繰延税金資産の回収可能性、 例示区分の原案が明らかに

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欠損金計上も合理的説明できれば例示区分変更
繰延税金資産の回収可能性、
例示区分の原案が明らかに
企業会計基準委員会(ASBJ)は税効果会計における適用指針の開発に着手しているが、
最大の論点である繰延税金資産の回収可能性の判断の例示区分の原案が明らかになった。日
本公認会計士協会の監査委員会報告第 66 号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監
査上の取扱い」における区分方法を踏襲し、例示区分に該当する要件に基づいて分類する方
4
4
法を採用。特に例示区分 4 号については、要件を「重要な税務上の欠損金の計上」に変更し
た上、反証可能規定により例示区分 2 号や 3 号に該当する取扱いを追加する方向だ。
例示区分は監査委員会報告第 66 号の区分方法を踏襲
企業会計基準委員会は、繰延税金資産の回
重要な税務上の欠損金の発生原因、中長期
収可能性の判断に関する監査上の取扱い(監
計画等を勘案して将来の課税所得を見積もっ
査委員会報告第 66 号)に対する問題意識が
た場合、5 年超にわたり継続して計上するこ
強いことから、繰延税金資産の回収可能性に
とを合理的に説明できる場合については、例
関する部分を「繰延税金資産の回収可能性に
示区分 2 号に該当するものとして取り扱うこ
関する適用指針(仮称)
」として、他の取扱
とを認める。また、おおむね 3 年から 5 年程
いに先行して公開草案を公表するとしている。
度は課税所得を計上することを合理的に説明
繰延税金資産の回収可能性を判断する際の
できる場合については例示区分 3 号に該当す
論点は例示区分だが、同委員会では、日本公
るものとして取り扱うことが可能になる。
認会計士協会の監査委員会報告第 66 号「繰
例示区分 3 号では見積可能期間の反証規定
延税金資産の回収可能性の判断に関する監査
例示区分 3 号については、将来の 5 年以内
上の取扱い」における区分方法を踏襲し、例
の課税所得の見積額を限度としてスケジュー
示区分に該当する要件に基づいて分類する方
リングされた一時差異等に係る繰延税金資産
法を採用する方向となっている(表参照)。
は回収可能性があるものとしている。これは
例示区分 4 号でも例示区分 2・3 号に
現行と同じだが、今回の見直しでは、見積可
現行の監査委員会報告第 66 号からの大き
能期間(5 年)に関する反証規定を追加する。
な変更点として、例示区分 4 号については、
そのほか、例示区分 2 号ではスケジューリ
4
4
現行の「重要な税務上の繰越欠損金の存在」
4
4
ング不能な将来減算一時差異の取扱いを変更
から「重要な税務上の欠損金の計上 」に変
する。原則としてスケジューリング不能な将
更。加えて反証可能規定により例示区分 2 号
来減算一時差異については回収可能性がない
や 3 号に該当する取扱いを明記する方向だ。
ものとするが、個々のスケジューリング不能
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No.578 2015.1.12
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【表】 繰延税金資産の回収可能性を判断する指針(原案)
新たな例示区分
例示区分 1 号
要 件
繰延税金資産の計上額
当期及び過去において連続して期末 繰延税金資産の全額について回収可能性があるも
期末における将来 における将来減算一時差異を十分に のとする。
減算一時差異を十 上回る課税所得を計上しており、当
分に上回る課税所 期末において経営環境に著しい変化
得を毎期計上して がない場合。
いる会社等
例示区分 2 号
当期及び過去において連続して期末 スケジューリングの結果に基づき、それに係る繰
業績は安定してい における将来減算一時差異を下回る 延税金資産を計上している場合には、当該繰延税
るが、期末におけ ものの安定的な課税所得を計上して 金資産は回収可能性があるものとする。
る将来減算一時差 おり、当期末において経営環境に著 個々のスケジューリング不能な将来減算一時差異
異を十分に上回る しい変化がない場合。
項目について、税務上の損金算入時期が特定でき
ほどの課税所得が
ないが将来のいずれかの時点で損金算入される見
ない会社等
込みが高いことなどにより、繰延税金資産が回収
可能であることを合理的に説明できる場合には、
当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする。
例示区分 3 号
当期及び過去の課税所得が不安定で 将来の 5 年以内の課税所得の見積額を限度として
業績が不安定であ あるが、重要な税務上の欠損金は計 スケジューリングされた一時差異等に係る繰延税
り、期末における 上しておらず、当期末において経営 金資産は回収可能性があるものとする。ただし、5
将来減算一時差異 環境に著しい変化がない場合。
年を超える期間においてスケジューリングされた
を十分に上回るほ
一時差異等に係る繰延税金資産について回収可能
どの課税所得がな
であることを合理的に説明できる場合には、
その範
い会社等
例示区分 4 号
囲の繰延税金資産は回収可能性があるものとする。
当期又は過去において重要な税務上 翌 年 度 の 課 税 所 得 の 見 積 額 を 限 度 と し て ス ケ
重要な税務上の欠 の欠損金を計上するなど、かつ、翌 ジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資
損金を計上してい 年度は課税所得が発生することが見 産は回収可能性があるものとする。
る会社等
込まれる場合。
ただし、重要な税務上の欠損金の発
生原因等を勘案して将来的に課税所
得を見積もった場合、5 年超にわた
り継続して計上することが合理的に
説明できる場合は例示区分 2 号に該
当。おおむね 3 年から 5 年程度は課
税所得を計上することが合理的に説
明できる場合は例示区分3号に該当。
例示区分 5 号
当期及び過去連続して重要な税務上 将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等に係
連続して重要な税 の欠損金を計上している会社で、翌 る繰延税金資産の回収可能性はないものとする。
務上の欠損金を計 年度も重要な税務上の欠損金の計上
上している会社等
が見込まれる。
(企業会計基準委員会の資料を基に作成)
な将来減算一時差異項目について、将来のい
時差異の額を上回る見込みが高いことによ
ずれかの時点で損金算入される見込みが高
り、繰延税金資産が回収可能であることを合
く、当該将来の損金算入時点における課税所
理的に説明できる場合には、当該繰延税金資
得が当該スケジューリング不能な将来減算一
産は回収可能性があるものとされる方向だ。
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No.578 2015.1.12
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