2011年度「労働組合が抱える課題とその取り組み」

本紙調査
2011年度「労働組合が抱える課題とその取り組み」に関するアンケート
調査結果概要
最重要課題は「組合員とのコミュニケーション強化」
と「次世代組合役員の育成」
○本調査について
本調査の実施概要は以下の通り。
・調 査 名:2011年度「労働組合が抱える課題とその取り組み」に関するアンケート調査
・実施時期:2011年10月中旬〜2011年11月末日
・実施方法:アンケート調査票郵送方式
・調査項目:1.直面している課題と解決策
2.組合員とのコミュニケーション、労使コミュニケーション
3.組合役員に求められる能力
4.グローバル化の影響
・調査対象:「生産性新聞」を購読している単位労働組合を中心とした中央執行委員長
・回答労組:225組合
(内訳)製造業137組合(60.9%)
、非製造業87組合(38.7%)
、無回答1組合(0.4%)
【お問合せ先】
公益財団法人日本生産性本部
〒150‑8307
生産性新聞
渋谷区渋谷 3‑1‑1
TEL03‑3409‑1115
FAX 03‑5466‑7661
直面している課題と解決策
(1)直面している課題
現在直面している課題(複数回答)は、
「次世代組合役員の育成」を挙げる労組が 113 組合(50.2%)
と最も多く、5割の労組が回答している。以下、
「組合員とのコミュニケーション強化」(104 組合、
46.2%)
、
「総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)」
(79 組合、35.1%)
、
「人事
制度(処遇・評価等)の見直し」
(73 労働組合、32.4%)、
「組合員のメンタルヘルス」(56 労働組
合、24.9%)
、「職場風土の改善」
(54 労働組合、24.0%)の順で多い。
直面している課題(複数回答)
(回答数)
104
1.組合員とのコミュニケーション強化
25
2.組合員の仕事と家庭の両立支援
13
3.組合員のキャリア開発
79
4.総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)
56
5.組合員のメンタルヘルス
22
6.組合員範囲の拡大
7.組合財政の安定化
24
8.企業組織の再編に伴う組合組織体制の再構築
24
22
9.高齢者のモチベーション向上
113
10.次世代組合役員の育成
7
11.非正規社員の正社員化
54
12.職場風土の改善
13
13.不払い残業の撲滅
73
14.人事制度(処遇・評価等)の見直し
18
15.事前協議を含む労使協議の充実化
13
16.その他
0
2
20
40
60
80
100
120
直面している課題を業種別に分析してみると、『製造業』では「組合員とのコミュニケーション
強化」を挙げる労働組合が最も多い(51.1%)のに対し、『非製造業』では「組合員とのコミュニ
ケーション強化」は 39.1%と、10 ポイント以上の差がある。
『製造業』では、以下「次世代組合役員の育成」
(48.2%)、
「総労働時間の短縮(休暇取得促進・
所定外労働時間の削減)
」
(34.3%)、
「人事制度(処遇・評価等)の見直し」
(29.9%)、
「組合員のメ
ンタルヘルス」、
「職場風土の改善」
(同 26.3%)の順で続く。
一方『非製造業』では、
「次世代組合役員の育成」
(52.9%)をトップに、
「組合員とのコミュニケ
ーション強化」
(39.1%)、
「人事制度(処遇・評価等)の見直し」
(36.8%)、
「総労働時間の短縮(休
暇取得促進・所定外労働時間の削減)」
(35.6%)、「職場風土の改善」
(20.7%)の順で続いている。
(業種別)直面する課題(複数回答)
1.組合員とのコミュニケーション強化
39.1%
2.組合員の仕事と家庭の両立支援
5.7%
51.1%
14.6%
5.1%
6.9%
3.組合員のキャリア開発
34.3%
35.6%
4.総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)
26.3%
23.0%
5.組合員のメンタルヘルス
10.9%
8.0%
6.組合員範囲の拡大
5.1%
7.組合財政の安定化
8.企業組織の再編に伴う組合組織体制の再構築
8.0%
18.4%
12.4%
10.9%
8.0%
9.高齢者のモチベーション向上
48.2%
52.9%
10.次世代組合役員の育成
3.6%
2.3%
11.非正規社員の正社員化
12.職場風土の改善
20.7%
26.3%
5.1%
6.9%
13.不払い残業の撲滅
29.9%
14.人事制度(処遇・評価等)の見直し
36.8%
8.0%
8.0%
15.事前協議を含む労使協議の充実化
1.5%
16.その他
0.0%
12.6%
10.0%
20.0%
30.0%
非製造業(%)
3
40.0%
製造業(%)
50.0%
60.0%
(2)最も重要な課題
現在直面している課題のなかで「最も重要な課題」
(一つのみ回答)は、
「組合員とのコミュニケ
ーション強化」
「次世代組合役員の育成」
(ともに 40 組合、17.8%)に続き、
「総労働時間の短縮(休
暇取得促進・所定外労働時間の削減)」
(34 組合、15.1%)
、「人事制度(処遇・評価等)の見直し」
(29 組合、12.9%)
、「職場風土の改善」(24 組合、10.7%)の順となっている。
最も重要な課題
(回答数)
40
1.組合員とのコミュニケーション強化
4
2.組合員の仕事と家庭の両立支援
2
3.組合員のキャリア開発
34
4.総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)
