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2015 年 1 月 1 日から施行 EU の電子サービス提供に関する

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中央経済社『旬刊 経理情報』 2014 年 11 月 20 日号(No.1397)
2015 年 1 月 1 日から施行
EU の電子サービス提供に関する税務上の
留意点
Deloitte LLP
英国勅許税理士・英国法事務弁護士
岩川 景子
2015 年 1 月 1 日より、EU 指令(注)に基づき、EU 域内事業者による個人消費者への放送、通信および電
子配信サービスの提供はすべて、当該消費者が通常居住する国において課税されることになる(以下、
「本改正」という)。この EU 全域にまたがる新ルールの導入まで数週間となった今、EU 域内事業者は多く
の実務上の問題に直面している。また、本改正は、次の 2 つの点から日本の事業者の関心を集めそうであ
る。①EU 域内の顧客に同様のサービスを提供する事業者にも影響が及ぶこと、②EU における実務面で
の課題および対応策が、電子サービスの提供に対する消費税制度の変更時にも当てはまる可能性がある
ことである。
本改正は、対象となる 3 種類のサービスすべてに大きな影響をもたらすものであるが、本稿においては、日
本の事業者に最も関連が深いと思われるデジタルコンテンツ配信、すなわち「電気通信回線を通じて提供
される」サービスに焦点を当てて解説を行う。
(注)EU 理事会指令 2008/8/EC
2015 年の改正とその背景
ービス提供の課税地は、事業者間取引(B2B)の場
OECD と欧州委員会は、消費税または付加価値税
は、消費地において課税されるべきである(仕向地
1
原則)との見解で一致している 。これを受け、EU は
2008 年 2 月に「VAT パッケージ」の一部として理事
会指令 2008/8/EC を採択した。
改正の大部分は 2010 年から 2011 年にかけて施行
され、サービスの課税地決定方法が大きく変更され
合、顧客の所在地、消費者向け取引(B2C)の場合、
サービス提供者の所在地とされている。サービスを
受領した EU 域内事業者は、自身の所在国におい
て「リバースチャージ」制度により、VAT の申告義務
を負うこととなる。本改正は、VAT パッケージ最後の
変更である。
(1)
現行制度および新制度
た。それ以降、特別な規定が適用されない限り、サ
現行制度では、電子的手段により提供されるサービ
1 OECD Global Forum on VAT – International
VAT/GST Guidelines April 2014, Report from the
Commission to the Council on Article 6 of Council
Directive 2008/8/EC COM(2014) 208 Final and Ottawa
Guideline of 1998
該サービスの提供を行う者が EU 域内に所在する
ス(以下、「電子サービス」という)の課税関係は、当
か否かにより異なる。一方、本改正により直接の影
響が及ぶのは、消費者向け電子サービスを提供す
る EU 域内事業者に限られる。
1
①
EU 域内事業者
の判定は、各事業者に責任があることに変わりなく、
後述する実務上の問題が生じる。
現在、EU 域内事業者は、電子サービスについて、
通常のサービス提供地判定基準に基づいて課税地
②
EU 域外事業者(日本など)
を決定している。すなわち、消費者向けサービスの
場合、サービスを提供する者の所在地が課税地と
なる。したがって、消費地にかかわらず、VAT はサ
ービス提供者の所在する加盟国により徴収される。
2
課される可能性のある VAT 税率に 0%から 27% と
幅があることを鑑みると、電子サービスを提供する
EU 域外事業者が、域内の消費者に電子サービス
を提供する場合の課税地判定基準は、VAT 基本指
3
令第 58 条 に定められており、この基準は、2015
年以降に EU 域内事業者に適用されることになる基
準と非常に似通っている。
事業者にとって、VAT 課税関係の検討が事業戦略
EU 域外事業者は、顧客の所在する全 EU 加盟国に
に重要な位置を占め、市場に歪みをもたらす結果と
おいて登録を行う代わりに、「電子サービスに対す
なっていることは驚くにあたらない。
る VAT 課税(「VoES」)」制度を利用して VAT の申告
本改正により、電子サービスの課税地は、顧客が通
納税を行うことができる。当該制度により、日本のデ
