モロッコ王国大使館 - Goldman Sachs

新成長国を訪ねて ~大使館訪問シリーズ~
ご参考資料
2006.11
モロッコ王国大使館
第
14回
第14回
はじめに
第14回目となる大使館訪問シリーズでは、モロッコ王国の駐日大使館を訪問しました。モロッコは、第12回にご紹介した
チュニジアと同様にアフリカ大陸の北に位置していますが、その国土は南北に長く、景観、気候の多様性に富んだ美しい
国です。そして、地中海だけでなく、大西洋にも面していることから、漁業はもちろんのこと海洋における天然資源にも注
目が集まっています。また、肥料などに使用されるリン鉱石の採掘量は世界第2位を誇っており、コバルト鉱など他の鉱物
資源の産出量についても、世界トップクラスの水準にあります。モロッコについて、あまり経済的なイメージはないかもしれ
ませんが、アフリカにおいてトップクラスの経済力を誇る有望な新成長国のひとつであり、今回のレポートでその胎動を感
じていただければ幸いです。
駐日モロッコ王国大使館
今回訪れたモロッコ大使館は東京青
山の閑静な住宅街の中に佇んでいま
す。近くには有名なブランドショップな
ども点在しており、少し歩くと賑やかな
通りに出ますが、大使館の周りは静か
で、その外観からは瀟洒な印象を受け
ました。
モロッコ王国
首都
GDP
経済成長率
通貨
面積
人口
言語
:
:
:
:
:
:
:
ラバト
516億米ドル(2005年)
7.3%(2006年予測)
ディルハム
710,850平方キロ(西サハラを含む)
3,324万人 (2006年7月)
アラビア語、フランス語
カサブランカの旧市街
(出所:外務省、IMF、モロッコ大使館)
今回お話を伺ったのは、モロッコ大使館のサイド・アイトタレブ-アリ経済参事官です。
アイトタレブ-アリさんは、2006年に日本に赴任される前は、4年間におよぶ北京での
駐在経験もあり、アジア地域に精通されています。また、言語についても精通されて
おり、モロッコで一般的に使用されるアラビア語、フランス語はもちろんのこと、英語や
ドイツ語、スペイン語なども使われた経験があり、まさに外交のエキスパートという印象
を受けました。インタビュー中も物腰柔らかく、大変ご丁寧に対応をいただきました。
サイド・アイトタレブーアリさん
モロッコの歴史、そして経済について
航空産業に強みを持つ
1912年、モロッコは、国土の大部分がフランスの保護領となりまし
たが、1956年に独立を果たしました。経済においては、伝統的に
は皮革、繊維、化学関連といった分野が主要産業となっていまし
た。特に化学産業においては、世界の埋蔵量の3分の2を占めると
も言われているリン鉱石を活用し、化学肥料やリン酸の生産を行っ
ています。近年は、こうした従来の産業に加えて、機械、金属、エ
レクトロニクス産業、IT・通信関連といった産業も伸びています。
また、モロッコにおいては観光も重要な産業として位置づけられて
おり、現在でも海外からの観光客は年間約600万人と非常に高い
水準にありますが、この数値を1,000万人にまで引き上げるべく、観
光関連のプロジェクトを進めています。
(%)
<モロッコのGDP成長率の推移(2000年~2006年)>
<ロイヤル・エア・モロッコ社>
8
6
4
2
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
モロッコの航空産業は急速に発展しています。1950年代後半に、
国営企業のロイヤル・エア・モロッコ社(Royal Air Maroc)が設立
され、航空機のメンテナンスを主要事業としていましたが、これが
現在の航空機の部品製造の基礎になりました。90年代後半には、
航空産業は国の経済、雇用に大きな影響を与えるようになりまし
た。部品製造を中心とした航空産業が伸びている背景としては、
ボーイング、エアバスといった航空機メーカー同士の競争の激化
により、部品メーカーへのコスト圧力が高まり、モロッコのような、
比較的安価な労働力を確保できる新興国に進出が相次いでい
ます。特に、モロッコの労働市場は他国に比べ割安であるだけで
なく、その技術力の高さや国民の勤勉さから、近年多くの外国企
業が進出しています。
データ出所:IMF
ロイヤル・エア・モロッコ社は、1957年創業
のモロッコの主要企業の一つです。
モロッコ政府は観光産業にも注力しており、
2010年までに年間1000万人の旅行者を目
指しています。旅客サービスの需要は更に
高まると考えられ、ロイヤル・エア・モロッコ
社の躍進は今後続くと考えられます。
本資料は証券取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は新成長国に関する情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社が作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。本ファンドの取得を希望される方は、「投資信託説明書(目論見書)」
をお渡ししますので、必ずその内容をご確認下さい。本資料に記載された市場の見通し等は、本レポート作成時点での弊社の見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無しに変更する場合もあります。本資料でご紹介する国は、必ずしも本ファンドが投資している国ではありま
せん。Copyright (c) 2006 GSAMC. Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no BackCover Texts. A copy of the license is included in the section entitled "GNU Free Documentation License".