14
5.組合員のメンタルヘルス
7
6.組合員範囲の拡大
2
7.組合財政の安定化
9
8.企業組織の再編に伴う組合組織体制の再構築
4
9.高齢者のモチベーション向上
40
10.次世代組合役員の育成
1
11.非正規社員の正社員化
24
12.職場風土の改善
5
13.不払い残業の撲滅
29
14.人事制度(処遇・評価等)の見直し
2
15.事前協議を含む労使協議の充実化
8
16.その他
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
2008年度の同調査結果では、
「総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)
」
(90 組合、33.3%)
、
「人事制度(処遇・評価等)の見直し」
(34 組合、12.6%)
、
「次世代組合役員
の育成」
(32 組合、11.9%)、
「組合員とのコミュニケーション強化」
(29 組合、10.7%)、
「職場風
土の改善」
(17 組合、6.3%)と、上位に挙がってくる項目自体は変化がないものの、2008年度
調査で最も重要な課題とされた「総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)」は
33.3%から 15.1%と減少し、「組合員とのコミュニケーション強化」は7・1ポイント(10・7%
→17・8%)
、
「次世代組合役員の育成」は5・9ポイント(11・9%→17・8%)上昇と、課題が
4
分散、多様化傾向にあることがわかった。
最重要課題上位5項目(2008年度と2011年度の比較)
2008年度
1
位
2011年度
総労働時間の短縮(休暇取得促進・所 ・組合員とのコミュニケーション強化
・次世代組合役員の育成
定外労働時間の削減)
(ともに 17.8%)
(33.3%)
2
位
人事制度(処遇・評価等)の見直し
(12.6%)
3
位
次世代組合役員の育成
(11.9%) 総労働時間の短縮(休暇取得促進・
所定外労働時間の削減)
4
位
組合員とのコミュニケーション強化
人事制度(処遇・評価等)の見直し
(10.7%)
5
位
職場風土の改善
(15.1%)
(6.3%) 職場風土の改善
(12.9%)
(10.7%)
なお、最も重要な課題で「その他」を選択した労組の具体的な内容は、以下の通りである。
・「組織力の強化」(製造業)
・「処遇の異なる組合員の公平・公正を確保した運動の展開」
(製造業)
・「経営のカウンターパート機能の強化」(製造業)
・「安全意識・時間意識・労働意識の3つの組合員自身の意識改革」
(非製造業)
・「会社の収支悪化対応」
(非製造業)
・「パートタイム社員の諸制度整備とモチベーション向上」
(非製造業)
・「中期経営計画に向けた労使共創の歩み方」
(非製造業)
・「再雇用者の活用」
(非製造業)
最も重要な課題を業種別に分析してみると、
『製造業』では、
「組合員とのコミュニケーション強
化」
「次世代組合役員の育成」(同 18.2%)、
「職場風土の改善」
(13.9%)、「総労働時間の短縮(休
暇取得促進・所定外労働時間の削減)」
「人事制度(処遇・評価等)の見直し」
(同 11.7%)の順で
多いのに対して、
『非製造業』では、
「総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)」
(19.5%)以下、
「組合員とのコミュニケーション強化」
「次世代組合役員の育成」
(同 17.2%)
、
「人
事制度(処遇・評価等)の見直し」
(14.9%)の順となっている。
製造業・非製造業で5ポイント以上差がある項目は、「総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定
外労働時間の削減)
」
(製造業 11.7%、非製造業 19.5%)と「職場風土の改善」
(製造業 13.9%、非
製造業 5.7%)の2つである。
5
(業種別)最も重要な課題
18.2%
1.組合員とのコミュニケーション強化
17.2%
2.2%
2.組合員の仕事と家庭の両立支援
1.1%
3.組合員のキャリア開発
0.7%
1.1%
11.7%
4.総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)
5.組合員のメンタルヘルス
8.0%
3.4%
2.9%
6.組合員範囲の拡大
7.組合財政の安定化
19.5%
3.4%
0.0%
8.企業組織の再編に伴う組合組織体制の再構築
2.3%
2.3%
5.1%
2.2%
9.高齢者のモチベーション向上
1.1%
18.2%
10.次世代組合役員の育成
11.非正規社員の正社員化
17.2%
0.7%
0.0%
12.職場風土の改善
13.9%
5.7%
2.2%
13.不払い残業の撲滅
2.3%
11.7%
14.人事制度(処遇・評価等)の見直し
15.事前協議を含む労使協議の充実化
0.0%
2.3%
2.2%
16.その他
0.0%
5.7%
5.0%
10.0%
非製造業
6
14.9%
15.0%
製造業
20.0%
25.0%
最も重要な課題として挙げられた上位3項目(組合員とのコミュニケーション強化、次世代組合
役員の育成、総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減))に対して、労働組合が
力を入れて取り組んでいる活動は以下の通りである。
●組合員とのコミュニケーション強化
<製造業>
・(サークル単位で)全組合員対象に執行委員との昼食懇談会を開催