常居住する国となる。事業者とは違い、個人消費者
ジタルコンテンツ配信事業者のような EU 域外事業
はサービスを受領する国において、VAT を申告する
者は、1 つの EU 加盟国を選択して EU VAT の登録
手段がないため、サービス提供者は、消費者の所
在するすべての EU 加盟国において VAT の申告納
および申告納付を行うことが可能である。2015 年 1
月 1 日以降、VoES 制度は MOSS 制度に統合され、
税を行わなければならない。これに伴う事務負担を
「EU 域外事業者向け MOSS 制度」と呼称される。
軽減するため、EU は各加盟国に対し、「ミニ・ワン・
VoES 制度のしくみは MOSS 制度と似ているが、い
ストップ・ショップ(MOSS)」と呼ばれる簡易制度の
くつかの変更点があり、これが EU の電子サービス
市場でサービスを提供する日本の事業者にも影響
採用を義務づけている。
を及ぼすことが予想される。
事業者は、MOSS 制度により、消費者への電子サ
ービス提供に係る VAT を 1 カ国において申告・納付
することができるが、申告義務の有無および課税地
事業者はサービス提供を行うすべての加盟国で
VAT 登録を実施し、従来の VAT 登録により VAT の
申告納税を行うこともできる。
2 これにはゼロ税率および軽減税率が含まれている。標
準税率は、15%から 27%の間である。
3 EU 理事会指令 2006/112/EC
(図表 1) 電子サービス課税地判定基準
B2B
課税地は受領者
の所在地**
**利用と享受(Use and Enjoyment)の適用あり
B2C – EU域外事業者
B2B
またはB2C
課税地は消費者の居住地
2015年の変更なし
B2C
供給者はEU内に
所在するか
B2C – EU事業者
課税地は供給者の所在地
B2C – EU事業者
2015年法改正により
課税地は消費者の居住地
2
実務面での問題
ば、電子化された製品は電子サービスに該当する
新制度のもとでは、事業者は次のような事項を判断
する責任を負う。
が、プロフェッショナルサービスは該当しない)。しか
し、一部のサービスについてはこの判断は困難であ
る。
 提供するサービスが「電子サービス」に該当す
るか
7
たとえば、欧州委員会のガイドライン は、ライブスト
リーミングサービスは放送サービスに該当し、「ライ
 適用される VAT 税率(一部の加盟国においては
4
電子書籍に軽減税率が適用されている )
 顧客が誰か
ブ」配信のオンラインコースは、通常の消費者向け
サービスであって、電子サービスではないとしてい
る。その一方で、同ガイドラインには、「オンデマンド」
 課税地の決定、すなわち顧客の居住地・所在地
配信のストリーミングやオンラインコースは、電子サ
ービスとして取り扱うべきとの記載がある。放送サ
さらに、インボイス記載要件や税務調査の実施方法
ービスの課税地は、電子サービスと同様のルール
など、事務管理上の不確定要素も残る。
により判定されることになるため、ストリーミングに
現制度のもとでは、サービス提供者は自身の所在
地(課税地)におけるルールを理解していればよく、
不確定事項の解消方法も一通り把握できている(現
地の税務当局に連絡する、事前照会を行うなど)。
関しては、「ライブ」と「オンデマンド」の違いは学術
的なものと思われる。しかし、ライブ配信のコンテン
ツとオンデマンド(録画)配信コンテンツの両方を提
供するオンラインコース提供者にとっては、この微
妙な取扱いの差が課税地の違いを生む可能性があ
本改正が EU 域内事業者にもたらす最大の負担は、
る。この場合には、たとえば、複数の要素をまとめて
顧客の所在するすべての国(最大 28 カ国)において、
1 つのサービスとみなし、「単一サービス」として一律
それぞれの課税ルールに従わなければならない点
の VAT 税率が課せられるべきか、または各要素を
である。欧州委員会はこれが困難であることを認識
独立したサービス提供とみなし、「複数サービス」と
しており、不確定要素が生じやすい分野における各
して、それぞれの要素(ライブ配信および録画配信)
加盟国の見解をまとめて EU サイト(「ポータル」)で
について別々の VAT 税率・課税地を決定するべき
5
公開している 。ただし、確実な取扱いを担保するた
めには、個々の事案について、関連する加盟国に
照会を行う必要があるだろう。
(1)
電子的手段により提供されるサービス
6
かを検討する必要性が生じるかもしれない。
さらに、e ラーニングコースを提供する事業者は、課
税地において、当該コンテンツが VAT 非課税となる
可能性を検討する必要がある。VAT 基本指令は、
