「アフィニトール®」、第9回欧州乳癌会議で ホルモン受容体(HR)陽性

ノバルティス ファーマ株式会社
〒106-8618
東京都港区西麻布4-17-30
http://www.novartis.co.jp
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2014年3月31日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2014年3月19日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳
(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。
英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
「アフィニトール®」、第9回欧州乳癌会議で
ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性進行性乳がんを対象とした
臨床試験の副次評価項目のデータを報告
• エキセメスタンに「アフィニトール」を追加投与することで、エキセメスタン単独療
法と比較して、統計的有意な差はないものの副次評価項目である全生存期間を4.4カ月
延長した1
• 「アフィニトール」併用群の全生存期間の中央値は31カ月
これまでに報告されている、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤治療後のHR陽性
進行性乳がんを対象とした第III相臨床試験の中で最長2
• エキセメスタンに「アフィニトール」を追加投与することで、主要評価項目である無
増悪生存期間を2倍以上に延長することが示されており、日本を含む80カ国以上で乳
がん治療薬として承認済み2,3
2014年3月19日、スイス・バーゼル発 –スコットランドのグラスゴーで開催されている第
9回欧州乳癌会議(EBCC-9)にて、本日、「アフィニトール®」(一般名:エベロリムス)
のBOLERO-2(Breast cancer trials of OraL EveROlimus-2)第III相臨床試験の副次評価項目
の結果が発表されました。
この結果によると、エキセメスタン単独療法群の26.6カ月と比較して、「アフィニトール」
併用群では全生存期間の中央値が31カ月と、4.4カ月の差が示されました(ハザード比
=0.89[95%信頼区間:0.73〜1.10]、p=0.1426)1,2。この副次的評価項目は統計学的に有意な
値には達しませんでしたが、これまでに報告されている非ステロイド性アロマターゼ阻害
剤による治療後のHR陽性/HER2陰性進行性乳がんを対象とした第III相臨床試験の中で最
も長い全生存期間の中央値となります2。
米国テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科学部門教授のガブリエ
ル・ホルトバージ医師(Gabriel Hortobagyi, MD, professor, Breast Medical Oncology, The
University of Texas MD Anderson Cancer Center)
は次のように述べています。
「BOLERO-2
試験では、エキセメスタンに『アフィニトール』を追加投与することで、非ステロイド性
アロマターゼ阻害剤による治療中あるいはアジュバント療法終了から12カ月以内に進行
が見られたHR陽性進行性乳がん患者さんに対して、複数の標的経路に作用することで疾
患の進行を遅延させることが示されました。二つの経路にアプローチすることによって、
内分泌療法のベネフィットを拡大し、化学療法への移行を遅らせ、このタイプの乳がんの
患者さんにとって重要な影響をもたらすことができます」
1/5
最終的な全生存期間の結果は、事前に計画されていた副次評価項目の一部として評価され
ました。これまでに報告されている無増悪生存期間(PFS)の結果では、「アフィニトー
ル」とエキセメスタンの併用療法によって、無増悪生存期間の中央値が、エキセメスタン
単独療法の3.2カ月と比較して、7.9カ月と2倍以上に延長され、主要評価項目を達成してい
ます3(ハザード比= 0.45 [ 95% 信頼区間:0.38~0.54、P<0.0001])。中央画像判定機関
による補助的解析では、PFSの中央値は、エキセメスタン単独療法の4.1カ月に対してアフ
ィニトール併用群では11.0カ月であることが確認されています3。最も多く見られた有害事
象(発現率30%以上)は口内炎、感染症、発疹、疲労、下痢、食欲減退でした2,3。また、
最も多く見られたグレード3~4の有害事象(発現率2%以上)は、口内炎、感染症、高血