・全支部、全職場(チーム)での同時期での対話の場の設置
・踏み込んだ対話を行っていくことを運動方針で掲げている
・一般組合員を対象に、2カ月に1度、小集団活動(職場の課題吸い上げ)を行っている
・支部間の交流、情報の共有化
・職場対話集会、組合主催行事の開催
・支部役員と中央役員との連携強化と支部活動の活性化
・職場懇談会や職層別懇談会など、組合員との対話活動を充実
・役員自ら膝を突き合わせ会話をするように、職場を巡回
<非製造業>
・組織内でつながりが感じられるようなセミナー等の企画・実施
・組織体制を変更し、ブロック体制へ移行
・コミュニケーション能力の向上、共育型(共に育てる)研修の実施
・組合活動の見える化
・社内インフラを利用し、双方向でのコミュニケーション活動を展開。また、定期的に紙ベースで
の情報誌を配布
・情宣活動の充実
●次世代組合役員の育成
<製造業>
・次期リーダーの研修機関への計画的・継続的派遣
・青年女性委員会の積極的な活動、各種研修会の充実
・執行部内で、36 協定、労働協約、労使協議(手法)について、定期的に勉強会を開催
・定期的に新入社員を採用するよう、会社側に申し入れをする
・執行委員の若手採用と教育
・若い世代(30 代)を中心に労使課題を話し合ったり、組合行事を企画する専門部を設置
・定期的な教育と他労組交流に積極的に参加させる
・組合活動一つ一つに担当役員を選定し、責任を与える
<非製造業>
7
・研修会、支部長ガイドブックの活用などで、実践できるリーダーづくり
・専門委員会への参加拡大
・若年層を中心とした委員会を設立
・若手組合員を対象としたセミナーを開催
●総労働時間の短縮(休暇取得促進・所定外労働時間の削減)
<製造業>
・構成総連等、上部組織とのコラボレーション
・労使で、「適正な労働時間管理」「年次有給休暇の取得促進」「メンタルヘルスケア」を重点的に
協議、発信しながら推進している
・交替勤務制度(4直3交替制)の導入による総実労働時間の削減
・定時退社日の設定、残業パトロール
・定時退社日の設定や毎月の時間外の報告で意識改善を図る。また、勤務間インターバル制度の試
行導入等
<非製造業>
・組合員の労働時間や休暇取得状況を毎月確認し、所定外が多い組合員に月単位でヒアリングを行
い、改善に向けたフォローを実施
・オルグ活動での現場実態把握と所属長・人事部への報告・改善
・みなし残業の廃止
・事前協議の議題に毎回提議、休暇取得促進のためのアピール
・時間外に関する労使協議会の開催
(3)春闘におけるテーマ
2012年春の賃金交渉に向けて、賃金の改善以外に重視したいこととして、業種を問わず、
「
(介
護・育児等)ワーク・ライフ・バランスの推進・充実」
「人事制度の改定・運用強化」
「メンタルヘ
ルス対策の充実・強化」
「一時金の水準向上」
「時間外割増率の引き上げ」
「職場環境改善」
「業務の
効率化」「福利厚生、各種手当の充実」「総労働時間の短縮(年休の取得促進等を含む)」「60 歳以
降の雇用確保に向けた制度の確立・充実」
「退職金年金制度の改善」
「雇用の維持・拡大に向けての
認識共有と対応協議」
「会社の将来展望(変化)の共有」に複数回答が寄せられた。
その他、「失効積立有給休暇制度の使用範囲の拡大(家族の介護)」「組織力の強化、個々人のレ
ベルアップ」「グループ企業全体の発展につながる施策」「ハラスメント撲滅」「パート従業員の慶
弔休暇等の新設」
「(統合に伴う)有期社員との賃金制度の整合」
「非正規社員の評価、賃金制度」
「操
業職場の操業支援要員の配置」「従業員(特に女性社員)の転勤に関わる離職に歯止めをかける施
策の検討」
「組織率の向上、短時間労働者の社会保険適用拡大への対応」等が挙げられた。
8
組合員とのコミュニケーション・労使コミュニケーション
(1)組合員とのコミュニケーション
過去3年間を振り返って、組合員とのコミュニケーションがどう変化しているかについて、「良
くなっている」
(「1.良くなっていると思う」と「2.やや良くなっていると思う」の合計)が1
66組合(73.8%)で、「悪くなっている」(「3.やや悪くなっていると思う」と「4.悪くなって
いると思う」の合計)の 56 組合(24.9%)を大きく上回っている。
過去3年間を振り返った組合員とのコミュニケーションの変化
3
1.3%
4
1.8%
36
16.0%
52
23.1%
130
57.8%
1.良くなっていると思う
2.やや良くなっていると思う
3.やや悪くなっていると思う
上段:回答数
下段:%
4.悪くなっていると思う
5.無回答ほか
「1.良くなっていると思う」
「2.やや良くなっていると思う」と回答した労働組合において、
組合員とのコミュニケーションで心がけていること、ないしは、取り組んでいることとして、懇談
会を含む各種イベントの開催や直接対話の機会増、あるいは声かけの促進、迅速な対応、情報発信、
支部活動へのサポートが多く寄せられた。具体的なコメントは以下の通りである。
9
<製造業>
・組合支部役員への勉強会を実施し、職場内での役割を再度意識づけした
・支部への権限委譲とねぎらい
・支部役員のレベルアップ
・支部役員研修の繰り返しと支部活動への本部サポート
・現場である各支部がすべての活動の軸にコミュニケーションを置き、活動を展開
・組合員とのパイプ役である執行委員・評議員の研修等を充実させている
・組合役員、職場委員の選出に際して、職場のリーダー格、またはリーダー格になる人に立候補し
てもらっている
・職場集会を月1回以上実施し、情報を伝達し、風通しのよい環境にしている
・職場の活動に力を入れること、深堀すること