一部の教育サービスについて VAT 非課税としてい
欧州理事会実施規則 は、「電子サービス」を次の
るが、その条件については各 EU 加盟国が決定す
ように定義している。
ることとされており、国によって非課税要件が異なる。
「...インターネットまたは電気通信回線を通じて実
施されるサービスで、その性質上、提供手段が
本質的に自動化され、人的介入が最低限にとど
これは、前述の EU ポータルで取り上げられているト
ピックの 1 つでもある。
(2)
サービスに係る VAT の決定
まり、かつ情報技術なしには達成し得ないもの」
前述のように、VAT 納税額は、課税地におけるルー
本規則はまた、電子サービスに該当するサービスお
ルに従って決定される。そのため、課税地判定基準
よび該当しないサービスの一覧を示している(たとえ
の変更によりサービス提供者は、課税地を判定する
とともに、当該課税地において当該サービスが課税
4 ルクセンブルク(3%)およびフランス(7%)は、電子書籍
に対し軽減税率を適用しているが、これらの軽減税率の正
当性については、欧州委員会から疑念が呈されている。
5 http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/doc
uments/taxation/vat/how_vat_works/telecom/report.zip
6 理事会実施規則(EU)No. 282/2011, Article 7
か非課税か(e ラーニングの場合など)、そして課税
7 Explanatory notes on the EU VAT changes to the
place of supply of telecommunications, broadcasting
and electronic services that enter into force in
2015(Council Implementing Regulation (EU)
No.1042/2013)
3
対象である場合の適用税率(電子書籍か、その他
取引を実施しているとみなされ、ショッピングサイト
のサービスかなど)を判断しなければならない。
が適宜リバースチャージを行うからである。しかし、
ショッピングサイトが仲介者として販売に関わってい
自国の制度のみを理解していれば足りる現在の制
度に比べ、新制度下では、サービス提供者の申告
納税義務に伴う負担は大幅に増大する。疑問点と
なり得る問題の一部については、EU ポータル上に
概要が記載されているが、各加盟国の課税ルール
を遵守する最終的な責任がサービス提供者にある
るだけの場合、事態は複雑である。コンテンツ提供
者は、EU 加盟国の消費者に直接電子サービスを
提供しているとして、消費者の所在国において VAT
申告納税義務を負うことになる。これに対応するた
めには、コンテンツ事業者はショッピングサイトから
情報の提供を受ける必要があるだろう。
ことには変わらない。
8
(3)
誰が「顧客」なのか
EU 実施規則 は、この問題への対応策として、ショ
ッピングサイトを契約当事者と推定することを前提と
EU においては、VAT 登録番号が「事業者」であるこ
している。ただし、この前提は覆すことが可能である
とを示す指標として利用される。通常、顧客が VAT
ため、コンテンツ事業者は、各ショッピングサイトと
登録番号を提示しない場合、サービス提供者は、そ
の契約を個別の事情を踏まえて確認する必要があ
の顧客を消費者とみなして課税地を判定する。これ
る。(次頁図表 2)
は、2010 年に VAT パッケージの大部分が施行され
た際に、導入された当時から利用されている方法で、
(4)
課税地の判定-顧客の居住地
顧客が事業者か個人消費者かの判定にあたり、引
適切な国において適切な税金を支払うため(そして
き続き利用される。
適切な価格調整を行うため)、サービス提供者は、
顧客の居住地を判定しなければならない。顧客が
ここで電子サービス提供に伴う問題は、複雑なサプ
ライチェーンにおいて、法律上の「顧客」を特定する
ことである。消費者は、ショッピングサイト(iTunes や
Google play など)においてデジタルコンテンツを購
入することが多い。消費者には直接ショッピングサ
イトと売買契約を締結しているようにみえるかもしれ
ない。しかし、実際には、ショッピングサイトがコンテ
ンツの「販売者」でない場合もあり、単なる「仲介者」
にすぎないことを、約款に明記しているサイトもある。
この場合、消費者に直接販売をしているのは、コン
テンツ提供者である。
事業者である場合と異なり、個人消費者の居住地
の判定は容易ではないことが多い。EU 実施規則は、
