「備中地区社会教育実践研究交流会第6回大会」 [PDFファイル/766KB]

講 話 概 要
「学び」が生み出す「地域力」~新しい公共時代の自律(立)した地域づくり~
やまなしの翼プロジェクト代表,シナプテック株式会社代表取締役 戸田達昭
山梨県初の学生起業家であり,現在「やまなし大使」もお務めの御経験から,連携・協働による地域
の課題解決に向けた具体的な取組やポイントを分かりやすく御講話いただきました。
若者の視点から様々な地域課題を学びの力により「自分たちで解決していく」という元気なまちづく
り,それが「人口増にもつながる」という新しい見方が大いに参考になりました。様々な団体や行政,
個人が計画段階から協働していくことが,よりよい地域社会を作っていくということを改めて実感でき
る力強いお話で,午後の四つの分科会への具体的な視点もいただくことができました。
「やまなしの翼プロジェクト」から「世界の翼プロジェクト」へ ~取組のコンセプト~
山梨県にはジュエリーや織物,フルーツそして機械電子産業等の魅力的な産業や,素晴らしい文化や風土があるも
のの,他の地方都市同様に人口の減少に伴う担い手不足が深刻になっており,地域を支える担い手育成の重要性が叫
ばれています。一方で若者たちはそれら産業や文化を取り巻く現状や課題について気づく仕掛けが学校教育の中に少
ない現状が有り,ここに社会教育と学校教育の相互作用の効果に可能性があると感じています。そこで,若者たちと
共に,多様なテーマに向き合う中で,多様な担い手たちと協働し,評価し合い,「な
ぜ学ぶのか」を見出すこと,そして現時点での学び(学校等での)を「自分ごとに」
にすることで当事者感覚を持って学び実践することを取組のコンセプトにしています。
また,山梨県内のフィールドとした協働にて学び,自らと向き合い限界までチャレン
ジすることで,地域を支え世界に通じる人材の育成に取り組んでいます。
Go Action! ~成功させるポイント~
連携・協働して地域の課題を解決する取組を成功させるポイントの一つ目は「声かけ人の存在と方法」です。NP
Oより行政が地域へ声をかける方が信用が高いので行政の役割はここです。二つ目は「継続の仕組みをつくる」こと。
定例会を毎週開催し目的を共有化し絆の醸成を図ったり,熟議を開催し新しい課題も随時拾ったりしていくことで
す。三つ目は「ファシリテーター・コーディネーターの存在」。さまざまな団体や行政,個人の特徴や目的を理解
した上でマルチステークホルダーの目的を真ん中で組み合わせ,インプット・アウトプット・アウトカムを設定す
ることです。最後は「共通点があれば,とにかく巻き込む」ことです。
さぁ,はじめよう!
Go Change! ~メッセージ~
今日からでも,
学校教育と社会教育の相互補完と連携により「自分ごと」という当事者感覚を
岡山から世界は変えられる!
醸成すること,そして地域の担い手として,いかに地域を「自分ごと」にさせるのか。
「教育=人づくり」であり,テーマとして産業を持ってくれば,教育委員会と首長 Facebook アカウント:「戸田達昭」
部局が連携して人づくりに取り組むことができ,これこそが,これからの世を拓く Twitter アカウント「
: tatsuakiwing」
ために必要なのです。
参加者316名(主催者含む)
・市長,教育長等 6 ・社会教育委員等 35
・教育行政 54(生涯 50 学校 4)
・部局 4
・公民館関係職員 47
・教職員 23 ・PTA 30 ・婦人会 51
・本庁,生涯学習センター等 14
・その他(学校支援ボランティア等) 52
会場を移動し,約40名の参加者で,
情報交換会を行いました。講師の戸田先生
を囲んで,会は大いに盛り上がりました。
これぞ備中地区のネットワーク,団結力!