・職場懇談会の開催などを通じて、組合員のニーズ、意見、要望などを聞く機会を作る
・職場討議のマメな開催、アンケートの実施など
・労使協議会および労使懇談会の実施を増やし、その場に本部役員もオブザーバーとして参加する
ことで、各部間の状況が把握でき、支部などともコミュニケーションが図れる
・想いを強調する部分としっかり話を聴く部分を使い分けている。職場訪問時など、一方的な情報
の押し付けではなく、
「知りたい」ことに応えるように努めている
・フェイスツーフェイス、レスポンスのスピード、現実を伝えること、
(甘やかさない)
・踏み込んだ本音の対話を意識
・いろいろなイベントを企画し、参加者同士のコミュニケーションの拡大を図っている
・研修会、厚生行事等を通じて対話する機会、時間をできるだけ設ける
・レクリエーションの回数を増やし、組合の活動を見える化している
・昼食懇談会の開催などを行い、執行役員を組合員に知ってもらう。話しやすい環境の整備と組合
役員からの組合員への声かけの強化活動
・一人一人に入り込んだ組合活動
・内容その他、組合員の参加しやすさを演出する
・直接的な対話や活動・交渉経過などのこまめな報告
・職種を超えて交流できる場の設定
・積極的な話しかけや話しやすい雰囲気づくり。また、諸制度・労働法等の学習会の開催
・とにかく職場に出る。かつての組合活動、労働運動を忘れる
・構造改革の必要性、具体策、企業の成長戦略等、ていねいに説明してきた。また、職場から出さ
れた意見については、会社からの見解を求め、職場へフィードバックした
・「言いっぱなし」「聞きっぱなし」をしないように、コンスタントに場を設ける
・組合員からの意見・要望については、できるかぎり迅速に対応する。支部代表者の集まる会議で
は、意見交換の場を設定し、情報と取り組みの共有化を図る
10
・今までフォローできていなかった出向者とのオルグを開催し、コミュニケーションをとるように
取り組んだ
・声かけ運動の促進
・毎月1回、門前であいさつ運動を実施
・広報誌やHPなどを用いて、本部・支部の活動の見える化を強化。併せて、本部役員と支部組合
員のフェイスツーフェイスの機会を増やしている
・情報提供についてはわかりやすく、一方通行にならないよう、意見の吸い上げを行う
<非製造業>
・移動本部の開催、支部・分会執行委員会への出席など
・分会(職場)
、支部、本部での意識・情報共有
・年2回の全支部オルグにて組合員との個別面談を行い、本音の意見集約に努めている
・とにかく職場オルグで、一人でも多くの組合員と顔を合わせる
・職場討議や行事の充実
・講座やオルグ時を利用し、組合員の参画意識の醸成を図る活動、組合役員が各分会に訪問し、直
接会話の場を設ける
・組合活動に関する組合員の声を収集する活動や組合員が自由にテーマを設定して意見交換する座
談会の開催等、組合活動への理解浸透を図る活動を実施
・支部長、職場員を含めて、新人組合員を巻き込むようにしている
・対話活動の推進(見直し)
・パートタイマー組合員が参加しやすい交流会の実施、旅行等のレクの充実、その他オルグなど
・若手の企画による厚生行事を毎年実施している
・顔を合わせて話をするという組合活動の原点に立ち戻り、実践している
・仕事、プライベート問わず、話題を振っての会話。とにかくよく声をかけるように心がけている
・気さくな場の雰囲気をつくり、同じ目線でコミュニケーションをとる
・少人数のグループによる話し合い
・社会貢献活動を通じてのコミュニケーションの場を設定
・小集団活動の実施
・職場組合員からの声を待つのではなく、組合役員から積極的にあいさつ、声かけを行う
・より考え、語る機会を増やしている。情宣紙の部数を増やすことよりも、より考えさせる内容、
より目につく発信に力を入れている
・コミュニケーションを深めるべきは誰(誰と誰)なのかを明確にする。その分類ごとにコミュニ
ケーションを深めるきっかけづくりを(組合が)やる
・単なる「説明」ではなく「語ることのできる説明」の実践を心がけている
・組合ニュースのタイムリーな発信
・メルマガの発行、HPの更新をマメにする
11
一方、
「3.やや悪くなっていると思う」
「4.悪くなっていると思う」と回答した労働組合では、
回答の理由・背景として、組合行事への参加率の低下やコミュニケーションの減少を指摘する声が
多いが、企業組織の再編や組合員の構成にかかる変化等、環境の変化も大きな一因のようだ。
<製造業>
・組合行事の参加率が悪くなった
・組合行事への参加率や部署間コミュニケーションの減少(自分が興味のある行事しか参加しない。
また、自部署以外の部署には無関心)
・相談の減少
・組合が勝ち取った制度などをPRしても、理解がなかなか得られない。「会社がやってくれた」
意識が強い
・コミュニケーション自体が減っている
・個人主義になってきている。会社全体でなく、
「私は」
「僕が」の自論が多くなっている気がする
・組合説明時、参加者が少ない。理解に時間がかかっている
・企業組織の再編により、従来同様のコミュニケーション方法が実施しにくくなっている
・若い人と会話したときに、組合員という意識がなく、組合離れが進行
・「組合費が高い」などの声が聞かれる
・(労組が職場の身近な課題への関与が薄くなってきているので)そもそも組合員が労組の存在意
義を認めていない
・組合活動の情報を組合員に聞いても知らないことが多い
・組合役員の改選において、不信任票が増加した
・事業構造改革より、組合に対する信頼感の低下(なさ)から。意見・質問・要望が出てこなくな
った
・機関紙などで伝えているが、活動内容が理解されていない(何をやっているかわからないと言わ
れる)
・組合員の知識レベルの低下(無関心)