糖、疲労、呼吸困難、肺臓炎、下痢でした2,3。
ノバルティス オンコロジー事業部プレジデント兼グローバル開発およびメディカルアフ
ェアーズ責任者であるアレッサンドロ・リバ(Alessandro Riva)は次のように述べていま
す。「これらのデータは、18カ月以上に及ぶ実臨床上での使用経験とともに、非ステロイ
ド性アロマターゼ阻害剤による治療後に疾患の進行が見られたHR陽性/HER2陰性の進行
性乳がん患者さんの治療に、エキセメスタンと併用で『アフィニトール』を投与すること
に関するエビデンスをさらに強化するものです。私たちは、これからも進行性乳がん治療
における『アフィニトール』の役割を研究し続け、またPI3K/AKT/mTORやCDK 4/6経路
を標的とするような他の新規治療法の開発にも取り組んでいきます」
「アフィニトール」は、HR陽性/HER2陰性進行性乳がんの治療薬として承認された、最
初かつ唯一のmTOR阻害剤です2,4。mTORは、腫瘍細胞の分裂、血管新生、細胞代謝の調
節において重要な役割を果たすタンパク質です4。「アフィニトール」は、多くのがんで過
剰な活性化が見られるPI3K/AKT/mTOR経路をターゲットとしています5。本会議で発表さ
れた追加のデータにより、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤による治療後に進行した
HR陽性/HER2陰性進行性乳がんの治療においてホルモン受容体とmTORを両方阻害する
ことが重要であることを裏付けるエビデンスが示されました2。
「アフィニトール」はHR 陽性/ HER2陰性進行性乳がん治療薬として80カ国以上で承認さ
れており、直近では3月17日に日本において手術不能又は再発乳癌治療薬として承認され
ました。適応の詳細は国によって異なります。
BOLERO-2臨床試験について
BOLERO-2は、日本を含む世界195の施設で700人以上の患者さんを対象に実施された試験
で、患者さんは、エキセメスタン25mg1日1回経口投与に加え、エベロリムス10mg1日1回
経口投与あるいはプラセボを併用のいずれかの治療に2対1の割合で無作為割付されまし
た5。進行性乳がんの治療に対して2レジメン以上の化学療法を受けたことのある患者さん
は登録から除外されました5。本試験の主要評価項目はPFSでした5。副次的評価項目には、
全生存期間、奏効率、有害事象率、患者報告に基づくアウトカム、クリニカルベネフィッ
ト率が含まれました5。
進行性乳がんについて
進行性乳がんとは、転移性乳がん(ステージIV)および局所進行性乳がん(ステージIII)
を指しています6。転移性乳がんは、疾患の最も進んだ状態で、腫瘍が脳、骨や肝臓 など
の身体の他の部分に広がっている場合を指します6。局所進行性乳がんは、がんがリンパ節
および/または乳房内の他の組織に広がっているものの、身体の離れた部位にまでは広がっ
ていないものを指します6。
転移性乳がん患者さんの平均余命は診断されてからおよそ18~36カ月で、ステージIIIの患
者さんの生存期間の中央値は5年未満と推定されています7,8。進行性乳がん患者さんの疾患
の進行には、PI3K/AKT/mTOR経路の過剰活性化が関連していると考えられています4。
2/5
全ての浸潤性乳がんのおよそ70%が、診断の時点でHR陽性です。HR陽性乳がんは、進行
性乳がんの中で最もよくみられるタイプであり、推定で全世界で毎年22万人の女性がHR
陽性進行性乳がんと診断されます2,10。HR陽性進行性乳がんはエストロゲンやプロゲステ
ロンなどの特定のホルモンに対する受容体を過剰に発現するタイプの乳がんで、これらの
ホルモンによってがん細胞が増殖します11。
「アフィニトール®」(エベロリムス)について
「アフィニトール」は、EUでは、エキセメスタンとの併用において、非ステロイド性アロ
マターゼ阻害剤による治療後に再発もしくは進行した症候性内臓転移のない閉経後HR陽
性/HER2陰性進行性乳がん患者さんの治療薬として承認されています。米国では、「アフ
ィニトール」は、エキセメスタンとの併用において、レトロゾールまたはアナストロゾー
ルによる前治療が奏効しなくなった閉経後HR陽性/HER2陰性進行性乳がんの治療薬とし
て承認されています。
「アフィニトール」は、がんの領域では、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬による治療
中または治療後に疾患が進行した転移性腎細胞がん治療薬として米国やEUなど100カ国
以上で承認されているほか、米国とEUでは、膵原発の局所進行、転移性または切除不能の
進行性神経内分泌腫瘍治療薬としても承認されています。
エベロリムスは、「アフィニトール®」またはVotubia®、「サーティカン®」、Zortress®な