・若い世代の社会参加の方法(きっかけづくり)の捉え方を講師(若い方)の
目線で知ることができました。<社会教育委員・公民館職員>
・産学官民がつながって地域を元気にしていく成功例がたくさん聞けてとて
も参考になりました。<PTA>
・なぜ学ぶのかを見つけることは,小学生から成人・老人まで,共通の課題
で解決しなければならないと思いました。<教職員>
・「巻き込む力」というキーワードが参考になりました。引きこもりやギャ
ルママ等を対象としているのがすごいと思いました。地域×高校,特に普
通科の取組が参考になりました。<行政職員>
備中地区社会教育実践研究交流会
第 7 回大会(次期)の予定
<期日>平成 27 年 11 月
<場所>やかげ文化センター
成熟しつつある社会ではありますが,地域の課題はまだ多く,学校・家庭・地域
の連携による地域活動を推進して,生涯学習・社会教育による人づくり・まちづくりを実現していく
必要があります。備中地区社会教育実践研究交流会第6回大会でも,全体会,分科会ともに,それぞ
れの活動を通して「地域力」について議論を重ねることができました。これからの地域づくりへの思
いを,きっと熱くされたことと思います。
備中地区社会教育協議会 会長 西山雅也
平成27年1月7日発行
第 27 号
編集・発行 備中地区社会教育協議会事務局(岡山教育事務所生涯学習課内)
〒700-0813 岡山市北区石関町 2-1
Tel.(086)221-7776
Fax.(086)221-0919
<この情報紙は,岡山教育事務所のHPからダウンロードできます。>
ホームページアドレス
http://www.pref.okayama.jp/page/293792.html
笠岡市民会館
アトラクション 龍谷太鼓
戸田氏による講話
会場の様子
大会趣旨(趣旨説明)
今日の社会的背景として,少子・高齢化の進展と人口減少社会の到来,市民のライフスタイル
や価値観の多様化など社会情勢は大きく変化しています。
このような中,社会貢献や自己実現を図る目的でのボランティア活動や NPO などの民間団体
の社会活動が活発になるなど,自らの力で地域をよりよくしていこうとする気運が高まるととも
池田運営委員長
に,新たな地域活動の輪が広がってきています。
この交流会は,関係機関や各種団体,地域の方や学校園関係者と共に生涯学習によるまちづくりや地域づくり,地
域の課題に向け,互いの実践を持ち寄り,研究を進めるとともに,交流を深め,ネットワークづくりを図ってきまし
た。
本交流会では,研究テーマを「『学び』が生み出す『地域力』」とし,様々な分野の人がつながり,学びが拡がっ
ていることを再確認するとともに,すでに実現できている「地域力」を参加者同士で検証していきたいと考えていま
す。また,互いに持ち寄った実践から,深めた「学び」を地域で生かし,つながり合う地域づくりの方策について共
に考えていきましょう。
備中地区社会教育実践研究交流会第6回大会
運営委員長
池田敏之
期 日 平成26年11月6日(木)
会 場 笠岡市民会館 備中県民局井笠地域事務所
主 催 備中地区社会教育協議会
備中地区社会教育委員連絡協議会
笠岡市教育委員会
共 催 岡山県備中県民局 ・ 岡山教育事務所
備南地区婦人協議会 ・ 備北地区婦人連絡協議会
後 援 笠岡市幼稚園長会 ・ 笠岡市小学校長会
笠岡市中学校長会 ・ 笠岡市PTA連合会
大会に集い,交流し,学び合う参加者
第1分科会 テーマ 公民館から広がる「地域力」
【実践発表・協議】
■発表者:山本幸範(山口県長門市油谷中央公民館 館長)
「子どもを地域の真ん中に置いて」
公民館で活動するグループによる「おしかけふれあい塾」は,学校で子どもたちと一緒に給食を食べることから始
め,「学び」を子どもたちに伝える活動に発展しました。さらに,子どもたちから元気をもらった大人たちは「油谷
地域教育ネット」を立ち上げ,地域全体で子どもを育てる仕組みを構築することができました。子どもたちも公民館
でミュージカル活動を行うなど地域での役割を担い,子どもたちの笑顔・元気が地域の人々に届けられることで地域
の大人も育てられ「知の循環」はできあがっていきます。大人にも子どもにも「出番と役割」を与えることの大切さ
に触れられながら,学びを地域で循環させている取組を発表いただきました。
【協議内容】 10グループで次の2点について協議しました。
1.地域づくり,人づくりについて活動を継続させる仕組みは?
