ソリューションプラズマによる カーボン材料の表面修飾技術

ソリューションプラズマによる
カーボン材料の表面修飾技術
名古屋大学大学院
工学研究科 マテリアル理工学専攻
助教 上野 智永
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カーボンナノチューブの課題
凝集
低分散性
ファンデルワールス力による凝集により分散性が低い
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従来技術とその問題点
物理修飾法
• 低分子型界面活性剤
• 多環芳香族系化合物
• 高分子型分散剤
メリット
◎
◎
簡単
非破壊
K. Yurekli, C. A. Mitchell, R. Krishnamootri,
J. Am. Chem. Soc., 126, 9902 (2004).
課題
× 分散性の限界
× 溶液に分散剤が存在
× コンポジット性能低下の一因
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従来技術とその問題点
化学修飾法
・酸化処理
H2SO4/HNO3
・有機化学反応
カルベントンの反応
付加環化反応
アリールジアゾウニウム塩との反応等
60 oC
Fe/CH3COOH
H2O, refluxing
超音波: 6 h
最大濃度: 10 wt%
Toyota Central R&D Labs., Inc.:Pattent 2010-24127
メリット
課題
◎
簡単
◎
非破壊
× 反応条件が厳しい (高濃度酸,長時間反応)
× 反応の収率が低い
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ソリューションプラズマ
(a)
(b)
液相
気相
プラズマ相
気相・液相界面
プラズマ相・気相界面
溶液中のプラズマ反応場
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ソリューションプラズマ
+
市販品
(株)栗田製作所
(共同開発)
V
t
-
バイ ポーラ パルス電源
電源
電極: W
電極径: 1m m
電極間距離: 0.3~ 10m m
パルス幅: 1~ 5μ sec
繰返周波数: 15~ 60kHz
セラ ミ ッ ク ス
簡単な装置構成
タ ン グステ ン
電極
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ソリューションプラズマの特徴
従来技術との比較
• ソリューションプラズマは
液中の 低温プラズマ
プラズマ中の活性種と溶質・溶媒が凝集系で反応する高速反応場
従来技術
高濃度の酸・官能基限定・分散不十分
本技術
温和な条件・表面に様々な官能基・良分散性
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従来のプラズマ技術とソリューションプラズ
マ技術の比較
高温プラズマ(従来プラズマ)
アーク放電
原子・低分子
高温
欠陥
分解
低温プラズマ(ソリューションプラズマ)
グロー放電
反応
低温
• 分子が付加
• 高速反応
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分散評価のフローチャート
MWCNT
分散水溶液
(0.25 g/100 mL)
超音波処理
ろ加・洗浄
溶液に再分散
評価
基質の添加
SP処理
乾燥
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使用したカーボンナノチューブ
マルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT) :
名城ナノカーボン製
直径: 10~40nm, 長さ:~ 3μm
0.34nm
10
湿式剪断処理
湿式剪断処理
Sugino HJP-25003
実験条件
圧力:200 Mpa
高圧溶液で生じる剪断応力により,
カーボンナノチューブを粉砕
(100~245 Mpa)
処理時間:30 min (20~1h)
CNT投入量:1 g/l (0~5g/l)
溶媒:水 (エタノール等各種溶媒)
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剪断処理の効果
0h
0.5h
6h
2h
処理なし
すぐに沈殿
3h
湿式剪断
処理
9h
18 h
24h
約半日後
沈殿
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分散性に対する基質(修飾剤)の効果
基質 (溶媒:水)
分散性
基質なし
5分後沈殿
アジピン酸 (0.05M)
1時間後沈殿
ヘキサデシルアミン (0.05M)
1時間後沈殿
ラウリン酸 (0.05M)
1時間後沈殿
ε -アミノカプロン酸 (0.05M)
30日以上分散
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表面処理による分散性の向上
CNT濃度 : 1wt%
CNT濃度 : 30 wt%
未処理
SP処理
未処理
SP処理
沈殿
分散
スラッジ状
ペースト状
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分散性へのイオン強度の影響
イオン強度
Low
High
KCl conc. (mM)
0
1
10
100
分散
分散
凝集
凝集
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分散性へのpHへの影響
pH
Low
High
HCl
conc. (M)
NaOH
conc. (M)
-2
10
-2
凝集
10
-3
凝集
10
-5
分散
10
(NaOH)
分散
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The effect酸性条件での分散性
of functional group on the dispersion
NH2
ε-aminocapronic acid
pH1.5 pH4
×
×
pH5 pH12
○
◎
H
N
NH2
N
H
Triethylenetetramine
pH1.5 pH4 pH5.5 pH10 pH13
◎
×
×
×
○
酸性条件でも分散可能
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Method
for fabrication of polymer composite
表面機能化CNTの応用例
2wt%CNT
分散液
50 phr
溶融ポリアミド
コンパウンド
CNT コンポジット
ポリアミド
PA / CNT (1wt%)
二軸押し出し混練機
CNT
ポリアミド 分散液
排気
東洋樹脂株式会社, 名古屋市工業研究所との共同研究
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Mechanical properties of composite material
ポリアミド/CNTコンポジット樹脂の物性
6
60
40
20
22 %
4
2
Impact strength / kJ m
80
-2
6
Elastic modulus / GPa
Tensile Strength / MPa
13%
PA PA/SP-CNT
5
4
3
2
1
0
0
0
13 %
PA PA/SP-CNT
PA PA/SP-CNT
機械的強度が向上
耐衝撃性が低下することなく向上
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想定される用途
• 機械的強度、高熱伝導性、高導電性を指向した
コンポジット材料への応用
コンポジット樹脂、分散めっき
• 高機能性材料へ応用
高機能インク、燃料電池電極等
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実用化に向けた課題
• 現在、CNTの表面処理はビーカースケー
ルでは可能であるが、量産技術が未開発
• 今後、量産化に向けたプロトタイプ機の
開発、および反応時間の短縮が必要
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企業への期待
• 未解決の量産技術については、物理的分散
処理技術と組み合わせることで、効率的に
なるため、それらの技術を有する企業との
共同研究
• CNTやグラフェンの応用に関心がある、企
業との共同研究。
• 各種分野で新規素材開発を目指す企業に、
展開できる可能性がある。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称
• 出願番号
• 出願人
• 発明者
:表面修飾炭素材の製造方法
:特願2013-15994
:国立大学法人 名古屋大学
:齋藤永宏、高井治、上野智永
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お問い合わせ先
名古屋大学 上野 智永
[email protected]
TEL: 052-789-5163
FAX: 052-789-2796
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