2014年9月号 観血的血圧計 - 医療法人 徳洲会 大垣徳洲会病院

発行日 2014.9.20
みなさんこんにちは。大垣徳洲会病院
医療情報誌
です。
臨床工学科が発行する
観血的血圧計って??
マンシェットを用いて、水銀柱やカフを用いて観察する血圧を「非観血式血圧」というのに対し、血
管内にカテーテルなどを挿入して血圧を連続的に測定するものを「観血式血圧」といいます。
代表的なものは動脈圧で「Aライン」とよんだりもします。今回は動脈圧を中心にお話します。
ショック時の低血圧状態など、どのような場合でも測定が可能な上、連続した血圧波形として観察
ができるため、手術室やICU/CCUなどの重症患者のモニタリングには欠かせません。また、カテー
テルからの採血が出来るという利点もあります。
【構成】
血圧トランスジューサは血管内で発生している血
圧を電気信号に変換します。そしてトランス
ジューサで変換された電気信号を増幅して、血
圧波形および血圧値を表示します。 実際には観
血式血圧のみを測定するモニタはほとんどなく、
心電図などを同時に観察できる生体情報モニタ
が用いられています。
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【測定の手順】
①モニタリングラインを組み立てる 。
接続に間違いがないか確認します。
②ヘパリン加生理食塩水をフラッシュする。
カテーテルおよびモニタリングラインにヘパリン加生食(生食500mlに
ヘパリン2000単位程度)を満たします。
加圧バックでヘパリン加生食を300mmhgまで加圧します。
(1時間に3ml程度の生食が常に流れている事で針先の凝固を防ぎます。)
③モニタと接続する。
④穿刺針とモニタリングラインを接続する。
⑤トランスデュ―サーの高さを確認
大気開放点と右心房の位置を合わせる必要があります。
胸厚の1/2(右心房の 高さ)にして固定してゼロバランスを取ります。
ベットサイドモニタのゼロバランスのとり方
①圧ラインケーブルをモニタに装着します。
キットのコネクターと圧ラインケーブルと
接続します。
②『電源ON』→『メニュー』→
『PRESS』を選択します。
ゼロ校正を選択します。
当院には2種類の圧ラインキットが存在し、
キットの接続部のコネクターの形が異なる為、
ベットサイドモニタにはどちらにも対応できる
ようケーブルを2種類用意しています。
0点校正中
③大気開放(上の写真)
にしてモニタのゼロ校正
ボタンを押します。ゼロ
の表示がされたら、三方
活栓を左の図の様にし
て、波形を確認します。
測定中
Page 2
動脈圧波形の見方
【誤差原因】
a.気泡が混入している
血圧測定ライン中に気泡が混入すると、トランス
ジューサに圧力の細かな変化が伝わらず、血圧波形
がなまって(振幅が小さくなって)しまいます。
→気泡をドーム部分まで移動させた後、気泡抜きコッ
クを開放状態にし、ヘパリン入生理食塩液を急速に流
して(フラッシュして)除去します。動脈では気泡のある
状態でフラッシュすると 塞栓症の原因となりますので
注意してください。
A.左室の血液駆出による大動脈圧上昇波
B.大動脈弁閉鎖波形(ディクロティックノッチと呼ぶ)
C.一回心拍出量
D.圧波形の傾きは血管抵抗を反映
E.脈圧
b.血栓が生じている
動脈針やカテーテル先端に血栓が生じてつまると、血
圧波形がなまってしまいます。
→急速フラッシュをして血栓を取り除く。なかなか除去
できない場合は、動脈針やカテーテルを新しいものに
換えましょう。
c.動脈針やカテーテル先端が血管に当たっている
動脈針やカテーテル先端が血管壁に当たり、先端孔
が塞がってしまうと、血圧波形がなまったり、出なく
なったりします。
→血栓によるつまりとの鑑別が難しいですが、動脈針
やカテーテルを少し引き抜くことで解消されます。
波形の変化
合併症
問い合わせ先
・出血(穿刺時の出血→腫脹・疼痛)
・血栓(長期留置や血圧低下により血管内で血栓が
できる可能性→長期留置を避けましょう。)
・血流感染(長期留置を避けて清潔操作を心がけま
しょう。)
・空気塞栓
(フラッシュなどにより残存した空気や血栓が飛び
脳梗塞など塞栓症状を起こすことがあります。
→回路内の空気を確認しましょう。)
2014年9月号
臨床工学科
内線
制作・編集担当
2038
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棚瀬
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直哉