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
海外からの直接投資が経済を活性化
海外からモロッコへの直接投資(FDI)が過去数年で6倍程度に拡
大しています。こうした海外からの投資が促進された背景としては、
国有企業の民営化が挙げられます。実際、フランスの巨大メディア
企 業 ヴ ィ ヴ ェ ン デ ィ ユ ニ バ ー サ ル に よ り 国 営 通 信 会 社 Maroc
Telecomの買収が行われました。その他にも、観光業、不動産、保
険業といった分野でも投資が活発化しています。また、欧州だけ
でなく、中東諸国も投資を行ってくれており、過去には建設業や観
光業に投資は限られていました。しかし、現在では自動車、航空、
IT、農業、通信産業にまで投資対象は広がっており、モロッコ経済
の躍進を支えています。
日本企業の進出も徐々に始まっており、住友電工は自動車向け
の電線製造の拠点を国内に構えています。その他にも矢崎総業
がワイヤーハーネスの製造工場を構えています。しかし、日本企
業の進出はまだ本格化しておらず、我が国としては更に多くの日
本企業がモロッコに進出してくれることを期待しています。
経済特区により海外からの投資を促進
モロッコでは、主要都市であるラバト、カサブランカ、タンジール、
マラケシュにフリーゾーン(保税区)を設けています。このフリー
ゾーンにおいては、例えば事務所を平均的な市場価格の半分程
度のコストで借りることができます。また、フリーゾーン内の事務所
には、エアコンなどの空調設備やインターネットなどの通信網はも
ちろんのこと、衛星通信に関しても最適なものを選択できるように
なっています。これ以外にも、モロッコ国内で雇用を行うことで、税
金を軽減されるというメリットもあります。先ほど触れた矢崎総業は、
このフリーゾーンを利用して投資を行っています。
日本の皆様へのメッセージ
一口メモ:「モロッコと日本の武道」
モロッコでは、日本の武道「空手」や「合気道」が盛んです。実際、今回
インタビューをさせて頂いたアイトタレブーアリさんも合気道を嗜まれて
います。モロッコには合気道連盟があり、昨年はカサブランカにおいて
日本との交流会が行われたとのことでした。また空手も盛んであり、日
本の空手映画が人気を博していたこともあったようです。
また、モロッコではサッカーの人気が高く、
モロッコで行われたハッサン2世杯に参
加したことがある中田英寿選手が有名で
した。このように日本の武道やサッカー
選手が、モロッコと日本の交流において
一役買っているようです。
ヨーロッパとの深い関係
モロッコはアフリカ大陸に位置していますが、
経済面でもっとも結びつきの強いのは欧州連
合(EU)です。例えば、我が国の貿易量の60~
65%は欧州諸国との間で行われています。先程
もお話しましたが、企業によるモロッコ投資の
決め手の一つが、比較的割安で且つ、優秀な
労働力です。しかし、特に欧州企業の場合、同じEU圏内である、
ハンガリー、スロバキア等の中・東欧諸国への投資が盛んに行わ
れております。EUとの間のFTA(自由貿易協定)は2010年を目処
に完全に効力が発生する予定のため、モロッコの優位性は今後
高まると考えています。また、2012年を目処にアメリカとの自由貿
易協定の効力が発生するため、アメリカとの経済的な結び付きも
今後更に強まるでしょう。
「インタビューを終えて」
私は日本に赴任したばかりですし、東京の様子しか分かりません
が、他の国の同じ規模の都市と比較しても、東京は非常にきれい
な都市だと感じています。たくさんの公園が設置されていたり、地
下鉄などの交通機関のシステムが洗練されているといった点に注
目しています。先ほどもお話しましたが、我が国は観光産業に力を
入れており、日本の皆様にも是非お越しいただきたいと思います。
最近では、日本の女性歌手が写真集の撮影をモロッコで行ってい
ます。そうした写真撮影の舞台となるなど、景色が美しい場所がた
くさんありますので、皆様にも気に入っていただけると思います。
モロッコ大使館で仕入れたちょっと良い話
チュニジア、南アフリカと続き、今回はアフリ
カ大陸3カ国目となるモロッコの在日大使館
を訪問しました。欧州諸国との距離が近いこ
とや、多様な文化を認め合うことができる国
民性、東欧諸国にひけをとらない労働市場
を誇ること等、独自の魅力と強さを持った新
成長国の印象を受けました。今後は、アフリ
カ大陸、欧州、そしてアジアをも結ぶ重要な
ビジネス拠点として、更なる経済的発展の
可能性があることを感じました。
(このインタビューは2006年11月16日に取材したものです。)
お店の外観
今回は東京都内のモロッコ料理店、「ル マグレブ」(世田谷区・玉川)に伺いました。
インタビューにご協力いただいたヒシャムさんは、12年前に来日され、日本語も非常
に堪能で、こちらのお店でシェフ兼オーナーを務められています。モロッコ料理につ
いて伺ったところ、肉や魚、野菜と一緒に食されるクスクスやタジンと呼ばれる鍋を
使った料理が代表的とのことでした。クスクスは、地域によって組み合わされる食材
が異なり、北の地域では魚がその他の地域では野菜やラム肉などと一緒に食される
ことが多いようです。また、非常にユニークなのが、タジンです。タジンとは、土鍋の
ことなのですが、蓋の形が円錐形をしたお洒落な土鍋です。
実は、この蓋の形にはモロッコならではの大きな意味があります。それは、砂漠地帯では水が大変貴重なた
め、材料から出る水分を循環させることで、水を使わなくても材料が煮えるように工夫された結果なのです。
今回は、このタジンを使った料理「チキンタジン」とモロッコの春巻き「ブレワット」をいただきました。この春巻
きには、牛挽肉やタマネギが包まれ、スパイスが混ぜてあるのですが、少し辛味があるものの、その辛味は非
常にマイルドです。付け合せのソースも唐辛子をベースにしたものなのですが、それ程辛くはありませんでし
た。こうしたマイルドな味わいが、モロッコ料理のひとつの特徴なのではないかと思いました。
チキンタジン
ブレワット
ル マグレブ : 03-3709-2664 www.lemaghreb.jp
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