・労働組合に無関心な層の相対的な増加による対話活動の活性低下
<非製造業>
・レク、定期大会への参加率が低くなっている
・オルグの参加人数減少、レクリエーションのメンバー固定化
・仕事が忙しくて休めないという理由から、組合活動の参加者の減少
・日常的なあいさつですら交わされなくなっている
・あいさつができない。返事があいまい、メールのやり取りが増えている、無関心
・職場集会開催時に、組合役員以外の参加人員が減少している
・現場の声の裏にある真相は何なのか、つかめていない
12
・組合員のニーズに応えられていないために、あきらめ感に近い声が寄せられたとき
・春闘交渉への反応の薄さやオルグ等での意見
・メンバーの入れ替わりにより顔の見える組合員の比率が減った
・事業所訪問(オルグ)時に、組合員からの意見が少ない
・会社に対する信頼感が揺らいできている。その状況を改善しきれていない組合に対する信頼感も
薄れ、コミュニケーションが希薄になってきているように感じる
・
「中堅組合員の減少による組合役員の若年化」
「労働密度の高まり」を背景として、代議員におけ
る「議案内容の説明不足」
「職場意見の集約不足」が散見される
・若年層を中心に、労働組合の活動に対して無関心な人が増えたように感じる
・若手を中心に自分の本音を話してくれていない。本音と建前の使い分け、体裁を整えるのが上手
な気がする。本当の意味でのコミュニケーションがやや悪くなっている気がする。
また、若年層や女性の参画を促すために注力している活動や工夫として、対象層に対する意識啓
発や積極的な登用、あるいは、イベントの企画・運営への積極的な参加促進が多く見受けられた。
具体的なコメントは以下の通りである。
<製造業>
・労組主催のレクレーション行事の企画・運営をできるだけ支部単位に権限委譲し、積極的に若手
に参加させる。
・組合への参画が視野拡大やスキルアップにつながる取り組みを行っている。また、労働組合とは
何か?その必要性は?に関する教育に力を入れている
・青年部活動の強化(他労組との交流)
・青年層(27 歳以下)の活動(ボランティアや組合行事への参加)など
・青年協・役員の拡充、レクリエーションの多様化
・若手社員が参加しやすい文体活動を中断することなく実施(実施方法を毎回工夫している)
・入社(組)3〜5年目研修会
・1年目、3年目の組合員全員を対象に、労働組合の重要性、単組の活動を理解するためのセミナ
ーを開催
・青年婦人部の活動が中心となるが、本部の活動にも参画させ役割分担、責任を持たせることで育
成を図っている
・目標の設定、他労組との交流
・一日体験、中央執行委員会とレク活動、現執行部との対話
・支部を中心に、徹底した対話活動に取り組んでいる
・若年層対象の研修にて、男女共同参画の推進について講義し、理解を促している
・青年女性協議会を組織し、相互交流、イベント企画、他組合との交流の場を設け、育成している
13
・青年・女性部の職場委員数を増やした。また、一般組合員を部員として取り込み、青年・女性活
動を推進している
・若年層(入社2〜5年)の学び合いの場の設置(6カ月程度の継続的な学習機会)と、職場委員
(コミュニケーションリーダー)への女性の積極的登用、女性役員懇談会の定期的開催
・新入社員歓迎会への参加者を年齢を限定せず募集、参加を促している。女性と組合役員との懇談
会を定期的に開催している
・職場役員の任期を短くし、多くの若年層役員の活動参画。中央執行委員への女性役員登用による
活動参画
・30 歳以下の若い人が企画、運営して行事を開催する。女性の参画については、支部で女性 10 人
につき1人を女性代議員として大会に出席してもらう
・毎年一つは、女性が働き続けられるように、育児関連制度の充実に向けて交渉
・執行部、専門委員に必ず女性を複数配置する
・公募による女性委員会の設置
・本部・支部の組合役員に女性役員を必ず登用する
・「仕事と家庭の両立推進部会」を組織し、女性を組織メンバーの中核とし、取り組んでいる
・女性同士で意見交換をする場や組合役員とのコミュニケーションする機会の創出
・改選にあたっては、社員内の比率以上に女性役員の産出を行うよう、指示している
・ 労働組合
のイメージアップ。
「おしゃれ」に「おもしろく」。大女子会の開催
・専門局メンバーへの女性の起用
・若年層、女性など、ターゲットを絞ったレクリエーションの計画を行い、都度、参加者の声を聞
き、活動の充実につなげている
<非製造業>
・テーマを決めて、意見を言い合う若年層向け会議を企画
・定期大会から出席者の比率目標を決めて増やすようにしている
・支部長の意識改善
・ランチミーティングの実施
・女性委員会を立ち上げ、各種イベントやセミナー等の開催を行い、女性組合員の参画意識を高め
る活動を行っている。若年層についても、ヤングエイジセミナー等を開催し、モチベーションの
向上等を図っていく予定
・青年女性活動の活発化、および予算を上積みして対応
・青年・女性委員会による各種イベントの開催
・若年層や女性がリーダーとなり、コミュニケーション活動やボランティア活動を企画・実行
・女性の参加率の向上に向けたアクションプランの策定と推進
・男女共同参画委員会、男女共同参画フォーラムの開催
・男女共同参画推進担当者の専任。各種セミナーへの派遣
14
・職場内において組合役員をサポートする役割として女性を任命している
・ダイバーシティ推進委員会の発足
・女性委員会を立ち上げ、女性目線での業務改善、CS向上等を議論している
・産別や連合主催の女性委員会、協議会に積極的に参加する
・若手社員をターゲットにした勉強会や育児休職者に対する懇談会等を実施
(2)労使コミュニケーション
過去3年間を振り返って、労使コミュニケーションはどう変化しているかについて、「良くなっ