2.地域の「知」を循環していくために大切なことは何か?
(1)どのように学校と関わるか
山本館長
西井教授
(2)公民館での「学び」をどう地域に生かせるか
■コーディネーター:西井麻美(ノートルダム清心女子大学大学院人間生活学研究科人間生活学部教授)
「『つながり』『学び』を循環させるには,回り始めの時の後押しが必要です。この時の公民館の役割は重要で,循
環させるきっかけを作らないと回りません。また,息切れした時の後押しも公民館の役割のひとつです。いろんな団
体・個人に関わり,『出番と役割』が分かるよう,きっかけ作りが大切です。今回の発表では,地域の大人が子ども
と一緒に給食を食べる事がきっかけで,ここから公民館活動での学びを伝えたいという思いに繋がっていきました。
このような『学びを作っていく言葉がけ』が大切です。」とまとめていただきました。
【参加者の声】
◇公民館から学校に対しアプローチされたことがすごいと思いました。
◇きっかけ,継続,両方について考えさせられました。
会場の様子
◇「知の好循環」いいね!!
<文責:運営委員 原田佳久>
第2分科会 テーマ 学校支援から生まれる「地域力」
【備中地区10市町代表者によるパネルディスカッション】
■パネラー 吉村榮輔(倉敷市立倉敷東小学校支援本部コーディネーター)原田登志一(笠岡市社会教育委員)
藤井美江(井原市立荏原小学校支援本部コーディネーター) 高杉整二 (総社市立池田小学校 校長)
大江保男(高梁市巨瀬公民館 館長)
笹田礼子 (新見市新砥公民館 館長)
新田直哉(浅口市教育委員会生涯学習課 課長)
黒瀬英樹 (早島町教育委員会生涯学習課 課長)
蜂谷真治(里庄町立里庄東小学校 教頭)
堀 賢一 (矢掛町立矢掛中学校 PTA 会長)
■コーディネーター 千葉 照久(倉敷市立庄小学校 副校長)
「『ともに集う』『ともに育つ』地域をつくる学校支援をめざして」
10名のパネラーとコーディネーターが話題の提供役となり,会場にいる全ての参加
者が一体となって話し合いが進みました。各市町の実践報告やそれに対する質疑,学校
支援による「子ども」「大人」「地域」の変容,学校支援がもつ力などについて話し合
う中で,これから求められる地域力やそれを高めるために私たちにできることについて
会場の様子
共に考えました。
地域の大人がちょっとした声かけや支援などをとおして子どもたちと関わり続けていくことで,子どもたちは,ふ
るさとの一員として大切にされているという思いや,ふれあった大人たちをモデルにして夢や希望を抱くようになり
ます。そして,そのような関わりが綿々と引き継がれていくことで,今の子どもや大人,学校や地域が元気になるの
はもちろん,数年後の地域づくりに必要な「地域力」の向上にもつながっていくことを確認することができました。
【参加者の声】
◇参加型の会でおもしろかったです。パネラーの話を聴く
だけでなく,我々も参加できて勉強になりました。「今
の子どもは,将来の大人」この言葉が印象に残りました。
◇地域力の大切さ,そのために何ができるのかを考えさせ
千葉副校長とパネラーの皆さん
られました。ボランティアに参加することで,少しでも
地域力向上の役に立てればと思います。
<文責:運営委員 藤井 剛>
第3分科会 テーマ 地域の特色を生かした「地域力」
【ワークショップ】
■ファシリテーター 戸田 達昭(やまなしの翼プロジェクト代表 シナプテック株式会社代表取締役)
「“熟議”まちづくりはひとづくりから。
地域資源を活用した人材育成モデルの構築に向けて」
ファシリテーターの戸田氏の進行により,地域資源を活用した人材育成モデルの構築
に向けた“熟議”を実施しました。
まず,イントロダクションとして戸田氏から,講話では伝えきれなかった具体的な事
