJ (
ナイト保険の利用は不可欠である 72)。
1
:
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:
1本
)一会
アクチュア 1
9
9
5
] 柴田忠男 f生命保検 JJ (改訂版。 1
9
9
5
)晃
[柴田 1
以上のとおり,現代の金融再保険やファイナ
イト保険は保険料算出においても通常の保険契
〔白杉 1
9
4
9
] 自杉三郎『保険学総論 JJ (
19
4
9
)
約と変わるところがなく(少なくとも,通常の
[鈴木 1
9
9
2
] 鈴木辰紀『保険論 JJ (
第 7版
。 1
9
9
2
) 成文
堂
保険契約と同様に商品設計することができる),
[トーア 1
9
9
9
J トーア再保険『再保険その理論と実際』
9
9
)損害保険事業総合研究所
(
19
かつ,企業のリスク・ファイナンスに有用だと
9
97]東京海上火災保険株式会社編『損害
[東京海上 1
すると,その利用基準(少なくとも,その会計
J (
19
9
7
) 有斐閣
保険実務講座補巻保険業法 J
処理基準)の提示が急務であると言えよう 73)。
9
9
4
)中
{中型 1
7
2
) 金融再保険やファイナイト保険の有用性について
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97
]
, (吉津 1
9
9
9
] を参
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f国際取引と課税 J
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19
9
4
) 有斐簡
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お,遡及型保険を引き受けた保険会社の未払保険金
の計上については, R
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9
9
6を参照。
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他方,将来型保険の遡及的保険料調整(r杭r
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g
.本稿の 3 (2) の設例参照)では,保険
契約者は保険料調整の対象とならない部分(本稿の
設例では変換勘定額に算入されない部分,すなわち,
保険料の 20%) のみならず,保険料調整の対象とな
り得る部分(本稿の設例では変換勘定額に算入され
る部分,すなわち,保険料の 80%) についても,支
払保険料を保険料支払年度に損金算入することが認
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3
6
6
)。
められる (
7
3
) 本稿では触れなかったが,米国では税務会計基準
も比較的明確である。
すなわち,まず¥米国の税務会計基準では,保険
には 1
)スク移転とリスク分散が必要である。
そして,遡及型保険(本文 3 (1) の設例参照)
)スクの移転がないとして,内田歳入庁(I
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は保険 1
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保険料を損金算入の対象にできる f保険J とは認め
ない立場をとっている (
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金融再保険やファイナイト保険における保険料と保険 1)スクの関係
[庭回 1992J 庭回範秋編『保険経営学~ (
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) 有斐閣
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) 生命保険文化研究
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7①〕生命保険文化研究所(吉野智市) I
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97)生命保険文化研究所
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7② ] 生 命 保 険 文 化 研 究 所 『 生 命 保 険 会 社 の
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97)生命保険文化研究所
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)東洋経済新報社
〔水島 1999] 水島ー也『現代保険経済~
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クのヘッジについて
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] 青海卓哉「企業リスクのファイナンスと
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6巻 2号(19
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