ている」
(「1.良くなっていると思う」と「2.やや良くなっていると思う」の合計)が174組
合(77.4%)と、「悪くなっている」(「3.やや悪くなっていると思う」と「4.悪くなっていると
思う」の合計)の 44 組合(19.6%)を大きく上回っている。
過去3年間を振り返った労使コミュニケーションの変化
7
3.1%
2
0.9%
44
19.6%
42
18.7%
130
57.8%
1.良くなっていると思う
2.やや良くなっていると思う
3.やや悪くなっていると思う
15
上段:回答数
下段:%
4.悪くなっていると思う
5.無回答ほか
組合役員に求められる能力
組合役員に求められる能力を(1)知識・技術、
(2)人間力、
(3)問題発見・問題解決力、の
3つに分類したところ、
(2)を取り上げる労組が多かった。
個別に見ると、
(1)では「幅広い知識」、
(2)では「思いやり」や「コミュニケーション能力」、
「リーダーシップ」
、
「傾聴力」
、
「バランス感覚」、
「責任感」、
「前向きな姿勢」、
(3)では「感度」
、
「本質を見極める力」、
「情報収集力」が多く挙げられた。
一方、能力開発のための対策としては、実践の場を提供する他、異業種交流会を含めた様々な研
修機会を設けていることがわかった。また、自由闊達な議論ができる風土作りに取り組んでいる労
組も複数見られた。
●組合役員の能力として重要なもの
(1)知識・技術
<製造業>
・会社業績など全体を見据えた前向きな議論ができる
・会社の経営状況(決算書の分析等)を読み取る能力
・社会を広く考えられる視野の広さ
・知識(労働基準法、労働組合法、人事関係規程)
・法的知識
・正しく説明できる力
・的確な情報把握(社内外、世間動向など)
、職場との連携等
<非製造業>
・幅広い知識
・幅広い視野を持つ
(2)人間力
<製造業>
・感受性、好奇心、想いの強さ、思いやり
・いろいろなことを感じ取ることができる感知力
・自分と違う価値観を認める
・好奇心と行動と人当たりのよさ、現状に満足しない向上心
・気力、体力
・当事者意識
・組合員の視点で物事を考え行動する姿勢
16
・バランス感覚(多方向から物事を見れる)
・情(人柄)と理(論理構成力)
、バランス感覚
・責任感、芯の強さ、包容力
・人と会社に興味があり、明るく元気にできること
・奉仕の心を持つ、信念(思い)を持って行動する
・自己犠牲の精神と利他の心、積極性
・自らを高めようとする向上心
・考えること、相手の立場に立つこと、やり抜くこと
・仕事と組合活動・労働運動を割り切って考えることができる性格
・問題解決への強い意思
・現状に満足しないで、自分の考えを勇気と信念を持って実行する
・これから先の変革を見据え、今までの常識を変化に合わせて変化させる力
・先見力、トータル思考力、理論的思考、物事を俯瞰できる能力
・組合活動と会社のバランス感覚
<非製造業>
・第一に、自分よりも組合員のことを考えることができる。言うべきことは言う、やるべき事はや
るという気持ち
・決断力、交渉力、コミュニケーション能力、責任感、粘り、前向きな姿勢、組合員から信頼され
るヒューマンスキル、統制力、人望、主体性
・組合員へ当事者意識を持たせ、意識を高められるよう働きかける力
・交渉能力と調整能力
・できない自分や自分の短所、長所を含めて認め、自分自身を変えることができる心構えを持つ能
力
・柔軟性(若年層が増加しているため、感覚に隔たりがでない対応能力)
・人の話をよく聞いて理解し、共感が持てること
・他人の痛みを知る人間
・前向きな姿勢と周りに対しての気遣い
・他人のために何かができると思えること
・幅広い意見を受け止められる懐の大きさ
・あらゆる意見、要望、出来事に対して、常に前向きに考えて取り組む姿勢
・偏った考えを持たないように心がけること。大局面を見て判断できること。物事を正確に伝える
ことができること
・組合員の代表という自覚、自分の問題だけではない視点での諸問題に対する取り組み姿勢
・組織をまとめていく力
・謙虚な思考ができること
17
(3)問題発見・問題解決力
<製造業>
・創造力
・変化の先頭に立つこと、変化に敏感であること
・情報収集力、展開力、組織活用力
・傾聴ができ、情報を整理しながら問題解決していける能力
・日常での世話活動と職場の中の問題・課題の把握
・問題を問題として捉えられるか、そしてそれを放置しないこと
・問題の本質を見抜き、解決に向けた行動を取れる力
・社会や人の本質を見抜く洞察力
・物事の本質を理解し、わかりやすく伝える能力
・問題課題に対しての高い感度・意識
・会社の立場を理解しつつ、組合員の目線で物事を捉える能力
・その時々の状況、環境を知り、わかりやすい判断力で進めていく
・職場の情報収集能力とその情報に対する行動力
・自職場の問題や課題を把握することに加えて、他職場や会社全体の問題や課題を踏まえて考え、
行動すること
・文章表現力
・自分の意見をはっきりと言い、人の意見を聴き、話し合うこと
・組合員の相談対応ができる傾聴能力
・組合員をまとめるリーダーシップと組合員の声が聞ける能力
・自分の考えを伝えるコミュニケーション能力
・リーダーシップ、論理的思考力、組合員満足志向力、上昇志向力、コミュニケーション能力他、
13 項目を定義している
<非製造業>
・行動力
・情報分析力
・企画・提案力
・物事を全体的に客観的に捉えることができる
・ファシリテーション能力。自ら考え行動することだけではなく、組合員の主体性を引き出す能力
が求められている
・社内(職場組合員、会社側)および社外(他労組役員、その他関係者)とのコミュニケーション
能力
18