例をとおして,マルチステークスホルダーが信念と責任を持った実践を果たすことの大
ファシリテーター 戸田氏
切さについて紹介していただきました。
次に,8つのグループに分かれ,序盤に「各地域に存在する地域資源の現状と課題は
何か」,中盤に「どのような立場や仕掛けがあれば課題を解決できるか」,そして,終
盤は「私自身は何をするのか。どのように実現していくのか」をワークショップの形で
“熟議”しました。各グループでは「小さい町の課題」や「年寄りの多い地域の課題」,
「商店街の活性化」,「学校教育との連携」,「地域内にある組織の連携」等について
熱気に満ちた前向きな“熟議”をしました。
最後に,ファシリテーターから講評・まとめとして,「次の世代を意識した取組の重
会場の様子
要性」や「KPI(企業が大きな目的を達成するために立てる定量的な達成目標)の活
用」,「つながりを構築するために,自分がどうするか」の示唆をいただき,会を閉じました。
【参加者の声】
◇地域の課題を再認識することができ,他の地域の課題やその解決策を聞くこともできて参考になりました。
◇熟議をすることで,多様な意見を聞くことができました。今後の課題を整理し,把握することができました。
◇共通点のあるグループでの話し合いであったため,分かりやすく,意見も出しやすくてよかったです。
◇講話では質問できなかったことを聞くことができて参考になりました。早速取り組んでみようと思います。
<文責:運営委員 貝原淳一>
第4分科会 テーマ 家庭教育の充実とその支援から生まれる「地域力」
【講話・ワークショップ】
■講師・コーディネーター 横松友義(岡山大学大学院教育学研究科 准教授)
「我が子や地域の子どもたちのために大人として何をすべきか」
【講話概要】
岡山県は,30年ほど前は,幼児教育・女子教育に力を入れた県といわれ,教育県とも
いわれていました。しかし,時代の流れとともに社会は変わり,家庭環境も著しく変わっ 横松准教授
てしまい,その姿は薄れています。なぜこのようになったのでしょうか。
わが国では,2000 年頃から,「キレル・荒れる幼児」や「目に力がない青少年」が現れてきました。そうした
子どもたちには,「自己肯定感が育っていない」「周りに良いモデルが見いだせない」という傾向が見られます。ま
た,子ども・青年の生活感情にも,大人に対して「自分のいらだちやムカつきや不安を受け止めてほしい」,「何の
ために生きるのかを共に考えてほしい」という特徴が見られます。仮説として「心を込めて一人前の人間に子どもを
育てるというよりも,大人自身がよしとする考え方で,大人の生活中心に,子どもに関わる傾向が強まっていった。
それに伴い,大人が,その子に応じて育てることも,人としてのモデルを提示することも,難しくなってきたのでは
ないか。」と考えられます。
【協議内容】
講話に対する質問をもとに,地域での子どもや保護者への関わり方,自分をどう高め
ていくかについてグループごとで協議を行いました。
子どもたちに対しては「必ず声をかける」,「子どもに寄りそう」,「マナーを教える」,
会場の様子
「夢を持たせる」など,保護者に対しては「顔見知りになる」,「話を聞いてあげる」,「自
分の限界を知ってたくさんの人と対応する」,「地域をあげて清掃活動に取り組む」など,自らに対しては「地域の
歴史を学ぶ」,「大人も夢を追いかける」,「仕事を楽しんでする」「家族の中の役割を作る」などが挙がりました。
【参加者の声】
◇何度聞いても横松先生のお話は参考になります。もっと自分自身を高めていきたいと思います。
◇大人として,日本人として当たり前のことが出来なくなっていると聞き,耳が痛いが,このような機会に自分を見
直せて大変良かったと思います。
◇子育て真っ最中で,色々な年代の方の意見を聞くことができて良かったです。 <文責:運営委員 下杉敏史>