どの製品名で、がん以外の領域でも治療薬として承認されており、また薬剤溶出性ステン
トの用途に関する独占的販売権がアボットに、サブライセンスがボストン・サイエンティ
フィックに供与されています。
適応症は国によって異なり、すべての適応症がすべての国で承認されているわけではあり
ません。承認されている適応症以外では、エベロリムスの安全性と有効性のプロファイル
は確立されていません。臨床試験の結果は不確実であるため、エベロリムスが世界のどこ
かの国でさらなる適応症の治療薬として効能追加されるという保証はありません。
日本では、「アフィニトール」は、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対する治療薬と
して2010年4月より販売されており、2011年12月には膵神経内分泌腫瘍(pNET: pancreatic
neuroendocrine tumors)の治療薬、2012年11月に結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫およ
び上衣下巨細胞性星細胞腫の治療薬、また2014年3月17日に手術不能又は再発乳癌の治療
薬として効能追加を取得しました。この他、現在、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、
HER2陽性乳癌、消化管または肺原発の進行性神経内分泌腫瘍、結節性硬化症に伴うてん
かんを対象とした第III相の国際共同治験に参加しています。
ノバルティスの乳がん領域の開発品について
ノバルティスは現在、薬剤抵抗性の乳がんに対し、他の標的療法との併用において、PI3K
阻害剤であるBKM120(一般名:buparlisib)とBYL719、またCDK 4/6阻害剤であるLEE011
の開発を行っています2。
PI3K/AKT/mTOR経路は、細胞代謝、増殖および生存を調節している経路で、この経路の
異常な活性化は腫瘍の発生と維持に重要な関わりがあることが示されています4。サイクリ
ン依存性キナーゼ(CDK)は細胞周期の進行を促進し、かつ転写プロセスを制御しており、
がんにおいては一般的にCDK 4と6を含む複数のCDKタンパク質が制御されなくなってい
ます12。これらの経路を標的とすることは、腫瘍の増殖を止め、現在の治療法に抵抗性を
示す腫瘍細胞の細胞死を誘導することが期待できます2,4,12。
BKM120、BYL719、LEE011は治験中の化合物であるため、安全性と有効性のプロファイ
ルは確立されていません2。これら治験中の化合物は、注意深く管理かつ監視されている臨
3/5
床試験によってのみ提供され、潜在的なベネフィットとリスク評価が行われます。臨床試
験の結果は不確実であるため、 BKM120 、BYL719、LEE011が今後上市される保証はあ
りません。
日本では、乳がんを対象とするBKM120の第III相国際共同治験に参加しています。
安全性に関する重要な情報
「アフィニトール」/Votubiaは、肺・呼吸疾患、感染症(敗血症を含む)、腎不全など、
死亡の可能性のある重篤な副作用を引き起こすことがあります。よく見られる副作用には、
口腔内潰瘍および口内痛があります。「アフィニトール」/Votubiaは、血球数、腎・肝機
能、血糖・コレステロール・トリグリセリド値に影響を及ぼすことがあります。「アフィ
ニトール」/Votubiaは、妊娠中の女性に重大な害を及ぼすことがあります。「アフィニト
ール」/Votubiaを服用中または服用終了後8週間以内で、妊娠の可能性がある女性は、効果
の高い方法で避妊することが推奨されます。また、「アフィニトール」/Votubiaを服用中
の女性は授乳を避けてください。「アフィニトール」/Votubiaの服用によって、男性およ
び女性の妊孕性に影響が出ることが考えられます。
最もよく見られる副作用(発現率10%以上)は、口腔内潰瘍、発疹、脱力感・疲労、下痢、
吐き気、食欲減退、感染症(上気道感染を含む)、赤血球減少、味覚異常、肺組織の炎症、
体重減少、四肢または他の部位のむくみ、鼻出血、掻痒感、嘔吐、コレステロール値の上
昇、頭痛、血糖値の上昇、咳、突発的な出血やあざ、息切れです。最もよく見られるグレ
ード3~4の副作用(発現率2%以上)は、口腔内潰瘍、脱力感・疲労、感染症、肺組織の
炎症、下痢、突発的な出血やあざ、白血球減少、息切れです。また、B型肝炎ウィルスの
再活性化および肺と脚における血栓の症例、無月経など月経不順が報告されています。血
液学的および生化学的な検査値異常も観察されています。
参考資料
1.
Piccart M, et al. Everolimus plus exemestane for hormone receptor-positive (HR+), human epidermal
