高飽和磁束密度・高強度メタルパウダーコア (PDF: )

新製品紹介
高飽和磁束密度・高強度メタルパウダーコア
High Saturation Magnetization and High Strength Metal Powder Core
Metal powder core:HRM40
スマートフォンなどの各種情報機
重畳特性を図 2 に示す。飽和磁束密
コア表面への電極の直接形成を可能
器や車載用電装機器では小型化・高
度の高い HRM40 は 7 kA/m 以上の
とする。高強度は,コアが小型化し
機能化が加速度的に進展している。
高磁界でも透磁率の劣化が小さい。
ても巻線時の取り扱いが容易になる
これらに使用されるインダクターに
このため HRM40 の採用によりイン
効果がある。
も小型化・大電流化( 直流重畳特性
ダクターの大電流化が可能となる。
このように HRM40 は金属コアで
の向上)が求められている。これを
また,定格電流一定の条件ではイン
ありながらインダクター製造工程に
実現するにはインダクターコアとし
ダクターの小型化に寄与できる。
おいて従来のフェライトコアと同様
て使用される磁性材料の高飽和磁束
HRM40 はフェライトを大きく上
に 取 り 扱 う こ と が で き, し か も
密度化が必須となっていた。
回る圧環強度を有し,金属でありな
HRM40 を使用したインダクターは
日立金属はこの課題に対し,1.4 T
がら高電気抵抗率を示す( 表 1)。さ
フェライトでは到達し難い大電流
の飽和磁束密度を有するメタルパ
らに,メタルパウダーコア材として
化・小型化が実現可能となる。
ウダーコア「HRM40」を開発した
(図
一般的な Fe-Si 系合金は 24 時間塩
日立金属はすでに上市している各
1,
表 1)
。
HRM40 の飽和磁束密度は,
水噴霧試験で発錆するのに対し( 図
種フェライトの高性能化を今後も継
コア材として従来使用されてきた
3(a)
)
,HRM40 は顕著な発錆は無
続するとともに,メタルパウダーコ
Ni-Zn フェライトの約 3 倍という高
く高耐食性を示す( 図 3(b)
)。
アの拡充を進める予定である。
い値である。HRM40 と当社 Ni-Zn
HRM40 の高電気抵抗と高耐食性
フェライト一般材(NL30S)の直流
は,コアへの樹脂コートの削除や,
( 磁性材料カンパニー)
表 1 メタルパウダーコア HRM40 の主な特性一覧
Table 1 Properties of the metal powder core HRM40
Metal powder core
HRM40
Saturation magnetization Bs
(T)
Permeability μi
Core loss Pcv at 300 kHz, 30 mT (kW/m 3)
Ni-Zn ferrite
NL30S
1.4
0.5
40
300
450
280
Resistivity ρ
(Ωm)
1.2 X 10 4
10 6
Radial crushing strength σB
(MPa)
200
120
図 1 メタルパウダーコア HRM40 の外観
Fig. 1 Appearance of the metal powder cores HRM40
Test conditions: 35℃, 5% NaCl, 24 h
(a)
50
(b)
Incremental permeability μΔ
at 23℃
40
HRM40
30
20
NL30S
(with a gap)
10
0
2
4
6
8
10
12
Magnetic field H (kA/m)
図 2 HRM40とNL30S の直流重畳特性比較
Fig. 2 DC superposition characteristics of HRM40 and NL30S
50
日立金属技報 Vol. 31(2015)
5 mm
図 3 塩水噴霧試験結果(a)Fe-Si 系合金(b)HRM40
Fig. 3 Salt spray test result (a) Fe-Si alloy (b) HRM40
5 mm