事業者が、(i) 請求先住所、(ii) IP アドレス、(iii)口座
情報、(iv) 国識別コード(Mobile Country Code)、
(v) 固定電話の所在地、および(vi) その他の商業
上の情報の 6 つの顧客情報のうち、互いに矛盾しな
い 2 つの情報を取得することができた場合、その顧
客の所在地を推測することを認めている。すなわち、
サービス提供者は、これらの情報の取得および税
率の決定が可能となるよう、IT システムの構成を見
直さなければならない。互いに矛盾しない 2 種類の
ショッピングサイトが当事者として販売を行う場合、
情報が取得できないときにどうするかも考えておか
すなわち、コンテンツ提供者がショッピングサイトに
なければならないだろう。販売は通常オンラインで
販売し、その後ショッピングサイトが消費者に再販
実施されることから人的介入を要しない解決策が必
する場合、本改正によりコンテンツ提供者の負担が
要となるものと思われる。
増大することはない。コンテンツ提供者は事業者間
8 Council Implementing Regulation (EU) No.282/2011
4
(図表 2) シナリオ 1 とシナリオ 2(注)
シナリオ 1-ショッピングサイトが EU 実施規則
シナリオ 2-ショッピングサイトが EU 実施規則の前提を
の前提である当事者として取り扱われる場合
覆して仲介人として取り扱われる場合
A
A
(electronic or
internet telephone
service provider)
(electronic or
internet telephone
service provider)
invoice for the
intermediation
content
invoice
content
B
(intermediary)
B
(intermediary)
bill/receipt
for the service
supplied
invoice for the
content intermediation
content
C
invoice
(intermediary)
C
(intermediary)
content
content
F
(consumer)
bill or
receipt
F
(consumer)
(注)Explanatory notes on the EU VAT changes to the place of supply of telecommunications, broadcasting and
electronic services that enter into force in 2015 (Council Implementing Regulation (EU) No 1042/2013)
5
(5)
価格設定と利益率
日本の事業者への影響
EU において通常消費者に提示されるのは、VAT 込
本改正は基本的に日本事業者への影響はなく、電
みの価格である。そのため、VAT 税率の差は、事業
子サービスを提供する EU 域内事業者に大きな影
者の利益に直接的な影響を及ぼす。たとえば、ルク
響を及ぼすものであり、これらの事業者は来年から
センブルクでの電子書籍販売に係る適用税率は
の VAT 申告納付に備えて多大な労力とリソースを
3%である一方、ハンガリーでの適用税率は 27%で
投入している。たとえば、複数の VAT 税率や新たな
ある。すなわち、仮にルクセンブルクで 10 ユーロの
インボイス記載要件に適切に対応するため、ERP
電子書籍を販売した場合の税引後利益は 9.71 ユ
システムを再構成したり、適切な VAT 税率を決定す
である一方、ハンガリーで同じ電子書籍を販
るために必要なすべての情報を収集できるよう、ウ
売したときの税引後利益は 7.87 ユーロであり、マー
ェブサイトの購入ページを変更したりする必要が生
ジンに大きな差が生じる。販売業者は価格戦略を練
じることが考えられる。また、競争の激しい電子サー
る必要があるだろう。一定の利益を確保するために、
ビス市場においては、高税率の VAT や申告納税コ
ーロ
9
顧客の所在地によって小売価格が変更されるよう
ストの増大は、EU 域内事業者の事業戦略にプレッ
ウェブサイトの設定に調整を施す事業者も出てくる
シャーを与えることになるだろう。
かもしれない。増大する事務負担への対処に加え、
事業者は、居住地としてどの国を選択するかによっ
て価格が変わることに気づいた消費者が、どのよう
な行動を取るのかも考慮する必要がある。
(6)
事務負担
本改正により、消費者向けサービスの提供者は、
MOSS 制度を利用して、EU 全域で生じた VAT を一
括で電子申告できるようになる。これは、EU 域外事