growth factor receptor-2–negative (HER2–) advanced breast cancer (BC): overall survival results from
BOLERO-2. Oral Presentation Abstract #LBA1. European Breast Cancer Conference (EBCC-9), 2014,
Glasgow, Scotland.
2. Novartis Data on File.
3. Piccart M, et al. Everolimus for Postmenopausal Women with Advanced Breast Cancer: Updated Results of
the BOLERO-2 Phase III Trial. Abstract #559. American Society of Clinical Oncology 2012 Annual Meeting,
Chicago, IL.
4. Advani SH. Targeting mTOR Pathway: A New Concept in Cancer Therapy. Indian Journal Medical
Pediatric Oncology. Oct-Dec 2010: 1-10.
5. Baselga J. Everolimus in Postmenopausal Hormone-Receptor-Positive Advanced Breast Cancer. New
England Journal of Medicine. December 2011.
6. American Cancer Society. How Do You Determine the Stage of Breast
Cancer? http://www.cancer.org/cancer/breastcancer/detailedguide/breast-cancer-staging. Accessed February
19, 2014.
7. Eniua A, Palmierib F and Perez E. Weekly Administration of Docetaxel and Paclitaxel in Metastatic or
Advanced Breast Cancer. The Oncologist. 2005.
8. Giordano, S. Update on Locally Advanced Breast Cancer. The Oncologist. 2003.
9. Dobrescu A, et al. Study of Estrogen Receptor and Progesterone Receptor Expression in Breast Ductal
Carcinoma In Situ by Immunohistochemical Staining in ER/PgR-Negative Invasive Breast Cancer.
International Scholarly Research Network. 2011;2011:1-5.
10. Buckley N, Isherwood A. Breast Cancer. Decision Resources. March 2011: 1-301.
11. Redmond C. Breast Cancer Hormone Therapy
Options. http://christineredmond.suite101.com/breast-cancer-hormone-therapy-options-a197304. Accessed
February 19, 2014.
12. Shapiro J. Cyclin-Dependent Kinase Pathways as Targets for Cancer Treatment. Journal of Clinical
Oncology. January 2006.
4/5
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品、予防の
ためのワクチン・診断関連事業、OTC医薬品、動物用医薬品など、幅広い分野の製品を提
供しています。ノバルティス グループ全体の2013年の売上高は579億米ドル、研究開発費
は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠
を置くノバルティスは、約136,000人の社員を擁しており、世界140カ国以上で製品が販売
されています。詳細はインターネットをご覧下さい。http://www.novartis.com/
以上
5/5