●能力開発のための対策
<製造業>
・「よりよい社会の実現」をキーワードに考え方を示し、理解・浸透の取り組みをしている。
・現実(社会情勢、会社を取り巻く環境)を伝える機会をつくる
・課題解決の取り組みを組織活動の根幹に位置づけ、様々な場で組合員からの声の収集から課題設
定→解決の一連のプロセスについて、繰り返し研修している
・労使間だけではなく、組合役員の学習会、委員会で意見の出しやすい雰囲気作り、また、意見で
はなく、文句になった時には必ず指導をする
・職場組織との連携、日々の情報交換(感性を磨く、OJT)、研修会(産別主催など)への参加
・研修会の実施(自組合や上部団体の教育研修への参加)
・層別研修会の開催
・関係するセミナーへの参加と執行委員会の中での内容報告、執行委員で共有した上で活動を行う
・本部内、本部―支部間、支部内での議論の場の量的拡大(そのための仕掛けを実施)
・企業活動体験、チーム作りなどの外部研修受講
・日常活動や定例会議で、大切にしたいものを伝えるようにしている
・合同協議による課題解決など
・労組役員向けのセミナーを毎年開催して、ブラッシュアップを図っている
・執行委員および職場委員向け研修、マニュアル作成、組合活動(会議、交渉等)を通した指導教
育、交渉シュミレーション実施
他
・執行委員会などの会議を毎週行い、意識のすり合わせ、情報の共有を行っている
・活動スタート時に活動スタンス(心合わせ)を行うこと
・外部セミナーへの参加や内部研修の実施により、知識や能力開発に努める
・職場討議の実践
・本音の話し合い、思いを伝える努力をすること
・労使討議での実践
・職場役員の研修を実施(①期初の階層別研修、②春闘に向けた階層別研修)
・内外部との交流(積極的に対話)
・できるだけ外部の人たちと接することができるよう、外部研修への参加を行っている
・新任役員を対象としたセミナー(勉強会)の実施
・各種協議の前の事前準備の徹底
・課題、問題の共有化を役員で行うとともに、個々のモチベーションを高め、行動に移しやすい環
境作りに注力している
・役員一人一人の力を引き出すために、責任ある仕事を与え、弱いところは全員でカバーする
・企画から実行までを各役員に任せ、それを支援し、成功体験を積ませ、奉仕の結果として返って
くる組合員からの感謝の声に充実感を感じてもらう
19
・都度、指導
・専従が見本となる。セミナー後の話を充実させる
・本部オルグ(支部役員対象)
・各種研修、セミナーに加え、リーダーとしての役割の実践を通じた育成を行っている。また、人
材を見極めた上で人選している
・リーダーシップやファシリテーションの能力開発を行っている
・各資格を取るための補助等
・忙しい時には負荷をかけない
・
(会社の現状把握のため)組合役員を対象にセミナーを開催し、社長をはじめ講師に来てもらい、
会社の現状と将来について語ってもらう
・自ら活動の実施(1週間毎のフォロー)
・行動を評価する仕組み(専従の評価を非専従メンバーの委員会が行う)、EQ開発
・人間力のあるメンバーを引き抜く
・文章表現力については、OJTを徹底させる
・組合役員スキルとして定義している 13 項目について、年1回アセスメントを行っている
<非製造業>
・自由な議論ができる組織風土の構築
・特定の人物に集中しないよう、様々な人に組合の諸活動に参加してもらう
・団体交渉に執行委員を同席させる(次世代の育成も兼ねる)
・会議、研修、セミナー等を通じて目的の共有化を図る
・執行委員会等を通して、様々な議案について議論している
・組合役員それぞれが役割を持ち、役員会等で主担当として自身のテーマを報告し、他の担当から
アドバイスをし合う
・オルグを経験させる
・活動に役立つことだけにとらわれない、様々な情報を見聞きする
・互いによる意見の検証
・他労組との交流などに積極的に参加をさせている
・共通認識を高めるための定例会議、他の組合組織との交流
・研修会では討議訓練、実践の場では論議と意思決定のプロセスづくり
・研修、特にグループディスカッション
・異業種交流会、同業他社との交流
・「気づき」をテーマにした研修
・組織内外研修でのケーススタディ
・自分自身を変えざるを得ない状況になるようにきっかけづくりをする(セミナー参加、外部への
出張等)
20
・職場集会を開催し、役員が主体的に関わっていくようにさせていく
・座談会を企画し、座長を務めてもらう。ファシリテーション研修を開催
・分会を中心とした活動(現場の中央執行委員を軸とした活動の推進)
・支部が広範囲に広がっていることから、各支部で財政を持たせ、各支部の役員に支部運営をさせ
ている。おのずと、各支部での人材が育成される
・すべての組合活動に目的意識を持って取り組めるよう、目的と目標達成のための方法、スケジュ
ールを明示させている
・リーダー教育の強化
・ロールプレイングによる労使交渉の取り組み
・キャリアコンサルタント養成講座への組合役員の派遣
・政治経済文化などの一流に触れる取り組みに積極的に参加する
・人前でとにかくしゃべること(思いを伝える)
・執行委員会等で、書籍などの紹介や実例紹介などを行っている
・個々に目標設定して、実践させる
以上
21
グローバル化の影響
グローバル化の進展による労組への影響について、
「大いに影響がある」
(76 組合、33.9%)、
「や
や影響がある」
(60 組合、26.8%)と、両者を合わせると6割以上の組合(136 組合、60.7%)が
「影響がある」と答えている。
2008年度の同調査結果では、
「大いに影響がある」
(82 組合、30.4%)、
「やや影響がある」
(75
組合、27.8%)で、当時よりも若干グローバル化の影響が大きくなっていることがうかがえる。