業者向けにすでに導入されている VoES 制度に類
似する制度である。事業者は、所在地の税務当局
に MOSS 申告書を提出する。MOSS 制度は、複数
の国において VAT 登録を行う義務を免除することで
申告納税義務の簡素化を図るものである。この制
また、BEPS 行動計画 1 によりデジタルエコノミーに
おける課税上の問題への対処が叫ばれるなか、EU
域内外を問わず、各国の税務当局はこの分野への
関心を高めていくものと予想される。
(1)
登録
前述のように、日本の事業者は 2003 年からすでに
(VoES 制度を利用するか否かにかかわらず)電子
サービスに係る EU VAT の申告納税を義務づけら
れているため、理論上は、本改正により新たな問題
に直面することはないはずである。しかし、実際に
は、VAT の登録義務は複雑であり、EU 域外事業者
によって完璧に認識されてはいないようである。
度を利用せず、消費者向け取引顧客が所在する各
近年の報告書
EU 加盟国において VAT 登録および申告納付を行う
判定基準を EU 域外事業者に周知する計画を示し
こともできる。
ている。本報告書はさらに今年 4 月に東京で開催さ
いずれかの EU 加盟国ですでに VAT 登録を行って
いる事業者は、その加盟国においては MOSS 制度
による VAT 申告を利用できない。たとえば、フランス
で VAT 登録している英国の事業者は、MOSS 制度
を用いてフランス VAT の申告納付を行うことはでき
ない。ただし、VAT 登録を行っていない国であれば、
どの EU 加盟国においても MOSS 制度による VAT
の申告納税が可能である。
9 欧州委員会は、電子書籍への 3%軽減税率適用に関し
て、ルクセンブルクに対する違反手続(infraction
proceeding)を開始した。欧州委員会の主張が認められ
た場合、標準税率の適用によりルクセンブルクにおける税
引後の売上は 8.70 ユーロとなる。
10
において、欧州委員会は、課税地
れた OECD グローバルフォーラム、および欧州委員
の米国訪問にも言及している。MOSS 制度の日本
語版ガイドラインが作成されていることも特筆に価
する
11
。これは欧州委員会が明らかに日本の事業
者を念頭に置いていることの現れである。これらの
取組みは、EU での登録義務を負う日本を含む域外
事業者のコンプライアンス意識も高めることを目的
としている。
10 http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/do
cuments/taxation/vat/how_vat_works/telecom/com(201
4)380_en.pdf
11 http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/do
cuments/taxation/vat/how_vat_works/telecom/one-stop
-shop-guidelines_ja.pdf#explanatory_notes
6
(2)
申告納税
さらに欧州委員会の報告書
13
では、共助の効率を
高めるため、二国間共助条約(EU と日本など)の締
VAT 登録を行った日本の事業者は、EU 域内事業
者が抱える実務上の問題と同様の問題に直面する。
特に、前述のショッピングサイトに関する推定規定
結が検討されている。このような傾向は、国外にお
ける義務の履行に対する意識が欠如している事業
者に影響を及ぼすものと思われる。
は、2015 年に初めて導入される規定であることから、
経理方法または事業運営について必要となる変更
(4)
評判リスク
点を洗い出すため、事前に契約の見直しや交渉に
日本においても、電子サービスの課税地ルールに
着手する必要がある。
つき、近日中の改正が議論されている。現在、国外
(3)
ペナルティおよび税務調査
事業者の提供する電子サービスは、消費税の課税
対象外である。新制度の導入後は、この取扱いが
現在、電子サービスについて、VAT の申告納税義
務を負う事業者(VoES 制度による登録か、通常の
登録かを問わない)に対するペナルティおよび税務
変更され、日本の消費者に電子サービスを提供す
る国外事業者は、消費税の申告納税義務を負うこ
とになる。
調査に関し、別途ガイドラインは制定されておらず、
サービスの提供が行われる(すなわち、納税義務が
この日本での改正をめぐる議論には、すでに大きな
生じる)各加盟国が執行責任を負う。本改正および
注目が集まっている。国外の大手電子サービス事
MOSS 制度の導入によって、各加盟国は、電子サ
業者に対する日本メディアの関心は高く、申告納税