グローバル化の影響
3
1.3%
20
8.9%
76
33.9%
65
29.0%
上段:回答数
60
26.8%
1.大いに影響がある
2.やや影響がある
3.ほとんど影響はない
下段:%
4.影響はない
5.わからない
グローバル化の影響を業種別に見てみると、
『製造業』では、
「影響がある」
(「大いに影響がある」
と「やや影響がある」の合計)と答えた労組が 74.5%と 7 割以上を占めているのに対して、
『非製
造業』では 39.6%と、ほぼ 4 割にとどまっており、製造業と非製造業の温度差が明らかになってい
る。2008年度の同調査結果でも、製造業では、「影響がある」(「大いに影響がある」と「やや
22
影響がある」の合計)と答えた労組が 68.8%と7割近くに達しているのに対して、非製造業では
42.5%と4割にとどまっていることを踏まえると、当時と同じ傾向が見られるが、今回、より製造
業への影響が大きくなっていることがわかった。
(業種別)グローバル化の影響
製造業
62
14
非製造業
0%
10%
(回答数)
40
20
20%
30%
1.大いに影響がある
4.影響はない
27
38
40%
50%
60%
2.やや影響がある
5.わからない
2
70%
80%
1 7
12
90%
100%
3.ほとんど影響はない
具体的な影響の中身については、「海外出向・駐在員増加への対応」が最も多く寄せられたが、
その他「企業合併、組織再編の影響」や「海外団体、ローカル組織との連携強化」、あるいは「雇
用問題、労働条件への影響」、
「外国人組合員の受け入れ」
、
「組合員の能力開発」等にかかるコメン
トが複数寄せられ、グローバル化に伴う難しい諸課題に直面している労働組合の姿が浮き彫りにな
っている。
グローバル化の影響について、各労組から寄せられた自由回答は、以下の通りである。
●企業合併、組織再編の影響
<製造業>
・事業会社を労働協約を結んでいる相手としているが、連結経営の比率が高くなり、特にグローバ
ル化に重心が移ることにより、事業会社のみを相手に話をしていることが実態にそぐわなくなっ
ている
・社内の大規模な組織変更(組合員の異動を含む)、生産体制や働き方への影響など
・国内工場の再編や営業拠点の再編
・国内生産人員の縮小→配置転換か
・海外子会社の組合設立
23
<非製造業>
・国内向け産業で、労働集約型であるため、産業の空洞化は深刻
●海外駐在、派遣増加への対応
<製造業>
・海外出向に際しての取り扱いの見直し
・駐在員の増加に伴う労働条件の整備
・海外勤務者の賃金について
・海外出張、赴任に対する諸手当と組合員への社内処遇均一化
・組合員も海外に行く機会が増えることになるが、海外現地の状況など、把握しづらい
・組合員の海外赴任が増えることで海外での働き方がわかりづらく、対応が遅れる
・海外事業所への出向者、出張者へのフォローに対する負荷増大
・海外転勤の増加。特に、共働きの増加によって、家族との関係で困難な場合がある
・海外拠点ごとに異なる労働諸事情への対応力が必要となってくる
<非製造業>
・海外勤務の組合員、出向者組合員の増加に伴う連携のあり方
・海外勤務、研修社員の増加に伴う労働条件等の見直し、安全の確保
●海外団体、ローカル組織との連携強化
<製造業>
・グループが買収した海外企業で働く労働者が所属する労組とコミュニケーションを取る機会がで
きた
・労組のグローバル化。既に、海外現法にも労組がいくつかあり
・海外従業員や海外組合との連携
・海外事業所の労政問題に対する役割
<非製造業>
・海外の現地法人での労働問題
●雇用問題、労働条件への影響
<製造業>
・国内製造の空洞化を招き、雇用が脅かされる
・雇用問題。当社では通用するが、他社では通用しない人材への対応
・仕事量減少に伴う人員の減少と将来的な雇用不安
・過当競争による労働条件への低下圧力、雇用への影響
・企業のコスト競争力低下に伴い、「人」を財産ではなくコストとしてみるようになる→いろいろ
24
な負荷が組合員にもかかってくる
・働き方、ライフプラン、福利厚生、労働条件の改悪を含めたグローバル競争に巻き込まれる
<非製造業>
・雇用調整、人件費減、親会社への配当
・IFRSの導入等により、退職金や企業年金制度等、労働条件面の見直し議論にも発展する可能
性がある
●その他
<製造業>
・国内に人材がいなくなるということは、次世代組合役員の育成も阻まれ、組合活動が先細ること
も懸念
・全体に占める日本人組合員比率の低下に伴う会社に対する影響力の低下
・労使関係の悪化。労組の影響力の低下(経営チェック力)
・労使、労労双方とのコミュニケーションに課題が出てくる
・個々人に求められる役割、働く場の変化
・客先の品質レベル向上による組合員のスキルアップが求められる
・組合員の育成について、社内教育の見直し、充実に向けた取り組み
・組合役員の語学力
・組合員の能力開発で、グローバル化に対応した開発を推進する必要あり
・組合に対する意識の希薄化につながる
・既に外国人の組合員、職場委員が参加
・外人が多く採用され、理解されにくい
・外国人の組合員受け入れについて
・会社の利益=過去、会社の業績を単体で見て、春闘交渉をしている
・一時金算定式、人事制度に影響がある
・市場競争の激化による企業業績の悪化が賃上げ、一時金の減額という形で跳ね返り、組合員の組
合への期待が弱くなっている
<非製造業>
・世界経済の動向が会社業績に波及し、結果、労働条件への影響が考えられる
・親会社が海外資本であることによる人事給与制度面への影響
・会計制度(IFRS)のグローバル化は企業に影響し、組合にも余波あり
・グローバル社員の増加、社風の説明等
以上
25