ービスの課税に関する新ルールのコンプライアンス
義務を怠った場合、これらの企業の評判は悪化す
に注力することが予想され、電子商取引業界が焦
るだろう。EU を含む国外において、同様のルールを
点となることは間違いないだろう。同時に、税務当局
遵守しない日本企業の評判リスクも高まるのではな
は EU 域外の事業者に対しても監視を強化すること
いだろうか。
が予想される。これは当然の帰結であろう。EU 域
外事業者が EU 事業者より有利な取扱いを受けるこ
岩川 景子(いわかわ・けいこ)
とがあれば、事業の場所としての EU の魅力が損な
英国 Deloitte LLP 間接税部門
われてしまう。これは明らかに本改正の意図すると
シニア・マネジャー
ころでも、望ましい結果でもない。
英国勅許税理士
英国法事務弁護士(ソリシター)
2013 年 10 月から、日本および EU を含む多国間の
協力体制を定める OECD 税務執行共助条約
12
が
欧州の日本企業を中心に、間接税戦略およびリス
クマネジメント、VAT 研修等のアドバイスを行う。
施行されている。今後日本の税務当局が EU に協
力を要請する場合には逆も然りかもしれない。
12 税務行政執行共助に関する多国間条約
13 Commission expert group on taxation of the digital
economy (28/05/2014)
http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/docum
ents/taxation/gen_info/good_governance_matters/digit
al/report_digital_economy.pdf
トーマツグループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびそ
れらの関係会社(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング株式会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリ
ー株式会社および税理士法人トーマツを含む)の総称です。トーマツグループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつ
であり、各社がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。また、国内
約 40 都市に約 7,800 名の専門家(公認会計士、税理士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしていま
す。詳細はトーマツグループ Web サイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。
Deloitte(デロイト)は、監査、税務、コンサルティングおよびファイナンシャル アドバイザリーサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上
場のクライアントに提供しています。全世界 150 を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化された
ビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを提供しています。デロイトの
約 200,000 名を超える人材は、“standard of excellence”となることを目指しています。
Deloitte(デロイト)とは、英国の法令に基づく保証有限責任会社であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)ならびにそのネットワ
ーク組織を構成するメンバーファームおよびその関係会社のひとつまたは複数を指します。DTTL および各メンバーファームはそれぞれ法的
に独立した別個の組織体です。DTTL(または“Deloitte Global”)はクライアントへのサービス提供を行いません。DTTL およびそのメンバーフ
ァームについての詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。
© 2014. For information, contact Deloitte Tohmatsu Tax Co.
Member of
Deloitte Touche Tohmatsu Limited
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